日誌

WALKMAN 訳すと?

 1979年の7月1日は、ソニーが携帯式ヘッドホンステレオ「ウォークマン」の第1号機「TPS-L2」を発売したことで「ウォークマンの日」となっています。カップルで楽しめるようにヘッドホンの端子が2つあり、定価は33,000円でした(当時の大卒初任給は11万円だったそうなので、現在に換算すると6万5千円弱ですね。皆さん、買いますか?)。

 昔、「プロジェクトX(挑戦者たち)」という戦後日本を支えた技術者達の記録ドキュメンタリー番組があり、中島みゆきが歌った主題歌「地上の星」が話題になりました。その中でソニーが関わったものに「ビデオの規格争い、VHS対ベータ」がありました。ウォークマンも取り上げられてもおかしくないのに、なぜ番組にならなかったかというと、当時の開発者が亡くなっていたことや放映できない事情があったからだそうです。気になった人は調べてみてください。録音機能なしでは売れないとの社内外の反対の声もありましたし、ネーミングでも揉めたみたいです。発売当初はマスコミの反応が芳しくなく、新聞掲載もごくわずかだったために、発売1ヵ月での売上はわずか3,000台に留まっていたそうです。しかし、「重役の7割が反対するプランくらいでやっと先手をとれる。」とパナソニックの松下幸之助さんの金言どおり、このあと大ヒットすることになります。宣伝部や国内営業部隊のスタッフらによる広告・宣伝活動により、当時の若者たちの間に評判が広がり、8月に初回生産の3万台を完売すると、需要に供給が追い付かない状態が年内いっぱい続いたそうです。ソニー内部での金言に「市場は調査するものではなく、創造するもの」というのがあるそうですが、市場調査で売れるものがわかるならみんな儲かりますよね。

 私は、大学生になってから初めてウォークマンを購入し、現在まで7台購入しています。スマホで音楽を聴くようになってからは使っていませんが、大学時代は、外出時はいつも持ち歩いていました。(主に聴いていたのは、ヘヴィメタルとハードロックでした。違いがわからない人は調べてください) カセットウォークマンに続き、CDウォークマン、MDウォークマン、メモリースティックウォークマンなどが発売されていますが、私はCDウォークマン以外、全て購入しています。その後、i-Podなど他のメーカーからも同様のものが発売されていますが、「ウォークマン」は携帯音楽再生機の代名詞です。場所を選ばず、いつでもどこでも音楽を聴くことのできる製品は画期的で、世界的な大ヒットとなりました。「何でも多機能にすればいい」の反対路線でヒットしたのです。音楽再生機器の進歩とイヤホンやヘッドホンの進化は、歩を同じくしていますが、未来はどんなものが開発されるのでしょうか。普通の眼鏡型で、「動画も音楽もOK!」というものが発売されるのも近いかもしれません。音楽がない生活というのは考えられませんが、どんな奇想天外な商品が開発されるのか楽しみです。その商品開発に皆さんの中の誰かが関わるかもしれません。そうしたら周年記念講演会に来て、話をしてくださいね。

※「ウォークマン」は英語としては通用しない和製英語だったので、当初は国ごとに名前がバラバラでした。しかし、日本での「ウォークマン」の人気が世界に広まり、いつしか「ウォークマン」のネーミングは海外でも広く認知されるようになっていきました。そこで盛田会長が決断し、全世界で名称は「ウォークマン」に統一されることになるのです。そして1986年には、世界で最も権威のある英語辞典Oxford English DictionaryにもWalkmanは掲載され、正しい英語として認定されるまでになったのでした。