日誌

「音楽」が「音学」でない理由

 昨日は、太田高校の吹奏楽委員会の第9回定期演奏会に出かけました。本校の吹奏楽部の定期演奏会に賛助出演していただいたことと、今回、本校の吹奏楽部も賛助出演している関係で聴きに行かせてもらいました。本校の定期演奏会で感じたように、やはりライブはいいと改めて実感しました。本校の生徒が合唱に参加しましたが、男性の歌声に女性が加わると世界が広がって気持ちがいいです。歌手の由紀さおりさんは、「合唱は、自分1人で歌っている時とは違い、数百倍もの音に包まれるわけですから、本当に気持ちいいですよ。皆で一緒に歌うというのは、『人を感じること』だと思うんです。」と話されていますが、聴いているほうも同じ気持ちです。
 美術における作品と違って、音楽は演奏された瞬間から消えていく儚さがあります。もちろん、昔と違って現在は録音技術の発達で再現度は高くなっていますが、ライブで聴いた音楽を完璧に再現することは不可能です。そこには、演奏家と聴衆の一体となった空気があるからです。
 私は、音楽の才能はなかったものの、ジャンルを問わず聴くのは好きだし歌うことも好きです。高校生の時、ギターも独学しましたが、楽譜が読めないため苦労しました。だから、楽譜を見て、音楽が頭の中に響く人がうらやましいです。私の高校時代は、美術と音楽は必修でした。私は芸術だけでなく、高校までは幅広く色々な分野のことを勉強したほうがよいと考えています。
 世界大学ランキングで10年連続ナンバーワンになったマサチューセッツ工科大学は、日本で言えば理系の大学ですが、創造的な問題解決法を生み出すために人文科学や芸術、特に音楽を重視しています。同2位、3位のスタンフォード大学やハーバード大学なども似た努力をしています。理系と文系とを分けて専門分野だけを学んでいても、この世界を知ることはできないのです。
 古代ギリシャの哲学者プラトンの言葉に、「音楽は、世界に魂を与え、精神に翼をあたえる。そして想像力に高揚を授け、あらゆるものに生命を授ける。」というものがあります。「mathematics」の語源は、ギリシャ語で「まなぶべきもの」を意味する「マテーマタ」であり、古代ギリシャにおけるマテーマタは、算術(静なる数)、音楽(動なる数)、幾何学(静なる量)、天文学(動なる量)の4つの科目から成っていました。これらは、プラトンがアカデミアにおけるカリキュラムを定める際に哲学的問答を学ぶための準備として、16~17歳までに特に訓練する必要があると考えたものだそうです。
予定より随分長くなってしまいましたが、最後に二つ言葉を紹介します。
〇人間にはもう一種類の食べ物がある。それは魂(精神)の食べ物である。魂の食べ物は、芸術(音楽・美術。書道) のことである。若いうちに一流の人や本物に触れさせることが後の人間形成に大きな影響を与える。
〇漫画から漫画の勉強をするのはやめなさい。一流の映画をみろ、一流の音楽を聞け、一流の芝居を見ろ、一流の本を読め。そして、それから自分の世界を作れ。~手塚治虫

えっ?タイトルの答えは?自分で考えてから、調べてみましょう。