日誌

夢はバラ色?それとも・・・

 「日本教育」という小冊子の連載コラムに「教師に読んでほしいマンガ」というものがあります。そこで紹介されていた「夢なし先生の進路指導」というマンガについて書きたいと思います。私は、紹介文を読んですぐに注文して読みました。それは、キャリア教育についてのマンガだったからです。本校の校務分掌では平成19年度に「進路指導部」から「キャリア教育部」という名前に変更されています。それから、本校は総合的な学習の時間とキャリア教育に関連する学校行事の企画・運営を中心に行ってきました。そして、それらの経験を生かして、平成25年度から平成27年度の3年間は文部科学省から研究指定され、各教科・科目等においてもキャリア教育の実践を意識した研究を実施してきたという経緯があります。

 「子どもには無限の可能性がある」という言葉を聞いたことがあると思います。美しい言葉でもありますが、小中学校と違って、高校では就職・進学といった現実的な出口指導をすることになります。「夢(希望)・適性・能力」が進路選択に必要になってきます。このマンガの主人公である、元キャリアコンサルタントの数学教師は、生徒の進路相談に対してネガティブな忠告をするために「夢なし」と呼ばれていました。教師は、生徒の夢が叶うようにどうしたらよいかを助言し背中を押す役目をもっています。しかし、その一方で現実について語り、生徒によくよく考えてもらうことがないと、無責任ということにもなってしまいます。この「夢なし」先生は、生徒の卒業後まで追跡し、声掛けします。「何かを諦めるのも悪くない」と夢の呪縛に苦しむ生徒に投げかけます。「諦める」は普通良い意味には使われませんが、その語源に「明らかにしてよく見極める」という肯定的な意味があるのです。自分の人生の道を一つに限定してしまうのではなく、よく考えて新しい道を探せるように動いてほしいというメッセージが受け止められました。将来の夢が明確にある人は、目標に向かって精一杯努力してほしいですが、実際に経験しないと気付けないことも多いので、「物事を明らかにして見極められる力」を身に付けてください。そして、新たな道を見つける勇気も大切です。