日誌
考えるのは今でしょ!
昨日から三者面談が始まりましたが、夏季休業へ向けて有意義な面談ができているでしょうか。先生に丸投げで、主体的に自分がしたいことやなりたいものについて相談できないようだと時間内には終わらないかと思います。自分はどのように今後生きていきたいのか、様々な選択肢があり、考えれば考えるほど悩みは尽きないと思います。ただ、ここでしっかり考えないと、将来「七五三現象」の体現者になってしまいますよ。
「七五三現象」とは、1990年代から2000年代にかけて話題になった、早期離職率と学歴に関わる言葉です。就職して3年以内に、中卒新入社員の7割、高卒新入社員の5割、大卒新入社員の3割が離職する現象を指します。2020年度の離職率は、中卒55%、高卒36.9%、大卒31.2%で七五三現象が問題視されていた1994年頃に比べて、中卒や高卒の離職率は大きく改善されてはいますが、大卒の3年以内の離職率はあまり変わっていません。バブル経済のころは超売り手市場でしたので、転職は難しくありませんでしたが、現在はそうではありません。転職するには、ある程度の技能と経験が必要です。「石の上にも三年」と忍耐を説くことわざがありますが、日本ではすぐに仕事や会社を辞めると忍耐力がないといって信用されない傾向があります。アメリカでは、「終身雇用」が特徴だった日本と違い、キャリアを積んで転職するのが普通のようですが、日本では非正規雇用のためキャリアも積めない若者が増えています。それが若者の未婚率の増加と少子化に拍車をかけている原因の一つとなっています。「ブラック企業」という言葉を知らない人はいないと思いますが、心や体を壊してまで企業にしがみつくことはやめましょう。ただ、自分では判断ができなくなっている場合もありますので、身近に相談できる人がほしいですね。転職についての次の話を読んでみてください。
「1年ごとに転職を繰り返せば、いずれ雇ってもらえなくなるかもしれないけれど、それも仕方がない。だって自分に合った場所を探すというのは、そういうことだから。」という意見があった。しかし、そもそも、自分に合った場所で働くというその感覚がちょっと図々しい。自分自身も、職場も、日々変化していく。職場とはただの場所ではなく、一人一人が集まってできた人間の集合体です。人の出入りがあれば、当然その場所自体も変化する。自分自身の気持ちの動きも含め、永遠に自分にあった場所で働くというのは不可能。本気で向き合い、ぶつかれば、自分自身も、その対象も変わる。自分に合わない場所で、それでも必死にもがきながら、初めて相手から求められる存在になれた時の喜びは何ものにも代えがたかった。
厚生労働省『平成30年若年者雇用実態調査』によると、「初めて勤務した会社をやめた主な理由」として最も多く上がったのが、大卒では「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」で33.2%。「人間関係がよくなかった」21.3%、「賃金の条件がよくなかった」20.9%、「仕事が自分に合わない」19.2%と続きます。また勤務3ヵ月未満に限ると「人間関係がよくなかった」が最も多く38.7%、僅差で「仕事が自分に合わない」で38.6%でした。皆さんは、上記の話とデータを読んで、どう思いましたか。自分に合わないと思ったら、さっさと辞めたほうがよいのでしょうか。どの程度合わなければ辞めるのが得策なのでしょうか。
以前に「非認知能力」について書いたことがありますが、「自信をもって意欲的に取り組む」「他人の気持ちを汲み、人の境遇や気持ちに共感できる」「異なる価値観を柔軟に受け止められる」「忍耐強く取り組める」「人と協働して取り組める」……そんな生きていく上で必要な社会的スキルのことをいいます。それ以外にも時間を管理する能力や、失敗から立ち上がる精神的強さ、芸術作品や自然を見て感動する心など、主に感情面や情緒面での感性や能力も非認知能力です。一方「認知能力」とは一般的には知能検査で測定できる能力のことを言い、簡単に言えばテストで客観的に点数化できる能力です。どちらも重要ですが、社会に出た時に重要視されるのは「非認知能力」が優勢のようです。社会人基礎力や汎用的能力など、これと重複するものもありますが、今後は意識して「非認知能力」を高める取組を、学校での学習活動全体を通して行っていくことが求められると思います。皆さんも意識して、活動してください。将来「七五三現象」を自ら体現しないように。