日誌

永字八法

 今日、11月2日は、「いい(11)もじ(02)」(いい文字)と読む語呂合わせから書道の日・習字の日だそうです。多くの人に文字を書くことに親しみを持ってもらい、手書きで文字を書くことの大切さを伝えていきたいとの願いを込めて制定されたそうです。

 小学校の先生は、鉛筆の持ち方から硬筆・習字と教える中で、苦労されていると思います。高校生を見ても、正しく筆記用具を持てていない生徒を授業参観でたくさん見かけます。上手な字を書く、早く字を書くためには正しく持たなければ無理です。小学校の頃に習字の塾に行っていた経験がある人も少なくないのではと思います。書道というと大げさな感じがして、「書くことで文字の美しさを表そうとする東洋の造形芸術である」なんて聞くと、更にハードルが上がりますね。2009年に中国の書道が、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。文字は始め実用として生まれましたが、文化の進展につれ絵画と同じように芸術的な価値が見出されるようになりました。

 私は以前に漫画の話で、今は本当に様々なジャンルの漫画があり、「こんなものまでというものもありますよ」と紹介しました。書道の漫画はもちろん、フォントをテーマにした漫画まであります。高校の書道部を描いた『とめはねっ!』は、大変おもしろく勉強にもなりますので、書道に興味がない人にもぜひ読んでみてもらいたい漫画です。

 スマホの普及や学校現場での1人1台端末が進んで、更に文字を手書きする時間が減っています。文字を書くことが減ると、どんなデメリットがあるのでしょうか。文字を書くことの効用は「脳の活性化、集中力の養成、ストレス解消」です。何度も紙に書くことで記憶に残りやすくなり、覚えることが必要な暗記の際には効率的といえます。 (タイプによって異なりますが) 指先を動かすことで、効果的に脳を刺激します。指先を動かすためには、かなり繊細に脳から司令を出す必要があり、脳の神経細胞であるニューロンの連結が促進される、という仕組みになっているのです。それと、これはワープロでも同じですが、”文字を書く”ということは、情報を整理しさらに再構築することが必要なため、より脳を刺激することになります。また、目の前にある物理的な「紙」と「ペン」に向き合うことで集中力を養うことができます。書くという作業に集中することより、ストレスから離れるとともに、自分の気持ちや思いを紙に書き出すことでモヤモヤを吐き出すことができ、気持ちを落ち着かせることができます。

 私は、小学校の時に硬筆も習字もたくさん練習しました(させられた)ので、「書」についての関心は人並み以上にあります。書くことも得意なので、それは仕事以外のことでも役立っています。私が社会人になったころ、ワープロやパソコンが仕事で本格的に使われるようになりました。最初は手書きだった授業プリントもワープロで作るようになり、ICT機器の活用が進んだ現在では、プロジェクタで黒板に投影することも多くなり、手書きで板書することが昔よりかなり減っているのではないでしょうか。皆さんは、まだノートは手書きでしょうが、将来キーボ―ドで打ち込む日がくるかもしれません。ただ、文字を書く感覚というのは上記で述べたとおり大事だと思いますので、今はなるべく意識して書くことを多くしてください。未来は、音声入力はもちろん頭で考えたことが文章入力できるようになり、書くことが激減するかもしれないのですから。

※タイトルの「永字八法」の意味は、わからなかったら調べてください。そのほうが頭に残ります。