日誌

自撮り棒の未来

 皆さんが、スマホで写真を撮るときに使う「自撮り棒」が世に出てから今年で40年になるそうです。これには、私も驚きました。私が20歳の時に自撮り棒があったとは、思いもしませんでした。もっとも、出た当時は、小型カメラ(しかもデジタルでなく、フィルム式)を付けるタイプだったので、広まりませんでしたから、ほとんどの人にとっては、スマホが普及してからできたというイメージが強いと思います。

 昔は、カメラは一家に1台であり、高価なものでした。個人で1台持つようになったのは、使い捨てカメラ(というより、リユースカメラ?)の「写ルンです」が出てからで、さらに小型デジタルカメラが普及してからです。カメラと言えば、自撮りするものではなく、例えば観光地などで近くの人に頼んで撮ってもらうのが普通でした。そのため近くに人がいないと、家族や友人と一緒に写ることができず、不便でした。また、昔のフィルム式カメラは、現像されて写真ができあがってこないとよく撮れているかどうかわからないので、できあがった写真を見てガッカリすることも珍しくありませんでした。今は、その場で確認できるのでいいですね。もっとも、予想以上にきれいに撮れていて感動することもなくなってしまいましたが。

 自撮り棒で写真を撮るという行為は、当の日本人が広めたというより、中国人観光客によって広められた節もあるようです。一人で自分を撮るのは恥ずかしいと思う人が日本人には多かったということでしょうか。

 携帯電話にカメラがついて、SNSを誰もが使うようになって、いつでもどこでも写真を撮る文化が生まれました。「インスタ映え」という言葉も生まれました。また、現像代を気にせず何枚でも写真を撮れるようになったので、整理できずに大量の写真に埋もれるようになりました。写真一枚を撮る重み、写真そのものの重みが、昔より格段に軽くなったような気がするのは、私が歳を取ったせいでしょうね。たくさん写真を撮って、ベストの一枚を選び出す。現代では、それが当たり前だし、それでいいのかもしれません。最近は、スマホのカメラの進化で、自撮り棒を見かけることが少なくなりました。そのうち、スマホに超小型ドローンカメラがついてスマホで操縦して自撮りできるようになるかもしれませんね。

 今日は、自撮り棒からカメラと写真の話になりましたが、デジタル写真になって容易に編集・加工ができるようになったので、写真に騙されることも格段に多くなりました。卒業アルバムなどで編集できると都合がいい場合もありますが、撮影者、撮影日時、撮影場所が明確でない写真を安易に信じることがないように注意しましょう。もちろん、安易にSNSに写真をアップすることもしないように。一旦拡散したら回収できませんよ。