日誌

豊かさと安全

 1986年の今日、旧ソ連のウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所で、大爆発事故が発生しました。放射性物質の拡散により、周辺30kmの住民が避難を余儀なくされました。数十年間に及ぶ地球規模の汚染が心配され、事故後、欧州では放射能パニックが起こりました。国際原子力事象評価尺度によれば、レベル7で、福島の事故と同レベルです。当時は、小麦をはじめとする多くの食物が放射能に汚染されたとニュースになり、ミュージシャンは原発反対の曲を作り、漫画家は原発を風刺するマンガを発表しました。「危険な話 チェルノブイリと日本の運命(広瀬隆著)」はベストセラーとなりました。マンガの宇宙戦艦ヤマトは、ガミラスの遊星爆弾による放射能に汚染された地球を救うために、放射能除去装置(コスモクリーナー)を受け取りにイスカンダルへ旅立ちましたが、テレビ放映は1974年です。放射能を無害化する装置が発明されれば、間違いなくノーベル賞ものでしょうが、まだ発明されそうもありません。今年3月になって、核融合科学研究所(岐阜県土岐市)が米核融合スタートアップのTAEテクノロジーズ(カリフォルニア州)と共同で、水素とホウ素という新たな燃料の組み合わせによる核融合実験に成功したというニュースがありました。今回の方法は放射線である中性子が発生しない点で優れているということですが、安全なエネルギーが開発されることに期待したいと思います。原発や原爆では、核分裂エネルギーが使われますが、水素爆弾では核分裂反応を引き金に核融合反応を起こさせて、原爆よりも桁違いの爆発を起こします。安全な核融合エネルギーが実用化されれば、すごいことです。水・食糧・エネルギー問題は、人類の歴史上変わることなく続いていますが、戦争なく豊かさを世界の人々が享受できるために、科学者の方々には頑張ってもらいたいです。