日誌

黒板と板書に関する考察

 今日5月9日は、黒板の日だそうです。全国黒板工業連盟が、創立50周年を記念して2000年に制定し、翌年から実施しているそうです。語呂合わせと、アメリカから黒板が初めて輸入されたのが1872年5月頃だということから5月9日となったそうです。黒板の名前は、もちろん英語の「blackboard」に由来しますが、緑色なのになぜ?と思いますよね。当時の国産品の黒板は、木の板に墨汁を塗った上に柿渋を上塗りしたものや、漆を塗ったものが作られていて、文字通り黒板だったようです。その後、チョークの白い文字を見るのは、緑色のほうが目が疲れないなどの理由から、1954年に日本工業規格(JIS規格)の規定により、黒板の色は黒色から緑色に変更されたそうです。現在は、ホワイトボードが全教室に整備されている学校もあります。チョークとホワイトボード用のペンのどちらがいいかは、個人の好みによるでしょうが、チョークは粉で指が荒れるのが難点でした。そのためコーティングしてあるチョークもあります。指を汚したくない人のためにチョークホルダーなるものも販売されていますが、これも個人の好みによって評価が分かれます。書き味が、チョークで黒板に書く場合と、ホワイトボードに書く場合では随分と異なります。チョークのほうが手の力がいるので、たくさん書くと疲れます。指の力は鍛えられますけどね(笑)
 戦後、焼け野原で学校が再開したときは、青空教室と呼ばれましたが、もちろん黒板はありませんでした。昔、研修で先生方に黒板がなかったらどんな授業をしますかと問いかけたことがあります。皆さんは、黒板を使わない授業は想像できますか?もちろんパソコンもプロジェクタもありませんよ。プロジェクタで色々なものが映せるようになったことで、板書の役割も変わってきました。1時間の授業が終わった時、板書を見れば授業での思考の流れと重要事項がわかるようになっているかが大事です。あらかじめノートに書いてあることを板書するなら、ノートに貼れるようにプリントしたものを配付したほうがよいのではないかとは思いませんか。板書する時間と生徒が写す時間が節約できて、生徒の「思考・判断・表現力」を高める学習活動の時間がとれるのではないでしょうか。ICTを活用する一人1台パソコンの時代では、板書の意義は、授業のねらいを理解してもらい、見通しをもたせ、問いに対して授業の中で出てきた意見の整理とさらなる深化の視覚化と共有を図ることではないかと思います。これらをパソコンの画面で各自が見るのと、黒板を全員が前を向いて見るのとでは違います。パソコンの画面を見ていると生徒の表情が見られませんからね。生徒の表情を授業中に確認することは大事です。それでは限られた学習時間を、どんな学習活動に費やすのが「知識・技能」「思考・判断・表現力」を高めるのに有効なのか、皆さんも自分の学習を見直してみてください。

※下の黒板アートは、数年前に妻が勤めていた小学校の卒業式前日に、担任した6年生のクラスの黒板に娘二人と協働して描いたものです。