日誌

どうする、学校?

 文科省は2月7日、いじめ問題への対策として学校と警察の連携を強化するよう全国の教育委員会へ通知しました。いじめ問題は、法整備等がなされ、以前よりもいじめ認定や解決へ向けて前進しているはずなのに、劇的に減ったという話は聞きません。学校は、以前から少年非行防止のために警察と連携はしていますが、教育者としての矜持から警察沙汰にすることは避ける傾向にありました。ただ、それによっていじめの加害者は登校しているのに、被害者は登校できず、場合によっては転校を余儀なくされるという、被害者と家族にとっては納得できないこともありました。今回の通知は、被害者の生命・心身・財産に重大な被害の恐れがある場合など、直ちに警察に相談・通報し、援助を求めなければならないことを強調しています。具体的な加害行為を挙げて、「暴行」「傷害」「恐喝」「窃盗」「器物損壊」「名誉棄損、侮辱」など刑法などが定めるどのような犯罪にあてはまるかも明記しています。「万引き」は「どろぼう」であり、表現で軽く考えてしまうことを助長しているのではないかと思いますが、それと同様に「暴行」「傷害」「恐喝」に当たる行為は、「いじめ」と呼ぶことはやめた方がいいと個人的に思います。教員の「体罰」も「暴行」「傷害」です。また、いじめ対応で学校が警察への通報をためらうことがあるが、「学校として適切な対応を行っているとして評価されるものである」と通報することの意義を強調しています。保護者にもあらかじめ犯罪にあたる場合には警察に通報することもあることを周知し、いじめ防止への協力を求めるとしています。そうは言っても、教育に熱心な教師ほど、まだまだ警察への通報はためらわれるでしょう。ただ、旭川女子中学生いじめ凍死事件のような事件が今後起きないように、いじめ被害者の人権と安全を第一に考えて、今後はいじめ事案には警察と協力する勇気も必要と考えます。

 いじめは、その行為が人の心に与える影響に対する想像力と共感力の欠如から、起こるのだと思います。ただ、小学校では、「さよなら」と言ったのに無視されたと、聞こえなかっただけなのにいじめとされたり、運動会で「明日頑張ろうね」と言ったら、「運動が苦手な僕へのいじめだ」となってしまったり、明らかにコミュニケーション不全と思われる事例も学校現場ではたくさんあると思います。社会に出るとコミュニケーション能力などの非認知スキルが重要だということが近年強調されていますが、いじめ問題の解決にも非認知スキルを育成することが重要だと考えます。もちろん現在もやっているはずですが、就学前から発達段階に応じて計画的に身に付けられるように学校の教育活動全体に位置づけて重視するべきことだと思います。読み書きや計算などの知識・技能などの学力、運動能力など、試験やテストで計測しやすい認知的スキルも大切ですが、テストなどで数値化することが難しい非認知スキル、具体的には「やりぬく力」「意欲」「発想力」「コミュニケーション能力」といった力が社会に出ると仕事をする上で大事になってきます。皆さんも、ぜひ非認知スキルの向上を意識して高校生活を送ってください。なお、写真は本文と全く関係ありませんが、今朝の朝日に耀う校舎です。