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2023年9月の記事一覧

タンキュー!!

 今夜は、十五夜ですね。スマホばかり見ていないで、たまにはきれいな月を眺めてのんびりまったりするのもいいものです。夜は雲が多くなりそうなので、早めに見た方がいいかもしれません。     

 今日は、1年次生に対して、進路ガイダンスとして近県の大学から 12 名の先生をお招きし、生徒に大学の授業を体験してもらいました。テーマは多岐にわたり、どれも興味深く面白そうなものでした。すべての講義を参観して回りましたが、生徒たちの受講態度は立派でした。みんな真剣に講義に耳を傾けていました。何を考え、何を思いながら、皆さんは講義を聴いたでしょうか。

 2005年に「女王の教室」という小学校の女教師が主人公のテレビドラマが高視聴率をあげました。従来の学園教師ドラマとは違い、その異色さで色々と物議をかもしました。その中の女教師のセリフを一部紹介します。

「これからあなた達は、知らないものや、理解できないものに沢山出会います。美しいなとか、楽しいなとか、不思議だなと思うものにも沢山出会います。そのとき、もっともっとそのことを知りたい、勉強したいと自然に思うから人間なんです。好奇心や探究心のない人間は人間じゃありません。」「いい加減目覚めなさい。まだそんなこともわからないの? 勉強は…しなきゃいけないものではありません。”したい”と思うものです。」「勉強は受験のためにするのではありません。立派な大人になるためにするんです。」

 こんな実験もありました。6歳から15歳までの総勢600名の生徒に対して、「行儀の悪い生徒には、教室の外に出て遊ぶという罰を与える。行儀のよい生徒には、教室で勉強を続けられるという褒美を与える。」生徒の全員が1、2日以内に「自分は遊びよりも勉強のほうを好んでいること」に気付くことになった。

 ここで、「立派な大人」の定義は何かという問いを立てられたあなたは素晴らしい。そして、「立派な大人になるためにはどうしたらよいか」という問いが続きます。大学で勉強するということは、知識を与えられるのではなくて、自ら好奇心や探究心をもって問い続け、知識や技能を獲得していくということです。もちろん、その過程で「思考力・判断力・表現力」が鍛えられます。進学だけでなく、社会に出れば、なおさら好奇心や探究心がなければ、仕事はつまらないものになるでしょう。学校で勉強する時間よりも社会で働く(勉強する)時間のほうが、ずっと長いのですから、人生を面白くするためには好奇心と探究心が大事です。ぜひ、自分の好きなものを見つけ、仕事としていくために好奇心と探究心を持ち続けてください。

声の価値と信頼性

 ボーカロイドの「初音ミク」が誕生したのは2007年で、その後ボカロブームが起きましたが、昔SF小説で書かれていたとおりのことが現在、進行しています。先日、生成AIを使い、声優らの偽音声を作り出して無断利用した動画がSNSに投稿される事態が相次いでいるというニュースがありました(読売新聞)。AIに作成させた声で勝手に曲を歌わせたり、文章を朗読させたりするなどの行為により声優や歌手等の権利が侵害され、悪用されることを防止するためのAIの利用規制が叫ばれています。昔、ボイスチェンジャーというおもちゃがあって、マイクでしゃべると低音から高音に声を段階的に変換してくれるというものでした。テレビのニュースで一般人の音声を変えているものがありましたが、あんな感じです。自然な声ではありません。今では、自分の音声を他人のものに即時で変換できる「AIボイスチェンジャー」という技術も登場しています。海外のある企業は、「なりたい声になれる」とうたい、自分の声を、任天堂の人気キャラクターであるマリオやハリウッド俳優らの音声に変換できるとしたサービスをウェブ上で提供しているそうです。この企業は取材に対し、「犯罪や営利目的では使わないよう求めている」と回答していますが、当事者らの許可を取っているかについては、不明です。AIによって音声が手軽に生成できるようになったことで、悪用も懸念されています。海外では今年、英国の女優の偽音声でヒトラーの著書「わが闘争」を朗読する音声がネット上で流れ、波紋が広がりました。

 著作権法30条の4は、著作権者の許諾なくAIに著作物を学習させることを認めており、セリフを含めアニメや映画のシーンを学習することも違法ではないそうですが、著作権法に詳しい弁護士は、「著作権法の成り立ちからして、日本ではAI開発側が優遇されており、悪用されるリスクへの備えが不十分だ。例えば、AIで作られた音声が裁判で提出されれば、証拠の真正を常に疑う必要が生じ混乱するだろう。犯罪などへの悪用の可能性も念頭に、AIによる学習やAIの生成物の利用について、国は一定の規制やルール作りを急ぐべきだ」と警鐘を鳴らしています。

 知人や家族らにそっくりの電話音声で金銭を求められる事件も起こっており、そのうちの 77 %は「実際に被害に遭った」と回答しています。SNSに投稿した動画などの音声が無断で学習され、詐欺に悪用されている可能性があるそうです。日本では、回答者の3%が「遭遇した」とし、5%は「知人が遭遇した」と回答しました。

 私が昔に読んだ星新一のSFショートショートの中に、ものぐさな男が家で寝そべりながらできる仕事は何か考えて、孤独な老人の電話相手となり、そこで得た情報を生かそうと声帯模写を習い、その特技を生かして本人になりすまして様々な人に電話をかけ、色々な情報を引き出し、最後には世界を動かしてしまうという内容のものがありました。今回のAIの偽音声は、声帯模写の才能がなくても作れてしまうもので、もし規制されなければ、その影響力は計り知れないかもしれません。本人の声だと思っても疑ってかからないといけないわけですから。写真も動画も音声も信用できなくなる時代がきたら、皆さんはどうしますか。もう、そこに入ってしまっている気がしますが。

球技大会無事終了!ありがとうございました!

 2日間の球技大会が無事終了しました。二日目の今日は、予報で少し天候が心配されましたが、雨は降らずにかえって少し暑いくらいの良いコンディションで実施できました。怪我人はゼロというわけにはいきませんでしたが、昨年より人数は少なかったようで、よかったです。生徒会の皆さんを始めとして、企画運営を手伝ってくれた生徒の皆さん、御指導いただいた先生方、ありがとうございました。また、北京亭様とジュエル・クレープ様には、球技大会特別メニューの企画に快く賛同していただき、ありがとうございました。注文した皆さん、美味しかったですか?今回は、再びコロナが流行り始めているということで、応援を制限しなくてはならず残念でしたが、生徒の皆さんの生き生きとした姿が見られてうれしく思いました。先日のオープンスクールで来校してくれた中学3年生の皆さんにも見てもらいたかったですね。この2日間でクラスの親睦は深まったでしょうか。「学校行事での感動が大きいほど、受験への切り替えもうまくいく」ということを何度か書いたり言ったりしましたが、3年次生の皆さん、これから追い込みですね。頑張ってください。

球技大会初日、お疲れ様!

 今年も2日間に渡る校内球技大会がいよいよ始まりました。計画・準備に尽力してくれた生徒会の皆さん、ありがとうございました。皆さんの日頃の心掛けがよい御蔭で曇りで30℃以下の良いコンディションとなりました。色とりどりのクラスTシャツを着て、校庭と体育館でプレーし、応援する生徒の皆さんの姿は、輝いていました。体育館から思わずビクッとするくらいの大歓声が校長室までよく聞こえて来て、盛り上がっているなとうれしくなりました。(コロナ大丈夫かなという一抹の不安もありましたが)

 本日は、国語の教科書によく載っていた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)さんが亡くなった日で八雲忌と呼ばれています。著書として有名なのが、日本の怪談話を英語でまとめた短編小説集『怪談(かいだん)』(原題:Kwaidan、1904年)です。小学生の時、私は子ども用に書かれた『怪談』を買ってもらい何回も読みました。『耳無芳一』や『雪女』は、有名ですので知っている人も多いかと思います。毎年夏になると、『ほんとにあった怖い話』(通称:ほん怖)などテレビで恐い番組が放送されますが、日本の歴史上有名な怪談である『四谷怪談』『番町皿屋敷』『牡丹灯籠』『累ヶ淵』などは日本の文化として知っておいてほしいですね。日本史の授業や国語の文学史などで出てくる『今昔物語集』や『雨月物語』にも多数の怪談が収録されていますので、興味をもった人は読んでみてください。水木しげるの漫画としても出版されています。

胸に刺さる言葉その2

 先日の秋分の日に、義父母のお墓参りに行ってきました。昨年の5月3日のブログで、菩提寺には大小二つの掲示板があって、様々な言葉が月替わり?で掲示してあることを書き、二つ紹介しました。今回は、「やれる可能性のあるやつが 努力しないのを見ていると 胸ぐらをつかんで “俺と代われ”と言いたくなる 白血病の青年」という言葉が掲示してありました。この言葉は、口には出さなくても、自分ではどうにもならない不幸な境遇にある世界中の人の心の中にあるかもしれません。近年、嫌な言葉ですが「親ガチャ」を筆頭に「〇〇ガチャ」という言葉が、色々と生まれました。私は、大学生の頃、都会に住む同級生に住所の地名を笑われたことがあり、田舎を笑う同級生に「たまたま都会に生まれただけで偉いのか?」と言い返したことがあります。この場合、「出身地ガチャ」ですね。冒頭の白血病の青年の言葉には、運命を呪っても、何も好転しないのはわかっているので、口には出さないものの(なぜ、私が・・・)と思っている人の、「可能性のある人には自分の可能性を無駄にしないでほしい」という思いがこもっていると思います。私が今まで見た中で異質の強い言葉でした。明日から2日間、全校で親睦を深める楽しい行事である球技大会が開催されますが、球技大会に参加できるということに感謝して、プレーも応援も頑張りましょう。