日誌

2022年6月の記事一覧

ここは今から倫理です。

 昨日、公民部会で「トロッコ問題」が話題に出ました。トロッコ問題とは、人の命の数や重みをどう判断するか、という倫理的なジレンマを扱う思考実験です。具体的には、暴走したトロッコの先に5人いて、ポイントを切り替えるとポイント先の1人が犠牲になり、5人は助かります。あなたならどうしますか?という問題です。選択する人と人数には、様々なパターンがあり、命の質と量に対する考えが問われます。この解答に全員を助ける方法が出てきて、ツィッターで話題となりユーチューブでも動画が公開されています。これは本来の問題の趣旨からそれるという批判もありますが、二者択一でなく第三の解決方法を考えられるなら、そのほうがよいのではと思います。社会に出れば、学校のテストのような正解はなく、その時得られる最良の納得解を探さなければなりません。「倫理」という科目は昔は必修でしたが、今は選択で、しかも履修できる学校は限られています。「倫理」は高校生に学習してほしい科目です。キャリア教育が進路指導とは違うものとして導入されたのは、「生き方、在り方」について考えることがまず大事だからです。「私は何者なのか」「この世界は何なのか」などの答えの出ない問いについて考えることは、決して無駄なことではありません。尾崎豊は「自分の存在が何なのかさえ解らず震えている15の夜」と歌いましたが、多感な中高生の頃は、一度は考えることではないでしょうか。多くの先人の様々な考えに触れ、悩み、深く考えを巡らせることは、心の栄養となります。
『ここは今から倫理です。』というマンガも出ています。倫理に興味をもったら読んでみてください。

氷は水より出でて水よりも寒し

 昨日は、梅雨明けの発表があり、思わず「え~っ!」と声をあげてしまいました。7月に「戻り梅雨」もあるかもしれませんが、過去最短の梅雨期間でした。これから猛暑が続くことが予想されますが、みなさんも体調管理をしっかりしましょう。
 日本は、「湯水のごとく使う」という表現があるとおり、水資源が豊かで諸外国に比べて大変恵まれていると言えます。四季がはっきりしていて感性豊かで表現の多彩な日本ならではの特徴として、雨の呼び方は、400種類以上もあると言われています。普段よく耳にするものだけでも、春雨、菜種梅雨、五月雨、秋雨、時雨、氷雨などがあります。時期ではなく雨の降り方によっても呼び名がたくさんありますね。驟雨(にわか雨)、雷雨、霧雨、白雨(夕立)、土砂降り、天気雨、通り雨、大雨、小雨、豪雨、御湿りなどは、よく使われるものではないでしょうか。個人的には、天泣(雲がないのに降る雨)が好きです。そんな風情のある雨も、降り方によって洪水などの災害を起こし、作物の生育に大きな影響を与えます。今年は雨不足で作物に与える影響が心配されますね。
 さて、日本では豊かな水ですが、地球上に存在する水のうち、97.5%は「海水」であり、人間が利用できる「淡水」は地球上の水の総量のたった2.5%ほどで、簡単に利用できない南極や北極地域の氷雪や深い地下水を除くと、人間が実際に取水して利用できる淡水は、地球全体の水の0.02%程度しかありません。そうした水も汚染されていることがあるため、実際に使える水の量は、地球全体の0.01%だそうです。これは、もし地球のすべての水の量がふろおけ1杯分(200リットル)だとすると、20mlしかないということになります。ちょっと多めの目薬くらいです。
 日本が水を大量に輸入していると言ったら、みなさんは驚きますか。仮想水(バーチャルウォーター)という考え方では、食料などを輸入する際に、その生産に必要な水も輸入したことになると考えます。日本の主要穀物(大麦、小麦、大豆、トウモロコシ、コメ)と畜産物(牛肉、豚肉、鶏肉)についての仮想水総輸入量は年間約60兆リットル以上にのぼり、国内での灌漑に使う水の量を上回ります。日本人1人あたりで計算するとおよそ50万リットルで、仮想水輸入量は世界一と考えられるといいます。研究では、1キログラムを生産するのに必要な水は、小麦では2000リットル、コメでは3600リットル。一方、鶏肉では4500リットル、牛肉では2万700リットルにもなると推計されています。私たちが食べているものには、とんでもない量の水が必要なんだということがわかります。
 水資源というと、飲料水や炊事や洗濯に使う生活用水が思い浮かぶ人が多いと思いますが、実は世界の水資源取水量の約7割は農業用水として利用されており、工業用水は2割、生活用水は1割程度にしか過ぎません。昔、NHKスペシャルの水問題に関する番組で、上記のことをわかりやすく解説してくれていました。私が地理の授業で使用したので、20年以上前の話です。現在も水問題は人類の大きな課題ですが、解決に向けてどう進歩しているのでしょうか。
 日本は海水淡水化や排水・下水再利用など水インフラで優れた技術を持ち、世界の水不足問題の解決に大きく貢献できると期待されています。頑張ってもらいたいです。皆さん、今年の夏は、水不足が心配されます。水を大事にしましょう。※ちなみにタイトルの意味は「青は藍より出でて藍より青し」と同じです。

ウルトラキャリア

 先日、「シン・ウルトラマン」を観てきました。ウルトラマンに代表される特撮巨大ヒーロー物と仮面ライダーに代表される等身大ヒーロー物全盛期に子ども時代を過ごした者としては、どのようにリニューアルされているか興味がありました。邪道かもしれませんが、私は映画を観る前に口コミをチェックし、どのように感じている人がいるのか、評価しているのかを頭に入れます。そして、映画を観ながら、それらの意見や感想を照合して、自分の心の中で、同意したり反論したりします。映画は、自分が面白ければ、それでいいのですが、多様な考え方や感じ方を知ることで勉強になります。「対話的で深い学び」になっているかもしれません。(大袈裟)
 単純な勧善懲悪ものではなく、現在の世界情勢とも絡めて考えさせられるものになっていましたが、やはり本来の作品を知っているかどうかで楽しみ方も変わってしまう可能性は否定できませんでした。(知っているから面白いと感じるわけではありません。がっかりすることもあります) 私は、ウルトラマンに日本と契約して自衛隊所属になってもらって他国からの侵略から守ってもらうストーリーだとどうなるかなと思います。(同人誌で発表レベルですかね)
 ウルトラマンは「光のエネルギー」、仮面ライダーは「風力エネルギー」、アトムは「原子力エネルギー」のヒーローです。50~60年前に、日本は環境問題をテーマにしたヒーローを生み出していたんです。なんて先進的なのでしょう。世界に誇るべきです。
 子どもの頃には、大抵ヒーローごっこ遊びというのをやりますが、仮面ライダーの「ライダーキック」の真似をして高いところから飛び降りて怪我をする子どもが増え社会問題になりました。番組サイドは、どうしたと思いますか?異例なことにライダーが番組最後に注意喚起をしました。「ライダーキックは仮面ライダーだからできるんだ。よい子のみんなは危険だから真似してはいけないよ」と。
 子どもですから、「ウルトラマンになりたい」と思う子も多かったです。今もウルトラマンや仮面ライダーシリーズは続いていますから、少なからずいることでしょう。どこで読んだか忘れましたが、キャリア教育の精神に通じる一節を思い出しました。
「ウルトラマンになりたい」という子どもを笑ってはいけない。そんなことは無理だと考えるのではなく、どうしたらできるかということを考えよう。大切なのは、なぜそうなりたいと思ったのかである。(この子どもは警察官になった) ウルトラマンには、手から水を放出して火を消すシーンがありますが、消防士になった子もいるかもしれません。キャリア教育は、自らの生き方を考えられるようにする教育です。最終的にどんなことで人の役に立ちたいのかが、進路決定の大事な要素です。そのきっかけとなることは、みなさんの場合、何でしょうか。

スッキリ!

 掃除の話が2日続きましたが、今日は書き残した「整理整頓」の話をしようと思います。教室を見て回った時、生徒の皆さんのロッカーの中が整頓されているかどうかも見ました。皆さんの自宅の部屋は、「整理整頓」されていますか。「整理整頓」すると、どんないいことがあるのでしょう。
「整理」とは「いるものといらないものを分け、いらないものを捨てる」ことです。
「整頓」とは、「必要なものをいつでも誰でも取り出せるよう、秩序だてて配置すること」です。工場などで「整理整頓」という標語が掲示されているところもありますが、私の実家は鉄工場で、父は「どこに何があるかわかっているから、目をつぶっても必要なものは取って来られる」と言っていました。
 今から10年以上前に『断捨離』ブームがありました。「捨てるものと残すものは、心がときめくかどうかで決める」という言葉が印象に残っています。ただ、日本には世界でも称賛された「もったいない」思想がありますので、なかなか捨てられない人も多いようです。断捨離とは、下記のように不要な物を断ち切り、物への執着心をなくすことで、身軽で快適な生活や人生を手に入れようとする考え方のことです。断捨離はヨーガの思想だそうで、商標登録もされています。
断行(だんぎょう):入ってくる不要な物を断つ
捨行(しゃぎょう):家にずっとある不要な物を捨てる
離行(りぎょう):物への執着心をなくす
 皆さんは、何か購入する時、「本当にこれは使う(着る)だろうか」と心の中で自問していますか。私は、本当に欲しいと思えば買うし、迷ったら何日か待って、欲しい気持ちが残っていれば買います。それでも、何回か着ただけのシャツやネクタイがあります。今は、本当に服の質がよくなって安くなったため、気軽に買えてしまうので、タンスの肥やしも増える一方なのではないでしょうか。私は、1年着なかったものは捨てるようにしています。本は、メモしながら読んでいるので、手元に残しておきたいと思った本以外は、売るか学校の図書館に寄付しています。仕事でファイルしてある書類も私の感覚では7~8割捨てても大丈夫です。実際、捨ててきましたが、その時の判断基準は、今後必要となると予測される情報が記載されているかどうかです。
 「足るを知る(者は富む)」という言葉があります。古代中国の思想家、老子の言葉ですが、「何事に対しても、“満足する”という意識を持つことで、精神的に豊かになり、幸せな気持ちで生きていける」という意味です。物質欲には限りがなく、執着心を捨てることで楽になります。この言葉には、後に続く言葉がありますので、興味をもったら調べてみてください。
 『断捨離』は一つの価値観なので、これが正しいというわけではありません。ただ「整理整頓」は、勉強でも仕事でも何かしようとする時に大事なことだと考えます。身の回りを整理整頓し、予習で仕分けを、復習で整頓することで理解が進みます。
 皆さんは、なぜ、「わかる」を「分かる」と書くのかわかりますか?情報は、事前に整理されていれば、その構造(意味)を判定することが容易になります。そして、この整理とは、たいてい、「分ける」ことから始まります。つまり、「分ける」は「分かりやすい」の原点なのです。認知心理学では「分かる」とは、一次記憶域の情報が「解釈」「一般化」「抽象化」という過程を経て、二次記憶域に移動することとしています。

 身の回りと頭の中の「整理整頓」をして、効率的な勉強をし、志望校合格を勝ち取ってください。

トイレの神様

 昨日に引き続き、掃除の話になります。昨日はA棟とC棟のトイレを中心に見て回りました。トイレも40周年なので、なかなか年季が入っていて掃除も大変だとは思いますが、思っていたよりずっと綺麗でした。先生方の御指導と生徒の皆さんのお陰ですね、ありがとうございます。ただ、細かく見ると「ここを、もうちょっと…」というところもありますので、綺麗にする方法を調べて1日少しずつ綺麗にしていってもらえればと思います。

 「トイレには それはそれはキレイな女神様がいるんやで だから毎日キレイにしたら 女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで」これは、2010年(平成22年)にヒットした植村花菜さんの「トイレの神様」の歌詞の一部で、植村さんのおばあさんのセリフです。べっぴんは「別嬪」と書き、京ことばで「別の品物」「特別によい品物」を意味する「別品」に由来するとされ、品物だけを指す言葉でした。その後、優れた人物にも使われるようになり、女性に限らず、男性にも用いられたそうです。現在は、女性の容姿のみを指す言葉で通用しています。

 日本は「八百万(やおよろず)の神」様がいる国で、いたるところに神様がおり、普通は忌み嫌うような「貧乏」「疫病」「死」ですらも神様としています。(「貧乏神」「疫病神」「死神」は、なぜ、いるのでしょうか。考えてみてください。)ですから、トイレに神様がいても不思議でも何でもありません。烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)が、その神と言われ、烈火で不浄を浄化し清浄と化す力をもつとされ、心の浄化のみならず、日常のあらゆる不浄を焼き払い清める功徳があるとされています。そのため、運気や金運上昇の御利益があるとされています。ですから、トイレをきれいに掃除すると、神様がたくさんの功徳を授けてくださると考えられるようになりました。 また、トイレ掃除は心の掃除にもつながっています。人が嫌がるトイレ掃除を進んですると、心も浄化され清らかな気が流れるので、トイレをきれいにするほど運気が上がり、金運も上昇するというわけです。最初から御利益を求めてトイレ掃除をするのは、不純だと思う人もいるかもしれませんが、動機はどうあれ、まず、やることが大切だと思います。トイレだけでなく、全ての場所に神様がいるはずなので、同じ気持ちで掃除してください。