日誌

2024年1月の記事一覧

評価って難しい!

 今日は今年度2回目の学校評議員会があり、5人の評議員の方から学校評価結果に対して助言をいただきました。学校評価は、学校の課題を改善し、学校をよりよくするために始まった事業ですが、課題から目標を設定し、目標を達成するために具体的に何をするかを考え、実行し、達成度をできるだけ数値で検証します。総合評価が低い項目と内部評価と外部評価が異なっている項目が更なる課題となります。以前にも少し評価について書いたことがありますが、再度評価について書いてみたいと思います。

 評価は本当に難しいです。真に公平公正な評価をしようとするなら、誰が評価してもぶれないようにできるだけ具体的な評価規準を作らなければなりません。イギリスの名門校の生徒心得には「ジェントルマンたれ」のみ記され、目標は「卒業までに教師の評価と自己評価が一致するようになること」だそうです。自己評価を何度も行い、内省的な力が高まれば、自分を客観視できるようになります。教師の評価と生徒の自己評価に差異がある時は、生徒にとっては自分を見つめ直すチャンスに、教師にとっては指導方法や評価手法を振り返るチャンスとなります。自分を主体的に伸ばすためには、自分を正しく評価する力が必要です。ただ、評価については様々な考え方がありますので、以下の文を読んで皆さん一人ひとりが考えてみてください。

〇特定の誰かに認められたいという発想はやめるべきです。他人の評価を気にするのは、受け身で主体性のないことの表れ。他者に認めてもらうのではなく、自分が自分を認めればいいのです。

〇「他者からの評価なんて気にしなくていい」「無理に好かれなくてもいい」という言葉からは、頑張れない人に誤解が生じてしまう可能性があります。

〇実は、この社会は”他者からの評価が全て”なはずです。集団で生活している以上、他者との関わりは避けられません。人からよく思われないとますます生きにくくなってしまうのです。

〇自己評価をあげるには、他者から評価されることが絶対に必要です。達成感も自信も、成し遂げたことへの周囲からの承認があって初めて成り立ちます。成し遂げたこと自体からではありせん。

 次の言葉から、新しい企画ができそうです。

 「評価する者が最も学ぶ。他校の学校評価も教員が行うとよい。教える者が最も学ぶ。自校のよさを他校に教えることで自校のよさを深く学ぶことができる。」 評価は、対象をよく調べ勉強し、観察していないとできません。近隣の学校の先生が相互に評議員となってお互いの学校をよく知って評価し合えたら、面白いと思います。同様に各高校の生徒代表が、ビブリオバトルのように自校のよさをプレゼンして他校の生徒にジャッジしてもらうというのはどうでしょう。異なる視点から各校を知ることができ、お互いに高め合えるのではないでしょうか。

SNSは寸鉄だ

 昨日のブログで「笑顔」について書いたばかりなのに、今日書く内容は悲しく、あまり気が進みません。それでも書かなくてはと思いました。

 昨日から、漫画「セクシー田中さん」の作者である芦原妃名子さんが自殺した件について、多くの報道がなされています。今後、後追い記事が出て来てYouTubeでも取り上げられると思いますので、ここで詳細について書くことは控えます。「のだめカンタービレ」の作者の二ノ宮知子さんが自身のX(旧Twitter)で、「辛い…。辛すぎる。」、「自分の作品を一番大事に思っているのは自分なんだと号泣した日の事を思い出して、また涙が止まらない」と発信しました。同じように漫画が実写ドラマ化され、アニメ化された身として芦原さんの気持ちが痛いほどわかるのだと思います。私はこのニュースに接して、フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していてSNSでの誹謗中傷が原因で自殺した女子プロレスラー木村花さんが思い出されました。(今回の件はSNS以前の問題でもありますが。)SNSでの言葉のやりとりが原因で、傷ついている人がどれくらいいるのか、自殺にまで追い込まれてしまった人がどれくらいいるかは不明ですが、明らかに通信技術の発達によって生じた負の部分です。

 「寸鉄人を殺す(刺す)」ということわざがあります。意味は、短い刃物で人を刺し殺すことから、短く鋭い言葉で人の急所をつくことです。このことわざは、言葉の力が実際の武器と同じくらいの影響を持つことを示しています。そして、言葉の選び方や話し方がどれほど人の感情や心に大きな影響を与えるのかを警告してくれています。似た言葉でいい意味に使うものに「ペンは剣よりも強し」がありますね。このような御時世ですので、学校では小学校から高校まで、情報モラルに関する学習を毎年しています。しかし、SNSを巡るトラブルは一向になくなりません。そのすべての原因は匿名性と発信の簡単さにあると思います。匿名のものは責任をもって発信していないということで信用しないということが当たり前になればいいのですが、「デジタルタトゥー」という言葉があるとおり一旦世界中に広まってしまったものを消すのは至難の業であり、発信された側としては、対応しないわけにはいきません。ネット上の問題は、法整備が追い付いていないのが現状ですが、早く泣き寝入りする人がいなくなるようにしてほしいです。今のところ、トラブルを避けるためには発信する前に1日待つ。そして、第三者に読んだり見てもらったりすることです。生徒の皆さんも、今後SNSでのトラブルの被害者にも加害者にもならないために十分気を付けましょう。

笑顔のパワー!パワー!パワー!

 今日は、思うところがあって「笑顔」について書くことにしました。令和4年の6月10日に「笑顔の力」というタイトルで書いていますが、再度書きたいと思います。「叶う」「吐く」については、3回話をしましたのが、記憶してほしいことは何度も繰り返すことが大事と言ったとおり、「笑顔」について繰り返したいと思います。              

 まずは有名人の言葉から。〇単なる笑顔であっても想像できないほどの可能性があるのよ。(マザーテレサ) 〇「笑顔は1ドルの元手もいらないが、1000万ドルの価値を生み出す」(カーネギー) 〇笑顔は万言に勝るインターナショナル・サインである (中村天風) 〇「いいことが起きたから笑顔になるのではなく、笑顔だからいいことが起きる」中井俊已(教育評論家) 〇 「笑」という漢字は、万葉集や古事記の時代には「花が咲く」という意味で使用されていた。だから、笑顔は、その人の心の花が顔に咲いたということ。

 笑顔の効用について。〇楽しい感情には、問題解決を容易にしたり、記憶力を高めたり、集中力を高めたりする効果があることが報告されています。笑顔をつくると楽しくなるという逆効果が、私たちの脳にはある。失敗したときは笑いましょう。失敗したときも笑顔でいると、脳がその失敗はなかったように把握するのです。〇怒り顔の人と笑顔の人の写真を用意して、その顔を覚えてもらい、後日同じ人たちの無表情の写真で「この顔を覚えているか」と確認する実験がありました。その結果、実際に覚えているのは、圧倒的に笑顔だった人の顔でした(「笑顔優位性効果」)笑顔でいる人のほうが記憶に残りやすい。〇表情は感情の出力だが、実は入力にもなる。人はうれしいから笑顔になるわけだけど、つられて笑顔になった時には「うれしい時の神経信号」が誘発され、笑顔の時と同じ気持ちになれる。つまり、周囲を笑顔にする人は、自分の表情を周囲に伝染させ、結果、周囲の脳に「やる気と好奇心」を喚起しているのである。当然、その人のチームはいい結果を出す。〇仏教用語の「和顔愛語」(わげんあいご)は、「和やかな笑顔」と「思いやりのある言葉遣い」で人に接することで、人間関係をスムーズにするための知恵です。仏教には、他にも顔施(がんせ)というものがあります。にこやかな表情で人に接するということで、和顔施(わがんせ・わげんせ)ともいいます。〇実に単純な世渡り法は、「笑顔」と「挨拶」と「返事」です。

 いかがでしたか。笑顔の効用の最初の三つは、以前に紹介したものです。社会に出ると、本当に「笑顔」と「挨拶」と「返事」が評価されることを実感すると思います。「笑顔」と「挨拶」と「返事」ができる人は印象に残るので、よく覚えてもらえます。体調が悪い時や精神的に落ち込んでいる時に笑顔を作るのは、難しいかもしれませんが、意識的に笑顔を作ることで回復が早まると思います。(となりのトトロのサツキちゃんとメイちゃんがお父さんと一緒にお風呂に入っている時の笑いのように) 病院にこそ笑顔が必要であり、疲れていても笑顔で接してくれる看護師さんに助けられている患者さんも多いでしょう。落語会を開催している病院もあります。マスクをしていると笑顔が見られません。皆さんもコロナやインフルエンザ感染に注意しながらも、マスクを外せる時は外して笑顔を見せてください。

主体的に余白を作ろう!

 「キャリアガイダンス」というリクルートの進路指導・キャリア教育専門誌がありますが、その449号の特集が「余白を生む未来」でした。片づけコンサルタントとして有名な近藤麻理恵さんのオープニングメッセージに次のような言葉がありました。

 「いつか時間の余裕ができたら、自分にとって大切なことに時間を割こう」と思っていても、永遠にその時間はやってきません。今の自分を見つめなおし、自分にとって本当に大切なものとそうでないものを分けて、いらないものを手放す。手放して初めて、そこに自由に使える余白ができます。余白とは、人生を主体的に選択すること、すなわち「片付け」から生まれるものなのです。

 彼女は、残したいものを選ぶ基準に「手に取った時にときめくか」と表現し、片づけ本が世界的ベストセラーとなりました。2015年には、『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出されました。「断捨離」が流行語に選ばれたのが2010年、ミニマリストは2015年ですが、いかに現代人が物に囲まれ整理ができていないかがわかります。令和4年6月24日のブログで、整理整頓について書きました。時間や空間に余白を生み出す。頭の中にも余白を生み出す。「余白の美」についても以前に書きましたが、書道や水墨画などで、何も書かれていない場所に何が見えるか。その意味が捉えられるか。アウトプットとインプットについて、インプットばかりしていると頭の中が整理できずにごちゃごちゃでいっぱいになってきます。新しく必要なことをインプットしていくためには、情報を整理してまとめてアウトプットし、余白を作る必要があります。パソコンのハードディスクをデフラグして整理して空きスペースを作るようなものですね。「時間がないと言って、好きなことを後回しにする人は、本当はそのことが好きではないのだ」ということを以前に書きましたが、余白を主体的に作るのは自分自身です。余白ができれば、余裕が生まれます。「人には余裕というものがなくては、とても大事はできないよ」という勝海舟の言葉を以前に紹介しましたが、皆さんも主体性を身に付けることで余白を生み出し、社会に出て大事ができるようになってください。

1、2、3で自立!?

 今日1月23日は、「ワン(1)ツー(2)スリー(3)」と読む語呂合わせから、そのまま「ワンツースリーの日」だそうです。人生に対してジャンプする気持ちを持とうとする日だそうです。昔、女性3人組のキャンディーズというアイドルがいました。人気絶頂の時に「私たち9月に解散します。普通の女の子に戻りたいんです!」と有名な引退宣言をしました。彼女らのシングル曲として最後にレコーディングされた曲が「微笑がえし」で、オリコンでは最初で最後の1位を獲得しました。その中には今までのヒット曲のタイトルがちりばめられ、サビでは「ワンツースリー」「イチニサン」「アンドゥトロワ」の掛け声が入っていました。最後は「それぞれの道 私たち 歩いて行くんですね」で終わっています。そんなわけで、少し強引ですが今日は「自立」について書いてみたいと思います。

 皆さんは「自立」ってどんな状態だと考えますか。誰かに頼らず一人で生きていけることですか?自由を手に入れるためには自立することが必要ですか?自立について、脳性まひがありながら医師として活躍する日本の研究者の熊谷晋一郎さんは、次のように言っています。「自立するとは、頼れる人を増やすことです。これは障害の有無に関わらず、すべての人に通ずる普遍的なことだと私は思います」つまり、自立とは、「一人ですべてをできるようになることではなく、自分で生活をするために、社会の中でコミュニケーションをとり、自分に必要なものや助けがあればそれを他者から受け取って、それを使って生きていくこと」ですね。完全な人間などいませんし、誰でも年を取れば不自由なところが出てきます。不自由になってしまった身体能力を補完するために器具や他人の力を借りることは、弱さでも依存でもなく、心の自立を守るために必要不可欠なことです。「生活的自立」「経済的自立」「精神的自立」が三大自立と言われますが、人間としての尊厳を守るために「精神的自立」が大切なのです。

 教師は教えるのが仕事ですが、教える側の強制によって学ぶ側の自立、自主性をどう育てていくかという矛盾に悩みながら生徒に接しています。子育てでは「初めは時間がかかるけれど、その時間がかかるときにこそ、子どもは育っているのだ」と、忍耐力が求められます。「ある期間を過ぎて、次第に子どもの自立が見られるようになると、そこからの展開は速い。この境地を体験できないと、いつまでも子どもは世話をしなければならないものだと思い続けることになる」ということです。何事もすぐにできるようになるなら先生などいらないのであって、子どもを自立に導くには、親と先生には忍耐強さが必要です。「教師の仕事は、生徒が教師を必要としないようにすること」「教師の仕事で一番大事なのは、生徒の意欲に火をつけること」という言葉を胸に、今後も生徒の主体性を育てていけるように努めてまいりたいと思います。