日誌
2023年11月の記事一覧
がんばれ、太東生!
今日から2学期の期末考査が始まりました。初日の出来はどうでしたか。万全の準備をして臨めている人もいれば、ほぼ一夜漬けになってしまっている人もいると思います。3年次生は高校最後の定期考査になりますね。全力で取り組んでください。中学校までは一夜漬けでどうにかなっていた人もいると思いますが、高校のテストはそう甘くはありません。大学ではなおさらです。大学の試験は、前期と後期があり、後期一発勝負のものもあります。一般教養は別として、専門科目はほとんどが論述試験です。60点未満は単位不認定になります。高校と同じくレポート点や出席点もありますが、遙かに厳しいと思ってください。私は、30代くらいまで大学の試験の夢を見ることがありました。もちろん、いい点がとれて喜んでいる夢ではなく、答えが書けなくて終了のチャイムが鳴ってしまう夢で、うなされて起きて、夢でよかったということが何度もありました。初めて聞く人は驚くかもしれませんが、大学ではノートや参考書の持ち込みができる科目もあります。なぜ、許可されていると思いますか?それは、90分という限られた時間の中で、わからないことをいちいち調べていたら論述式の答案は完成しないし、もちろん及第点を取ることなどできないからです。ノートや参考書のどこに何が書いてあるのか頭に入っていて、初めて記憶が不十分な場合に役に立ちます。同様に、スマホですぐに検索できるからといって覚えていることが少なければ、勉強や仕事の能率は格段に落ちます。様々な知識が頭の中で結びついて記憶が強固なものになり、新しいアイデアが生まれるので、知識量は多いにこしたことはありません。ただ、一問一答式知識だけ多くても、それが活用できなければ意味がありません。数学や理科などの理系科目で汎用的な論理的思考力を養い、文系科目でその思考力を活用して知識を知恵に変え、深い学びができるようになってください。それでは、あと3日間、体調に気を付けつつ頑張ってください。
いい服でいい福を!
今日、11月29日は、語呂合わせから「いい服の日」「いい肉の日」「いい文具の日」「いいふぐの日」などがあります。日本の文具は、外国からわざわざ買いにくるほどですから、よく工夫されていて優れていてオシャレなものが多く、日本にしか売っていないものも多いようです。文具だけの特集本が売れるのも、当たり前ですね。それでは、文具について書くのかと思わせつつ、今回は、文具ではなく、服について書こうと思います。
皆さんは、ファッションについてこだわりがありますか、それとも無頓着なほうですか。ファッションに気を遣うのは、自分のためですか、それともそれを見る周りの人のためですか。服は、自分が着たいものを着るのがいいのか、自分に似合うものを着るのがいいのか、意見が分かれるとは思いますが、皆さんはどちらですか。私は、大学生になってから男性ファッション雑誌を買うようになり、高校生の時と違って普通に気を遣うようになりましたが(男子校は気を遣いません)、やはり色や形の好きなものは偏りますね。たとえ似合うと言われても、自分が気に入らなければ着る気にはなりませんし、それが個性だと思います。ただ、色については赤やピンクは一切着なかったのですが、ピンクのポロシャツと赤のTシャツをもらって着るようになってから、自分でも赤やピンクを選ぶようになりました。ファッションには多かれ少なかれ、その人の内面が色や形に出ますので、どんな人かを判断する材料にはなります。社会人、特に外部の人と会うことが多い営業関係の人が気を付けなくてはならないのも、そのためです。
制服でもおしゃれに着こなそうと努力する人はいますよね。制服は清潔感があってきちんと着るのがおしゃれかと思いますが(年寄りの考えかな?)、昔は変形学生服を着ている人も多く、私もその一人でした。学生服はハイカラーの中ラン(丈が長めの学ラン)で、内側に虎と龍の刺繍がありました(笑)。そして、ズボンはというと、ストレートと太目(ボンタン)とパンタロン(ベルボトム)の3本を持っていました。私の高校時代は、まだ短ランはありませんでしたが、今では学生服のツッパリスタイルは、ほぼ死滅しているようですね。今から20年以上前は、女子生徒の短いスカート丈とルーズソックスと格闘していましたが、それも今ではほとんど見られなくなりました。「歴史は繰り返す」という言葉どおり、昔流行ったファッションが復活して、懐かしい思いをすることがあります。ダサくなったものが新鮮でおしゃれに感じられて復活するのですから面白いものです。筒井康隆のSF小説に「暗いピンクの時代」というのがありましたが、AIが発達した未来のファッションについての話です。人間の創造性について考えさせられるものでした。未来では、一着のボディースーツで温度や湿度を自動で最適に保ち、好きな形や色に変えられるものができるかもしれません。皆さんは、そういう服が着たいですか?
愛情のこもった商品とは
昨日の日曜日は全国的に非常に寒かったようですが、皆さんの家ではストーブやこたつがあって暖かく過ごせましたか。こたつは外国人に受けがいい日本製品の一つですが、他にも外国人に評判がよく、外国にはないものがたくさんあります。それらのものには日本人のどんな思いが反映されているのでしょうか。次の言葉を読んでください。「傘は、冷たい雨に濡れないように、考えて考えて作られた愛情のこもった商品である。世の中にある物は愛に満ち溢れている。使う人の幸せのために作られているのだ。」皆さんは、身近なものについて、こんな風に考えたことがありますか?外国人に人気のウォシュレットなら「ウォシュレットは、お尻が冷たい思いをしないように痛くならないように、考えて考えて作られた愛情のこもった商品である。」となるのでしょうか。左利きの人が使う商品専門店を開いた人がいます。その人は、左利きの人の幸せのために作られた道具を多くの左利きの人に使ってもらおうという愛に満ち溢れていたのだと思います。10人に1人は左利きですが、社会は左利きの人には不便になっています。どんなところが不便なのか考えてみてください。左利きの友達がいたら聞いてみてください。気付かないことがたくさんあると思います。さて、皆さんの周りには、どんな愛情のこもった商品があるでしょうか。
働いている人みんなに感謝!
昨日は、国民の祝日である「勤労感謝の日」でしたが、皆さんは働いている保護者の方、そして働いている全ての人に対して感謝の気持ちをもちましたか。皆さんは、お父さんやお母さんの職場見学をして実際に働いているところを見たことがありますか。夏休みに「こども参観」を実施している企業や自治体もありました。アインシュタインは「私は一日100回は、自分に言い聞かせます。私の精神的ならびに物質的生活は、他者の労働の上に成り立っているということを。」と言っています。また、レーニンは「働かざる者、食うべからず」と言っていますが、これは労働者から搾取して不労所得でラクな生活を享受する資産家たちを戒めるための言葉であり、資本主義体制を批判する言葉でした。
皆さんは、国民の三大義務と権利を答えられますか。三大義務は「教育・勤労・納税」ですね。誤解されやすいですが、教育の義務は、皆さんが小中学校に行って教育を受けなければならない義務ではなく、保護者が子供に教育を受けさせなければならない義務です。面白いのは勤労の義務で、「すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」(日本国憲法第27条1項)と勤労の権利とセットになっています。これはどういう意味でしょうね。「権利を主張するなら義務を果たせ」なんてことが言われますが、そうした裏表の関係ではないです。勤労の権利とは、仕事をしたい人に対して、国が仕事をさせないと言うことができないということです。また、勤労の義務とは、国が働くことを強制しているのではなく、保険など国の保護をうける場合には、仕事をする必要があるというくらいの意味らしいです。義務が最も似合うのは「納税」でしょう。普通の人は働かなくては税金は払えませんから、勤労と納税はセットでおかしくありません。みんなが助け合って生きるのが社会ですから、お互いに働いて税金を払って暮らしやすい社会をみんなで作っていく。だから働いてくれる人に感謝するということですね。皆さんも自分の好きな仕事、やりたい仕事で感謝されるようになってください。
ちなみに国民の三大権利は、「生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)、教育を受ける権利、参政権」です。公民の授業では、他にもたくさん人権を勉強したと思います。皆さんにとっては「自由権」が一番記憶にあるかもしれません。「職業選択の自由」もその中にありましたね。自由はいいものですが、厳しくもあります。これから職業選択に大いに悩んでください。
※勤労感謝の日は、戦前は宮中行事の新嘗祭で、その年に収穫された新穀を神に捧げ、収穫を感謝する日です。具体的には、天皇陛下が新穀の収穫を天照大神(あまてらすおおみかみ)をはじめとした神に感謝し、自らも新穀を食べる宮中行事で、現在も皇室に受け継がれている重要な祭祀の一つです。新嘗祭は、明治6(1873)年に祝日として11月23日に制定されました。
テレビの未来
今日は「世界テレビ・デー」だそうです。 1996年12月の国連総会で「第1回世界テレビ・フォーラム」が開催されたのを記念して制定されたそうです。このフォーラムは、テレビが人や世論の意志決定の過程において大きな影響を及ぼすようになったことから実施されたそうですが、この国際デーはテレビの重要性や役割を再認識する日であり、いまだテレビの情報にアクセスできない人々へも情報提供を普及させようとする企図があるそうです。ネットにアクセスしないお年寄りは、テレビや新聞の情報がすべてでしょうから、ウクライナやパレスチナの紛争をテレビで見ていてよく知っていても、日本のテレビでは報道されない世界の重要な出来事は知りえません。テレビも新聞も民間企業である限り、真に公正・公平な報道はありません。NHKであっても、それは変わりません。NHKは国営企業のように誤解されますが、放送法に基づき設立された特殊法人で、 政府からの出資はなく、その経営が国民から徴収する「受信料」で 成り立っている公共放送局です。ですから、色々と問題も抱えています。テレビは、新聞と同様に若い人が離れているので、今ではネットの影響のほうが大きくなっているように思います。
昔は娯楽というとテレビでしたし、家族で夕飯時は1台のテレビで同じ番組を見ていたので、チャンネル権争いが勃発していたものです。私は弟とテレビのリモコンスイッチ(手で回すタイプでテレビから外すことができた)を奪い合うこともありました。しかし、チャンネル権は父にあり、食事時は父が見る番組を見なければならず、プロ野球や時代劇の「水戸黄門」「大岡越前」「遠山の金さん」「暴れん坊将軍」などを見ていました。また、ドリフターズの「8時だョ!全員集合」はクラス全員が見ていると言って過言ではなく、最高視聴率50.5%のお化け番組でした。紅白歌合戦の最高視聴率は80%であり、大晦日は日本レコード大賞、紅白歌合戦、ゆく年くる年を見るのが日本人の定番であったようです。
さて、くだらないことを書き連ねてしまいましたが、テレビの黄金時代は過ぎ、家の中に複数のテレビがあり、チャンネル権争いも過去のこととなり、さらにスマホの普及で個々に好きな動画を見る時代になりました。大画面のモニターが家の中にあっても、それで観るものはテレビ以外のものが多くなり、従来のテレビ番組は淘汰されていくと予想されています。やる気になれば一人でも番組ができてしまいますので。テレビやラジオが情報を素早く伝えるメディアであり、それを受動的に見る時代は終わりを告げ、自分で情報を探しに行き、発信する時代になりました。せっかくの「世界テレビ・デー」ですが、すぐに「世界スマホ・デー」に置き換えられるかもしれません。その時、何を再認識しなければならないかと言えば、自分の好みの情報だけに偏ることなく様々な情報に触れて公正に判断する力をつけるということです。情報リテラシーを身に付けることが、ますます重要になってきますので、皆さんもしっかり勉強してください。
先生の成長の陰に・・・
今日は、県内各校から12名の地歴公民科の先生方が本校に集まり、中堅教諭資質向上研修(12年目研修)が実施されました。私が12年前に総合教育センターの初任者研修で担当した先生方でしたので、同窓会のような和やかな雰囲気?で行われました。研修内容は、まず本校の北爪先生が代表者授業を行い、授業研究が午前中に行われ、活発な研究協議がなされました。北爪先生の授業は1年次1組の「公共」で行われました。一人一台端末を活用し、法に関する単元で生徒の身近な「校則改正」を題材としたものでした。「法改正の適正手続き」についてジャムボードを使って意見をグループワークでまとめ、グループ間で発表し学び合う授業で、生徒たちはよく発言していました。午後は6名の先生方の授業ビデオを見て、協議が行われました。テーマは「指導と評価の一体化」です。私は、開会行事から始まって閉会行事まで1日付き合い、先生方の12年間の成長ぶりを見せてもらいました。主事・主任として、担任や部活顧問として、頑張っている様子を聞くことができ、大変うれしく思いました。数校の異動を経て、色々と経験した苦労を糧にして現在の職場で活躍しているようです。
生徒の皆さんは、先生方が忙しい中でも研修を行い、教師としての資質能力を高めようと努力していることを知っていますか。すべては、生徒の皆さんが楽しく充実した高校生活を送り、様々な力を伸ばして希望する進学、就職ができるようにするため、そして生きる力を育むためです。努力して頑張っている先生方を応援してくれるとありがたいです。先生は「先に生まれた人」ではなく「先を生きる人」ですが、「先を生きる」から何でも知っていて、できるわけではありません。生徒に教えながら学び成長していく存在です。生徒のみなさんの御蔭で先生が成長できる面もあることを知っておいてください。それは親も同じです。子どもから教えられて親になります。謙虚な人は、成長し続けます。「まだまだ・・・」の精神で何事にも取り組みましょう。
幸せの色は?
今日11月16日は、語呂合わせで「いい色」となることから、色にちなんだ記念日が多いようです。皆さんは、色がない世界を想像できるでしょうか。動物や昆虫、魚などは見え方が違うということを知っている人は多いと思います。色覚のない世界や、紫外線などの不可視光線が見えている世界を想像するのは難しいですよね。そんな人間とは異なる犬・ネコ・鳥・ネズミ・ヘビ・ハエ、サメ、魚などの動物たちが見ている世界を再現したムービーがあります。「How Animals See The World」です。興味があれば見てみてください。私は赤緑色弱ですので、そうでない皆さんと見えている色が違います。人によって視力や色覚など目の状態は様々なので、同じように見えている人は案外少ないかもしれません。
色が心理に影響を与えることは、実感として皆さんもわかると思います。いくつか紹介します。
〇グーグルは、テキストリンクの色によって、クリックやタップする確率が異なることを示しました。色には人の行動に影響を与える力があることが明らかになったのです。
〇スーパーやショッピングセンターなどのように、売り場の内装に寒色系を用いると、来店客はリラックスし、滞在時間が長くなります。逆にファーストフード店のように客の滞在時間を短くし、回転率を高めたい店舗では、内装に暖色系を取り入れています。赤の補色である緑を並べておくと、肉の赤みが強調され、鮮度が高く感じられます。ハムやソーセージには、肉の加工品の色をピンク色の赤みをきれいに発色させるために用いられる発色剤という添加物が加えられています。紫の結束テープを巻くと、葉物野菜がみずみずしく見えます。2つの異なる色が互いに隣接した場合に、互いに溶け込んでその中間の色に見える現象を色の同化現象と呼びますが、みかんを赤いネットに入れるとより赤みをおびたオレンジ色に見えます。牛乳のパッケージは、さっぱりとした印象を与える青がよく用いられます。パッケージの青をじっと見続けてから、白い牛乳に目を移すとクリーム色に見えることがあります。これは心理補色、継時対比と呼ばれる現象で、青の捕色である黄色が残像として現れるために起きます。
色については、他にもおもしろい話題があります。人間は実際の色よりも鮮やかに記憶する傾向があり、これを「記憶色」あるいは「印象色」と呼ぶそうです。そのため、写真や映像は、実際の色ではなく、記憶色を再現するよう調整されています。なぜなら、実際の色を再現しても、私たちの脳は違和感を覚えるからです。面積の違いによって、明るさや色みに差が出ることを「色の面積効果」と呼びますが、それを私が実感したのは家の壁の色を決めた時でした。パソコン上で家の設計図に着色して確かめたところ、色見本とは違って見えました。多くの調査で、赤は脈を速くし、呼吸頻度をあげ、脳波のα波を減少させ、脳幹が覚醒することが確認されています。信号機の「とまれ」が赤になったのは、危険に備えて緊張を高めるからでないかと言われています。赤は集中力を高めるとともに、短期記憶を促進する一方で、赤を見ると原始的な知能が優勢になり、論理的な思考能力は低下するそうです。そのため、熟考を要する場面で、赤を使用するのは控えたほうがよいそうです。赤とは対照的に、青は脈拍や呼吸数を減らし、動脈圧を下げ、リラックスした状態へと導きます。これに適しているのは単純作業です。
さて、最後に違う意味の色について書きたいと思います。百人一首の中にある短歌で好きなものはいくつかありますが、平兼盛の「しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで」は、その中の一つです。昔も今も変わらない恋の歌だなと思います。高校生の皆さんにも共感できる歌ではないでしょうか。この場合の「色」は具体的な色のことではなく、表情を指しています。皆さんは色が出やすいですか、出にくいですか。
3文字に込められた思い
現在、スマホで様々な動画が手軽に見られるようになり、ちょっとした時間を潰すのに苦労はしなくなりました。逆にスマホに時間をとられて依存症になり、貴重な時間を無駄にしてしまう人も増えています。ここでも、大量の情報の中から、何を選択するか、その判断力が問われています。私も普通に1日30分から1時間程度動画を見るようになってしまいましたが、日本のよいところを紹介する動画を見ることも多いです。謙虚さが日本人の美徳でもありますので、自画自賛するようなものはいただけませんが、そこのところは割り引いて見ています。
最近見た動画に「海外TVで紹介された日本語の奥深さ たった3文字の手紙に世界中が涙」というものがありました。内容を要約して以下に紹介します。
海外のあるテレビ番組が日本の手紙の文化について紹介したところ、大きな反響を呼びました。日本の手紙は、とても少ない文字数で相手に対する深い感情や思いやりを伝えることができるというのです。番組で取り上げたエピソードは、南極へ遠征している夫に妻が送った「あなた」という3文字だけの電報でした。番組の出演者は、この言葉に込められた意味を考える時間を与えられていましたが、わからずに困惑していました。この電報を受け取った夫と周りの同僚の様子が紹介されました。夫の目からは感動のあまりぼろぼろと涙があふれ、その電報を見せられた同僚たちも同じように感動して涙を流したというのです。番組の出演者たちは、考えたけれど意味がわからず解説を聞くことになりました。
この「あなた」という3文字は南極で勤務する夫宛に、妻が言葉に収まりきらないありったけの感情を込めて書いたものでした。当時の日本では通信技術があまり進んでおらず、電報での通信方法がモールス信号方式だったこともあり、電報では長い文章を送ることが難しかったのです。しかし、遠く南極にいる夫へ妻は自分の多くの思いや心配、そして愛情を伝えたくてたまりませんでした。そこで彼女は、そのすべての感情を詰め込むようにして、たった3文字「あなた」という単語を電報で送ったのです。実際には、伝えたいことが山のようにあったのでしょう。「あなた、体は大丈夫ですか?風邪をひいていないか心配です」「あなた、子どもも私も健康ですよ」「あなた、帰ってきたら、あなたの好きな料理を作って待っていますね」「あなた、愛しています」こんなにも多くのことを伝えたいと思いながら、最終的に彼女が選んだのは「あなた」というたった3文字でした。そして、その電報を受け取った夫は、わずか3文字から妻の溢れる思いを感じ取り、ぼろぼろと涙を流したのです。夫は、妻が自分をどれほど想っているか、心配しているか、愛しているかを、その短いメッセージから受け取り、深く理解したのです。また、その手紙を目にした彼の日本人の同僚たちも、その深い愛情に心打たれ、感動の涙を見せたのでした。
この話は世界中のメディアで「3文字だけの手紙」と取り上げられ、大きな話題となったそうです。この話は、日本語の深い意味や様々な解釈ができることを示す一例として世界に知られました。
皆さんは、この話を読んで何を思いましたか。私は、この話の背景には、日本の俳句や短歌といった短い言葉で気持ちを表現する文化や直接的な表現ではなく婉曲的な表現を用いて気持ちを相手にくみとってもらう文化があると考えます。例えば、「月が綺麗ですね」の真意を、「私はあなたに惹かれています」と読み取ったり、「雨が降ってきましたね」を「あなたともう少し一緒にいたいです」と読み取ったりできるのも日本人ならではと思います。もっとも全員が読み取れるわけではありませんが。日本人は、聖徳太子の憲法十七条にある「和をもって貴しとなす」の精神を受け継いできているので、なるべく争いを避けるように言動に気を付けます。これは相手の気持ちや状況を慮り、文脈を見極め、言葉の背後に潜む意味を探る能力に長けているということです。「空気を読む」力は、日本社会では、好むと好まざるにかかわらず求められる能力のようです。個人よりも集団を尊重し、秩序を大切にする日本の長い歴史の中で育まれてきました。その結果、率直さよりも含みがある言い回しを好む傾向が強くなっているようです。
視聴者の反応に「たった3文字でそこまで伝えられるのもすごいし、読み解く側もすごい。日本人は本当に感性が豊かだと思う」というのがありました。電報と言えば合格を伝える「サクラサク」や田舎の親に無心する「カネオクレ」がありますが、ちゃんと動詞が入っています。「あなた」という名詞だけでは、読み取る側の力がなければ通じません。この話は、「あなた」と送った妻と「あなた」から読み取った夫がいて、初めて成り立つ話でした。本校の生徒の皆さんが卒業までに身に付けたい力の1位はコミュニケーション能力でしたが、日本人が高度なコミュニケーション能力を駆使していることがわかっているからでしょうね。コミュニケーション力とは簡単にいうと以下の①~④の力です。皆さんは、どれくらいできると自己評価しますか。
①相手が話している内容が理解できる。
②相手の感情を察知することができる。
③相手に伝わるように言葉にすることができる。
④相手の感情を動かすような伝え方ができる。
ひざは大事!
今日11月13日は、「いい(11)ひざ(13)」と読む語呂合わせから「いいひざの日」だそうです。寒さが増してひざが痛み出す時期に、ひざ関節痛の治療や予防を広く呼びかけるために制定されました。と言っても製薬会社主導ですけどね。高校生の皆さんには、ひざの痛みなんて全然ぴんとこないことでしょう。私も還暦を迎えて、自分ではまだ若いつもりでいても、朝起きた時に体が痛かったり、寒くなると膝や節々が痛くなったりするようになると、年をとったことを痛感してしまいます。先週の修学旅行中には就寝前に背中の右側がつりそうになってベッドの上で痛みが去るのを待っていました。今日も6時間目にのびをした時に足裏がつりそうになり痛みと戦っていました。時々顔を出しているテニス部の練習でサーブの球出しをしている時にふくらはぎがつりそうになったこともあります。運動不足やストレッチ不足なのはわかっているのですが、なかなか解消できずに今に至っています。私も若い頃は(20代)は、かなり運動していたほうだと思いますし、教員になってからもずっと運動部の顧問でしたので、生徒と一緒に汗を流していました。それでも、この体たらくです。本校の校訓の「誠・明・健」の「健」は、一生を通してのことですので、「若い皆さんも今のうちに運動する習慣をつけ、体はできるだけ鍛えておいたほうがいいですよ」と老婆心ながら忠告しておきます。小学生が放課後にみんなで校庭で遊ばなくなって久しく、スポーツ少年団に入っている子どもと入っていない子どもの体力格差が大きくなっている現在、意識して運動し、健康的な生活を心掛けることは大事ですよ。もちろん、体だけでなく、心の健康も忘れずに。
41回目の「清きいのち」の集い
今日、本校は41回目の開校記念日を迎え、午後に記念式典を挙行しました。記念講演では第27期生の中島様を迎え、「好きを見つけて幸せに~研究者として伝えたいこと~」という演題で、高校~大学~大学院~会社において自分がどう過ごしてきたかを振り返り、本校生徒に「幸せ」について考えさせてくださいました。久しぶりに全校生徒が体育館に集まり、吹奏楽部の伴奏で校歌も歌うことができて、よかったです。
また、今日は多くの都道府県や市町村で、「教育の日」に定められ、11月1日から7日までを「教育週間」としている県もあります。この1週間に、教育・文化に関する行事を集中的に実施し、我が国の教育・文化に関して、広く関心と理解を深めてもらい、その充実・振興を図ることを目的として、昭和34年から毎年開催されています。18の都道府県で「教育の日」や「教育週間」が定められていて、関東では、茨城県・群馬県・埼玉県で定められています。今までも現在の教育問題について書いてきましたが、本当に小学校が「待ったなし」の状況になっているようです。経済も大切ですが、教育がだめになると未来に大きな負債を抱えることになりますので、この機会に皆さんによくよく考えてほしいと思います。