日誌

2023年7月の記事一覧

速しこの1学期

 早いもので、1学期も今日で終わりです。私は短く感じましたが、皆さんにとってはどうだったでしょうか。1年次生は、入学した時の気持ちを忘れずに1学期を頑張れたでしょうか。思っていたよりも高校生活は大変だと気を引き締めなおしたでしょうか。これから3年次生は、本格的に受験勉強に突入し、2年次生は、部活を頑張りながらも進路について考えていかなければならない夏休みです。時間があると思って油断していると、あっという間に夏休みは終わります。適度に心と体を休めながら、計画的に夏休みを過ごしてください。1学期を振り返って、無理なく実行できる自分だけの再チャレンジ計画を立て、達成感を味わえるようにしてください。余裕を残して、プラスアルファの実行を加えられるほうが精神的にもいいはずです。2学期は長いです。充実した2学期にするためにも、夏休み中に下準備しておくことが必要です。ロケットスタートができるように心身を整えて、8月30日を迎えてください。

 今日の生徒総会は、熱中症とコロナ感染を懸念して残念ながらオンラインとなりました。旧役員の皆さんは全校生徒の前で挨拶ができず、本当に申し訳なく思いました。太東を盛り上げるために、縁の下の力持ちとして1年間尽力してくれたことに感謝します。ありがとうございました。新役員となった皆さん、来年は「青藍祭」があります。このままコロナがフェードアウトしてくれれば、生徒会もさらに活発に動けるようになるでしょう。活動方針にある「居心地がよい」とは、色々な意見が受け入れられる、意見が出しやすいという意味にも取れます。色々な企画を提案して、太東をワクワクする場所にしてください。

考えるのは今でしょ!

 昨日から三者面談が始まりましたが、夏季休業へ向けて有意義な面談ができているでしょうか。先生に丸投げで、主体的に自分がしたいことやなりたいものについて相談できないようだと時間内には終わらないかと思います。自分はどのように今後生きていきたいのか、様々な選択肢があり、考えれば考えるほど悩みは尽きないと思います。ただ、ここでしっかり考えないと、将来「七五三現象」の体現者になってしまいますよ。

 「七五三現象」とは、1990年代から2000年代にかけて話題になった、早期離職率と学歴に関わる言葉です。就職して3年以内に、中卒新入社員の7割、高卒新入社員の5割、大卒新入社員の3割が離職する現象を指します。2020年度の離職率は、中卒55%、高卒36.9%、大卒31.2%で七五三現象が問題視されていた1994年頃に比べて、中卒や高卒の離職率は大きく改善されてはいますが、大卒の3年以内の離職率はあまり変わっていません。バブル経済のころは超売り手市場でしたので、転職は難しくありませんでしたが、現在はそうではありません。転職するには、ある程度の技能と経験が必要です。「石の上にも三年」と忍耐を説くことわざがありますが、日本ではすぐに仕事や会社を辞めると忍耐力がないといって信用されない傾向があります。アメリカでは、「終身雇用」が特徴だった日本と違い、キャリアを積んで転職するのが普通のようですが、日本では非正規雇用のためキャリアも積めない若者が増えています。それが若者の未婚率の増加と少子化に拍車をかけている原因の一つとなっています。「ブラック企業」という言葉を知らない人はいないと思いますが、心や体を壊してまで企業にしがみつくことはやめましょう。ただ、自分では判断ができなくなっている場合もありますので、身近に相談できる人がほしいですね。転職についての次の話を読んでみてください。

 「1年ごとに転職を繰り返せば、いずれ雇ってもらえなくなるかもしれないけれど、それも仕方がない。だって自分に合った場所を探すというのは、そういうことだから。」という意見があった。しかし、そもそも、自分に合った場所で働くというその感覚がちょっと図々しい。自分自身も、職場も、日々変化していく。職場とはただの場所ではなく、一人一人が集まってできた人間の集合体です。人の出入りがあれば、当然その場所自体も変化する。自分自身の気持ちの動きも含め、永遠に自分にあった場所で働くというのは不可能。本気で向き合い、ぶつかれば、自分自身も、その対象も変わる。自分に合わない場所で、それでも必死にもがきながら、初めて相手から求められる存在になれた時の喜びは何ものにも代えがたかった。

 厚生労働省『平成30年若年者雇用実態調査』によると、「初めて勤務した会社をやめた主な理由」として最も多く上がったのが、大卒では「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」で33.2%。「人間関係がよくなかった」21.3%、「賃金の条件がよくなかった」20.9%、「仕事が自分に合わない」19.2%と続きます。また勤務3ヵ月未満に限ると「人間関係がよくなかった」が最も多く38.7%、僅差で「仕事が自分に合わない」で38.6%でした。皆さんは、上記の話とデータを読んで、どう思いましたか。自分に合わないと思ったら、さっさと辞めたほうがよいのでしょうか。どの程度合わなければ辞めるのが得策なのでしょうか。

 以前に「非認知能力」について書いたことがありますが、「自信をもって意欲的に取り組む」「他人の気持ちを汲み、人の境遇や気持ちに共感できる」「異なる価値観を柔軟に受け止められる」「忍耐強く取り組める」「人と協働して取り組める」……そんな生きていく上で必要な社会的スキルのことをいいます。それ以外にも時間を管理する能力や、失敗から立ち上がる精神的強さ、芸術作品や自然を見て感動する心など、主に感情面や情緒面での感性や能力も非認知能力です。一方「認知能力」とは一般的には知能検査で測定できる能力のことを言い、簡単に言えばテストで客観的に点数化できる能力です。どちらも重要ですが、社会に出た時に重要視されるのは「非認知能力」が優勢のようです。社会人基礎力や汎用的能力など、これと重複するものもありますが、今後は意識して「非認知能力」を高める取組を、学校での学習活動全体を通して行っていくことが求められると思います。皆さんも意識して、活動してください。将来「七五三現象」を自ら体現しないように。

ポパイと言えば・・・

 国民運動として「食育」を推進するため、政府が毎年6月を「食育月間」、毎月19日を「食育の日」に制定しています。平成17年6月10日に食育基本法が成立し、それにより「食育の日」が定められました。「食育」という考え方自体は明治時代に既に存在していましたが、近年の「食」をめぐる状況の変化に伴う様々な問題を解決するために「食育」が行われるようになりました。
 食育基本法の前文には、『食育は、生きる上での基本であって、教育の三本の柱である知育、徳育、体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、様々な経験を通じて、「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるものとして、食育の推進が求められる』と書かれています。そして、このような食育の推進に当たっては、健全な食生活の実践としての単なる食生活の改善にとどまらず、食に関する感謝の念と理解を深めることや、伝統のある優れた食文化の継承地域の特性を生かした食生活に配慮すること等が求められています。地域の食材を使って給食は作られていますね。   

 皆さんは、給食を食べられなくて昼休みに残された経験はありますか?昔は、嫌いなものがあって食べられないと残されることもありました。食べてすぐ吐いてしまい、その食べ物は今も食べられないという人もいるのではと思います。私は、小学生の時にホウレン草を無理やり飲み込んで、吐いてしまった経験がありますが、今は食べられます。子どもが、ピーマンに代表される苦いものとか酸っぱいものが苦手というのは、毒と感じて体が拒否するからで、ある程度仕方ありません。大人になれば食べられるようになります。たぶん(笑)。今では、味や食感が嫌いで食べられないというよりアレルギーがあって食べられない子が増えています。また、小学校では、朝食を用意してもらえない子や給食が1日で唯一のしっかりした食事という子もいます。この飽食の日本で、餓死する人もいます。個の食事の栄養バランスを考える以前の問題ですね。自分がおいしくないと思うものを栄養があるからと無理して食べるのは、ストレスになります。必要な栄養が、その食べ物でしか摂れないというなら話は別ですが。信じられないかもしれませんが、世界にはチョコレートだけ食べて生きている人もいます。以前にテレビで見て、驚きました。人間の身体って不思議ですね。「食育」には、子どもたちが健全な食生活を営み、健康を維持できるようにするという目的が一番目にあります。ですが、それには食べ物があることが前提にあります。世界全体の食糧について、理解を深めることが大切です。そして、食糧問題と環境問題はセットになっています。7月10日のブログ「納豆好きですか?」で、人間は食べなければ生きていけないと書きましたが、必要以上に生産し、欲望のままに食べ過ぎれば、環境や人体にどんなことをもたらすのか、「食育」を通して考えてもらわなければなりません。3年次生は、近い将来一人暮らしをすることになる人もいると思いますが、「食育」の意義を個人のものから世界全体に広げて、考えてくださいね。

キャラ変、可!

 皆さんは、自分の性格を変えたいと思ったことはありますか?変えたいと思う人の多くは、内向的な性格を外向的にしたいのではないでしょうか。日本人は、血液型による性格占いが好きですが、皆さんは信じますか?話の種としては使うけれど、信じてはいないという人も多いと思います。献血で自分の血液型がA型ではなく、B型とわかって性格が変わってしまった人がいるくらいですから、思い込みや自己暗示は恐いですね。ただ、これをうまく使えば、性格を変えることはできそうです。
 日本人の多くは心配性になりやすいという研究結果があるそうです。心の安定をもたらす「幸せホルモン」と呼ばれる脳内物質のセロトニンが出にくくなる遺伝子があり、日本人の8割がその遺伝子をもっているためだそうです。皆さんは、自分はもっていると思いますか。性格は遺伝的な要素と後天的な要素が半々というのが、様々な研究結果から判明しているそうなので、自分次第で性格の半分は変えられるということです、自分で変えていくには、行動を継続することが必要です。もっと積極的な自分になりたいのであれば、無理矢理にでもそのように振る舞うことが大切です。まずは行動することでスイッチが入って、変わりたいという思いが深層意識にも働いて、それがだんだんと表面に出てくるということです。ですから自分を変えていくようにチャレンジすることが大事なのです。
 人間の性格が年齢や環境によって変化することも、心理学の研究によって明らかになってきました。米国の心理学者クリストファー・ソトーらは、120万人以上の10~65歳を対象に、外向性・神経症傾向・開放性・協調性・勤勉性の平均値が年齢とともにどう変化するか調べたそうです。その結果、外向性には大きな変化がなかったものの、年齢が高まるにつれて神経症傾向は低下し、開放性、協調性、勤勉性は上昇することがわかりました。つまり、同じ人間でも、年齢を重ねれば、心理的な安定性、柔軟性が高い「できた人間」になるというわけです。「歳をとると人間がまるくなる」という言葉は嘘ではなかったんですね。大学生を被験者にして「自分の性格を変える」という実験を行った研究もあります。自分の性格は自分で変えることもできるということも知っておいてください。要は、本当に心の底から変わりたい、変えたいと思っているかどうかです。自分を変えたいと思っている人、あきらめずにがんばってください。「信ずる者は、変えられる」ですよ。

笑う主権者になろう!

 今日は、3年次生に「主権者教育」の選挙出前授業を5、6時間目に行いました。令和2年度から県が実施している「教育イノベーションプロジェクト」の一環として、昨年度から、お笑い芸人による若者の主権者意識を高めるための授業を株式会社笑下村塾と連携して、県内の高校において実施しています。本校は、昨年は6月17日にも実施しています。なお、都道府県が笑下村塾と連携して、全ての高校での選挙授業実施を目指す取組は、群馬県が初めてだそうです。

 今日は、校長室に大音量のフレーズが飛び込んできました。「♪もしかしてだけど~、もしかしてだけど~♪」とギター伴奏とオチのある歌で笑いをとる「どぶろっく」さんでした。3年次生の皆さんの主権者意識は笑いとともに高まったでしょうか。ぜひ、よく考えて自分の一票を行使してください。日本史で勉強したと思いますが、その一票は先人たちが長い間戦って勝ち取ったものです。なくなって初めて有難みがわかるものなので大切にしましょう。残念ながら、明らかに現在の選挙制度は、制度疲労をおこしていると思います。投票率は過去最低を更新続け、それだけでなく、立候補者がいないため今年の統一地方選・前半戦の 41 道府県議選では、総定数(2260)のうち、無投票当選者が4分の1にあたる 565 人に上りました。根本的な問題として、一票の価値の格差の問題も、残っています。これから、日本をどんな国にしたいのか、色々と情報を収集し、政府の政策を判断し、一票を行使することが大切です。一票を粗末にすると泣くことになりますよ。皆さん、自分事として考えましょう。

勉強のススメ

 「なぜ、勉強しなくちゃならないんだろう。こんな勉強が何の役に立つのだろう。」こんな疑問をもち、実際に親に質問した人も少なくないかもしれません。 きっと、言っても無駄だと思って質問さえしない人のほうが多いでしょうね。
 伊藤理佐さんの「幸福のススメ」という漫画の単行本の中に、こんな話があります。遊びや恋愛もせず、小中高校・大学と親や先生の言うとおりにまじめに一生懸命勉強だけしてきたのに、就職難で就職できなかった女性の話です。この女性は仕方なくアルバイトをすることになりました。この女性は、接客業に向いているとはとても言えなかったのですが、あるお客さんとの会話をきっかけに「もしかして学校で習った勉強って今でも役に立つのでは?」と気付きました。現国は、「お客さんの心をよむ」、数学や理科は、「お客さんの話を筋道立てて理解できる」、社会は「いろいろな地方のお客さんと話を合わすことができる」、体育は「働ける体力をつけられる」、英語は「外国人のお客様と話しができる」、そして学力で1位を目指した野心、向上心、努力、忍耐力が役立つと考え、努力した結果、接客の世界で1位を目指すことにします。

 もう一つ、こんな話があります。「なぜ勉強は必要か」と母に聞いた時に、コップを指さして、〇国語なら「透明なコップに入った濁った茶」、〇算数なら「200mlのコップに半分残っている茶」、社会なら「中国産のコップに入った静岡県産のお茶」と色々な視点が持てるよ。多様な視点や価値観は心を豊かにするんだよ。というようなことを返されたという話です。素晴らしいお母さんですね。これはお茶は誰でも知っているが、様々な味わい(とらえ方)があるということであり、それを知っている分だけ心に豊かさをもたらしてくれるということだと考えます。そして、様々な知識があれば、それを足掛かりにさらに多様な疑問につながっていき、知的好奇心を満たすために主体的に勉強しようとする姿勢となり、それが新たな知識の扉を開き、さらに豊かな心のあり方や生き方につながると考えます。
 勉強は、「ただ生きるだけのため」であれば社会保障が行き届いている現在の日本なら、しなくても何とかなるかもしれませんが、「よりよく生きるため」にはしておいたほうがいいと思います。分野の垣根を作らず何でも広く知っておくと、それがベースの点となって様々な知識と関連づけられネットワークを形成し、可能性を広げてくれると考えます。「あ~っ、もっと勉強しておけばよかった!」と嘆くのは、社会人になってからと相場は決まっていますので、皆さんはそうならないようにしてくださいね。

「私と付き合ってください!」「ごめんなさい!」「よろこんで!」どっち?

 文科省が、7月4日に「チャットGPT」などの生成AIの活用について小中高校などでどう活用するかの指針を発表しました。そのポイントは、以下のとおりです。                    

【適切でないと考えられる例】〇コンクール作品や小論文で生成物をそのまま成果物として提出、〇詩や俳句の創作、音楽や美術の表現・鑑賞で安易に使わせる、〇定期テストや小テストで使わせる                                                                          【活用が考えられる例】〇生成物の誤りを教材として使用し、生成AIの性質や限界に気付かせる、〇グループの考えをまとめる活動で、足りない視点を見つける目的で使用、〇英会話の相手として活用                                                                                             【学校での利用の際のチェックリスト】〇年齢制限、保護者同意といった利用規約を遵守しているか、〇個人情報を入力しないよう指導しているか、〇長期休業中の課題で、生成物を応募、提出すること不適切・不正な行為と指導しているか                                                                                     

 中央公論7月号に慶應義塾大学の今井むつみ氏へのインタビュー「AI時代のことば力 言語習得に見る知性の本質」が載っています。今井氏は、人間が言語を習得する際の「記号接地」体験の大切さを強調しています。「記号接地」とは、「ことばと身体感覚や経験とをつなげること。『りんご』と聞けば、その色や模様、匂い、果肉の色や食感、味、舌触りなど様々な特徴を思い出すことができますよね。」「人間が言語を習得するとは、そういうことなのです。」と説明しています。「しかし、AIはそうではありません」「チャットGPTとは『次にくることば予測機』です。」「チャットGPTが作る文章は、文法的な誤りや不自然さがなく、学生のレポートよりずっと整っているかもしれません。しかし、体験に接地せず、統計から導き出した情報を繋ぎ合わせているだけなので、内容がとても表面的です。新しい視点も独自の観点もありません。(中略)もしこれでいいと思う子どもが増えるとしたら、それは人類にとって危険です」「記号接地は創造性の源です」「今こそ記号接地の重要性を認識し、身体化された、経験に根ざした知識を習得していくべきだと思っています」
 以前に生成AIについて2回ブログに書きましたが、今も世界中で議論が続いています。皆さんは今井さんの話を読んで、どう思いましたか。私は、多くの語彙と様々な経験(読書経験含む)があって自分らしい文章が書けると考えています。自分が積み重ねてきたものがベースにあって、チャットGPTを活用するのであれば、おかしなところに気付くこともできると思いますが、そうしたものがなくチャットGPTを利用するならば、AIに思考・表現を支配されてしまうことにもなりかねません。スマホもそうですが、様々な弊害が報告される中、上手に付き合うこともできるはずです。これからAIが加速度的に進化していくことは避けられませんので、皆さんも自分の頭でAIとの付き合い方をよ~く考えてください。                 

               

                                                                                                                                                              

探究心で「もろびとの幸福」を招かん

 今日、7月11日は、「ラーメンの日」と「セブン-イレブンの日」だそうです。この二つについて書こうと思ったのは、二つとも日本文化に大きな影響を与えていると思ったからです。

「ラーメンの日」は「7」を「レンゲ」に、「11」を「箸」に見立てたことと、ラーメンを最初に食べた人物とされる水戸藩主・徳川光圀(水戸黄門でおなじみ)の誕生日にちなんでだそうで、ラーメン産業の振興・発展とともに、日本独自のラーメン文化を支えることを目的として2017年に認定・登録されました。

 2023年(令和5年)にセブン-イレブン・ジャパンは創業50周年を迎えました。「セブン-イレブン」という抜群の認知度と、社名がそのまま日付に置き換えられるわかりやすさで、記念日の登録を行うことで、更なる情報発信をするのを目的として偶然にも「ラーメンの日」と同じ2017年に認定・登録されました。 

 私は、麺類は「ラーメン」「そば」「うどん」「スパゲッティ」何でも好きですが、どれか一つ選べと言われたら「ラーメン」ですね。外国人にも人気ですが、日本人の研究熱心さから「ラーメン」は素晴らしい発展を遂げ、日本の食文化を代表するものになっています。「カップヌードル」をはじめとするインスタント麺の進歩はとどまるところがありません。他の麺類も工夫が重ねられていますが、ラーメンの種類の多さには敵わないと思います。日本人の食に対する探究心はすごいです。

 セブン-イレブンを始めとするコンビニもまた、歴史は浅いですが日本文化を代表するものになっていると思います。2002年にプロジェクトXで「日米逆転!コンビニを作った素人たち」で放映されましたが、ここでもまた、日本人の探究心が発揮されました。今や、セブン-イレブンだけでなく、ローソンやミニストップ、ファミリーマートなどコンビニはいたるところにあります。そして、そのサービスも日々進化し続けています。外国人が「日本のコンビニはすごい」という感想は、当たり前と感じている私たちには本当の意味で理解できていないでしょう。20年以上前になりますが、「POSシステムによって神の見えざる手を見えるようにする」という内容の番組を見て、コンビニ経営者の苦悩、利益を最大化するにはどうしたらよいか、24時間営業の大変さ、商品の仕入れと陳列の工夫などについて、政治経済の授業で取り上げました。陳列できる商品は限られています。1店舗で2500~3000種類と言われています。何をどれくらい仕入れたらよいのか、どのように陳列すれば一番売り上げが伸びるのか、全てはデータによって最適化が図られていきます。データの収集を担ったのがPOSシステムでした。「何、それ?」と思った人は、すぐ調べてみてくださいね。先日、「みらい学」でたくさんの卒業生の皆さんにお世話になりましたが、社会に出たら常に探究心をもって仕事に取り組み、自分の仕事がどのように「もろびとの幸福」に役立っているのか、考えてみてください。

納豆好きですか?

 7月10日は、1966年にTBSテレビで『ウルトラマン』の放送が開始されたことにちなみ、ウルトラマンシリーズの制作を手がける円谷プロダクションが「ウルトラマンの日」として制定しました。ウルトラマンについて書くと長くなるのは「火を見るより明らか」ですので、ここでやめて「納豆」について書きます。
 今日は、7月10日で語呂合わせとして大変わかりやすい「納豆の日」です。大体記念日というのは、宣伝のために制定することが多いですが、皆さんもご存じのとおり、納豆は関西では関東ほど食べられていません。そこで関西納豆工業協同組合が関西での納豆の消費拡大を目的に、関西地域限定の記念日として1981年(昭和56年)に制定したそうです。昔、「納豆(710)うまいよ平城京」なんて年号の覚え方をしましたが、納豆は奈良時代にあったかどうかは疑問です(笑)。納豆の起源については、諸説ありますが、平安時代後期の武将だった源義家が、前九年の役、後三年の役の際に奥州(現在の東北地方)へ遠征に行った際に納豆が誕生した説が東北では有力なようです。戦が長引いたことで馬の飼料が不足したため、義家は農民たちに飼料となる大豆を差し出すように命じました。急な命令だったことから、農民たちは煮たばかりの熱い大豆を冷ます間もなく俵に詰めて差し出したそうです。すると数日後、大豆は糸を引くようになっていました。これを試しに食べてみたところ美味しかったため、大豆は兵士たちの食料になったそうです。この食べ物はやがて農民たちにも広まり、農民たちも自作して食べるようになったとのことです。ほかに弥生時代説もありますが、「納豆」という語句が確認できる最古の書物は、11世紀半ば頃に儒学者・藤原明衡によって書かれた『新猿楽記(しんさるがくき)』であり、平安時代には「納豆」という言葉が存在していたことが確認されています。ただ、後三年の役は、11世紀の終わりですので、『新猿楽記』に書かれた納豆は糸をひく納豆ではないかもしれません。
 見かけが悪いものを最初に食べた人は勇気があると言われますが(特になまこ)、納豆も糸を引いているのによく食べたなと思います。1994年に刊行された「もの食う人びと」辺見庸 (著)は、世界各地で様々なものを食べるルポルタージュで、日本だと想像もできない食べ物もあり、かなり話題になりましたが、人間は生きるためにはとにかく食べなければなりません。地理の授業で世界の衣食住を学ぶとき、地形や気候、文化によって食べ物も異なってくることを学んだと思います。ただ、食べるものの違いについて学ぶだけでは不十分です。
 消費者庁ウェブページには、次のような文章が載っています。日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」が523万トン(令和3年度推計)もあります。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2021年で年間約440万トン)の1.2倍に相当します。また、食品ロスを国民一人当たりに換算すると"お茶碗約1杯分(約114g)の食べもの"が毎日捨てられていることになるのです。「もったいない」と思いませんか?
 納豆の話から、食品ロスの話に発展してしまいましたが、「食べ物を粗末にすると罰が当たる」といった昔の人は正しいと思います。残さず食べるということは、食べられる分だけ注文するか、作ることです。SDGsに関係なく、食べ物を大事にしましょう。そして感謝していただきましょう。

「みらい」のために君は何を学ぶのか?

 今日は、28名の卒業生を講師にお迎えして、1、2年次生に「みらい学」を実施しました。講師一人につき生徒4人の座談会方式で各教室に5班をセッティングし、1年次生は2、3限に、2年次生は4、5限に、実施しました。今回の「みらい学」の目的は、社会生活に対する視野と関心を広げ、高校生活で身に付けるべき力を理解すること、それらを踏まえて進路目標を具体化し、目標を達成するために必要な力を理解すること、です。1年次生は、①「働くこと」とは、どのようなことか、②高校で身に付けるべき力はどのようなものか、2年次生は、①その職業は、誰にどのように役立つのか、②役立てるようになるための力を伸ばすために何をしたのか、に焦点を当て、講師の先生を中心に対話的学習をしました。講師の方には、2コマ100分で、4回お話をしていただきました。生徒は質疑応答を通して学び合うことができました。

 本日は平日にも関わらず、後輩のために御協力いただいた卒業生の皆様に心より御礼申し上げます。はるばる関西から駆けつけてくれた講師の方もいらっしゃいました。頭が下がる思いです。生徒の皆さんも、本日の貴重な勉強を今後の進路決定のための学習に生かしてください。そして、将来皆さんが本校に来て、後輩のために話をしてくれることを期待しています。

※今日はたくさん記念日がありました。その中から「ポニーテールの日」を選びました。1995年に日本ポニーテール協会が制定したそうです。7月7日が「七夕」「ゆかたの日」であり、七夕伝説の織姫や浴衣にポニーテールがよく似合うことからだそうです。(笑) 正確には数えていませんが、本校の女生徒の8割くらいは、ポニーテールだと思いますので、付け足しました。

とこしえの0(ゼロ)

 1939年7月6日、零式艦上戦闘機の試作機の試験飛行が始まったことから、今日は「ゼロ戦の日」だそうです。零戦の設計者である堀越二郎をモデルにした映画として、2013年に公開されたスタジオジブリの『風立ちぬ』がありますが、皆さんはご覧になりましたか?私は、小学生のころゼロ戦をはじめとする戦闘機や大和などの戦艦、戦車、潜水艦などのプラモデルを作るのが好きでした。かっこいいと思っていましたが、自国を守る=敵をやっつける(殺す)機械なんですよね。身近に戦争がないので実感はわきませんが、カズレーザーの体験入隊などの番組で自衛隊の演習やブルーインパルスの飛行などを見て、「けしからん」ではなく「かっこいい、すごい」と思ってしまう自分がいます。兵器にも兵隊にも莫大なお金がかかっていますが、ロシアのように使わないでほしいものです。

 零式艦上戦闘機は、ゼロ戦の略称で知られていて、その性能と日本人パイロットの優秀さから恐れられ、敵パイロットから「ゼロファイター(Zero Fighter)」と呼ばれました。「小回りが利き、飛行距離の長い戦闘機を」という海軍の要求で堀越二郎が設計し、時速533km、航続距離3,500kmでした。しかし、速度や航続距離、旋回能力のために軽さが求められたため、防弾装備は優先順位が低くなってしまったようです。1940年の中国戦線から実戦に投入され、第二次大戦中に1万機以上が生産されました。戦争末期の1944年には、最初の神風特別攻撃隊に零戦を改修したものが使われました。科学者や技術者は、自分が作ったものが戦争によって大勢の人間を殺すことになることは仕方がないと思っていたのでしょうか。自分が作らなくても誰かが作ってしまうなら、自分が作ろうと思ったのでしょうか。原爆を作ったオッペンハイマーは、戦後原爆の使用に関して「科学者(物理学者)は罪を知った」との言葉を残しています。戦争が科学技術の進歩を促したのは、歴史上の事実ですが、科学者の探究欲求というものは倫理観では抑えきれないものなのでしょうか。これから科学技術ととともに医学も同時に進歩していきますが、医学も人体実験や臓器売買など非合法なことが行われて発展していくのでしょうか。これから先、正解のない世界で、人類はどのような答えを出していくのか。人任せにせず、考えていきしょう。

※当時の日本の軍用機は、採用年次の皇紀下2桁を名称に冠する規定になっていました。そのため零戦の「零式」の名称は、採用された1940年が皇紀2600年にあたり、その下2桁が「00」であることからつけられました。(日本は紀元前660年に神武天皇が即位したとし、この年を皇紀元年としました。)

 

ムダじゃ・・・ない?

 皆さんは、ムーミンを知っていますか。埼玉県飯能市にムーミンバレーパークが2019年に開業して話題になりましたね。私は初期のアニメを見ていましたので、現代風のムーミンには少し違和感があります。ゲゲゲの鬼太郎やルパン3世なども初期のものと現代のものがかなり違うので(かわいくなっていて)昔のほうが私はいいですね。『ムーミン』のアニメを世界で最初に作ったのは日本だって知っていましたか。アニメの主題歌で「ねえ、ムーミン、こっち向いて」というフレーズは同年代の方ならみんな知っていることでしょう。サザエさんと同じく家族で見る番組でした。スナフキンやミーのファンは多いですが、二人とも妖精だって知っていましたか。私は人間だと思っていました。ムーミン谷のキャラクターの中にジャコウネズミのマスクラットという自称哲学博士で、哲学書を好む偏屈なおじいさんが登場します。いつも、「ムダじゃムダじゃ、まったくムダじゃよ」とつぶやきます。いつも読んでいる本は『すべてがむだである事について』でした。私は、今でもよく覚えていて、このフレーズは好きです。
 というわけで、今日は「ムダ」について少し書きます。皆さんにとってムダって何ですか?どんな時に「ムダ」という言葉を使いますか?「やるだけ無駄」「無駄な努力」「時間の無駄」とか使ったことはありますか。ポジティブに考えれば自分がしたことが無駄かどうかは、死ぬまでわかりません。「幸せ」と同じように「無駄」かどうかを決めるのは、自分自身です。例えば、ぼーっとして何もしていない時間は無駄でしょうか。生産性のないことは、すべて無駄でしょうか。人生には無駄があるからこそ、気付くことも多いのではないかと思います。スケジュール帳が埋まっていないと不安で暇な時間が恐い。そうならないためにも、無駄と思えることも大切にしましょう。余裕があれば無駄も認められます。無駄が人生を豊かにするかもしれませんよ。
※残念ながら、1969年と1972年からの二期にわたってフジテレビ系で放送された『ムーミン』、通称「昭和ムーミン」は原作とあまりにも違っていたため、現在では放映もソフト化も許可されていません。YouTubeなら見られますので、興味をもった人は「昭和のムーミン」を見てみてください。

求む!異次元の教育政策

 子どもがいる世帯は、今や日本社会の少数派です。厚生労働省が実施している「国民生活基礎調査」によれば、2021年度に18歳未満の子どものいる世帯は1073万7000世帯で全世帯の20.7%でした。1989年は41.7%だったのと比べると半分になっています。2023年4月に発足した「こども家庭庁」は「こどもまんなか社会」の実現に向け、子ども政策に全力で取り組むとうたっています。以上は6月30日付の内外教育という教育冊子の巻頭コラムにあった文の一部です。
 私は、「異次元の少子化対策」で「異次元」な政策をぜひ実現してほしいです。経済的支援の強化と若い世代の所得向上、子育て世帯への支援拡充、共働き・共育ての推進、社会全体の意識改革という4つの柱があるようですが、財源問題が大きく横たわっているようです。「こども家庭庁」も理念は素晴らしいと思いますので、結婚・妊娠・出産・子育てに夢や希望を感じられる社会の実現、少子化の克服のために、ぜひお金と人を手当して効果的な政策を実施してほしいと思っています。

 子育て・教育政策として「保育所待機児童ゼロ」と「義務教育における1クラス当たりの児童生徒数を欧米並みに減らすこと」を、ぜひお願いしたいと思っています。少人数クラスのほうが学力が向上するかどうかが不明なことが、財務省がなかなか予算増加を認めない理由のようですが、小学校教員になることの不安を取り除いて志望者を増やすために、「専科教員」も大事ですが2クラスに一人副担任をつけてほしいというのが切実な願いです、残念ながら日本は先進国の中でも特に教育と子育てにおける家計負担が大きく、国が最もお金をかけない国です(義務教育までは手厚いようですが。OECDの調査結果を見ると暗くなります)。

 現在の少子化対策で最も優先すべきは、既に子どもがいる世帯への補助よりも、若者が結婚できる精神的経済的環境作りではないかと識者が言っていましたが、私もそうだと思います。(若者が結婚したくないと考えているなら話は別ですが。戦前戦中の「産めよ殖やせよ」は通用しなく、結婚も出産も個人の自由なので。) 若者の経済的安定と結婚問題は、すぐにどうにかできる問題ではないし、予算が確保できない(増税もできないし、国債も発行できない)のであるならば、少子化が止められないと仮定して、各政党は将来どのような社会になるかを予測して国民に対策をきちんと説明し、選挙を通して考えてもらうしかないでしょう。周辺諸国のことを考えると防衛費の増額も喫緊の課題ですが、人口問題と教育問題は社会を変えてしまいますので、ぜひ大胆な政策をお願いしたいと思います。ただ、数十年後に日本の人口が大幅に減少しても、科学技術がその分進歩していれば状況が悪化しているとは限りません。(例えば、若返りの薬の発明、高齢者でも力仕事ができるパワースーツの発明、ロボットによる肉体労働の代替、安全で安価なクリーンエネルギーの開発など)
 こうした正解のない問いに対して、よりよい解答、「納得解」を考える力をつけるための勉強を、生徒の皆さんはしているわけです。現代社会の課題を多面的多角的に捉えて考え、判断し、自分の意見を表明できるようになってください。自分たちの将来にかかわることですから。

子ども神輿と少子化問題

 昨日、自治会の子ども神輿が「わっしょい!わっしょい!」と暑い中を練り歩いていました。こちらもコロナ禍で中止が続き、4年ぶりでした。娘二人が小学校を卒業してからもしばらくお手伝いをしていましたが、世代交代し手伝いに出なくなってから随分たちます。昔は、途中で4回ほど休憩し、果物や麦茶やアイスなどをもらったり、ホースで水をかけてもらったりして、お賽銭を集めながら地区内の家を回っていました。疲れてくると子どもが御神輿にぶらさがるので、持っている大人は大変です。暑い中、御神輿を担ぐのを手伝いながら、声も出していましたので、大人も大変ですが、途中の飲食店で冷えたビールをいただけるのが楽しみでした。ビールを飲めるのを楽しみにして参加している人もいましたので。

 私が住む地区は、新興住宅地で小学生が比較的多いため、子ども神輿も賑やかですが、少子化のため、地区によっては小学生が一人しかいなくなってしまったところもあります。私の子どもが通った小学校も近隣の小学校2校と統合し、統合される2校の児童は通学バスで通うことになります。今後10~20年で、高校も統合や学級減が進むことになりますが、生徒数の減少によって学校行事や部活動が影響を受けて、活気がなくなるのが心配です。日本の人口が、このまま減少していった時、日本人はどのような選択をするのか、よく考える必要があります。農業や工業などの経済活動を維持するための労働力をどう確保したらよいか。生徒の皆さんは、地歴公民科目をしっかり学習し、根拠とともに自分の考えがもてるようになってください。