日誌

2023年12月の記事一覧

今年最後のつぶやきは・・・

 今日は、2学期の終業式と表彰伝達式を実施しました。午前中だったため昨日の予餞会よりも寒く、防寒着を着用してもいいとはいえ、寒がりの人はきつかったかなと申し訳なく思います。ただ、リモートで会議室から行う式は、学校としての一体感に欠けるところがあるので、なるべくなら避けたいという気持ちがあります。特に表彰伝達は全校生徒の前で祝ってあげたい気持ちが強いです。校長式辞だけならリモートでもかまいませんが(正直言ってパソコンの画面の前で話をするのは味気なくて嫌ですけどね)。

 式辞の前に校歌斉唱があり、私も息切れするくらい声を出して歌いました。しかし、残念ながら吹奏楽の音ばかりが響いて生徒の声が聞こえてこなかったので、式辞の最初に予定を変えて校歌の話をすることにしました。3年次生は、コロナ禍で校歌を歌う機会が大幅に減ったこともあるので気の毒ですが、現在はそれを理由にはできませんので、卒業式までには大きな声で歌えるようにしてくださいとお願いしました。本校の校歌は「清きいのち」という名前がついており、非常に珍しいものです。前奏が長いことと全部歌うと7分を超えるのも、特徴的です。校歌を全校生徒で大きな声で歌うというのは、太田東高校生としての一体感を得るためです。愛校心は、強制されるものではなく、自然と湧きあがるものですが、校歌については強制とは言わないまでも、できれば歌ってほしいですね。私は小中高の校歌を今でも歌えますし、異動先の学校の校歌もすぐ覚えるようにしています(通勤の車の中で聞きながら)。母校の校歌は、ぜひしっかり覚えてほしいです。

 式辞では、次のような話をしました。2、3年次生に、昨年の2学期の終業式で、私が何を話したか覚えていますかと問いかけました。「吐く」という漢字について3度目の話をしたことと、新入生への部活紹介で男子テニス部が私が式辞のために作った「吐」の漢字のボードを使ったことを話し、思い出してもらうようにしました。授業でも本当に覚えてほしいことは導入・展開・まとめで3回繰り返す必要があり、1年間の授業では最低30数時間、多ければ120時間以上、話せる機会がありますが、校長式辞は一発勝負ですので、皆さんの心に残すにはどうしたらよいだろうかと考えますということを話しました。私も今まで色々な方の話を聴いてきましたが、その人の話ぶりはすごかったという記憶はあっても残念ながら細かい内容はほとんど覚えていません。覚えているのは、話す人の迫力やエネルギーです。エネルギッシュに話す人、淡々と穏やかに話す人、タイプは違っても真剣さは伝わってきます。ただ、言葉を心に残そうとすれば、そしてそれを自分の中で消化して生かそうとすれば、メモして繰り返し見たり読んだりする必要があります。私は、昔二人の上司から正反対のことを言われて悩みました。それは「人の話はメモしながら聞くものだ」「メモなんかしないで、真剣に聞いてその場で頭に入れろ」というものです。私は、人間は忘れてしまうものなので、やはりメモしながら聞き、見返すことが大事だという結論に達しました。

 習得・活用・探究という過程を経て、学習したことは真に身に付きます。スマホですぐに検索できるから、AIに聞けば、すぐ答えてくれるからと、知識の習得を怠れば、頭の中での活用・探究に支障が出ます。多くの知識と経験があって、頭の中で関連付けが行われ新たなアイデアが生まれます。ただ、一問一答式のクイズの知識ではなく、それがなぜ重要なのかがわかる知識がリンクされないと、生きた知識にはなりません。活用・探究を通して生きた知識を身に付けてください。暗記すればいいという考えは、長い目で見て役に立たないということになりかねません。よく覚えておいて、今後の学習で気を付けてください。

 さて、令和5年度は、まだ3か月ありますが、令和5年は、あと少しで終わります。今年のお正月に立てた目標、もしくは4月に立てた目標は達成できたでしょうか。振り返って来年の目標に生かしてください。

 本当に色々な問題が今年も地球上で起きました。戦争がその最たるものですね。テレビやインターネットを通して多様な情報が毎日届けられます。それらの情報について考え、判断し、どう自分が生かしていくのかを考えることが大切です。「なるようにしかならない」「なるようになる」は精一杯努力した後に思うことなので、「なせばなる」の精神で、自分の道を切り拓いていきましょう。それでは、よい年を迎えてください。

美しき予餞会

 今日は、4年ぶりに全校生徒が体育館に集まっての予餞会が実施できました。昨年は残念ながら、1、2年次生は教室で中継された映像を見ることになってしまいましたが、今年は全校生徒一体となった予餞会ができました。一言で言えば、「素晴らしい予餞会」でした。予餞会の企画準備に携わってくれた生徒会の皆さん、動画の中や壇上でパフォーマンスをしてくれた1、2年次生の皆さん、御指導と御援助をいただいた先生方に感謝いたします。ありがとうございました。吊り看板や壁の飾りつけなども素晴らしいものでした。挨拶で「私は学校行事の中でも、この予餞会が最も美しい行事ではないかと思います。それは送る側も送られる側も感謝の気持ちが詰まった行事だからです。」と話しました。それと、「恩送り」の話をしました。恩返しと違って、「恩送り」は、別の人に返します。典型的な「恩送り」は、親から子へのものです。親に育ててもらった恩は大きすぎて返せないので、自分の子どもに返していきます。1、2年次生の皆さんが3年生から受けた恩は、それより多くして下級生に返してあげてください。それによって太東がさらによくなっていくことでしょう。私は、不覚にも最初の1年次生の合唱でほろりときてしまいました。その後は吹奏楽部の演奏や部活動・クラスの有志による動画、ステージ上でのパフォーマンスなど盛りだくさんで、色々な工夫と趣向が見られ、素晴らしいものでした。3年次生に楽しんでもらって激励しようという心意気が伝わってきました。時間をかけて練習したり、動画を撮って編集したりした努力を3年次生も感じ取ってくれたと思います。異動された先生方からの温かい激励の言葉が入ったビデオレターで先生方が画面に現れると大きな歓声が上がっていました。最後の3年次担任団の動画とパフォーマンスは笑いあり感動ありの素晴らしいものでした。鈴木年次主任の応援団の経験を生かしたエールは、生徒たちの心に強く届いたことでしょう。はなむけを3年次生に贈ってくれた皆さん、お疲れ様でした。

 

メシアらっきょう

 昨年の12月12日のブログで「今年の漢字」に選ばれた「戦」を取り上げましたが、今年は「税」が選ばれ、昨年も今年も明るい意味の漢字ではなかったのが残念です。10位に「楽」が入っています。日本教育新聞の記事によれば、ニフティのアンケートで、小中学生、高校生による今年の漢字に「楽」が選ばれたそうです。3年連続の1位で、2位は「推」、3位は「恋」でした。子どもたちの方が明るさを求めているのでしょうか。1か月間の調査で1192人が回答し、小学校5、6年生の回答が多かったそうです。「楽」はコロナの収束で学校生活が戻り「楽しい」と感じた子どもたちが多かったようで、「推」は「推し活」の「推」らしいですね。マンガ「推しの子」の影響も大きいのでしょう。「楽」は、大きく「らく」「たのしい」の二つの意味がありますが、今から45年前、漫画家のこばやしよしのりさんの作品に「救世主ラッキョウ」というハチャメチャなマンガがありました。彼のマンガは「東大一直線」「おぼっちゃまくん」などハチャメチャなマンガが多いですが「救世主らっきょう」はなんと新興宗教をテーマにしたマンガです。神と仏とキリストの血を引くという少年・中華楽狂が、自ら考案した宗教「ラッ教」(楽教)を世に広めるため、地道かつ破天荒な活動を続けていくギャグマンガです。現実世界の教祖は作者であったため、マンガであるにもかかわらず、入信希望のハガキが殺到し、会員制にしたところ会員証の印刷代が原稿料よりもかかるようになってしまい、ファンの会員とのトラブルもあって作者のこばやしさんは嫌気がさし、急遽連載は終了してしまったといういわくつきのマンガです。「人は楽しく生きねばならぬ、人は楽に生きねばならぬ」という主人公の言葉に共感した若い人が多かったのでしょうか。仏教では「一切皆苦」「四苦八苦」という言葉があるとおり、現世では「苦」を避けて生きることは不可能でしょう。そして「苦あれば楽あり」という言葉があるように、楽だけ存在するということもありません。(苦を全部楽と捉えれば別ですが) なぜなら「楽」は「苦」があってこそ実感できるからです。「楽しく勉強(部活)する」「楽して勉強(部活)する」皆さんは、どちらですか。「楽しく勉強する」のは皆さんの工夫次第です。(先生方の力添えもありますが)「楽して勉強して身につけることは、一見効率的でよさそうですが、しょせん楽して身に付けられることは程度がしれています。そこに真の喜びや満足はないですよ。」ではないでしょうか。楽しく学校生活を送ることは大切だと思いますが、楽して学校生活を送るのは貴重な青春時代を無駄にしているような気がします。皆さんは、どう思いますか。楽な生活がいいですか。

ライス→ライク→ライフ→ライト

 以前にキャリア教育について、「夢なし先生の進路指導」の話や「13歳のハローワーク」の話などを書きましたが、今日は次の文を読んでみてください。


 生活の糧を得るために働くことを「ライスワーク」といいます。仕事が面白くなってきた段階を「ライクワーク」といいます。さらに心を込めていけば、好きな仕事は人生をかけてもいいと思える仕事、則ち「ライフワーク」になります。「ライフワーク」を極めていくと、多くの人に喜びを与え、社会に光を当てられるようになっていきます。その仕事を「ライトワーク」といいます。問題は、仕事そのものではなく、仕事に対する考え方なのです。


 仕事について、とてもわかりやすくきれいにまとめてくれていますが、よほどのお金持ちでない限り、皆さんは生きていくためにいずれ働いて生活費を稼がなくてはならなくなります。その時、仕事についてどう考えるかが非常に大事です。今は昔と違って、懇切丁寧に「生き方・在り方」に関する進路指導を行っており、興味関心・能力・適性などを調べ、どんな職業が向いているかアドバイスしてくれます。なんていい時代・・・と思いますか?私は天職に巡り会えるのは「運」と「縁」だと思っています。そして、その「運」と「縁」も普段の自分の行いが引き寄せるものだと思っています。最初は「ライスワーク」でもよいので、仕事に打ち込んでいるうちに「ライトワーク」になることを祈っています。

どうなる?郵便

 今日は、びっくりするニュースが飛び込んできました。最近は値上げのニュースがあっても、またかという感じでしたが、25グラム以下の封書(定形郵便物)の郵便料金の上限を現行の84円から110円に、はがきも63円から85円に改正する省令案が総務省から発表されました。来年の秋ごろに値上げする方針らしいですが、封書料金は1994年以降据え置かれており、約30年ぶりの値上げになるということで、そこに驚きました。10年ひと昔と言いますが、そんなに値上げしていなかったんだと逆に大したものだと思いました。先日、年賀状の減少について書きましたが、スマホの普及とネット広告の増加によって郵便物数は減る一方です。賃上げや輸送コストの高騰もあり、日本郵便は昨年3月期決算で郵便事業が2007年の民営化以降では初めて赤字に転落し、料金値上げを検討していたようです。日本郵便は今回の値上げで重量区分をなくして料金を110円に統一する方針です。私が郵便料金を意識したのは、小学校で年賀状を出すようになった時ですが、その時ハガキは10円でした。下の表は途中を省略していますが、ハガキは47年間で6倍にもなっています。これは果たして高いのでしょうか。日本は郵便局が減ってきているとはいえ、2万5千弱あり、セブンイレブンよりも多いです。しかも、セブンイレブンがないような過疎地までカバーしています。お年寄りにとっては、なくてはならない機関です。ただ、昔は懸賞などハガキで行っていたことが、スマホやパソコンで代替されるようになってきているので、郵便が増える明るい見通しはないようです。今後は、価格やサービスの面で宅配便との競争は進むかもしれません。紙の郵便物が普通であった昔を知っている人間からすると、手書きのハガキや封書には、デジタルにはないよさを感じますが、そうでない世代にとっては、そういう感覚はないのかもしれません。近い将来、文字を手書きすることはなくなってしまうのでしょうか。硬筆・毛筆は文化として学校教育で続けてほしいと思います。皆さんは、文字を書くよりパソコンやスマホでの入力のほうがいいですか?

みんないい!何が?

 次の文章は、ある青年の回想です。(少し語尾を変えてあります)

 広汎性発達障害で友だちができず、集団行動がとれない自分に担任が面談で言ってくれた言葉が「ひとりでも堂々としていられるお前のキャラは、この先、確実に強みになる」でした。また、一人でいることへの批判と同じくらい自分を苦しめてきたのが「強くなれ」という言葉でした。上手に話せない、人の輪には入れない。「弱い」というのは、いけないことだと刷り込まれてきました。担任の「みんなが優しくあれたのは、お前の弱さがあったからだ」という言葉に今までの人生が許された気がしました。

 上記の文章を読んで、皆さんはどう思いましたか。昔は、発達障害という言葉は現在のようにポピュラーではありませんでした。先生方が研修等で勉強し始めてから20年はたっていません。平成17年4月から「発達障害者支援法」が施行されているので、それ以降です。発達障害を簡潔に説明すると、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など、脳機能の発達に関係する障害です。 発達障害のある人は、他人との関係づくりやコミュニケーションなどがとても苦手ですが、優れた能力が発揮されている場合もあり、周りから見てアンバランスな様子が理解されにくい障害です。

 現在、発達障害に関する本が書店でたくさん並んでいます。それほど、悩んでいる大人や子どもをもつ保護者が多いということでしょうか。私が過去に担任した生徒の中にも、発達障害ではないかと思う生徒は少なからずいました。うまくコミュニケーションがとれないことで悩んでいた生徒も多かったと思います。黒柳徹子さんが発達障害であることをカミングアウトしていることや、「みんなちがって、みんないい」という金子みすゞさんの言葉は、発達障害の子を勇気づける言葉でありました。長所も短所もありのままの自分を肯定する。ただ、発達障害だから全部仕方ないと思ってしまうと進歩はありません。自分にどんな特性があるのかを理解した上で、対策を考えることはできます。人間は社会的動物と言われるように社会と全く没交渉で生きることはできません。個別の色々な特性を理解して、寛容になれることが社会でみんなが幸せに暮らす上で必要なことではないでしょうか。昨今は、SNSの発達で寛容性が失われているような気もしますが、皆さんはどう思いますか。

難局物語

 今日は、赤穂浪士47人が江戸・本所松坂町の吉良邸に討ち入りし、主君の仇討ちをした日であり、ノルウェーの探検家ロアール・アムンセンと4人の隊員が世界で初めて南極点に到達した日でもあります。毎年、この時期になるとテレビでも赤穂浪士討ち入りの番組が組まれるので、知っている人も多いと思います。南極には1957年に日本の昭和基地が開設され、現在は、世界の気象観測網の拠点にもなっています。約30名の隊員が1年間観測活動を行っています。その南極大陸での南極観測隊の苦難とそり犬たちの悲劇を描いた映画があります。1983年の「南極物語」です。南極大陸に残された兄弟犬タロとジロと越冬隊員が1年後に再会する実話を元に創作を交え、北極と南極でロケを実施し、撮影期間3年余をかけ描いた大作映画です。私が大学生の時の映画で、大変話題になりました。キャストも高倉健さんや夏目雅子さんなど豪華でした。

 現在、地球温暖化の影響で両極の氷が解け始めています。南極の氷の厚さは最も厚い所で4,500m、平均2,450mです。 南極の氷が溶けてなくなると、現在より海面が40〜70m上昇すると考えられています。関東平野がほとんど水没するかもしれません。ただ、日本史で勉強したと思いますが、地球が誕生してから46億年の歴史をさらに長い目で見ると、地球は約10万年ごとに暖かくなったり(間氷期)寒くなったり(氷期)を繰り返してきたことが分かっています。東京の内陸から貝塚が発見されるのは、海岸が現在より内側にまできていたことを示しています。地球温暖化は、二酸化炭素の増加が原因と考えられ、太陽光発電の推進や脱原発、ガソリン車からEV車へのシフトなどの対策が進められてきましたが、二酸化炭素が原因ではないとする科学者グループの声が大きくなり、EVの問題点もクローズアップされ、EV離れが進んでいます。二酸化炭素とは関係なく、温暖化は進んでいるというのです。これが本当なら、今までの対策は何だったのでしょうね。人間の力の及ばないところで、宇宙は動いており、人類は地球が沸騰するのを指をくわえて見ていることしかできないのでしょうか。 皆さんも今後の地球温暖化と二酸化炭素の問題を注視してください。

女の子のなりたい職業は?

 今日は美容室の日らしいですが、理由が笑えました。12月は美容室に多くの客が訪れる月だからというのはいいとして、13日は「13」をくっつけると「Beauty」の頭文字「B」になることからだそうです。                                                          

 皆さんは、美容院と床屋のどちらに行っているでしょうか。女生徒は、ほぼ美容院かと思いますが、男子はまだ床屋が多いのでしょうか。私は、高校までは小さい時から行っている近所の床屋に行っていて、美容院に行くようになったのは大学生になってからでした。今通っている美容院は、もう24年の付き合いです。皆さんは、理容師と美容師の違いはわかりますか。端的に言うと、理容師は「髭剃り、顏剃り」ができるが、美容師はできないということです。私は床屋さんで、顔をそってもらうとともに耳掃除もしてもらっていました。美容院に行くようになって、「あっ、美容院はやってくれないんだ」と知りました。顔剃りと耳掃除は気持ちよかったんですよ。    

 私が最後に担任した生徒の中に、美容師になって原宿で店長をしており、テレビにもでるくらい成功している子がいます。3年次の成績はクラスで1、2位を争うほどで部活も頑張っていて、昔から美容師になりたいという夢を忘れずに努力しました。夢を叶えて成功できてよかったと思います。小学生の女の子のなりたい職業で美容師とパティシエが10位内に入っていますが、女の子が手に職をつけるといった場合、この二つが双璧なのでしょうね。今はイラストレーターも入っています。医師・看護士が1位、2位で、薬剤師が6位、獣医が9位と医療関係は人気ですね。本校の生徒も看護士と薬剤師を目指している人は多いようです。ぜひ、頑張って夢を叶え、人の役に立てるようになってください。

ワクワクはチャレンジから

 昨日は、キャリア教育で自らの生きる道を選ぶにあたり、「夢なし先生」の話をしました。その続きとして、地元の偉人である向井千秋さんの言葉を紹介します。彼女は日本人女性初の宇宙飛行士であり、お医者さんでもありました。

 「若くして亡くなってしまう人、生まれてから病院を一度も出ることなく死んでしまう子どもを見てきました。それを思えば、宇宙に行くとか新しい分野の仕事をするとか、自ら道を選ぶことができる人って「選べる」だけで幸せだと思うんです。チョイスがある人は、ない人のためにも生き抜くべきだし、知らない世界に足を踏み入れたからといって、死ぬわけじゃないんだから、前に進んで、やりたいことをやりぬくべきだと思うんです。」「生きているものは何でも美しい」「努力って目標を達成したい気持ちさえ強ければ、周りが思うより大変じゃないんです。一番辛いのは、目標が見つけられないとき」

 以前に「胸に刺さる言葉」として「やれる可能性のあるやつが 努力しないのを見ていると 胸倉をつかんで “俺と代われ”と言いたくなる」という白血病の青年の言葉を紹介しました。向井さんの「選べるだけで幸せ」という言葉は、何に対しても感謝の念を持てれば、「幸せ」のハードルは限りなく低くなっていくということでもあります。次のお笑い芸人の言葉を読んでください。

「新しいことをする時、いつも決まって「ざわざわ」「どきどき」「びくびく」が現れて不安になるんです。と、友人に相談したら、「え~っ、もったいない。僕だったら楽しみ~!」って思うよ。わくわくするよ。」

 新しいことにチャレンジできることを「幸せ」と捉えれば、「ざわざわ」「どきどき」「びくびく」が「わくわく」になりますよね。本校の入学者の受け入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)に「学校をワクワクする場所にしたいと考えている人」というのがあります。皆さんには、ぜひ新しいことに「ワクワク」しながらチャレンジしてもらいたいと思います。

夢はバラ色?それとも・・・

 「日本教育」という小冊子の連載コラムに「教師に読んでほしいマンガ」というものがあります。そこで紹介されていた「夢なし先生の進路指導」というマンガについて書きたいと思います。私は、紹介文を読んですぐに注文して読みました。それは、キャリア教育についてのマンガだったからです。本校の校務分掌では平成19年度に「進路指導部」から「キャリア教育部」という名前に変更されています。それから、本校は総合的な学習の時間とキャリア教育に関連する学校行事の企画・運営を中心に行ってきました。そして、それらの経験を生かして、平成25年度から平成27年度の3年間は文部科学省から研究指定され、各教科・科目等においてもキャリア教育の実践を意識した研究を実施してきたという経緯があります。

 「子どもには無限の可能性がある」という言葉を聞いたことがあると思います。美しい言葉でもありますが、小中学校と違って、高校では就職・進学といった現実的な出口指導をすることになります。「夢(希望)・適性・能力」が進路選択に必要になってきます。このマンガの主人公である、元キャリアコンサルタントの数学教師は、生徒の進路相談に対してネガティブな忠告をするために「夢なし」と呼ばれていました。教師は、生徒の夢が叶うようにどうしたらよいかを助言し背中を押す役目をもっています。しかし、その一方で現実について語り、生徒によくよく考えてもらうことがないと、無責任ということにもなってしまいます。この「夢なし」先生は、生徒の卒業後まで追跡し、声掛けします。「何かを諦めるのも悪くない」と夢の呪縛に苦しむ生徒に投げかけます。「諦める」は普通良い意味には使われませんが、その語源に「明らかにしてよく見極める」という肯定的な意味があるのです。自分の人生の道を一つに限定してしまうのではなく、よく考えて新しい道を探せるように動いてほしいというメッセージが受け止められました。将来の夢が明確にある人は、目標に向かって精一杯努力してほしいですが、実際に経験しないと気付けないことも多いので、「物事を明らかにして見極められる力」を身に付けてください。そして、新たな道を見つける勇気も大切です。

戦争と悟り

 今年は修学旅行で広島に行き、平和記念公園でガイドさんから、覚えておいてほしい日付の話がありました。8月6日、9日、15日です。順に広島、長崎へ原爆が投下された日、そして終戦記念日です。原爆資料館の入場待ちをしている時にガイドさんと話をしていて、「私が授業をもっていたころは、それらに加えて6月23日と12月8日も覚えておいてほしい日付として生徒に話しており、テストにも出していました」と伝えると、近現代史の学習が不十分と嘆かれていたガイドさんは喜んでいました。6月23日は沖縄戦終結の日、12月8日は太平洋戦争が始まった日です。昨年も太平洋戦争とパール判事の話と歴史を学ぶとはについて書きました。戦争を始める時は、他国から非難されないように自分の国に大義名分がある正義の戦争?というふうになるように策略して始めます。だから、戦争するどの国も自分の国が正しいと思っており、始末が悪いです。「勝てば官軍」という言葉があるとおり、勝ったほうが歴史を自分の都合の良いように書き換えますので、負けたほうの歴史は消されてしまうことも多いわけです。歴史は研究が進むと、新しい事実がでてきますので評価が変わることも珍しくありません。ただ、それは言論の自由や表現の自由がある民主主義国家に限りますが。アメリカと戦った太平洋戦争は、日本にとって大きな歴史の転換点になった戦争です。なぜ、日本はアメリカと戦うことになったのか。裏でどんな駆け引きがあったのか、原爆はなぜ落とされたのかについて多角的多面的観点から考えてみてください。

 さて、今日はお釈迦様が悟りを開かれた日でもあります。成道会といいます。 何を悟ったのかと言えば、人間の苦しみの原因と苦しみからの解放についての真理と知恵です。その内容は般若心経の中で平易に述べられています。こんなに簡単に言ってしまうと、専門家から怒られそうですが、この世のものはすべて「空」であるという真理が理解できれば、「苦」から救われるのでしょうか。心の持ち方一つで、「苦」は「楽」に変化するのでしょうか。日々生かされていることに感謝して、笑顔で過ごしたいものです。

大雪と冬至

 今日は、「二十四節気」の一つ「大雪(たいせつ)」です。日付は、年によって異なるようですが、近年では12月7日のようです。次の節気は「冬至」(12月22日頃)です。冬至は、1年の中でいちばん昼の時間が短く、夜の時間がいちばん長い日です。冬至には柚子湯に入る習慣がありますが、運を呼び込む前に体を清めるという意味があるそうです。冬が旬の柚子は香りも強く、強い香りには邪気がおこらないという考えがありました。また、柚子は実るまでに長い年月がかかるので、長年の苦労が実りますようにとの願いも込められているそうです。12月22日は2学期の終業式なので、冬至については早いですが、ここで書かせてもらいました。

 さて、「大雪」はというと北風が吹いて雪が激しく降り始める頃という意味で、冬至までの期間も意味します。この時期に日本には「冬将軍」と呼ばれるシベリア寒気団がやってきて、日本海側には大雪を、太平洋側には冷たく乾燥した空っ風をもたらします。群馬県民の皆さんには御馴染みの赤城おろしですね。今シーズンは暖冬予想が出ていますが、2月に寒気と南岸低気圧のタイミングが合うと大雪の恐れもありと予想されています。受験シーズンですので、受験生・保護者・先生みんなが気にしています。大雪(おおゆき)にならないように祈りましょう。昨日と違って、今日は午後から突風といってよいほど強い風が吹きましたが、外で部活動をしている生徒の皆さんが、風邪をひかないように祈っています。

年賀状出してますか?

 日本教育新聞の一面に「不易流行」というコラムがあります。12月4日付の記事で年賀状について書かれていました。年賀状は、ここ20年で発行枚数が3分の1になり、昨年の発行枚数は16億4千万枚だったそうです。令和4年の日本郵便の調査によると、小学校6年生男子の18.6%、中学校3年生男子の22.9%が前年に1通も年賀状を受け取らなかったそうです。今では、スマホで「あけおめ」やスタンプで済んでしまうことから若い人は年賀状をほとんど書かないのではないかと思います。皆さんはどうでしょうか。私は最も多く年賀状を出していた時で100枚超、今では普段会わない人にだけ出しているので20~30枚です。私はかなり年賀状に凝るほうだったので、今や懐かしいプリントごっこで10色刷りの版画を刷ったことや、全てイラスト入りの手書きで一枚一枚違う年賀状を書いたこともあります。家族写真を使うようになってからは、デジタルで加工するくらいで作成にそれほど時間はかけなくなりましたが、昔は本当に年末に時間がかかる作業でした。

 さて、子どもが年賀状を書かなくなったことで何か問題でもあるの?ということですが、自分の家の住所を正しく言えない子どもが増えているそうです。小学校6年生で住所を正しく言える児童は60.6%で、平成24年の84.5%と比較して24%も減っています。昔なら小学生で迷子になって自分の家の住所が言えないと困るということもあったでしょうが、今はスマホに住所も電話番号も入っていて、地図アプリも入っているので自分の家の住所が言えなくてもいいんじゃないのと思う方もいることでしょう。ただ、コラムでは自分の住む地域社会の理解不足、ひいては地域社会の一員としての意識の低下につながると警鐘を鳴らしていました。皆さんは、自分の家の住所と郵便番号は言えますよね?それと、自分が住む地域のことをどれくらい知っていますか。

ゾンビ映画で探究?

 「日本教育」という教育冊子の12月号が届いたので、開いてみると、「ゾンビ映画でも探究はできる!?身近なテーマを見つけて掘り下げよう」というタイトルが目に飛び込んできました。近畿大学総合社会学部准教授の岡本健先生の巻頭インタビューでした。岡本さんは、中国文化の授業で「香港武侠映画を1本選び、授業で学んだ方法で分析せよ」という最終レポート課題が出されたので、レンタルビデオ店に行って作品を選んでいたところ、たまたま近くに並んでいたゾンビ映画を手に取ったそうです。そして、その作品のひどさに驚き、なぜ、レンタルビデオ店にこんなにひどいゾンビ映画が数多く並んでいるのか?という疑問をもったことが探究心に火がついたきっかけだと語っていました。皆さんも、なぜ、こんなものが売れるのだろうとか、人気があるのだろうと思ったことはありませんか。また、ゾンビ映画は全世界で作られていて、その国の文化や本音などが知れるという異国間の理解に資する一面もあるとも述べていました。どんなに人からバカげたものと思われても、自分が興味をもち探究してみたいと思えば、探究はできるのです。実際、世界には「えっ?こんなものを長年研究しているの?」という人もたくさんいます。テーマをどれだけ多角的多面的に捉え、分析し、疑問に思ったことを追究することができるかは、自分が選んだテーマを本気で面白いと思い、探究したいと強く思ったかにかかっています。今から25年ほど前に、少人数の日本史の選択授業を担当していた時、夏休みの宿題として探究したいテーマを生徒に決めさせてレポートを課したことがありました。そこで日本のファッションの歴史について調べて考察した女子生徒がいました。古代から現代までのファッションの変遷と「なぜ、そうしたファッションが生まれたのか」に疑問をもち、機能性とデザインに注目して自分の意見を書いていました。その生徒はアパレルメーカーに就職しましたが、好きなことなら調べていくうちに次々と疑問が生まれてくると思います。現在、総合的な探究の時間がすべての学校にありますが、自分の好きなことを見つけて探究し、それが大学で勉強できて職業にも生かせたなら最高ですね。

宇宙人と幽霊の存在を信じますか?

 先日は、映画の日ということで書きましたが、1982年の今日はアメリカのSF映画『E.T.』が日本で公開された日です。私は大学生でしたが、映画館には行かずにビデオで見ました。生徒の皆さんが生まれる前の映画ですので、見たことがある人は少ないかもしれませんが、実は大変な映画です。監督・製作は、かの超有名なスティーヴン・スピルバーグで約1000万ドルという予算で製作され、観客は1000万人を突破し、アメリカ国内だけでおよそ3億ドルという当時の映画史上、最大の興行収入を記録しました。全世界では1993年公開の『ジュラシック・パーク』、日本では1997年公開の『もののけ姫』に抜かれるまで、映画の配給収入の歴代1位を守っていたのです。「E.T.」は「Extra-Terrestrial」の略で「地球外生命体」のことですが、簡単に言うと宇宙人のことですね。宇宙人を描いた小説・漫画・映画は枚挙に暇がありませんが、宇宙人を描いた最初の小説として最も知られているのはウェルズの「宇宙戦争」かもしれません。火星のタコ型宇宙人が出てくるものです。日本のかぐや姫も月から来ているので宇宙人なのですが、外見が人間なのでそういう感じがしませんよね。「地球外生命体」というとエイリアンやプレデターを思い浮かべてしまいますが、どちらかというと友好より危険というイメージが強いです。以前にアメリカで宇宙から交信のような電波が届いたことに対して応答するなという命令があったという話を聞きました。なぜかというと、その相手が地球人より進んだ生命体で敵対しないとは限らないからだそうです。宇宙で地球以外に生命体がいないと考える人は、ほぼいないと思います。では、幽霊はどうでしょうか。こちらは、いないと答える人は宇宙人よりは増えるかもしれません。ただ、いないことを証明するのは「悪魔の証明」といって、証明することが不可能か非常に困難です。物質が原子や電子、中性子そして素粒子からなっていることが発見されましたが、霊魂が存在することは証明されていません。しかし、実は、今も昔も、まじめに科学者が幽霊は存在するかしないかを議論しているのです。まだまだ、この世の中はわからないことだらけです。宇宙から人間の身体の内部まで、研究する余地は無限です。皆さんの中に、将来これらのことについて研究する人も出てくるかもしれませんね。これ以外にも、わからないことに対して知的好奇心を持ち続ければ、人生は面白くなると思います。ぜひ、色々なことに興味をもって、これからの生活に生かしてください。

いやーっ映画ってホントにおもしろいですね。

 昨年の12月1日は、師走について書きましたが、今日は「映画」について書きたいと思います。今日は「映画の日」で、映画を劇場で観ることの魅力をより多くの人に知ってもらうことが目的として制定されましたが、映画の一般公開60周年を記念したものであり、日本における初めての映画の有料公開という「映画産業発祥」を記念した日でもあるそうです。ただ、この日に公開された映画は、今日のスクリーンに映写されるタイプではなく、1人ずつ覗き込んで観るタイプの「キネトスコープ」と呼ばれるもので、発明家エジソンにより発明されたそうです。映画と言えば大人数で大画面で見るものと考えている現在では、一人ずつ顕微鏡をのぞき込むように見るなんてなかなか想像できませんね。今日は、映画関連の多様な催しが行われるようですが、映画館の入場料割引もあります。鑑賞料金は、一般1800円で、普段から色々な割引がありますが、イオンシネマや他の映画館でも今日は1000円みたいですね。私が小学生の時は700円で2本立てで映画が見られました。一度に2本映画が見られるなんて、生徒の皆さんは「ホント?」って思うでしょうね、私が最近見た映画は「ゴジラ-1.0」ですが、怪獣映画でこれほど泣けるとは思いませんでした。ただ、怪獣映画とは言っても、社会問題がテーマですので大人に見てほしい映画です。特撮からCGへと画面は進化していますが、テーマ自体は変わっていません。高校生の皆さんにも、見てほしい映画ですね。タイトルは、今は亡き映画評論家の言葉です。