日誌
2023年5月の記事一覧
「PR」どんな意味?
先週の金曜日の「総合的な探究の時間」に「学びみらいPASS」の事後指導が2、3年次生に対して行われました。その中で「自己PR」について触れられていましたが、入学試験でも入社試験でも書類や面接での自己PRは大事です。PRはプロパガンダなら宣伝の意味で、ある政治的意図のもとに主義や思想を強調することとして使われます。ヒトラーのナチスが行ったことや社会主義・共産主義国で行われたことなどが典型的です。「自己PR」のPRは「パブリックリレーションズ」のことであり、本来は組織体とその存続を左右する一般市民との間に、相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持するマネジメント機能という意味です。言い換えると「自己PR」は企業と自分との間に相互の利益をもたらす関係を作ろうとする行為ということになります。もっとわかりやすく言うと自分のセールスポイントをアピールして自分がその企業に貢献できる人間であることを、面接官に評価してもらうための行為となります。つまり、大学入試の自己PRなら「自分の過去現在未来の勉強について語り、将来の夢に向けてどんな勉強や活動がしていきたいのかを具体的に説明でき、大学の活性化に貢献できる人物か」が評価されます。入社試験の自己PRなら、「自分はどんな勉強や経験をしてきて、どのようなスキルがあり、どんな仕事で会社に貢献できる人物か」が評価されます。日本人は、自己肯定感が低く、謙虚なため、自己PRが苦手であるという見方がありますが、だからこそ、「主体的で対話的な学習活動」が重視されるようになったのです。生徒の皆さん、本校で様々な活動に取り組み、非認知能力を高め、自信をもって自己PRができるようになってください。
※「学びみらいPASS」は、生徒たちの進路に関わる興味・関心をひろげ、“変化の時代”に求められる力を客観的に測定するアセスメントテストです。ジェネリックスキルが1年前と比較してどうなったのか結果を分析し、解説して今後の学習に役立てます。
※ジェネリックスキルとは、特定の専門分野に関係なく、全ての人に求められる能力であり、コミュニケーションスキルや論理的思考力といった「汎用的な技能」の他、チームワークやリーダシップ、倫理観などを含む「態度・志向性」、「統合的な学修経験と想像的思考力」なども含みます。
もしもPTAがなかったら・・・
今日は4年ぶりに対面でのPTA及び後援会の総会を開催することができました。心配していた雨もあがり、気温もそれほどあがらずほっとしました。300人を超える保護者の皆様に御来校いただき、誠に有難く思います。教室棟の1階から3階まで、授業参観の保護者の方があふれていて(笑)、久しぶりの光景でした。高校では、保護者が授業や学校行事、部活の様子を見る機会がもともと少ないと思いますが、コロナの影響で少ない機会が、さらに少なくなった、というよりなくなってしまいました。今後は、御子様の様子を見られる機会が増えるのではと思います。ただ、本校は教室が狭いため、特別教室以外では教室後方に入れるスペースがほとんどなく、廊下から見ることが多くなってしまうのが残念です。学校によっては机の大きさが2倍ほどあり、1教室20人という環境のところもありますが、もう少し高校の教室環境を改善してほしいと思います。今は教室にエアコンがついていて、20年以上前、39℃の教室で意識が朦朧としながら授業していたころに比べればよくなりましたが、教室の人口密度は変わっていません。中学校では、必要教員数を満たせず、本来は35人学級なのに40人でやらざるを得ないところも出てきていて、時代に逆行しています。日本は、2021年のGDPの中で公的教育費の占める割合で見ると世界で138位です。どう思いますか。「教育は国家百年の大計」といいますが、国の将来を担う子どものための教育予算をもっと増やしてほしいと思います。ここには書けないこともたくさんありますが、今できることをやるしかないと考えて頑張ります。さて、タイトルの「もしPTAがなかったら・・・」のあとに続く言葉は何か、生徒の皆さんにはわかってほしいです。
G7広島サミットの行方
G7広島サミットが、今日開幕しました。 核兵器保有国の米英仏の首脳が、そろって広島を訪れるのは初めてであり、今回、最も大きな関心事は米英仏の首脳に原爆資料館を見学してもらえるかでした。2016年にオバマ大統領が訪れた時も資料館を見学しましたが10分足らずで本当に見てほしいものを見てもらえたかどうか疑問です。今回、およそ40分間にわたって、首脳が揃って原爆資料館を視察したのは歴史的出来事だったと思います。岸田総理は、今回のサミットについて「核兵器のない世界に向け、『あのとき、流れが変わった』と言われるぐらいの大きなメッセージを発していきたい」と意欲を示していました。各国首脳がどういった展示を見たかは明らかではありませんが、核廃絶に向けての新しい一歩になったと思います。原爆投下の是非については、いまだに「戦争を早く終わらせ、被害を広げないために仕方ないことだった」ということを考えているアメリカ人が大半です。(ただ、若い人は4人に1人くらいというデータもあります。)日本でも原爆投下までにどのような経緯があったかについては、学校で詳しく教わることはありません。アメリカでは尚更でしょう。(なぜ、そうなるのかは皆さんが考えてみてください)原爆や東京大空襲は、極東国際軍事裁判(東京裁判)における「人道に反する罪」にあたるはずですが、戦勝国が裁かれることはありません。どんな戦争も正義を自分の側に引き寄せるために「大義名分」を掲げます。ロシアのウクライナ侵攻もそうですね。原爆投下の大義名分「戦争の早期終結を図り、これ以上犠牲者を出さないため」も然りです。日本の「大東亜共栄圏」(欧米の植民地支配からアジア諸国を解放する)もそうです。歴史を振り返れば、核兵器を含む軍縮と軍拡は繰り返されてきました。軍事に使うお金があるなら、他のことに使ったほうがよいことはみんなわかっています。しかし、軍事力のバランスをとることが戦争を抑止するという考えが、相互不信のため捨てられず、軍需産業(死の商人)の利害も加わって、「核兵器廃絶」は絵に描いた餅となっています。今回のサミットが、核兵器廃絶に向けた新たな一歩になることに期待したいと思います。生徒の皆さん、歴史をしっかり勉強して社会的事象の本質がつかめるようになってください。2年次生は11月に修学旅行で広島に行きますね。事前学習をしっかりやってください。
言の葉の園生
何か、最近は「今日は何の日」に頼りっぱなしです。昨日今日と「全国高校長協会」の総会と研究協議会が大宮のソニックシティホールで開催されたので、行ってきましたが、それについて書いても仕方ないので、「今日は何の日」に頼らせてもらうことにしました。今日は「ことばの日」だそうです。2019年に制定された新しい記念日です。日付は言葉の「葉」が5月の新緑の瑞々しさを表しているとの思いと、「こ(5)と(10)ば(8)」と読む語呂合わせから。「ことば」を大切に使い、「ことば」によって人と人とが通じ合えることに感謝し、「ことば」を正しく使って、暮らしをより豊かにすることが目的だそうです。漢字の「言葉の日」ではなく、ひらがなの「ことばの日」としたことには手話や点字など広い意味での「ことば」を知ってもらいたいとの思いが込められているそうです。言葉の大切さについて異論を差しはさむ人はいないでしょう。以下に「言葉」について私が書き留めてきたものを紹介します。皆さんも高校生活を通して、自分の言葉を増やし、大切に育ててください。
〇新約聖書に有名な言葉があります。「はじめに言葉ありき」です。これは、「言葉があるから、人は世界にある全ての物を、認知できるので、言葉は大変大事です。」と多くの人に誤解されている言葉です。言葉の重要性を説いているものではなく、「アルケーはロゴスなり」=「根源的原理は、キリスト(神の言葉)である。」という意味だそうです。言葉の大切さがわかっているから、逆に誤った解釈をしてしまうという皮肉な例です。
〇平安時代前期の『古今和歌集 仮名序』に「やまとうたは、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける」(和歌というのは、人の心をもととして、様々な言葉となったものである)とあるように、和歌に「言の葉」が使われていました。その後、「言の葉」が多く用いられるとともに、「ことば」にも「言の葉」の意味が含まれていき、「言葉」は言語を表す最も一般的な語となったようです。
〇戦国時代初期の武将の北条早雲の家法と伝えられる「早雲寺殿廿一箇条」に「歌道を心得ていれば、常に出言の慎みがある」とあります。これは、「歌道の心得のない人は、品がない。良く学び、常に言葉遣いに注意しなさい。迂闊な一言で胸中が悟られてしまうものだ。」という教訓です。歌は、きわめて短い言葉で自分の思いを表現しなければならない。そうした鍛錬が、日常の何気ない言葉にも顕れてくるとみていました。
〇口から出た言葉には魂が宿る。例え思っていなくても、「ありがとう」って言えば、「ありがとう」の心が出てくる。言霊(魂)は、よい言葉に宿らせたいですね。
〇古典落語の演目は、前座が演じるか真打ちが演じるかで、おもしろさがまったく異なってくる。話し方や間の取り方によって、言葉はまったく別物になるのだ。
〇言葉が相手に届き、理解されるためには、まず相手の身体に『響く』必要がある。
〇言葉が途切れる沈黙の時間は、語られる言葉と同じくらい人々の心に届いた。
〇社会の変化で辞書に載る言葉は今後も増えていくのでしょうが、日本語の使い手として大事なのは、いかに多くの言葉を知っているかより、使いたい言葉、使いたくない言葉の仕分けがきちんとできるかどうかでしょう。
〇言葉を使うというのは、ある意味で化粧をすることだ。言葉の力をつけるためにも、そして読解力をつけるためにも、一つの言い方ではない、もっと別の表現が あることを知り、様々な表現を自分のものにすることが大事なのだ。そうすることによって語彙が身につき、読解力がついてくる。樋口裕一
〇人間は言葉でものごとを考えていますから、複雑な思考のためには自在に扱える言葉を増やさなければなりません。
〇自分が発した言葉は、情動を司る脳の奥の扁桃体という部位に影響を与えます。ポジティブな言葉なら、扁桃体もポジティブに反応して、感情が前向きになりますが、ネガティブな言葉なら、反対に感情が落ち込みます。ある心理学の研究では『緊張する』と話した人は『ワクワクする』と話した人より、テストの成績が10%も悪かったそうです。
〇自分の発した言葉で一番影響を受けるのは、実は自分だということもわかってきました。自分の言葉を一番多く聞いているのは、自分だからです。
〇「ことばを育てることは、こころを育てることである。人を育てることである。教育そのものである。」大村はま(国語教師、国語教育研究家)
〇ひとつの言葉でけんかして ひとつの言葉で仲直り ひとつの言葉で涙を流し ひとつの言葉で笑い合う
ひとつの言葉であたまが下がり、ひとつの言葉でいがみ合う ひとつの言葉はそれぞれにひとつの心をもっている
実力発揮!
好天に恵まれ、高校総体1日目が終わりました。選手の皆さん、お疲れ様でした。引率された先生方、競技役員の先生方、ありがとうございました。
選手の皆さんは、普段の練習の成果が発揮できたでしょうか。それとも残念ながら固くなってしまって、実力が出せずに終わってしまったでしょうか。本当は、「実力が出せずに」という言い方は、おかしいのですけどね。なぜなら、実力とは本番で発揮されるものをいうわけで、練習でのうまさは実力とはみなされないからです。残酷ですが、心技体がそろって実力と呼べるわけで、メンタルが弱くて本番に弱いとか、体調管理ができないとかは実力があるとは言えないわけですね。スポーツ選手にとって「メンタルトレーニング」というのは、非常に重要で、専門のトレーナーがいるくらいです。もちろん、受験もメンタルが重要ですよね。集中力やあきらめない心とか粘り強さ、レジリエンス(精神的回復力)とかは、一朝一夕に身につくものではなく、経験を繰り返すことで育まれるものです。
以前にも書きましたが、最近では、テストで測れる認知能力ではなく、日常生活・社会活動において重要な影響を及ぼす能力である非認知能力が重要視されるようになってきています。学校行事やHR活動、部活動などの集団的活動、体験的活動は、非認知能力を育むのに有効であると考えられています。皆さん、教科学習以外の学校での様々な活動を通して、楽しみながら非認知能力を磨いてください。そうすれば、高校生活は益々充実したものになりますよ。
それと、自分が試合をしていても、人の試合を見ていても気になることは、勝者と敗者の気持ちです。勝敗がついたときに、お互いにどんな気持ちになるのか。もちろん、勝った方はうれしいでしょうが、力を尽くして戦った相手をリスペクトしているかどうか。よく、健闘を讃え合うと言いますが、敗者は「悔しいけれどあなたのほうが強かった。次の試合、頑張ってね」と思えるか。勝者は、「今日はありがとう。次の試合は、あなたの分まで頑張るよ」と思っているか。試合に勝っても負けても色々な意味で成長しています。振り返りで気付き、自分の成長に生かせるかどうかが重要です。勝負を通して自分の心を育ててください。
明日は、天候が心配されますが、選手の皆さんの実力が発揮できることを祈っています。