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2023年7月の記事一覧

勉強のススメ

 「なぜ、勉強しなくちゃならないんだろう。こんな勉強が何の役に立つのだろう。」こんな疑問をもち、実際に親に質問した人も少なくないかもしれません。 きっと、言っても無駄だと思って質問さえしない人のほうが多いでしょうね。
 伊藤理佐さんの「幸福のススメ」という漫画の単行本の中に、こんな話があります。遊びや恋愛もせず、小中高校・大学と親や先生の言うとおりにまじめに一生懸命勉強だけしてきたのに、就職難で就職できなかった女性の話です。この女性は仕方なくアルバイトをすることになりました。この女性は、接客業に向いているとはとても言えなかったのですが、あるお客さんとの会話をきっかけに「もしかして学校で習った勉強って今でも役に立つのでは?」と気付きました。現国は、「お客さんの心をよむ」、数学や理科は、「お客さんの話を筋道立てて理解できる」、社会は「いろいろな地方のお客さんと話を合わすことができる」、体育は「働ける体力をつけられる」、英語は「外国人のお客様と話しができる」、そして学力で1位を目指した野心、向上心、努力、忍耐力が役立つと考え、努力した結果、接客の世界で1位を目指すことにします。

 もう一つ、こんな話があります。「なぜ勉強は必要か」と母に聞いた時に、コップを指さして、〇国語なら「透明なコップに入った濁った茶」、〇算数なら「200mlのコップに半分残っている茶」、社会なら「中国産のコップに入った静岡県産のお茶」と色々な視点が持てるよ。多様な視点や価値観は心を豊かにするんだよ。というようなことを返されたという話です。素晴らしいお母さんですね。これはお茶は誰でも知っているが、様々な味わい(とらえ方)があるということであり、それを知っている分だけ心に豊かさをもたらしてくれるということだと考えます。そして、様々な知識があれば、それを足掛かりにさらに多様な疑問につながっていき、知的好奇心を満たすために主体的に勉強しようとする姿勢となり、それが新たな知識の扉を開き、さらに豊かな心のあり方や生き方につながると考えます。
 勉強は、「ただ生きるだけのため」であれば社会保障が行き届いている現在の日本なら、しなくても何とかなるかもしれませんが、「よりよく生きるため」にはしておいたほうがいいと思います。分野の垣根を作らず何でも広く知っておくと、それがベースの点となって様々な知識と関連づけられネットワークを形成し、可能性を広げてくれると考えます。「あ~っ、もっと勉強しておけばよかった!」と嘆くのは、社会人になってからと相場は決まっていますので、皆さんはそうならないようにしてくださいね。

「私と付き合ってください!」「ごめんなさい!」「よろこんで!」どっち?

 文科省が、7月4日に「チャットGPT」などの生成AIの活用について小中高校などでどう活用するかの指針を発表しました。そのポイントは、以下のとおりです。                    

【適切でないと考えられる例】〇コンクール作品や小論文で生成物をそのまま成果物として提出、〇詩や俳句の創作、音楽や美術の表現・鑑賞で安易に使わせる、〇定期テストや小テストで使わせる                                                                          【活用が考えられる例】〇生成物の誤りを教材として使用し、生成AIの性質や限界に気付かせる、〇グループの考えをまとめる活動で、足りない視点を見つける目的で使用、〇英会話の相手として活用                                                                                             【学校での利用の際のチェックリスト】〇年齢制限、保護者同意といった利用規約を遵守しているか、〇個人情報を入力しないよう指導しているか、〇長期休業中の課題で、生成物を応募、提出すること不適切・不正な行為と指導しているか                                                                                     

 中央公論7月号に慶應義塾大学の今井むつみ氏へのインタビュー「AI時代のことば力 言語習得に見る知性の本質」が載っています。今井氏は、人間が言語を習得する際の「記号接地」体験の大切さを強調しています。「記号接地」とは、「ことばと身体感覚や経験とをつなげること。『りんご』と聞けば、その色や模様、匂い、果肉の色や食感、味、舌触りなど様々な特徴を思い出すことができますよね。」「人間が言語を習得するとは、そういうことなのです。」と説明しています。「しかし、AIはそうではありません」「チャットGPTとは『次にくることば予測機』です。」「チャットGPTが作る文章は、文法的な誤りや不自然さがなく、学生のレポートよりずっと整っているかもしれません。しかし、体験に接地せず、統計から導き出した情報を繋ぎ合わせているだけなので、内容がとても表面的です。新しい視点も独自の観点もありません。(中略)もしこれでいいと思う子どもが増えるとしたら、それは人類にとって危険です」「記号接地は創造性の源です」「今こそ記号接地の重要性を認識し、身体化された、経験に根ざした知識を習得していくべきだと思っています」
 以前に生成AIについて2回ブログに書きましたが、今も世界中で議論が続いています。皆さんは今井さんの話を読んで、どう思いましたか。私は、多くの語彙と様々な経験(読書経験含む)があって自分らしい文章が書けると考えています。自分が積み重ねてきたものがベースにあって、チャットGPTを活用するのであれば、おかしなところに気付くこともできると思いますが、そうしたものがなくチャットGPTを利用するならば、AIに思考・表現を支配されてしまうことにもなりかねません。スマホもそうですが、様々な弊害が報告される中、上手に付き合うこともできるはずです。これからAIが加速度的に進化していくことは避けられませんので、皆さんも自分の頭でAIとの付き合い方をよ~く考えてください。                 

               

                                                                                                                                                              

探究心で「もろびとの幸福」を招かん

 今日、7月11日は、「ラーメンの日」と「セブン-イレブンの日」だそうです。この二つについて書こうと思ったのは、二つとも日本文化に大きな影響を与えていると思ったからです。

「ラーメンの日」は「7」を「レンゲ」に、「11」を「箸」に見立てたことと、ラーメンを最初に食べた人物とされる水戸藩主・徳川光圀(水戸黄門でおなじみ)の誕生日にちなんでだそうで、ラーメン産業の振興・発展とともに、日本独自のラーメン文化を支えることを目的として2017年に認定・登録されました。

 2023年(令和5年)にセブン-イレブン・ジャパンは創業50周年を迎えました。「セブン-イレブン」という抜群の認知度と、社名がそのまま日付に置き換えられるわかりやすさで、記念日の登録を行うことで、更なる情報発信をするのを目的として偶然にも「ラーメンの日」と同じ2017年に認定・登録されました。 

 私は、麺類は「ラーメン」「そば」「うどん」「スパゲッティ」何でも好きですが、どれか一つ選べと言われたら「ラーメン」ですね。外国人にも人気ですが、日本人の研究熱心さから「ラーメン」は素晴らしい発展を遂げ、日本の食文化を代表するものになっています。「カップヌードル」をはじめとするインスタント麺の進歩はとどまるところがありません。他の麺類も工夫が重ねられていますが、ラーメンの種類の多さには敵わないと思います。日本人の食に対する探究心はすごいです。

 セブン-イレブンを始めとするコンビニもまた、歴史は浅いですが日本文化を代表するものになっていると思います。2002年にプロジェクトXで「日米逆転!コンビニを作った素人たち」で放映されましたが、ここでもまた、日本人の探究心が発揮されました。今や、セブン-イレブンだけでなく、ローソンやミニストップ、ファミリーマートなどコンビニはいたるところにあります。そして、そのサービスも日々進化し続けています。外国人が「日本のコンビニはすごい」という感想は、当たり前と感じている私たちには本当の意味で理解できていないでしょう。20年以上前になりますが、「POSシステムによって神の見えざる手を見えるようにする」という内容の番組を見て、コンビニ経営者の苦悩、利益を最大化するにはどうしたらよいか、24時間営業の大変さ、商品の仕入れと陳列の工夫などについて、政治経済の授業で取り上げました。陳列できる商品は限られています。1店舗で2500~3000種類と言われています。何をどれくらい仕入れたらよいのか、どのように陳列すれば一番売り上げが伸びるのか、全てはデータによって最適化が図られていきます。データの収集を担ったのがPOSシステムでした。「何、それ?」と思った人は、すぐ調べてみてくださいね。先日、「みらい学」でたくさんの卒業生の皆さんにお世話になりましたが、社会に出たら常に探究心をもって仕事に取り組み、自分の仕事がどのように「もろびとの幸福」に役立っているのか、考えてみてください。

納豆好きですか?

 7月10日は、1966年にTBSテレビで『ウルトラマン』の放送が開始されたことにちなみ、ウルトラマンシリーズの制作を手がける円谷プロダクションが「ウルトラマンの日」として制定しました。ウルトラマンについて書くと長くなるのは「火を見るより明らか」ですので、ここでやめて「納豆」について書きます。
 今日は、7月10日で語呂合わせとして大変わかりやすい「納豆の日」です。大体記念日というのは、宣伝のために制定することが多いですが、皆さんもご存じのとおり、納豆は関西では関東ほど食べられていません。そこで関西納豆工業協同組合が関西での納豆の消費拡大を目的に、関西地域限定の記念日として1981年(昭和56年)に制定したそうです。昔、「納豆(710)うまいよ平城京」なんて年号の覚え方をしましたが、納豆は奈良時代にあったかどうかは疑問です(笑)。納豆の起源については、諸説ありますが、平安時代後期の武将だった源義家が、前九年の役、後三年の役の際に奥州(現在の東北地方)へ遠征に行った際に納豆が誕生した説が東北では有力なようです。戦が長引いたことで馬の飼料が不足したため、義家は農民たちに飼料となる大豆を差し出すように命じました。急な命令だったことから、農民たちは煮たばかりの熱い大豆を冷ます間もなく俵に詰めて差し出したそうです。すると数日後、大豆は糸を引くようになっていました。これを試しに食べてみたところ美味しかったため、大豆は兵士たちの食料になったそうです。この食べ物はやがて農民たちにも広まり、農民たちも自作して食べるようになったとのことです。ほかに弥生時代説もありますが、「納豆」という語句が確認できる最古の書物は、11世紀半ば頃に儒学者・藤原明衡によって書かれた『新猿楽記(しんさるがくき)』であり、平安時代には「納豆」という言葉が存在していたことが確認されています。ただ、後三年の役は、11世紀の終わりですので、『新猿楽記』に書かれた納豆は糸をひく納豆ではないかもしれません。
 見かけが悪いものを最初に食べた人は勇気があると言われますが(特になまこ)、納豆も糸を引いているのによく食べたなと思います。1994年に刊行された「もの食う人びと」辺見庸 (著)は、世界各地で様々なものを食べるルポルタージュで、日本だと想像もできない食べ物もあり、かなり話題になりましたが、人間は生きるためにはとにかく食べなければなりません。地理の授業で世界の衣食住を学ぶとき、地形や気候、文化によって食べ物も異なってくることを学んだと思います。ただ、食べるものの違いについて学ぶだけでは不十分です。
 消費者庁ウェブページには、次のような文章が載っています。日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」が523万トン(令和3年度推計)もあります。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2021年で年間約440万トン)の1.2倍に相当します。また、食品ロスを国民一人当たりに換算すると"お茶碗約1杯分(約114g)の食べもの"が毎日捨てられていることになるのです。「もったいない」と思いませんか?
 納豆の話から、食品ロスの話に発展してしまいましたが、「食べ物を粗末にすると罰が当たる」といった昔の人は正しいと思います。残さず食べるということは、食べられる分だけ注文するか、作ることです。SDGsに関係なく、食べ物を大事にしましょう。そして感謝していただきましょう。

「みらい」のために君は何を学ぶのか?

 今日は、28名の卒業生を講師にお迎えして、1、2年次生に「みらい学」を実施しました。講師一人につき生徒4人の座談会方式で各教室に5班をセッティングし、1年次生は2、3限に、2年次生は4、5限に、実施しました。今回の「みらい学」の目的は、社会生活に対する視野と関心を広げ、高校生活で身に付けるべき力を理解すること、それらを踏まえて進路目標を具体化し、目標を達成するために必要な力を理解すること、です。1年次生は、①「働くこと」とは、どのようなことか、②高校で身に付けるべき力はどのようなものか、2年次生は、①その職業は、誰にどのように役立つのか、②役立てるようになるための力を伸ばすために何をしたのか、に焦点を当て、講師の先生を中心に対話的学習をしました。講師の方には、2コマ100分で、4回お話をしていただきました。生徒は質疑応答を通して学び合うことができました。

 本日は平日にも関わらず、後輩のために御協力いただいた卒業生の皆様に心より御礼申し上げます。はるばる関西から駆けつけてくれた講師の方もいらっしゃいました。頭が下がる思いです。生徒の皆さんも、本日の貴重な勉強を今後の進路決定のための学習に生かしてください。そして、将来皆さんが本校に来て、後輩のために話をしてくれることを期待しています。

※今日はたくさん記念日がありました。その中から「ポニーテールの日」を選びました。1995年に日本ポニーテール協会が制定したそうです。7月7日が「七夕」「ゆかたの日」であり、七夕伝説の織姫や浴衣にポニーテールがよく似合うことからだそうです。(笑) 正確には数えていませんが、本校の女生徒の8割くらいは、ポニーテールだと思いますので、付け足しました。