日誌

2023年10月の記事一覧

秋の夜長に考える

 今日は世界食料デーで、国連食糧農業機関(FAO)が1981年に制定しました。10月5日のブログで書いた195の国際デーの一つです。FAOは開発途上国における飢餓や貧困について考え、世界の食料生産と分配の改善と生活向上を通して、これらを克服することを目的として1945年に設立されました。現在、世界では全ての人が食べられるだけの食料が生産されているにもかかわらず、9人に1人が十分に食べられていません。飽食が食品ロスを呼び、まだ食べられるのに廃棄される食品が日本では、523万トン出ています(農林水産省及び環境省「令和3年度推計」より)。 これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2021年で年間約440万トン)の1.2倍に相当します。食欲の秋ですが、ダイエットのために食欲と戦っている人もいると思います。それって実はぜいたくなことなんだって気付いていましたか。

少し話は変わりますが、「日本は、『生活に満足している』と答えた子どもの割合が最も低い国の一つ」だそうです。ユニセフ・イノチェンティ研究所が2020年9月に発表した報告書「レポートガード16『子どもたちに影響する世界:先進国の子どもたちの幸福度を形作るもは何か』」は、先進国の子どもたちの精神的・身体的な健康と、学力・社会的スキルについてランキングしています。日本の子どもの幸福度の総合順位は20位(38か国中)で、冒頭の指摘がなされています。身体的健康は1位でありながら、精神的幸福度は37位という最下位に近い成績でした。この結果を見て、皆さんはどんな原因があると考えるでしょうか。なぜ、身体的健康と精神的幸福度がこんなにも日本は乖離しているのか。私見ですが、「足るを知る」心が不十分で、自分の中での絶対評価ではなく、他人との相対評価による比較の度合いが高いからなのではないでしょうか。食べ物・飲み物・衣服が十分にある、そして娯楽もあふれている環境にもかかわらず、精神的幸福度が低い。「衣食足りて礼節を知る」という言葉のとおり、物質的な豊かさが満たされれば精神的豊かさが手に入るはずなのに、日本の子どもたちがぜいたくになってしまったのでしょうか。

 日本の高校生は仕事に対し「生活のため」というイメージをもっている割合が米国、中国、韓国に比べ突出して高いことが6月22日、国立青少年教育振興機構の調査でわかりました。一方、「楽しい」との割合は最も低かったのです。調査は2022年9月~2023年2月、4か国で各約1800~4800人を対象に実施されました。仕事が「生活のため」かどうか問う質問に「とてもそう思う」と回答したのは、米国16.3%、中国17.7%、韓国32.4%でしたが、日本は68.6%と目立って高い数値でした。「楽しい」と回答したのは米国34.5%、中国26%、韓国29%に対して、日本は18.8%と低い数値でした。「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」との質問に、日本は4か国中最多の49.9%がとてもそう思うと回答し、10年前の調査から約16ポイント増加しました。将来の職業などを座学したとする割合は、日本は8割を超えてトップでしたが、実際の職場見学や就業体験、ボランティア活動は7.4~16.8%と低く、他の3か国を大きく下回りました。

 今日は自分で書いていて暗くなってしまいましたので、明るい言葉で締めたいと思います。「授業は教師も楽しむ時間である。仕事は楽しくていいのだ。教師が楽しんでいる授業は生き生きとしている。」「楽しい仕事があるのではない。自分が仕事を楽しくすればいいのだ。」皆さんも、自分の幸福度について考えてみてください。

後生畏るべし

 先日、将棋で藤井聡太さんが前人未到の8冠を達成しました。彼は14歳2ヶ月でプロ棋士になり最年少記録を樹立してから、数々の最年少記録を打ち立ててきました。これがどれだけすごいことなのかは、数字の上ではわかっても、将棋の内容からはほとんどの人はわからないと思います。将棋を知れば知るほど、彼のすごさはわかるものなのでしょう。私の実家には足付きの将棋盤があり、小学生の時に父親にルールを教わってやるようになりました。最後に将棋を指したのは、小学校6年生だったと記憶しています。将棋を勉強していたわけではなく遊びで差していたので、残念ながら本当の意味で藤井さんのすごさは理解できません。藤井さんのエピソードに、「AIが22億手読んで発見できる最善手を36分で指した。」というのがあります。人間は、脳全体のうちわずか2%しか使っていないといわれていますが、彼は何%使えているのでしょうね。将棋の神様にお願いするなら?と聞かれた藤井さんは「せっかく神様がいるのなら1局、お手合わせをお願いしたい」と回答しました。「神の一手」を追求することが囲碁の漫画で描かれていましたが、勝負事のどんな分野でも極めた人なら神様と戦いたいと思うのは、自然なことなのでしょう。(ドラゴンボールの悟空のように) この先にどんな目標が?と聞かれて、連覇を目標とするのではなく、「面白い将棋を指すのが一番の目標」という回答は印象的でした。イチローの「人に勝つという価値観では野球をやっていない。もっと野球がうまくなりたい」という言葉と相通ずるものがありますね。この場合の「面白い将棋」とは今までにない戦法による将棋だと思いますが、スポーツでも新しい戦術が考え出され、それを破る戦術が考えられということが繰り返されて、ゲームがどんどん高度になっていき、面白くなっていきます。7冠となった羽生さんの時には、彼の記録が破られることはないだろうと言われたようですが、「後生畏るべし」という言葉のとおり、藤井さんの記録も破られる時がくると思います。本校の生徒会誌や同窓会名、文化祭名で使われている青藍は、生徒が先生を(後輩が先輩をでもいいですね)越えていってほしいという願いが込められています。皆さんも、ぜひ頑張って越えていってください。

憎しみの連鎖は断てるか?

 昨年の10月12日は、コロンブス・デーについて書きました。歴史的事実とそれに対する評価は異なるもので、歴史が勝者によって記され、敗者の歴史は抹殺されることも珍しくはありません。日本のマスコミは、取るに足らない事件を報道し、世界で起こっている重要なニュースを報道しない(無視する?)傾向があります。ですから、テレビしか見ていなければネットで取り上げられているようなニュースは知りようもありません。日本人が海外のニュースにあまり関心を示さないことや営利企業であるマスコミの方針であるのかもしれませんが、世界の国々は昔に比べてはるかに情報や物流網で相互に大きな影響を与え合っており、他国と付き合っていく上で、国際情勢についてよく知っておくことは不可欠です。さすがに今回のイスラエルとパレスチナの紛争については、早くから報道されていますが、なぜ、こんな事態になってしまったのかについては、ほとんど解説されていません。そのうち特集番組がNHKあたりで組まれるかもしれませんが、皆さんは世界史で勉強しているはずなので、説明できますか。私は試しにChatGPTに「イスラエルとパレスチナが、なぜ争っているのかを歴史的背景と経緯を高校生にわかるように説明してください」と問いましたが、残念ながら満足のいく回答が得られませんでした。

 まず、この問題の根源にあるのが、ユダヤ人が自分たちの王国をローマ帝国に滅ぼされてから2000年の長い歴史の中で世界に離散し、迫害を受けてきたという歴史です。1948年に悲願であったユダヤ人の国家であるイスラエルがパレスチナに建国されましたが、そこは、ユダヤ人にとって旧約聖書で「神が与えた約束の地」と書かれている土地でした。一方で、パレスチナに住んでいたアラブ人であるパレスチナ人は、イスラエルの建国で故郷を追われました。いまパレスチナ人が住んでいるのは、ヨルダン川西岸とガザ地区という場所で、今回紛争が起こっているのがガザ地区です。

 イスラエルの建国とアラブとの問題は、第一次世界大戦中のイギリスのいわゆる三枚舌外交にあります。1915年のフセイン・マクマホン協定でアラブ人に独立国家を約束し、1916年にサイクス・ピコ協定で英仏が中東を分割支配することを密約し、1917年にバルフォア宣言で、イギリスがユダヤ人に戦費の調達を依頼しようと考え、「連合国側の味方をすれば、パレスチナの地でのユダヤ人の国の建設を支持する」と約束しました。これらの矛盾した外交により、パレスチナと周辺アラブ諸国は混乱し、1947年に国連でパレスチナ分割決議が採択されてイスラエルが建国された後も、禍根を残し紛争が絶えなかったわけです。第1次から4次までのイスラエルとアラブ諸国との中東戦争の歴史と1993年のパレスチナ暫定自治合意(オスロ合意)に代表される和平交渉の歴史をここで書く紙幅はありません。興味をもった人は調べてみてください。ユダヤ人がなぜ迫害されてきたのか、ユダヤ人の現在の世界での影響力、エルサレムという場所の特異性など、素朴な疑問はたくさん出てくると思います。そんな時に、すぐ調べる習慣を身に付けてください。それが大きな差になって表れてきます。

 ウクライナとロシアの紛争が続いているように、領土・民族・宗教が紛争の火種となって世界に影響を与える状況は、いつになったら終わるのでしょうか。平和と思われている日本も、近い将来紛争に巻き込まれる日がくるのでしょうか。周辺諸国に対抗するために2023年度予算の防衛費は過去最大の6兆8219億円で2022年度の当初予算と比べて1兆4000億円余り多く、およそ1.3倍と大幅な増額となっており、11年連続の増額だそうです。「教養とは歴史である」と言った方がいましたが、歴史をよく知った上で、日本の世界での身の振り方を決定するために、私たちは選挙で政治家を選ぶ必要があります。政治は一部の頭の良い人に任せておけばいいと考える国民が増えれば、日本がどんな道に進んでも文句は言えません。皆さんは18歳で選挙権をもつようになりましたが、若年人口はただでさえ少ないので、選挙に行かなければ高齢者の考えが政策に反映されがちになってしまいますよ。課題意識をもって、これからも勉強に励み、政治に無関心にならないようにお願いします。

♪明日があるさ♪

 今日から2学期の中間考査が始まりました。定期考査について書くのは、昨年から数えて今回で5回目になります。だんだん書くネタがなくなってくるなぁと感じていますが、視点を変えれば書くことはなんとか出てきます。テストは、計画的に十分準備をして臨む人もいれば、計画は立てたものの一夜漬けになってしまう人もいると思います。その結果、毎度「ちゃんと2週間前から計画的にやっておけばよかった」と後悔することになり、進歩がないなぁと落ち込むわけですが、皆さんはどうですか?昔、坂本九という国民的歌手がいました。「上を向いて歩こう」、「見上げてごらん夜の星を」、「明日があるさ」などのヒット曲がありますが、「明日があるさ」は歌詞を現代風にアレンジし、ウルフルズがカバーしてヒットしました。テストができなかった時、「明日があるさ」という歌詞には元気付けられるものがあります。私が高校生の時、岸田智史の『重いつばさ』という歌の歌詞に「どうしようもない昨日をもってしまったが、どうにかできる明日が 明日があるさ」というものがあるのですが、定期考査でできなかった時に、よく慰められていた記憶があります。人間の意志の弱さを、実感してしまうのがテスト勉強ですね。今日は、私が収集してきたテストに関する言葉を紹介します。

〇IQや他の共通テストの成績よりも、根性が将来の成績を予測する材料になる。どの分野においても高い目標を成し遂げるには、才能と同じくらい根気と根性が必要になる。→よく受験勉強は忍耐力をテストする意味もあると言われますが、何をするにも根気は必要ですよね。

〇自分が発した言葉は、情動を司る脳の奥の扁桃体という部位に影響を与えます。ポジティブな言葉なら、扁桃体もポジティブに反応して、感情が前向きになりますが、ネガティブな言葉なら、反対に感情が落ち込みます。ある心理学の研究では『緊張する』と話した人は『ワクワクする』と話した人より、テストの成績が10%も悪かったそうです。→言霊おそるべし。

〇テストの点が高いのは参考書を何度も読む人より、問題集を何度も解く人のほうで、出力を磨くほうが脳は成長します。仕入れた情報を人に話して、出力を心がけるのが大切です。→私も受験勉強では、覚えたらすぐに問題集で確認していました。インプットとアウトプットのバランスは大事です。

〇点数の悪いテストを見て「算数が苦手ね」と言うのか、「ここはできたね」と言うのか。それだけの違いで、子どもの自信も次の行動も変わってきます。→できないところをフォーカスされると自己肯定感がどんどん下がっていきますね。

〇テストの点数について、本人の感想を聞いたら「よかったね、うれしかったね」とか「悔しかったね」と共感します。極端な話、それだけでいいのです。本人が成功だとか失敗だとか思っていることに対して共感を示せば、自然に頑張ろうと思うものです。→テストだけでなく、社会に出ても同じですね。

視力回復祈願

 今日10月10日は、昔なら体育の日でしたが、体育の日は「スポーツの日」となり10月の第2月曜日になりました。他にも記念日はたくさんありますが、「10」「10」を横に倒した形が眉と目に見えることから中央盲人福祉協会が1931年に「視力保存デー」として制定し、戦後、厚生省(現:厚生労働省)が「目の愛護デー」に改称しました。スマホやタブレットの普及で小さい子どもも早くから目が悪くなる傾向にあります。皆さんは、1日何時間スマホを見ていますか?自分の視力の低下に危機感は感じませんか?目が見えなかったり、耳が聞こえなかったりすると危険を察知できなかったり、察知が遅れてしまいます。感覚器官は、人間が生きていく上で非常に大切です。私は大学生までは視力が2.0でしたが(勉強しなかったからというわけではありませんよ)、IT関係の会社に勤務して1年で1.0まで下がりました。1日中パソコンとにらめっこしていたからだと思います。現在は0.5ありませんので、必要に応じて眼鏡をかけています。近眼・老眼・霞目など、よく見えないというのは大きなストレスです。視力回復のために色々努力しましたが、だめでした。皆さん!スマホやパソコン、タブレット等は、見る時間を制限して、目を大切にしましょう。近い未来に目が簡単によくなる技術が開発されるかもしれませんが、いつになるか保証はありませんからね。

 先日読んだ雑誌におもしろいことが書いてありました。今も昔も人間は変わらないと感じられる例えとして、最近は「ユーチューブばかり見ていちゃダメだ」なんて言われるが、家庭にテレビが普及した何十年か前は1億総白痴論といって、「テレビというメディアは非常に低俗なものであり、テレビばかり見ていると人間の想像力や思考力を低下させてしまう。だから、テレビばかり見ていちゃダメだ」と言われていました。もっと遡ると、活版印刷の発明によって大量に本が生み出されるようになったのを見て、ドイツの哲学者ショーペンハウエルが「本なんか読んじゃだめだ」「こんなのずっと見ていたら自分が思考しなくなる」と言っていたそうです。「え~っ?何それ!」ですよね。「漫画ばかり読んでいたらバカになる。本を読みなさい。」と子どもの頃に散々言われたのは何だったの?って感じです。人類は得られる情報量が急激に増える情報爆発を何度か経験してきました。本・新聞→ラジオ→テレビ→パソコン・スマホとメディアの変遷はありますが、AIが幅を利かすビッグデータの時代では、自分の頭を使って情報を得ているか、得た情報について自分で考えて判断しているかによって影響は異なってくると思います。人間の五感による知覚の割合は、視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚は1%といわれています。人間が受け取る情報のうち、8割は視覚からの情報です。ということは、目を最も大切にしないといけないということですね。今日は「目の愛護デー」です。皆さん、目をいたわりましょう。