日誌

2023年6月の記事一覧

蛍の光と領土問題

 今朝のニュースで、ロシア議会下院が、9月3日を「軍国主義日本に対する勝利の日と第2次大戦終結の日」とする法案を可決したというのを見ました。ロシアは、旧ソ連時代の「対日戦勝記念日」にあたる9月3日を、2020年に「第2次大戦終結の日」としていましたが、わざわざ、今度は「軍国主義日本に対する勝利の日」という語句を加えて名称変更するみたいです。今後、上院での審議を経て、プーチン大統領の署名で成立する見通しですが、報道のとおり、今回の名称変更がウクライナ侵攻に対して対ロ制裁を科す日本への対抗措置ならば「ウクライナを侵略しているロシア」に「軍国主義」なんて言われたくないよ、ですね。もっともロシアは侵略しているなんて思っていないんでしょうけど。

 また、1965年の今日は「日韓基本条約」などの調印式が行われた日です。この条約をもとに日韓の国交が回復し、戦前の両国関係の清算や戦後賠償などの取り決めが行われましたが、現在は「竹島領土問題」「元徴用工問題」「慰安婦問題」「レーダー照射問題」「輸出管理優遇措置撤廃問題」「旭日旗問題」などを抱え、大統領が替わっても日韓関係は戦後最悪の状態を抜け出せていません。なぜ、このような状況になったのかを、よく理解するためには近現代の日本史を勉強してください。

 現在、日本は中国・韓国・ロシアと領土問題を抱えていますが、これらと絡めて皆さんがよく知っている「蛍の光」について書きたいと思います。昔の卒業式で歌う歌の定番といえば、「仰げば尊し」と「蛍の光」でした。コロナ禍の中で、歌われることがかなり少なくなりました。「蛍の光」には「蛍雪の功」の故事が入っており、共に努力した友との別れを歌っていると思われています。しかし、もともと蛍の光は、学生同士の別れの歌などではなく、国防のために任地へ赴く兄弟(あるいは夫や親戚)との別れに際して彼らを鼓舞する形をとった「日本の領土」を歌ったものなのです。下に歌詞を載せましたが、この歌詞が作られたのが1885年で日清戦争や日露戦争の前です。明治政府が領土も含めて近代日本の確立を図ろうとしていた時期に、大いなる危機感を抱いて国民に国を守る意識をもってもらいたいと考えて作ったのでしょう。

 戦後、アメリカの占領下で日本政府がGHQに忖度したのか、はたまたGHQから直接削除の指示があったのかは不明ですが、3番と4番の歌詞は国家主義的(軍国主義、滅私奉公)だとされました。また、日本固有の領土である沖縄がアメリカに占領され、千島がソ連に占領されていたという事情もあって、教育現場への指導で、3番と4番の歌詞は歌われなくなったのだそうです。

3番4番をわかりやすい言葉になおしたものが、下記のものです。まあ、戦中の軍歌に近いものがありますね。

九州の果てでも 東北でも 海や山で遠く隔てられても 真心は隔てられることなく ひたすらに力を尽くせ 国のために

千島列島の奥も 沖縄も 日本国の護りの要 統治の及ばぬ異国には勇敢に尽力せよ 我が兄弟 無事であれ 

 国家という大きな枠組みがあり、世界から国境が消えない限り、領土問題は存在し、資源・エネルギー・食糧・防衛問題がそこに横たわっています。決して他人事ではありません。今後の世界の枠組みがどうなっていくのか、日本はどういう立場をとっていくのか。それらについて考え、国の行方を決定する政治家を選ぶ(それともなる?)のは皆さんです。すぐに選挙権をもつ日がやってきます。地歴公民科目を勉強して、よく考えてくださいね。

明るいうちに何をする?

 今日は「夏至」ですね。今年は、6月21日ですが、近年では6月21日または6月22日であり、年によって異なります。北半球では一年のうちで昼(日の出から日没まで)が最も長く、夜が最も短くなる日ですね。日の出の時刻は4時30分頃、日没は19時頃で、昼の時間は約14時間30分、夜の時間は約9時間30分となります。ただ、この時期は「梅雨」の期間ですので、日照時間は冬よりも短くなることも多いようです。最近、水が入れられている田をよく見るようになりましたが、夏至から10日程度までを目途に水を入れるそうです。農家は田植えなどで忙しくなる時期ですね。冬至には「かぼちゃを食べる」「ゆず湯に入る」などの風習が全国的にありますが、夏至には全国的なものはなく、食べるものは地域によって異なるようです。関西では夏至にタコを食べる風習があり、「タコの8本の足のように、稲が根を張りますように」という願いが込められているそうです。大体この時期の「夏至には〇〇を食べるとよい」という風習には、「暑い夏に備えて体力をつけよう」という意味があります。

ところで、生徒の皆さんは、地理や地学で勉強しているはずなので、昼間の長さがなぜ変わるのか説明できますよね。なぜ、極地では白夜や極夜があるのかも。

小学生に説明するとしたら、どう説明するか下の図を利用して考えてみてください。

リカちゃん人形の行き着く先は?

 父の日に映画ミーガン(M3GAN…Model 3 Generative ANdroidの略称)を観てきました。「リング」や「呪怨」といった怖さとは違う怖さがある映画でした。妻と娘は恐いものが苦手なので付き合ってはもらえず一人で観てきましたが、劇場内はいっぱいで前から2列目で観る羽目になりました。子どものおもちゃは年々ハイテク化が進み、「たまごっち」とかが懐かしく感じられる昨今ですが、ミーガンは近未来としては凄すぎるおもちゃ?です。一言で言えばターミネーターの子ども版です。しゃべるおもちゃは今では珍しくもありませんが、ミーガンは第三世代のアンドロイドということで、学習機能があり、自らの意思をもつようになります。

 この映画のあらすじは、次のとおりです。おもちゃ会社の優れた研究者であるジェマという女性が、まるで人間のようなAI人形を開発しました。それは子供にとって最高の友達であり、親にとって最大の協力者となるようにプログラムされていました。会社でのプレゼンが成功し、発売へゴーサインが出ます。たしか100万円以上で販売される予定でした。それより以前に、交通事故で両親を亡くし孤児となった姪のケイディを引き取ることになったジェマは、販売前の実験段階のミーガンに対し「あらゆる出来事からケイディを守るように」と指示し、力を借りる事にしましたが、ミーガンが徐々に言うことを聞かなくなり暴走し始めます。結末は、とりあえずハッピーエンドなのかもしれませんが、ターミネーター2の結末のように切ない気持ちになりました。この映画は、近未来のAIが発達した世界に潜む危険性を描いてはいますが、同時に親と子、友達同士といった人間同士のコミュニケーションの大切さを描き、子どもが小さい時からスマホやタブレットを与え、親子の直接的コミュニケーションが不足する現在および未来への警鐘を鳴らしているようにも思えます。

 子育てには五つの態度が欠かせないと言われます。一つは常に子供に「寄り添う」こと、二つ目は「見守る」こと、三つ目は子どもをあるがまま「受け入れる」こと、四つ目は「待つ」こと、そして最後の五つ目は、子どもの声に「耳を傾ける」こと、です。映画の中でミーガンは、まさにこれらを実行していました。ミーガンが子どもにとって愛情の麻薬みたいなものになってしまう危険性を映画で感じられました。

 また、児童心理学者ベティー・ハートとトッド・リズリーの研究によれば、0歳から3歳の終わりまでの3年間で親が子どもにかけた言葉の数には、一番多い人と少ない人では平均で3000万語の差があるということです。驚きですね。発達の初期に子どもにかける言葉の数がその後の子どもの能力に比例するという結果でした。また、言葉の数だけでなく、どんな言葉がどのように発せられたかという言葉の質にも影響を受けることがわかりました。果たして、アンドロイドが親や友達の代わりになる日が来るのでしょうか。すると完璧な子育てができ、完璧な友達によっていじめはなくなるのでしょうか。人間とアンドロイドが共存する社会を描いたSFがありましたが、人間そっくりになって見分けがつかなくなったアンドロイドとの間にどんな問題が発生するのでしょうか。生徒の皆さんが子育てをする頃は、どんな世界になっているのでしょう。対応できるように汎用的能力、非認知能力を磨いていきましょう。

感情を込めて読んで、歌って?

 今日は、「朗読の日」だそうで、2001年に制定された、まだ新しい記念日です。「ろう(6)ど(10)く(9)」(朗読)と読む語呂合わせから日本朗読文化協会が定めたそうです。

 「朗読」と「音読」の違いはと言うと、「音読」には正確性が求められるのに対して、「朗読」は文章や詩歌の内容をくみ取り、感情を込めて読み上げるという表現力が求められる、というように目的が違うようです。朗読を芸術や学問、教育としてとらえる考え方もあり、「朗読」は「音読」の「芸術的形態」であると昔の学習指導要領書には書いてありました。中学校では、小学校での「音読=朗読」の基礎の上に(音読の芸術的形態として)「朗読」まで指導する、ということだったようです。

 平成29年度小学校学習指導要領国語科編の「解説書・文部科学省発行」には下記のように書いてあります。
 音読では、これまでに身に付けてきた、声の大きさや抑揚、速さや間の取り方といった音読の技能を生かすことが重要である。
 朗読は、読者として自分が思ったことや考えたことを踏まえ、聞き手に伝えようと表現性を高めて、文章を声に出して読むことである。音読が、文章の内容や表現をよく理解し伝えることに重点があるのに対して、朗読は、児童一人一人が思ったり考えたりしたことを、表現性を高めて伝えることに重点がある。 

 覚えたいことがあれば、黙読ではなく音読したほうがよいと言われます。小学校の時は、音読をよくしていたと思います。英語は、音読は必須ですね。古文漢文も音読が有効です。うまく音読できないところがあれば、そこは理解が不十分なところです。朗読は、親が子どもを寝かしつけるのに枕元で本を読んでいるイメージです。あとは、紙芝居ですね。私も子どもが寝る時に読み聞かせをしましたが、感情を込めて大げさに読んでいました。日本昔話のナレーションみたいな感じですね。

 感情を込めて読む訓練は、コミュニケーション力を高めるのにも役立つと思います。高校ではなかなか授業や学校行事で朗読する機会がないのが現状ですが、一日一回、意識的に朗読する時間をとってみてはいかかでしょう。住所や電話番号などを感情を込めて読む練習もあるということを聞いたことがあります。国語や英語以外の教科書を朗読するとどうなるのでしょうね。自分の好きな小説やマンガなら抵抗なくできるのではないでしょうか。楽しく表現力を高められるかもしれませんよ。眠気覚ましにもいいかも。ばかばかしいと思わず、ぜひ勉強の合間にやってみてください。

※今日は、元号の日でもあるそうですが、645年の事件をきっかけに、日本初の元号が制定されたことに由来しています。その時の元号は何でしたっけ?日本史で勉強したばかりですよね。現在の「令和」までいくつの元号が定められているでしょう?元号をなくして西暦だけにしろという意見も昔ありましたが、日本人は元号で時代を意識してきましたので、なかなか難しいですね。天皇制とも絡んできますし。

交通安全を自分事に

 今日は、6限のLHRの時間に交通安全教室を実施しました。普通、交通安全教室というと、警察から交通安全担当部署の方がいらしてビデオを見ながら、交通安全講話をしたり、校庭で安全運転講習をするとともに、スタントマンの方に自動車と自転車の事故を再現してもらったりというのが定番でした。普遍的な交通安全について学習することも、もちろん大事ですが、その学校の生徒が実際に通学する経路での危険個所について知り、どのように行動することが自分の身の安全を守るのかについて考えてもらうことも大切です。

 具体的な実施内容は、①交通委員2名がHR教室でクロームブックとプロジェクタを用いてクラスの生徒に自転車の安全運転とマナーの向上を呼び掛け、②学校近くの信号を左折する際の自転車走行についての動画や学校南側の道路での斜め横断の動画を視聴し、自動車のドライバー目線も見てもらい、正しい走行方法についての学習。③グーグルマップを用いて太田市中高生交通ハザードマップにアクセスし、自分の通学路上の危険個所を知り、クラスで共有する活動です。交通係の先生方が動画を撮影してくれて、自分事となる交通安全教室が実施できました。

 先日、第一回マナーアップ運動が行われましたが、ヘルメットの着用をしていない人、イヤホンをつけて運転している人、2列以上並列して運転している人、後方確認をしない人、そんな人は、ほとんど見られなかったようでよかったですが、地域の人から注意されることもあるのが事実ですので、太東生として看板を背負っているという意識をもって交通ルールとマナーを守って通学してくださいね。交通ルールを破らないための第一歩は、遅刻寸前に登校しないことです。生徒の皆さん、余裕をもって家を出てください。