日誌

2023年7月の記事一覧

とこしえの0(ゼロ)

 1939年7月6日、零式艦上戦闘機の試作機の試験飛行が始まったことから、今日は「ゼロ戦の日」だそうです。零戦の設計者である堀越二郎をモデルにした映画として、2013年に公開されたスタジオジブリの『風立ちぬ』がありますが、皆さんはご覧になりましたか?私は、小学生のころゼロ戦をはじめとする戦闘機や大和などの戦艦、戦車、潜水艦などのプラモデルを作るのが好きでした。かっこいいと思っていましたが、自国を守る=敵をやっつける(殺す)機械なんですよね。身近に戦争がないので実感はわきませんが、カズレーザーの体験入隊などの番組で自衛隊の演習やブルーインパルスの飛行などを見て、「けしからん」ではなく「かっこいい、すごい」と思ってしまう自分がいます。兵器にも兵隊にも莫大なお金がかかっていますが、ロシアのように使わないでほしいものです。

 零式艦上戦闘機は、ゼロ戦の略称で知られていて、その性能と日本人パイロットの優秀さから恐れられ、敵パイロットから「ゼロファイター(Zero Fighter)」と呼ばれました。「小回りが利き、飛行距離の長い戦闘機を」という海軍の要求で堀越二郎が設計し、時速533km、航続距離3,500kmでした。しかし、速度や航続距離、旋回能力のために軽さが求められたため、防弾装備は優先順位が低くなってしまったようです。1940年の中国戦線から実戦に投入され、第二次大戦中に1万機以上が生産されました。戦争末期の1944年には、最初の神風特別攻撃隊に零戦を改修したものが使われました。科学者や技術者は、自分が作ったものが戦争によって大勢の人間を殺すことになることは仕方がないと思っていたのでしょうか。自分が作らなくても誰かが作ってしまうなら、自分が作ろうと思ったのでしょうか。原爆を作ったオッペンハイマーは、戦後原爆の使用に関して「科学者(物理学者)は罪を知った」との言葉を残しています。戦争が科学技術の進歩を促したのは、歴史上の事実ですが、科学者の探究欲求というものは倫理観では抑えきれないものなのでしょうか。これから科学技術ととともに医学も同時に進歩していきますが、医学も人体実験や臓器売買など非合法なことが行われて発展していくのでしょうか。これから先、正解のない世界で、人類はどのような答えを出していくのか。人任せにせず、考えていきしょう。

※当時の日本の軍用機は、採用年次の皇紀下2桁を名称に冠する規定になっていました。そのため零戦の「零式」の名称は、採用された1940年が皇紀2600年にあたり、その下2桁が「00」であることからつけられました。(日本は紀元前660年に神武天皇が即位したとし、この年を皇紀元年としました。)

 

ムダじゃ・・・ない?

 皆さんは、ムーミンを知っていますか。埼玉県飯能市にムーミンバレーパークが2019年に開業して話題になりましたね。私は初期のアニメを見ていましたので、現代風のムーミンには少し違和感があります。ゲゲゲの鬼太郎やルパン3世なども初期のものと現代のものがかなり違うので(かわいくなっていて)昔のほうが私はいいですね。『ムーミン』のアニメを世界で最初に作ったのは日本だって知っていましたか。アニメの主題歌で「ねえ、ムーミン、こっち向いて」というフレーズは同年代の方ならみんな知っていることでしょう。サザエさんと同じく家族で見る番組でした。スナフキンやミーのファンは多いですが、二人とも妖精だって知っていましたか。私は人間だと思っていました。ムーミン谷のキャラクターの中にジャコウネズミのマスクラットという自称哲学博士で、哲学書を好む偏屈なおじいさんが登場します。いつも、「ムダじゃムダじゃ、まったくムダじゃよ」とつぶやきます。いつも読んでいる本は『すべてがむだである事について』でした。私は、今でもよく覚えていて、このフレーズは好きです。
 というわけで、今日は「ムダ」について少し書きます。皆さんにとってムダって何ですか?どんな時に「ムダ」という言葉を使いますか?「やるだけ無駄」「無駄な努力」「時間の無駄」とか使ったことはありますか。ポジティブに考えれば自分がしたことが無駄かどうかは、死ぬまでわかりません。「幸せ」と同じように「無駄」かどうかを決めるのは、自分自身です。例えば、ぼーっとして何もしていない時間は無駄でしょうか。生産性のないことは、すべて無駄でしょうか。人生には無駄があるからこそ、気付くことも多いのではないかと思います。スケジュール帳が埋まっていないと不安で暇な時間が恐い。そうならないためにも、無駄と思えることも大切にしましょう。余裕があれば無駄も認められます。無駄が人生を豊かにするかもしれませんよ。
※残念ながら、1969年と1972年からの二期にわたってフジテレビ系で放送された『ムーミン』、通称「昭和ムーミン」は原作とあまりにも違っていたため、現在では放映もソフト化も許可されていません。YouTubeなら見られますので、興味をもった人は「昭和のムーミン」を見てみてください。

求む!異次元の教育政策

 子どもがいる世帯は、今や日本社会の少数派です。厚生労働省が実施している「国民生活基礎調査」によれば、2021年度に18歳未満の子どものいる世帯は1073万7000世帯で全世帯の20.7%でした。1989年は41.7%だったのと比べると半分になっています。2023年4月に発足した「こども家庭庁」は「こどもまんなか社会」の実現に向け、子ども政策に全力で取り組むとうたっています。以上は6月30日付の内外教育という教育冊子の巻頭コラムにあった文の一部です。
 私は、「異次元の少子化対策」で「異次元」な政策をぜひ実現してほしいです。経済的支援の強化と若い世代の所得向上、子育て世帯への支援拡充、共働き・共育ての推進、社会全体の意識改革という4つの柱があるようですが、財源問題が大きく横たわっているようです。「こども家庭庁」も理念は素晴らしいと思いますので、結婚・妊娠・出産・子育てに夢や希望を感じられる社会の実現、少子化の克服のために、ぜひお金と人を手当して効果的な政策を実施してほしいと思っています。

 子育て・教育政策として「保育所待機児童ゼロ」と「義務教育における1クラス当たりの児童生徒数を欧米並みに減らすこと」を、ぜひお願いしたいと思っています。少人数クラスのほうが学力が向上するかどうかが不明なことが、財務省がなかなか予算増加を認めない理由のようですが、小学校教員になることの不安を取り除いて志望者を増やすために、「専科教員」も大事ですが2クラスに一人副担任をつけてほしいというのが切実な願いです、残念ながら日本は先進国の中でも特に教育と子育てにおける家計負担が大きく、国が最もお金をかけない国です(義務教育までは手厚いようですが。OECDの調査結果を見ると暗くなります)。

 現在の少子化対策で最も優先すべきは、既に子どもがいる世帯への補助よりも、若者が結婚できる精神的経済的環境作りではないかと識者が言っていましたが、私もそうだと思います。(若者が結婚したくないと考えているなら話は別ですが。戦前戦中の「産めよ殖やせよ」は通用しなく、結婚も出産も個人の自由なので。) 若者の経済的安定と結婚問題は、すぐにどうにかできる問題ではないし、予算が確保できない(増税もできないし、国債も発行できない)のであるならば、少子化が止められないと仮定して、各政党は将来どのような社会になるかを予測して国民に対策をきちんと説明し、選挙を通して考えてもらうしかないでしょう。周辺諸国のことを考えると防衛費の増額も喫緊の課題ですが、人口問題と教育問題は社会を変えてしまいますので、ぜひ大胆な政策をお願いしたいと思います。ただ、数十年後に日本の人口が大幅に減少しても、科学技術がその分進歩していれば状況が悪化しているとは限りません。(例えば、若返りの薬の発明、高齢者でも力仕事ができるパワースーツの発明、ロボットによる肉体労働の代替、安全で安価なクリーンエネルギーの開発など)
 こうした正解のない問いに対して、よりよい解答、「納得解」を考える力をつけるための勉強を、生徒の皆さんはしているわけです。現代社会の課題を多面的多角的に捉えて考え、判断し、自分の意見を表明できるようになってください。自分たちの将来にかかわることですから。

子ども神輿と少子化問題

 昨日、自治会の子ども神輿が「わっしょい!わっしょい!」と暑い中を練り歩いていました。こちらもコロナ禍で中止が続き、4年ぶりでした。娘二人が小学校を卒業してからもしばらくお手伝いをしていましたが、世代交代し手伝いに出なくなってから随分たちます。昔は、途中で4回ほど休憩し、果物や麦茶やアイスなどをもらったり、ホースで水をかけてもらったりして、お賽銭を集めながら地区内の家を回っていました。疲れてくると子どもが御神輿にぶらさがるので、持っている大人は大変です。暑い中、御神輿を担ぐのを手伝いながら、声も出していましたので、大人も大変ですが、途中の飲食店で冷えたビールをいただけるのが楽しみでした。ビールを飲めるのを楽しみにして参加している人もいましたので。

 私が住む地区は、新興住宅地で小学生が比較的多いため、子ども神輿も賑やかですが、少子化のため、地区によっては小学生が一人しかいなくなってしまったところもあります。私の子どもが通った小学校も近隣の小学校2校と統合し、統合される2校の児童は通学バスで通うことになります。今後10~20年で、高校も統合や学級減が進むことになりますが、生徒数の減少によって学校行事や部活動が影響を受けて、活気がなくなるのが心配です。日本の人口が、このまま減少していった時、日本人はどのような選択をするのか、よく考える必要があります。農業や工業などの経済活動を維持するための労働力をどう確保したらよいか。生徒の皆さんは、地歴公民科目をしっかり学習し、根拠とともに自分の考えがもてるようになってください。