日誌

2023年12月の記事一覧

みんないい!何が?

 次の文章は、ある青年の回想です。(少し語尾を変えてあります)

 広汎性発達障害で友だちができず、集団行動がとれない自分に担任が面談で言ってくれた言葉が「ひとりでも堂々としていられるお前のキャラは、この先、確実に強みになる」でした。また、一人でいることへの批判と同じくらい自分を苦しめてきたのが「強くなれ」という言葉でした。上手に話せない、人の輪には入れない。「弱い」というのは、いけないことだと刷り込まれてきました。担任の「みんなが優しくあれたのは、お前の弱さがあったからだ」という言葉に今までの人生が許された気がしました。

 上記の文章を読んで、皆さんはどう思いましたか。昔は、発達障害という言葉は現在のようにポピュラーではありませんでした。先生方が研修等で勉強し始めてから20年はたっていません。平成17年4月から「発達障害者支援法」が施行されているので、それ以降です。発達障害を簡潔に説明すると、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など、脳機能の発達に関係する障害です。 発達障害のある人は、他人との関係づくりやコミュニケーションなどがとても苦手ですが、優れた能力が発揮されている場合もあり、周りから見てアンバランスな様子が理解されにくい障害です。

 現在、発達障害に関する本が書店でたくさん並んでいます。それほど、悩んでいる大人や子どもをもつ保護者が多いということでしょうか。私が過去に担任した生徒の中にも、発達障害ではないかと思う生徒は少なからずいました。うまくコミュニケーションがとれないことで悩んでいた生徒も多かったと思います。黒柳徹子さんが発達障害であることをカミングアウトしていることや、「みんなちがって、みんないい」という金子みすゞさんの言葉は、発達障害の子を勇気づける言葉でありました。長所も短所もありのままの自分を肯定する。ただ、発達障害だから全部仕方ないと思ってしまうと進歩はありません。自分にどんな特性があるのかを理解した上で、対策を考えることはできます。人間は社会的動物と言われるように社会と全く没交渉で生きることはできません。個別の色々な特性を理解して、寛容になれることが社会でみんなが幸せに暮らす上で必要なことではないでしょうか。昨今は、SNSの発達で寛容性が失われているような気もしますが、皆さんはどう思いますか。

難局物語

 今日は、赤穂浪士47人が江戸・本所松坂町の吉良邸に討ち入りし、主君の仇討ちをした日であり、ノルウェーの探検家ロアール・アムンセンと4人の隊員が世界で初めて南極点に到達した日でもあります。毎年、この時期になるとテレビでも赤穂浪士討ち入りの番組が組まれるので、知っている人も多いと思います。南極には1957年に日本の昭和基地が開設され、現在は、世界の気象観測網の拠点にもなっています。約30名の隊員が1年間観測活動を行っています。その南極大陸での南極観測隊の苦難とそり犬たちの悲劇を描いた映画があります。1983年の「南極物語」です。南極大陸に残された兄弟犬タロとジロと越冬隊員が1年後に再会する実話を元に創作を交え、北極と南極でロケを実施し、撮影期間3年余をかけ描いた大作映画です。私が大学生の時の映画で、大変話題になりました。キャストも高倉健さんや夏目雅子さんなど豪華でした。

 現在、地球温暖化の影響で両極の氷が解け始めています。南極の氷の厚さは最も厚い所で4,500m、平均2,450mです。 南極の氷が溶けてなくなると、現在より海面が40〜70m上昇すると考えられています。関東平野がほとんど水没するかもしれません。ただ、日本史で勉強したと思いますが、地球が誕生してから46億年の歴史をさらに長い目で見ると、地球は約10万年ごとに暖かくなったり(間氷期)寒くなったり(氷期)を繰り返してきたことが分かっています。東京の内陸から貝塚が発見されるのは、海岸が現在より内側にまできていたことを示しています。地球温暖化は、二酸化炭素の増加が原因と考えられ、太陽光発電の推進や脱原発、ガソリン車からEV車へのシフトなどの対策が進められてきましたが、二酸化炭素が原因ではないとする科学者グループの声が大きくなり、EVの問題点もクローズアップされ、EV離れが進んでいます。二酸化炭素とは関係なく、温暖化は進んでいるというのです。これが本当なら、今までの対策は何だったのでしょうね。人間の力の及ばないところで、宇宙は動いており、人類は地球が沸騰するのを指をくわえて見ていることしかできないのでしょうか。 皆さんも今後の地球温暖化と二酸化炭素の問題を注視してください。

女の子のなりたい職業は?

 今日は美容室の日らしいですが、理由が笑えました。12月は美容室に多くの客が訪れる月だからというのはいいとして、13日は「13」をくっつけると「Beauty」の頭文字「B」になることからだそうです。                                                          

 皆さんは、美容院と床屋のどちらに行っているでしょうか。女生徒は、ほぼ美容院かと思いますが、男子はまだ床屋が多いのでしょうか。私は、高校までは小さい時から行っている近所の床屋に行っていて、美容院に行くようになったのは大学生になってからでした。今通っている美容院は、もう24年の付き合いです。皆さんは、理容師と美容師の違いはわかりますか。端的に言うと、理容師は「髭剃り、顏剃り」ができるが、美容師はできないということです。私は床屋さんで、顔をそってもらうとともに耳掃除もしてもらっていました。美容院に行くようになって、「あっ、美容院はやってくれないんだ」と知りました。顔剃りと耳掃除は気持ちよかったんですよ。    

 私が最後に担任した生徒の中に、美容師になって原宿で店長をしており、テレビにもでるくらい成功している子がいます。3年次の成績はクラスで1、2位を争うほどで部活も頑張っていて、昔から美容師になりたいという夢を忘れずに努力しました。夢を叶えて成功できてよかったと思います。小学生の女の子のなりたい職業で美容師とパティシエが10位内に入っていますが、女の子が手に職をつけるといった場合、この二つが双璧なのでしょうね。今はイラストレーターも入っています。医師・看護士が1位、2位で、薬剤師が6位、獣医が9位と医療関係は人気ですね。本校の生徒も看護士と薬剤師を目指している人は多いようです。ぜひ、頑張って夢を叶え、人の役に立てるようになってください。

ワクワクはチャレンジから

 昨日は、キャリア教育で自らの生きる道を選ぶにあたり、「夢なし先生」の話をしました。その続きとして、地元の偉人である向井千秋さんの言葉を紹介します。彼女は日本人女性初の宇宙飛行士であり、お医者さんでもありました。

 「若くして亡くなってしまう人、生まれてから病院を一度も出ることなく死んでしまう子どもを見てきました。それを思えば、宇宙に行くとか新しい分野の仕事をするとか、自ら道を選ぶことができる人って「選べる」だけで幸せだと思うんです。チョイスがある人は、ない人のためにも生き抜くべきだし、知らない世界に足を踏み入れたからといって、死ぬわけじゃないんだから、前に進んで、やりたいことをやりぬくべきだと思うんです。」「生きているものは何でも美しい」「努力って目標を達成したい気持ちさえ強ければ、周りが思うより大変じゃないんです。一番辛いのは、目標が見つけられないとき」

 以前に「胸に刺さる言葉」として「やれる可能性のあるやつが 努力しないのを見ていると 胸倉をつかんで “俺と代われ”と言いたくなる」という白血病の青年の言葉を紹介しました。向井さんの「選べるだけで幸せ」という言葉は、何に対しても感謝の念を持てれば、「幸せ」のハードルは限りなく低くなっていくということでもあります。次のお笑い芸人の言葉を読んでください。

「新しいことをする時、いつも決まって「ざわざわ」「どきどき」「びくびく」が現れて不安になるんです。と、友人に相談したら、「え~っ、もったいない。僕だったら楽しみ~!」って思うよ。わくわくするよ。」

 新しいことにチャレンジできることを「幸せ」と捉えれば、「ざわざわ」「どきどき」「びくびく」が「わくわく」になりますよね。本校の入学者の受け入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)に「学校をワクワクする場所にしたいと考えている人」というのがあります。皆さんには、ぜひ新しいことに「ワクワク」しながらチャレンジしてもらいたいと思います。

夢はバラ色?それとも・・・

 「日本教育」という小冊子の連載コラムに「教師に読んでほしいマンガ」というものがあります。そこで紹介されていた「夢なし先生の進路指導」というマンガについて書きたいと思います。私は、紹介文を読んですぐに注文して読みました。それは、キャリア教育についてのマンガだったからです。本校の校務分掌では平成19年度に「進路指導部」から「キャリア教育部」という名前に変更されています。それから、本校は総合的な学習の時間とキャリア教育に関連する学校行事の企画・運営を中心に行ってきました。そして、それらの経験を生かして、平成25年度から平成27年度の3年間は文部科学省から研究指定され、各教科・科目等においてもキャリア教育の実践を意識した研究を実施してきたという経緯があります。

 「子どもには無限の可能性がある」という言葉を聞いたことがあると思います。美しい言葉でもありますが、小中学校と違って、高校では就職・進学といった現実的な出口指導をすることになります。「夢(希望)・適性・能力」が進路選択に必要になってきます。このマンガの主人公である、元キャリアコンサルタントの数学教師は、生徒の進路相談に対してネガティブな忠告をするために「夢なし」と呼ばれていました。教師は、生徒の夢が叶うようにどうしたらよいかを助言し背中を押す役目をもっています。しかし、その一方で現実について語り、生徒によくよく考えてもらうことがないと、無責任ということにもなってしまいます。この「夢なし」先生は、生徒の卒業後まで追跡し、声掛けします。「何かを諦めるのも悪くない」と夢の呪縛に苦しむ生徒に投げかけます。「諦める」は普通良い意味には使われませんが、その語源に「明らかにしてよく見極める」という肯定的な意味があるのです。自分の人生の道を一つに限定してしまうのではなく、よく考えて新しい道を探せるように動いてほしいというメッセージが受け止められました。将来の夢が明確にある人は、目標に向かって精一杯努力してほしいですが、実際に経験しないと気付けないことも多いので、「物事を明らかにして見極められる力」を身に付けてください。そして、新たな道を見つける勇気も大切です。