日誌

2023年12月の記事一覧

戦争と悟り

 今年は修学旅行で広島に行き、平和記念公園でガイドさんから、覚えておいてほしい日付の話がありました。8月6日、9日、15日です。順に広島、長崎へ原爆が投下された日、そして終戦記念日です。原爆資料館の入場待ちをしている時にガイドさんと話をしていて、「私が授業をもっていたころは、それらに加えて6月23日と12月8日も覚えておいてほしい日付として生徒に話しており、テストにも出していました」と伝えると、近現代史の学習が不十分と嘆かれていたガイドさんは喜んでいました。6月23日は沖縄戦終結の日、12月8日は太平洋戦争が始まった日です。昨年も太平洋戦争とパール判事の話と歴史を学ぶとはについて書きました。戦争を始める時は、他国から非難されないように自分の国に大義名分がある正義の戦争?というふうになるように策略して始めます。だから、戦争するどの国も自分の国が正しいと思っており、始末が悪いです。「勝てば官軍」という言葉があるとおり、勝ったほうが歴史を自分の都合の良いように書き換えますので、負けたほうの歴史は消されてしまうことも多いわけです。歴史は研究が進むと、新しい事実がでてきますので評価が変わることも珍しくありません。ただ、それは言論の自由や表現の自由がある民主主義国家に限りますが。アメリカと戦った太平洋戦争は、日本にとって大きな歴史の転換点になった戦争です。なぜ、日本はアメリカと戦うことになったのか。裏でどんな駆け引きがあったのか、原爆はなぜ落とされたのかについて多角的多面的観点から考えてみてください。

 さて、今日はお釈迦様が悟りを開かれた日でもあります。成道会といいます。 何を悟ったのかと言えば、人間の苦しみの原因と苦しみからの解放についての真理と知恵です。その内容は般若心経の中で平易に述べられています。こんなに簡単に言ってしまうと、専門家から怒られそうですが、この世のものはすべて「空」であるという真理が理解できれば、「苦」から救われるのでしょうか。心の持ち方一つで、「苦」は「楽」に変化するのでしょうか。日々生かされていることに感謝して、笑顔で過ごしたいものです。

大雪と冬至

 今日は、「二十四節気」の一つ「大雪(たいせつ)」です。日付は、年によって異なるようですが、近年では12月7日のようです。次の節気は「冬至」(12月22日頃)です。冬至は、1年の中でいちばん昼の時間が短く、夜の時間がいちばん長い日です。冬至には柚子湯に入る習慣がありますが、運を呼び込む前に体を清めるという意味があるそうです。冬が旬の柚子は香りも強く、強い香りには邪気がおこらないという考えがありました。また、柚子は実るまでに長い年月がかかるので、長年の苦労が実りますようにとの願いも込められているそうです。12月22日は2学期の終業式なので、冬至については早いですが、ここで書かせてもらいました。

 さて、「大雪」はというと北風が吹いて雪が激しく降り始める頃という意味で、冬至までの期間も意味します。この時期に日本には「冬将軍」と呼ばれるシベリア寒気団がやってきて、日本海側には大雪を、太平洋側には冷たく乾燥した空っ風をもたらします。群馬県民の皆さんには御馴染みの赤城おろしですね。今シーズンは暖冬予想が出ていますが、2月に寒気と南岸低気圧のタイミングが合うと大雪の恐れもありと予想されています。受験シーズンですので、受験生・保護者・先生みんなが気にしています。大雪(おおゆき)にならないように祈りましょう。昨日と違って、今日は午後から突風といってよいほど強い風が吹きましたが、外で部活動をしている生徒の皆さんが、風邪をひかないように祈っています。

年賀状出してますか?

 日本教育新聞の一面に「不易流行」というコラムがあります。12月4日付の記事で年賀状について書かれていました。年賀状は、ここ20年で発行枚数が3分の1になり、昨年の発行枚数は16億4千万枚だったそうです。令和4年の日本郵便の調査によると、小学校6年生男子の18.6%、中学校3年生男子の22.9%が前年に1通も年賀状を受け取らなかったそうです。今では、スマホで「あけおめ」やスタンプで済んでしまうことから若い人は年賀状をほとんど書かないのではないかと思います。皆さんはどうでしょうか。私は最も多く年賀状を出していた時で100枚超、今では普段会わない人にだけ出しているので20~30枚です。私はかなり年賀状に凝るほうだったので、今や懐かしいプリントごっこで10色刷りの版画を刷ったことや、全てイラスト入りの手書きで一枚一枚違う年賀状を書いたこともあります。家族写真を使うようになってからは、デジタルで加工するくらいで作成にそれほど時間はかけなくなりましたが、昔は本当に年末に時間がかかる作業でした。

 さて、子どもが年賀状を書かなくなったことで何か問題でもあるの?ということですが、自分の家の住所を正しく言えない子どもが増えているそうです。小学校6年生で住所を正しく言える児童は60.6%で、平成24年の84.5%と比較して24%も減っています。昔なら小学生で迷子になって自分の家の住所が言えないと困るということもあったでしょうが、今はスマホに住所も電話番号も入っていて、地図アプリも入っているので自分の家の住所が言えなくてもいいんじゃないのと思う方もいることでしょう。ただ、コラムでは自分の住む地域社会の理解不足、ひいては地域社会の一員としての意識の低下につながると警鐘を鳴らしていました。皆さんは、自分の家の住所と郵便番号は言えますよね?それと、自分が住む地域のことをどれくらい知っていますか。

ゾンビ映画で探究?

 「日本教育」という教育冊子の12月号が届いたので、開いてみると、「ゾンビ映画でも探究はできる!?身近なテーマを見つけて掘り下げよう」というタイトルが目に飛び込んできました。近畿大学総合社会学部准教授の岡本健先生の巻頭インタビューでした。岡本さんは、中国文化の授業で「香港武侠映画を1本選び、授業で学んだ方法で分析せよ」という最終レポート課題が出されたので、レンタルビデオ店に行って作品を選んでいたところ、たまたま近くに並んでいたゾンビ映画を手に取ったそうです。そして、その作品のひどさに驚き、なぜ、レンタルビデオ店にこんなにひどいゾンビ映画が数多く並んでいるのか?という疑問をもったことが探究心に火がついたきっかけだと語っていました。皆さんも、なぜ、こんなものが売れるのだろうとか、人気があるのだろうと思ったことはありませんか。また、ゾンビ映画は全世界で作られていて、その国の文化や本音などが知れるという異国間の理解に資する一面もあるとも述べていました。どんなに人からバカげたものと思われても、自分が興味をもち探究してみたいと思えば、探究はできるのです。実際、世界には「えっ?こんなものを長年研究しているの?」という人もたくさんいます。テーマをどれだけ多角的多面的に捉え、分析し、疑問に思ったことを追究することができるかは、自分が選んだテーマを本気で面白いと思い、探究したいと強く思ったかにかかっています。今から25年ほど前に、少人数の日本史の選択授業を担当していた時、夏休みの宿題として探究したいテーマを生徒に決めさせてレポートを課したことがありました。そこで日本のファッションの歴史について調べて考察した女子生徒がいました。古代から現代までのファッションの変遷と「なぜ、そうしたファッションが生まれたのか」に疑問をもち、機能性とデザインに注目して自分の意見を書いていました。その生徒はアパレルメーカーに就職しましたが、好きなことなら調べていくうちに次々と疑問が生まれてくると思います。現在、総合的な探究の時間がすべての学校にありますが、自分の好きなことを見つけて探究し、それが大学で勉強できて職業にも生かせたなら最高ですね。

宇宙人と幽霊の存在を信じますか?

 先日は、映画の日ということで書きましたが、1982年の今日はアメリカのSF映画『E.T.』が日本で公開された日です。私は大学生でしたが、映画館には行かずにビデオで見ました。生徒の皆さんが生まれる前の映画ですので、見たことがある人は少ないかもしれませんが、実は大変な映画です。監督・製作は、かの超有名なスティーヴン・スピルバーグで約1000万ドルという予算で製作され、観客は1000万人を突破し、アメリカ国内だけでおよそ3億ドルという当時の映画史上、最大の興行収入を記録しました。全世界では1993年公開の『ジュラシック・パーク』、日本では1997年公開の『もののけ姫』に抜かれるまで、映画の配給収入の歴代1位を守っていたのです。「E.T.」は「Extra-Terrestrial」の略で「地球外生命体」のことですが、簡単に言うと宇宙人のことですね。宇宙人を描いた小説・漫画・映画は枚挙に暇がありませんが、宇宙人を描いた最初の小説として最も知られているのはウェルズの「宇宙戦争」かもしれません。火星のタコ型宇宙人が出てくるものです。日本のかぐや姫も月から来ているので宇宙人なのですが、外見が人間なのでそういう感じがしませんよね。「地球外生命体」というとエイリアンやプレデターを思い浮かべてしまいますが、どちらかというと友好より危険というイメージが強いです。以前にアメリカで宇宙から交信のような電波が届いたことに対して応答するなという命令があったという話を聞きました。なぜかというと、その相手が地球人より進んだ生命体で敵対しないとは限らないからだそうです。宇宙で地球以外に生命体がいないと考える人は、ほぼいないと思います。では、幽霊はどうでしょうか。こちらは、いないと答える人は宇宙人よりは増えるかもしれません。ただ、いないことを証明するのは「悪魔の証明」といって、証明することが不可能か非常に困難です。物質が原子や電子、中性子そして素粒子からなっていることが発見されましたが、霊魂が存在することは証明されていません。しかし、実は、今も昔も、まじめに科学者が幽霊は存在するかしないかを議論しているのです。まだまだ、この世の中はわからないことだらけです。宇宙から人間の身体の内部まで、研究する余地は無限です。皆さんの中に、将来これらのことについて研究する人も出てくるかもしれませんね。これ以外にも、わからないことに対して知的好奇心を持ち続ければ、人生は面白くなると思います。ぜひ、色々なことに興味をもって、これからの生活に生かしてください。