日誌

榎本校長のつぶやき

雪やこんこ♪とは?

 昨日は、久しぶりのまとまった雪となりました。多くの学校で下校が早まり、今日も1~2時間遅れというところがほとんどのようです。今朝は、湿雪で滑りやすい雪でしたが、道路にはあまり雪がなく心配していたより影響は少ないようです。小学生は、昨日の午後は校庭で喜んで遊んでいたようですが、寒い中一緒に遊んでくれていた先生方、お疲れ様です。今日は朝会の後、生徒の動線上の雪かきでは先生方に大変お世話になりました。御蔭様で自転車通学の生徒も安全に構内を走れると思います。ありがとうございました。

 ところで、生徒の皆さんの中で、雪道で自転車運転中に滑って怖い思いをした人はいるでしょうか。私は車で2回スピンしたことがあり、その時は風景がスローモーションになって流れました。2回とも20代前半の教員になる前でした。早朝スキーに行く高速道路上でのことで、他に車がいなかったので事故にはなりませんでしたが、初スピンでしたので今でもよく覚えています。雪道では滑り始めると制御がききませんので、滑ったら運を天にまかせるしかありません。高速道路上のサービスエリアの駐車場で滑った時は、フィギュアスケーターのように何回転も回り、遊園地のコーヒーカップのようでした。これから何年か後に車の免許を取る人も多いと思いますが、雪道の運転は気を付けてください。私が子どもの頃は、節分の時期である2月の上旬は、雪が降ることが多かったですが、最近は温暖化の影響で雪が降るのが珍しくなりました。せっかくスタッドレスタイヤに履き替えても一度も雪道を走ることなくシーズンを終えることが普通になりました。今後は1年中オールシーズンタイヤでいいかもしれません。

 西高東低の冬型の気圧配置だと、日本海側は雪で太平洋側は晴れということが多くなります。雪景色が非日常で「きれい」と感じる我々と違って、雪国の人にとっては、「雪は白い悪魔」というのが近い感情らしいです。私もスキー場で車にどんどん降り積もる雪や前が見えないくらい真っ白の風景に怖いと感じたことがありますが、家が雪の重みでつぶれたり、屋根からの落雪で窒息死したり、雪下ろしで屋根から落ちたりと雪国ならではの苦労と怖さがあるようです。日本は、地域差がありますが台風や地震による災害が多く、特に今後は地震への備えが急務になってきます。関東平野は比較的災害が少ないので、危機感をもっている人は多くないように思えます。「備えあれば憂いなし」と言いますが、防災グッズや非常食等は準備してありますか?

ごんぎつねと読解力

 昨年12月に「PISA2022の結果概要(日本)」が報道されましたが、それによると、日本は数学的リテラシー(1位/5位)、読解力(2位/3位)、科学的リテラシー(1位/2位)の3分野全てにおいて世界トップレベルとなりました。〔( )の左側はOECD加盟国中、右側は全参加国・地域中における日本の順位〕この結果については、様々な分析がなされていますが、手放しでは喜べないようです。共通テストはかなり読解力が求められるようになってきていますが、高校では新しい学習指導要領の下、今までの「現代文」という科目がなくなり、「論理国語」と「文学国語」の選択となりました。それに対して、文学者や国語の教員らからは、文学に親しむ機会が格段に減るのではないかという批判の声が多くあげられました。どちらも必修なら問題とならなかったと思いますが、実用的な文章の読解力は中学生までで十分で、高校生はやはり思考力を養成するような、深い内容の文章の読解でいいのではないかという意見があります。契約書やマニュアルが理解できないようでは困るのですが、それは高校でやるべきことでしょうか。ただ、国語力の向上はすぐに達成できるものではありませんので、生徒の実態に合わせて内容が柔軟に変えられるように、「論理国語」と「文学国語」は、同じ教科書の中で学校の実態に合わせて配分を変えられるようにはできなかったのでしょうか。義務教育において国語は算数と並んで最も重要な教科であり、時間を削ってはいけないと思います。全ての学習の土台となるのが母語の習得です。「読む」「書く」を繰り返す訓練を、小中学校ではしっかりやってほしいと思います。

 皆さんは、小学生の時に「ごんぎつね」という話を国語の時間に学習したことを覚えていますか。この童話のあらすじは、次のとおりです。いたずら好きなごんという狐が、兵十という男の獲ったうなぎや魚を逃していました。ある日、兵十の家で母の葬儀が行われているのを目にして、魚が病気の母のためのものだったことを知って反省し、罪滅ぼしに毎日栗や松茸を届けましたが、兵十にいたずらに来たと誤解され射殺されてしまいます。そして、誤解に気付いた兵十は泣きます。「ごんぎつね」だけではないのですが、昔話を国語で扱う時は子どもの読解力以前の問題で苦労するようです。兵十が葬儀の準備をするシーンに「大きななべのなかで、なにかがぐずぐずにえていました」という一文があります。教師が「鍋で何を煮ているのか」と子どもたちに尋ねると各グループで話し合った子どもたちが、「死んだお母さんを鍋に入れて消毒している」「死体を煮て溶かしている」と言いだしたのです。ふざけているのかと思いきや、大真面目に複数名の子がそう発言している。もちろんこれは単に、参列者にふるまう食べ物を用意している描写です。これは一例に過ぎませんが、もう誤読以前の問題なわけで、お葬式はなんのためにやるものなのか、母を亡くして兵十はどれほどの悲しみを抱えているかといった、社会常識や人間的な感情への想像力がすっぽり抜け落ちている。単なる文章の読み間違えは、国語の練習問題と同じで、訂正すれば正しく読めます。でも、人の心情へのごく基本的な理解が欠如していると、本来間違えようのない箇所で珍解釈が出てきてしまうし、物語のテーマ性や情感をまったく把握できません。以上は、『ルポ 誰が国語力を殺すのか』を書いた石井光太さんのお話から引用しましたが、他にも自分の感情や考えを言葉で説明できない子どもが増えているということで、感情のグラデーションを言葉で把握できないと、大人になってからも様々なトラブルを起こしがちと警鐘を鳴らしています。感情を適切にとらえ表現する国語力は、社会のなかで自分と他者が心地よく生きていく力と密接に結びついています。皆さんが生きているこの世界の事象と人の心情を適切に表現するためには、様々な言葉が必要です。どうか国語を大事にして、しっかり勉強してください。

交番と治安

 昨日から本格的に私大の一般入試が始まりました。3年次では多くの生徒が受験に行っています。今日は、寒くなりそうですが、受験生の皆さんの健闘をお祈りします。一方で、2年次生は今日の放課後と明日1日、共通テスト模試に挑みます。先輩方のアドバイスでは、受験勉強のスタートは2年次の秋からがいいという話を聞きますが、この模試を受験勉強スタートの号砲として、ゆっくりでもいいのでスタートしてください。「もっと早く始めればよかった」と1年後に後悔しないように、すぐ始めてください。

 今日2月2日は、交番設置記念日だそうです。 1874年に東京警視庁が設置した「交番所」(交番舎)が世界初のもので当初は、交番の建物はなく、街中の交差点などに警察署から警察官が出向いていたそうです。1881年の今日、1つの警察署の管内に7つの「交番」を設置することが定められました。町の中に常設の建物を置き、そこを中心に制服の警察官が活動するという交番の制度が始まりました。1888年10月に全国で「派出所」(警察官の詰め所)、「駐在所」(外勤警察官が居住する施設)という名称に統一されましたが、「交番」という呼び名が定着し、国際的にも通用する言葉になっているということから、1994年11月1日に「交番」(KOBAN)を正式名称とすることになりました。日本の治安の良さは世界中に知られていますが、アメリカの大学教授が日本に犯罪が少なく治安が良い大きな理由は、都市に交番が設けられ、全国各地に駐在所があり、警察官が地域において住民と良好な関係を築いていることだという研究を発表しています。外国でもKOBANで通用し、今や世界に広がりつつあります。 現在アメリカやラテンアメリカ諸国、およびアジア諸国で導入されています。ブラジルのサンパウロ州のラニエリ地区は「世界一危険な地区」と国連が認定するほど治安の悪いところでしたが、KOBANを導入してから10年後には、殺人の件数は2割程度にまで激減したそうです。日本の制度が世界の平和と安全に貢献していると思うとうれしいですね。

 少年ジャンプで連載され、アニメ化もされた「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は警官を描いた漫画としては断トツに有名です。「こち亀」として親しまれ、単行本は全201巻に及び、2021年に『ゴルゴ13』に抜かれるまでは「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定されていました。私も半分くらいは持っています。私が中学生の時に連載が始まり、40年間一度の休載もなく続いたのですから、驚異的です。この漫画は、ほとんど警察組織とは関係ない内容ですが、様々なマニアに受ける内容が盛り込まれ、作者の知識と感性、そして先を見通す力に驚かされます。この漫画が日本の派出所を世界に広める一助になったことは否定できないでしょう。

魔法少女と「Kawaii」

 今日から2月です。令和6年も、もう1月が終わってしまいました。本当に月日が過ぎるのが早く感じます。2月は3連休が2回あり、高校入試で家庭学習になる日が多いので、登校日が14日しかありません。すぐ卒業式です。このブログも終業式で400回となる予定ですが、今日を含めてあと34回です。ただ、3月に入っても家庭学習があるので、1・2年次生の皆さんの現年次での登校日はあと28日です。あと28日ですよ!そのうちの4日は学年末考査です。残された日を大事にして過ごしましょう。

 さて、今日は少し明るい?ことを書きたいと思います。今日2月1日は平成16年に初代『ふたりはプリキュア』の放送が始まったことにちなんで「プリキュアの日」だそうです。平成30年に放送開始から15年となったことを記念して登録されたそうです。プリキュアシリーズは、テレビ朝日系列(ANN)で毎週日曜8:30~9:00に放送されており、『ふたりはプリキュア』が放映され大ヒットしたことで、以降10年以上にわたってシリーズを重ねています。本校の女子生徒も見ていた人が多いのではないでしょうか。東映アニメーションの女児向け作品としては、『美少女戦士セーラームーン』シリーズ以来の新風を巻き起こしました。2018年に公開されたプリキュアシリーズ15周年記念作品の『映画HUGっと! プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』は、当時の全プリキュア55人の夢のタッグが実現したスペシャルな作品で、「アニメ映画に登場する最も多いマジカル戦士の数」でギネス世界記録に認定されているそうです。何かウルトラマンや仮面ライダーがたくさんいるのと同じですね。玩具メーカーとタイアップしているので、親としては新しい番組に変わるとキャラクターグッズの出費が増えて大変です。私は娘が二人いて、ちょうどプリキュアが始まった時が幼稚園の年長と小学校3年生だったので、一緒に見ていました。あとは「おジャ魔女どれみ」や「スーパードール☆リカちゃん」なども見ていましたね。むさしの村遊園地に「おジャ魔女どれみ」ショーを見に行ったこともありました。「プリキュア」というタイトルの由来は「プリティー(PRETTY=かわいい)」と「キュア(CURE=癒す・治す)」という女の子らしいイメージを合わせた造語であり、この名前に至るまでには相当の時間を要したそうです。日本語の「かわいい」は外国でも「Kawaii」として通用します。 サンリオのキティちゃんなどのキャラクターを「Kawaii」とするファンが世界中にいます。プリキュアに通ずる「かわいい」と似た英語にはcuteやprettyがありますが、「かわいい」はそれだけで世界に通じる日本独自の美意識といえます。今では「かわいい」をテーマにした日本画展も開催されています。ただ、なんでもかんでも「カワイイ!」は、「やばい」を連発するのと一緒で、表現力の欠如になってしまいますので、「カワイイ」を説明できるようにできるだけ語彙を増やし、使いこなせるようになってください。

 

評価って難しい!

 今日は今年度2回目の学校評議員会があり、5人の評議員の方から学校評価結果に対して助言をいただきました。学校評価は、学校の課題を改善し、学校をよりよくするために始まった事業ですが、課題から目標を設定し、目標を達成するために具体的に何をするかを考え、実行し、達成度をできるだけ数値で検証します。総合評価が低い項目と内部評価と外部評価が異なっている項目が更なる課題となります。以前にも少し評価について書いたことがありますが、再度評価について書いてみたいと思います。

 評価は本当に難しいです。真に公平公正な評価をしようとするなら、誰が評価してもぶれないようにできるだけ具体的な評価規準を作らなければなりません。イギリスの名門校の生徒心得には「ジェントルマンたれ」のみ記され、目標は「卒業までに教師の評価と自己評価が一致するようになること」だそうです。自己評価を何度も行い、内省的な力が高まれば、自分を客観視できるようになります。教師の評価と生徒の自己評価に差異がある時は、生徒にとっては自分を見つめ直すチャンスに、教師にとっては指導方法や評価手法を振り返るチャンスとなります。自分を主体的に伸ばすためには、自分を正しく評価する力が必要です。ただ、評価については様々な考え方がありますので、以下の文を読んで皆さん一人ひとりが考えてみてください。

〇特定の誰かに認められたいという発想はやめるべきです。他人の評価を気にするのは、受け身で主体性のないことの表れ。他者に認めてもらうのではなく、自分が自分を認めればいいのです。

〇「他者からの評価なんて気にしなくていい」「無理に好かれなくてもいい」という言葉からは、頑張れない人に誤解が生じてしまう可能性があります。

〇実は、この社会は”他者からの評価が全て”なはずです。集団で生活している以上、他者との関わりは避けられません。人からよく思われないとますます生きにくくなってしまうのです。

〇自己評価をあげるには、他者から評価されることが絶対に必要です。達成感も自信も、成し遂げたことへの周囲からの承認があって初めて成り立ちます。成し遂げたこと自体からではありせん。

 次の言葉から、新しい企画ができそうです。

 「評価する者が最も学ぶ。他校の学校評価も教員が行うとよい。教える者が最も学ぶ。自校のよさを他校に教えることで自校のよさを深く学ぶことができる。」 評価は、対象をよく調べ勉強し、観察していないとできません。近隣の学校の先生が相互に評議員となってお互いの学校をよく知って評価し合えたら、面白いと思います。同様に各高校の生徒代表が、ビブリオバトルのように自校のよさをプレゼンして他校の生徒にジャッジしてもらうというのはどうでしょう。異なる視点から各校を知ることができ、お互いに高め合えるのではないでしょうか。

SNSは寸鉄だ

 昨日のブログで「笑顔」について書いたばかりなのに、今日書く内容は悲しく、あまり気が進みません。それでも書かなくてはと思いました。

 昨日から、漫画「セクシー田中さん」の作者である芦原妃名子さんが自殺した件について、多くの報道がなされています。今後、後追い記事が出て来てYouTubeでも取り上げられると思いますので、ここで詳細について書くことは控えます。「のだめカンタービレ」の作者の二ノ宮知子さんが自身のX(旧Twitter)で、「辛い…。辛すぎる。」、「自分の作品を一番大事に思っているのは自分なんだと号泣した日の事を思い出して、また涙が止まらない」と発信しました。同じように漫画が実写ドラマ化され、アニメ化された身として芦原さんの気持ちが痛いほどわかるのだと思います。私はこのニュースに接して、フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していてSNSでの誹謗中傷が原因で自殺した女子プロレスラー木村花さんが思い出されました。(今回の件はSNS以前の問題でもありますが。)SNSでの言葉のやりとりが原因で、傷ついている人がどれくらいいるのか、自殺にまで追い込まれてしまった人がどれくらいいるかは不明ですが、明らかに通信技術の発達によって生じた負の部分です。

 「寸鉄人を殺す(刺す)」ということわざがあります。意味は、短い刃物で人を刺し殺すことから、短く鋭い言葉で人の急所をつくことです。このことわざは、言葉の力が実際の武器と同じくらいの影響を持つことを示しています。そして、言葉の選び方や話し方がどれほど人の感情や心に大きな影響を与えるのかを警告してくれています。似た言葉でいい意味に使うものに「ペンは剣よりも強し」がありますね。このような御時世ですので、学校では小学校から高校まで、情報モラルに関する学習を毎年しています。しかし、SNSを巡るトラブルは一向になくなりません。そのすべての原因は匿名性と発信の簡単さにあると思います。匿名のものは責任をもって発信していないということで信用しないということが当たり前になればいいのですが、「デジタルタトゥー」という言葉があるとおり一旦世界中に広まってしまったものを消すのは至難の業であり、発信された側としては、対応しないわけにはいきません。ネット上の問題は、法整備が追い付いていないのが現状ですが、早く泣き寝入りする人がいなくなるようにしてほしいです。今のところ、トラブルを避けるためには発信する前に1日待つ。そして、第三者に読んだり見てもらったりすることです。生徒の皆さんも、今後SNSでのトラブルの被害者にも加害者にもならないために十分気を付けましょう。

笑顔のパワー!パワー!パワー!

 今日は、思うところがあって「笑顔」について書くことにしました。令和4年の6月10日に「笑顔の力」というタイトルで書いていますが、再度書きたいと思います。「叶う」「吐く」については、3回話をしましたのが、記憶してほしいことは何度も繰り返すことが大事と言ったとおり、「笑顔」について繰り返したいと思います。              

 まずは有名人の言葉から。〇単なる笑顔であっても想像できないほどの可能性があるのよ。(マザーテレサ) 〇「笑顔は1ドルの元手もいらないが、1000万ドルの価値を生み出す」(カーネギー) 〇笑顔は万言に勝るインターナショナル・サインである (中村天風) 〇「いいことが起きたから笑顔になるのではなく、笑顔だからいいことが起きる」中井俊已(教育評論家) 〇 「笑」という漢字は、万葉集や古事記の時代には「花が咲く」という意味で使用されていた。だから、笑顔は、その人の心の花が顔に咲いたということ。

 笑顔の効用について。〇楽しい感情には、問題解決を容易にしたり、記憶力を高めたり、集中力を高めたりする効果があることが報告されています。笑顔をつくると楽しくなるという逆効果が、私たちの脳にはある。失敗したときは笑いましょう。失敗したときも笑顔でいると、脳がその失敗はなかったように把握するのです。〇怒り顔の人と笑顔の人の写真を用意して、その顔を覚えてもらい、後日同じ人たちの無表情の写真で「この顔を覚えているか」と確認する実験がありました。その結果、実際に覚えているのは、圧倒的に笑顔だった人の顔でした(「笑顔優位性効果」)笑顔でいる人のほうが記憶に残りやすい。〇表情は感情の出力だが、実は入力にもなる。人はうれしいから笑顔になるわけだけど、つられて笑顔になった時には「うれしい時の神経信号」が誘発され、笑顔の時と同じ気持ちになれる。つまり、周囲を笑顔にする人は、自分の表情を周囲に伝染させ、結果、周囲の脳に「やる気と好奇心」を喚起しているのである。当然、その人のチームはいい結果を出す。〇仏教用語の「和顔愛語」(わげんあいご)は、「和やかな笑顔」と「思いやりのある言葉遣い」で人に接することで、人間関係をスムーズにするための知恵です。仏教には、他にも顔施(がんせ)というものがあります。にこやかな表情で人に接するということで、和顔施(わがんせ・わげんせ)ともいいます。〇実に単純な世渡り法は、「笑顔」と「挨拶」と「返事」です。

 いかがでしたか。笑顔の効用の最初の三つは、以前に紹介したものです。社会に出ると、本当に「笑顔」と「挨拶」と「返事」が評価されることを実感すると思います。「笑顔」と「挨拶」と「返事」ができる人は印象に残るので、よく覚えてもらえます。体調が悪い時や精神的に落ち込んでいる時に笑顔を作るのは、難しいかもしれませんが、意識的に笑顔を作ることで回復が早まると思います。(となりのトトロのサツキちゃんとメイちゃんがお父さんと一緒にお風呂に入っている時の笑いのように) 病院にこそ笑顔が必要であり、疲れていても笑顔で接してくれる看護師さんに助けられている患者さんも多いでしょう。落語会を開催している病院もあります。マスクをしていると笑顔が見られません。皆さんもコロナやインフルエンザ感染に注意しながらも、マスクを外せる時は外して笑顔を見せてください。

心も体も温まりたい

 最近、寒い日が続いていますね。インフルエンザよりも今は感染力の強いコロナが流行していますので、皆さん予防に気を付けください。暦の上では、2024年の大寒は1月20日(土)で、2月3日(土)の節分までの15日間が「大寒期」とされていますので、寒いのも仕方ないかもしれません。寒いとこたつやお風呂が恋しくなりますね。毎月26日は風呂の日です。先日の朝のテレビ番組の特集で草津温泉が取り上げられていました。草津温泉は群馬県が全国に誇る温泉地であり、温泉番付では西の横綱別府温泉と並び、東の横綱に君臨しています。リピーターの数では全国一だそうです。どんな観光施設やレストランなどでもそうですが、リピーターをいかに増やすかが経営を続けられるかどうかの鍵になります。TDLやTDC、USJなどは、その典型でしょう(新しいエリアやアトラクションができるとはいっても料金値上げが続き、前ほど行けなくなる人が増えそうですが)。草津温泉は、王者の地位に胡坐をかくことなく、お客さんにリピーターになってもらえる努力をしてきたようです。「♪草津よいと~こ 一度は~お出で (ア ドッコイショ) お湯の中に~も(コーリャ) 花が咲くよ(チョイナチョイナ)♪」の草津節は有名ですが、高校生の皆さんはわからない人が多いかもしれませんね。私は、日帰りも含めると草津温泉は7回訪れていて、私が訪れた温泉地の中では最多です。スキーとセットで行くことがほとんどですが、若い時は温泉は年寄り臭く感じてそれほどいいものとは思っていませんでした。そして、子どものころは、家族旅行で温泉に行くとつまらないと思っていましたが、今は積極的に行きたいと思っているのですから、年を取ると変わるものですね。皆さんも卒業したら友人と旅行に行くこともあると思いますが、伊香保や万座、水上、四万など全国的に有名なところが多い地元群馬の温泉をぜひアピールして、一緒に行ってみてください。

萬画とは

 昨年の今日は、カノッサの屈辱と謝罪について書きましたが、今日1月25日は漫画家の石ノ森章太郎先生の誕生日ということで、石ノ森章太郎先生について書こうと思います。今の高校生には石ノ森章太郎といってもピンとこないかもしれませんが、仮面ライダーや戦隊シリーズは知っていると思います。早いもので石ノ森先生が亡くなられてから、26年がたちましたが、今でも映画で「シン・仮面ライダー」が作成されたり、テレビでの仮面ライダーシリーズやゴレンジャーから始まる戦隊シリーズなどの放映が続いていたりで、その作品の影響力は健在です。特に等身大のヒーローものは、巨大ヒーローもののウルトラマンと並び、子ども達に絶大な人気を誇り、現在まで50年以上続いているのがすごいです。彼は生前、マンガというメディアが持つ無限の可能性を提唱する「萬画宣言」を行い、自身も「漫画家」ではなく「萬画家」と称しました。この「萬画」という言葉には、「あらゆるものを表現でき、あらゆる世代の嗜好に合い、無限の可能性をもつメディアであり、そしてミリオンアートである」という意味が込められているのです。『石ノ森章太郎萬画大全集』は、770タイトル全500巻で、一人の著者が描いたコミックの出版作品数が世界一多いとしてギネスブックにも認定されています。手塚治虫先生の業績も超人的で「漫画の神様」と呼ばれていますが、石ノ森先生も、SF漫画から学習漫画まで幅広い分野で作品を量産し「漫画の王様」「漫画の帝王」と評されています。私が実際に読んだ作品には『サイボーグ009』『仮面ライダー』『人造人間キカイダー』『イナズマン』『ロボット刑事』『秘密戦隊ゴレンジャー』『佐武と市捕物控』『マンガ日本経済入門』『HOTEL』などがあります。

 私が初めてコマ割りをして16ページの漫画を描いたのは小学3年生の時でしたが、題材はテレビの仮面ライダーでした。ペン入れやホワイト、トーン貼りなどはもちろんなく、サインペン1本で描いたもので拙いものでしたが、セリフとコマ割りをテレビのシーンを思い出しながら描きました。今でもよく覚えています。当時は、漫画は低俗なものという偏見もあり、特に父親からはいい顔をされず、描いていると怒られました。今や紙ベースでもWebでも漫画があふれており、日本のクールなサブカルチャーとして世界に発信されているのですから、時代は変わったものです。漫画の表現力は進歩し続けていますが、果たしてAIが代替してしまう時代がくるのか、絵や音楽、文学などすべての表現者にとって今までとは全く異なる時代が到来するかもしれません。皆さんも、今後はAIに代替されないもので勝負するか、AIを活用することで勝負するか、いずれにせよ自分の様々な力を伸ばせるよう努めてください。

主体的に余白を作ろう!

 「キャリアガイダンス」というリクルートの進路指導・キャリア教育専門誌がありますが、その449号の特集が「余白を生む未来」でした。片づけコンサルタントとして有名な近藤麻理恵さんのオープニングメッセージに次のような言葉がありました。

 「いつか時間の余裕ができたら、自分にとって大切なことに時間を割こう」と思っていても、永遠にその時間はやってきません。今の自分を見つめなおし、自分にとって本当に大切なものとそうでないものを分けて、いらないものを手放す。手放して初めて、そこに自由に使える余白ができます。余白とは、人生を主体的に選択すること、すなわち「片付け」から生まれるものなのです。

 彼女は、残したいものを選ぶ基準に「手に取った時にときめくか」と表現し、片づけ本が世界的ベストセラーとなりました。2015年には、『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出されました。「断捨離」が流行語に選ばれたのが2010年、ミニマリストは2015年ですが、いかに現代人が物に囲まれ整理ができていないかがわかります。令和4年6月24日のブログで、整理整頓について書きました。時間や空間に余白を生み出す。頭の中にも余白を生み出す。「余白の美」についても以前に書きましたが、書道や水墨画などで、何も書かれていない場所に何が見えるか。その意味が捉えられるか。アウトプットとインプットについて、インプットばかりしていると頭の中が整理できずにごちゃごちゃでいっぱいになってきます。新しく必要なことをインプットしていくためには、情報を整理してまとめてアウトプットし、余白を作る必要があります。パソコンのハードディスクをデフラグして整理して空きスペースを作るようなものですね。「時間がないと言って、好きなことを後回しにする人は、本当はそのことが好きではないのだ」ということを以前に書きましたが、余白を主体的に作るのは自分自身です。余白ができれば、余裕が生まれます。「人には余裕というものがなくては、とても大事はできないよ」という勝海舟の言葉を以前に紹介しましたが、皆さんも主体性を身に付けることで余白を生み出し、社会に出て大事ができるようになってください。