榎本校長のつぶやき
対話が大事!
まず、次の文を読んでください。
あまり成績のよくない学生がゼミに入れてほしいとやってきた。成績を理由に断ったのだが学生は、「今まで何をやっても中途半端だった。根性をたたき直すために入れてほしい。」と粘る。面白い。ゼミの内容を毎週家に持ち帰り、食事の時に両親に説明し、その結果を毎週リポートで提出するという条件をつけた。最初のリポートが面白かった。いつもはお笑い番組などを見ながら食事をする息子が突然「冷戦の崩壊」などと話し始めたから、親は笑ってまじめに取り合わなかったという。しかし、息子は真剣だ。毎週報告しなければゼミから放り出される。息子の熱意に親が引き込まれ、親子で話し合う様子が生き生きとリポートに表れるようになった。学生の成長はめざましかった。1年半のゼミの後、学生は就職試験を受けた。成長ぶりを見ている私には企業はこんな若者を見逃さないだろうと確信があった。学生は希望の企業に合格した。報告にきた学生に、最終面接の朝、両親はどんな言葉で励ましたかと尋ねた。頑張れでも落ち着けでもなかった。「今までやってきたことを全部発揮してこい!」だったという。親子が対話を続けていたからこそ出た言葉だと思う。作新学院大学特任教授小林和男 内外教育「ひとこと」より
今の若者は、ネット中心でテレビはあまり見ないようですが、家ではどんな話をしているのでしょうか。対話的学習が重視されている現在、授業ではペアやグループでの学習が当たり前のように行われています。質のよい対話的な学びを積み上げていけば、次第に「知識とは、自分たちの手によってどんどんと良くなっていくものだ」という知識観を形成していけるのです。世界の教育現場では対話型、討論型が主流です。自分の考えを述べる、それに質問を受ける、それによって考えが深まり、当初考えていたより以上の多面的多角的な考え方ができるようになります。対話は、別に友達や先生、親などの大人だけが相手ではありません。偉大な先人たちの言葉がたくさん残されています。「自分ならどう考えるか」というときに、それまでに先人たちがどのように考えてきたかを学ぶことは、具体的に何かの役に立てるという勉強以上に重要な意味をもっているのです。太東の生徒の皆さんは、男女の仲が良いので、対話的学習や学び合いといった活動が、よくできています。今後も切磋琢磨して太東全体で力を伸ばしていけるように頑張っていきましょう。