日誌

榎本校長のつぶやき

雪やこんこ♪とは?

 昨日は、久しぶりのまとまった雪となりました。多くの学校で下校が早まり、今日も1~2時間遅れというところがほとんどのようです。今朝は、湿雪で滑りやすい雪でしたが、道路にはあまり雪がなく心配していたより影響は少ないようです。小学生は、昨日の午後は校庭で喜んで遊んでいたようですが、寒い中一緒に遊んでくれていた先生方、お疲れ様です。今日は朝会の後、生徒の動線上の雪かきでは先生方に大変お世話になりました。御蔭様で自転車通学の生徒も安全に構内を走れると思います。ありがとうございました。

 ところで、生徒の皆さんの中で、雪道で自転車運転中に滑って怖い思いをした人はいるでしょうか。私は車で2回スピンしたことがあり、その時は風景がスローモーションになって流れました。2回とも20代前半の教員になる前でした。早朝スキーに行く高速道路上でのことで、他に車がいなかったので事故にはなりませんでしたが、初スピンでしたので今でもよく覚えています。雪道では滑り始めると制御がききませんので、滑ったら運を天にまかせるしかありません。高速道路上のサービスエリアの駐車場で滑った時は、フィギュアスケーターのように何回転も回り、遊園地のコーヒーカップのようでした。これから何年か後に車の免許を取る人も多いと思いますが、雪道の運転は気を付けてください。私が子どもの頃は、節分の時期である2月の上旬は、雪が降ることが多かったですが、最近は温暖化の影響で雪が降るのが珍しくなりました。せっかくスタッドレスタイヤに履き替えても一度も雪道を走ることなくシーズンを終えることが普通になりました。今後は1年中オールシーズンタイヤでいいかもしれません。

 西高東低の冬型の気圧配置だと、日本海側は雪で太平洋側は晴れということが多くなります。雪景色が非日常で「きれい」と感じる我々と違って、雪国の人にとっては、「雪は白い悪魔」というのが近い感情らしいです。私もスキー場で車にどんどん降り積もる雪や前が見えないくらい真っ白の風景に怖いと感じたことがありますが、家が雪の重みでつぶれたり、屋根からの落雪で窒息死したり、雪下ろしで屋根から落ちたりと雪国ならではの苦労と怖さがあるようです。日本は、地域差がありますが台風や地震による災害が多く、特に今後は地震への備えが急務になってきます。関東平野は比較的災害が少ないので、危機感をもっている人は多くないように思えます。「備えあれば憂いなし」と言いますが、防災グッズや非常食等は準備してありますか?

ごんぎつねと読解力

 昨年12月に「PISA2022の結果概要(日本)」が報道されましたが、それによると、日本は数学的リテラシー(1位/5位)、読解力(2位/3位)、科学的リテラシー(1位/2位)の3分野全てにおいて世界トップレベルとなりました。〔( )の左側はOECD加盟国中、右側は全参加国・地域中における日本の順位〕この結果については、様々な分析がなされていますが、手放しでは喜べないようです。共通テストはかなり読解力が求められるようになってきていますが、高校では新しい学習指導要領の下、今までの「現代文」という科目がなくなり、「論理国語」と「文学国語」の選択となりました。それに対して、文学者や国語の教員らからは、文学に親しむ機会が格段に減るのではないかという批判の声が多くあげられました。どちらも必修なら問題とならなかったと思いますが、実用的な文章の読解力は中学生までで十分で、高校生はやはり思考力を養成するような、深い内容の文章の読解でいいのではないかという意見があります。契約書やマニュアルが理解できないようでは困るのですが、それは高校でやるべきことでしょうか。ただ、国語力の向上はすぐに達成できるものではありませんので、生徒の実態に合わせて内容が柔軟に変えられるように、「論理国語」と「文学国語」は、同じ教科書の中で学校の実態に合わせて配分を変えられるようにはできなかったのでしょうか。義務教育において国語は算数と並んで最も重要な教科であり、時間を削ってはいけないと思います。全ての学習の土台となるのが母語の習得です。「読む」「書く」を繰り返す訓練を、小中学校ではしっかりやってほしいと思います。

 皆さんは、小学生の時に「ごんぎつね」という話を国語の時間に学習したことを覚えていますか。この童話のあらすじは、次のとおりです。いたずら好きなごんという狐が、兵十という男の獲ったうなぎや魚を逃していました。ある日、兵十の家で母の葬儀が行われているのを目にして、魚が病気の母のためのものだったことを知って反省し、罪滅ぼしに毎日栗や松茸を届けましたが、兵十にいたずらに来たと誤解され射殺されてしまいます。そして、誤解に気付いた兵十は泣きます。「ごんぎつね」だけではないのですが、昔話を国語で扱う時は子どもの読解力以前の問題で苦労するようです。兵十が葬儀の準備をするシーンに「大きななべのなかで、なにかがぐずぐずにえていました」という一文があります。教師が「鍋で何を煮ているのか」と子どもたちに尋ねると各グループで話し合った子どもたちが、「死んだお母さんを鍋に入れて消毒している」「死体を煮て溶かしている」と言いだしたのです。ふざけているのかと思いきや、大真面目に複数名の子がそう発言している。もちろんこれは単に、参列者にふるまう食べ物を用意している描写です。これは一例に過ぎませんが、もう誤読以前の問題なわけで、お葬式はなんのためにやるものなのか、母を亡くして兵十はどれほどの悲しみを抱えているかといった、社会常識や人間的な感情への想像力がすっぽり抜け落ちている。単なる文章の読み間違えは、国語の練習問題と同じで、訂正すれば正しく読めます。でも、人の心情へのごく基本的な理解が欠如していると、本来間違えようのない箇所で珍解釈が出てきてしまうし、物語のテーマ性や情感をまったく把握できません。以上は、『ルポ 誰が国語力を殺すのか』を書いた石井光太さんのお話から引用しましたが、他にも自分の感情や考えを言葉で説明できない子どもが増えているということで、感情のグラデーションを言葉で把握できないと、大人になってからも様々なトラブルを起こしがちと警鐘を鳴らしています。感情を適切にとらえ表現する国語力は、社会のなかで自分と他者が心地よく生きていく力と密接に結びついています。皆さんが生きているこの世界の事象と人の心情を適切に表現するためには、様々な言葉が必要です。どうか国語を大事にして、しっかり勉強してください。

交番と治安

 昨日から本格的に私大の一般入試が始まりました。3年次では多くの生徒が受験に行っています。今日は、寒くなりそうですが、受験生の皆さんの健闘をお祈りします。一方で、2年次生は今日の放課後と明日1日、共通テスト模試に挑みます。先輩方のアドバイスでは、受験勉強のスタートは2年次の秋からがいいという話を聞きますが、この模試を受験勉強スタートの号砲として、ゆっくりでもいいのでスタートしてください。「もっと早く始めればよかった」と1年後に後悔しないように、すぐ始めてください。

 今日2月2日は、交番設置記念日だそうです。 1874年に東京警視庁が設置した「交番所」(交番舎)が世界初のもので当初は、交番の建物はなく、街中の交差点などに警察署から警察官が出向いていたそうです。1881年の今日、1つの警察署の管内に7つの「交番」を設置することが定められました。町の中に常設の建物を置き、そこを中心に制服の警察官が活動するという交番の制度が始まりました。1888年10月に全国で「派出所」(警察官の詰め所)、「駐在所」(外勤警察官が居住する施設)という名称に統一されましたが、「交番」という呼び名が定着し、国際的にも通用する言葉になっているということから、1994年11月1日に「交番」(KOBAN)を正式名称とすることになりました。日本の治安の良さは世界中に知られていますが、アメリカの大学教授が日本に犯罪が少なく治安が良い大きな理由は、都市に交番が設けられ、全国各地に駐在所があり、警察官が地域において住民と良好な関係を築いていることだという研究を発表しています。外国でもKOBANで通用し、今や世界に広がりつつあります。 現在アメリカやラテンアメリカ諸国、およびアジア諸国で導入されています。ブラジルのサンパウロ州のラニエリ地区は「世界一危険な地区」と国連が認定するほど治安の悪いところでしたが、KOBANを導入してから10年後には、殺人の件数は2割程度にまで激減したそうです。日本の制度が世界の平和と安全に貢献していると思うとうれしいですね。

 少年ジャンプで連載され、アニメ化もされた「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は警官を描いた漫画としては断トツに有名です。「こち亀」として親しまれ、単行本は全201巻に及び、2021年に『ゴルゴ13』に抜かれるまでは「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定されていました。私も半分くらいは持っています。私が中学生の時に連載が始まり、40年間一度の休載もなく続いたのですから、驚異的です。この漫画は、ほとんど警察組織とは関係ない内容ですが、様々なマニアに受ける内容が盛り込まれ、作者の知識と感性、そして先を見通す力に驚かされます。この漫画が日本の派出所を世界に広める一助になったことは否定できないでしょう。

魔法少女と「Kawaii」

 今日から2月です。令和6年も、もう1月が終わってしまいました。本当に月日が過ぎるのが早く感じます。2月は3連休が2回あり、高校入試で家庭学習になる日が多いので、登校日が14日しかありません。すぐ卒業式です。このブログも終業式で400回となる予定ですが、今日を含めてあと34回です。ただ、3月に入っても家庭学習があるので、1・2年次生の皆さんの現年次での登校日はあと28日です。あと28日ですよ!そのうちの4日は学年末考査です。残された日を大事にして過ごしましょう。

 さて、今日は少し明るい?ことを書きたいと思います。今日2月1日は平成16年に初代『ふたりはプリキュア』の放送が始まったことにちなんで「プリキュアの日」だそうです。平成30年に放送開始から15年となったことを記念して登録されたそうです。プリキュアシリーズは、テレビ朝日系列(ANN)で毎週日曜8:30~9:00に放送されており、『ふたりはプリキュア』が放映され大ヒットしたことで、以降10年以上にわたってシリーズを重ねています。本校の女子生徒も見ていた人が多いのではないでしょうか。東映アニメーションの女児向け作品としては、『美少女戦士セーラームーン』シリーズ以来の新風を巻き起こしました。2018年に公開されたプリキュアシリーズ15周年記念作品の『映画HUGっと! プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』は、当時の全プリキュア55人の夢のタッグが実現したスペシャルな作品で、「アニメ映画に登場する最も多いマジカル戦士の数」でギネス世界記録に認定されているそうです。何かウルトラマンや仮面ライダーがたくさんいるのと同じですね。玩具メーカーとタイアップしているので、親としては新しい番組に変わるとキャラクターグッズの出費が増えて大変です。私は娘が二人いて、ちょうどプリキュアが始まった時が幼稚園の年長と小学校3年生だったので、一緒に見ていました。あとは「おジャ魔女どれみ」や「スーパードール☆リカちゃん」なども見ていましたね。むさしの村遊園地に「おジャ魔女どれみ」ショーを見に行ったこともありました。「プリキュア」というタイトルの由来は「プリティー(PRETTY=かわいい)」と「キュア(CURE=癒す・治す)」という女の子らしいイメージを合わせた造語であり、この名前に至るまでには相当の時間を要したそうです。日本語の「かわいい」は外国でも「Kawaii」として通用します。 サンリオのキティちゃんなどのキャラクターを「Kawaii」とするファンが世界中にいます。プリキュアに通ずる「かわいい」と似た英語にはcuteやprettyがありますが、「かわいい」はそれだけで世界に通じる日本独自の美意識といえます。今では「かわいい」をテーマにした日本画展も開催されています。ただ、なんでもかんでも「カワイイ!」は、「やばい」を連発するのと一緒で、表現力の欠如になってしまいますので、「カワイイ」を説明できるようにできるだけ語彙を増やし、使いこなせるようになってください。

 

評価って難しい!

 今日は今年度2回目の学校評議員会があり、5人の評議員の方から学校評価結果に対して助言をいただきました。学校評価は、学校の課題を改善し、学校をよりよくするために始まった事業ですが、課題から目標を設定し、目標を達成するために具体的に何をするかを考え、実行し、達成度をできるだけ数値で検証します。総合評価が低い項目と内部評価と外部評価が異なっている項目が更なる課題となります。以前にも少し評価について書いたことがありますが、再度評価について書いてみたいと思います。

 評価は本当に難しいです。真に公平公正な評価をしようとするなら、誰が評価してもぶれないようにできるだけ具体的な評価規準を作らなければなりません。イギリスの名門校の生徒心得には「ジェントルマンたれ」のみ記され、目標は「卒業までに教師の評価と自己評価が一致するようになること」だそうです。自己評価を何度も行い、内省的な力が高まれば、自分を客観視できるようになります。教師の評価と生徒の自己評価に差異がある時は、生徒にとっては自分を見つめ直すチャンスに、教師にとっては指導方法や評価手法を振り返るチャンスとなります。自分を主体的に伸ばすためには、自分を正しく評価する力が必要です。ただ、評価については様々な考え方がありますので、以下の文を読んで皆さん一人ひとりが考えてみてください。

〇特定の誰かに認められたいという発想はやめるべきです。他人の評価を気にするのは、受け身で主体性のないことの表れ。他者に認めてもらうのではなく、自分が自分を認めればいいのです。

〇「他者からの評価なんて気にしなくていい」「無理に好かれなくてもいい」という言葉からは、頑張れない人に誤解が生じてしまう可能性があります。

〇実は、この社会は”他者からの評価が全て”なはずです。集団で生活している以上、他者との関わりは避けられません。人からよく思われないとますます生きにくくなってしまうのです。

〇自己評価をあげるには、他者から評価されることが絶対に必要です。達成感も自信も、成し遂げたことへの周囲からの承認があって初めて成り立ちます。成し遂げたこと自体からではありせん。

 次の言葉から、新しい企画ができそうです。

 「評価する者が最も学ぶ。他校の学校評価も教員が行うとよい。教える者が最も学ぶ。自校のよさを他校に教えることで自校のよさを深く学ぶことができる。」 評価は、対象をよく調べ勉強し、観察していないとできません。近隣の学校の先生が相互に評議員となってお互いの学校をよく知って評価し合えたら、面白いと思います。同様に各高校の生徒代表が、ビブリオバトルのように自校のよさをプレゼンして他校の生徒にジャッジしてもらうというのはどうでしょう。異なる視点から各校を知ることができ、お互いに高め合えるのではないでしょうか。