日誌

榎本校長のつぶやき

「スマホを捨てよ、書を読もう」

 今日から「読書週間」ということですが、皆さんは、本を一ヶ月にどれくらい読んでいますか。「読書週間は」は、1924年に図書館の利用PRを目的に日本図書館協会が制定した「図書館週間」(11月17日~23日)を母体としています。「読書週間」の目的は、読書の力によって、平和な文化国家を作ろうというものだそうです。最初は、一週間でしたが、1948年の第二回「読書週間」から、11月3日の「文化の日」の前後にまたがる現在の10月27日~11月9日の二週間に期間が延長されました。「読書週間」の一日目の10月27日は「文字・活字文化の日」に制定されています。

 書店には、雑誌や本があふれているのに、読書量は減り続けています。全国学校図書館協議会が毎日新聞社と共同で調査を行った第67回学校読書調査(2022年)によると、5月1か月間の平均読書冊数は、小学生は13.2冊(前回比+0.5冊)、中学生は4.7冊(前回比-0.6冊)、高校生は1.6冊(前回と同じ)です。小学生の平均読書冊数は4回連続で増加しており、前回に引き続き、過去31年分の調査のうち最高値でした。5月1か月間に読んだ本が0冊である「不読者」の割合は、小学生は6.4%(前回比+0.9%)、中学生は18.6%(前回比+8.5%)、高校生は51.1%(前回比+1.3%)となり、全体的に増加しています。特に、前回は過去最低値であった中学生の不読者の割合が、著しく増加しました。

 皆さんは、上記の結果を見て、読書量の減少の原因は何だと思いますか?私は先日のテレビ番組で、スマホを見ている時間が病的に多いの人たちを見て、恐怖を感じました。平日1日当たりの平均スマホ利用時間は、高校生5時間45分、中学生4時間37分、10歳以上の小学生3時間34分でそうですが、1日15時間以上スマホを見ている人もいて、正常な生活が送れているのかと思いました。どこに行くにもスマホがないと落ち着かない依存症の人はいませんか。電車の中で、本を読んでいる人は昔はけっこう見かけましたが、今はほとんどの人がスマホを見ているか寝ているかです。読書量が減り続けるのも当然ですね。読書とは、色々な人たちの考えや思いを手軽に知ることができる活動であり、人生の師匠をたくさん得られる活動です。じっくりと文章を味わって読む、繰り返して読むという行為のよさをぜひ知ってほしいと思います。そして、できれば電子書籍ではなく紙の本のよさを知ってください。

楽 < 楽しい

 今日は、関東地区代表高等学校長研究協議会・群馬大会に出席してきました。午後は群馬大学副学長で大学院理工学府の教授である板橋英之先生の講演がありました。「大学発ベンチャーの挑戦」と題して株式会社グッドアイの取締役会長として、健全な地球環境と豊かで快適な暮らしの創生を目指して、どのような事業に取り組んでいるのかを傾聴しました。群馬大学は企業から高い評価を得ているそうです。右のデータが、日本の国立86、公立101、私立620の大学の中での群馬大学のランキングです。板橋先生は、本当に楽しそうに話しをされる方で、大学の先生でこれほど楽しそうに話しをされる先生は初めてです。板橋先生の研究室で学ぶ学生は幸せだろうなと感じました。講演最後の高校生へのメッセージの中の「真剣にやれば何でも楽しい」「楽より楽しい」が印象に残りました。
 受検生の皆さんも、真剣に勉強すれば楽しいんだと思って、頑張ってください。

トゥース!

 皆さんは、「8020運動」というものを知っていますか。1989年(平成元年)より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われています。やはり、固いせんべいをバリバリ食べられたほうが気持ちいいですよね。そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動が始まりました。テレビの入れ歯安定剤のCMなどを見ると、入れ歯だと色々と不便で食べ物が自分の歯に比べると気持ちよく噛めないんだなと思います。歯医者に行くと、インプラントやブリッジの方法についての解説動画に中で「自分の歯で噛める幸せ」という画面が出てきます。

 歯の本数は、本来なら32本らしいですが、私は上下で4本少なかったため、歯間があいてしまい高校時代に矯正をしていましたが、矯正って痛みが続くんだなということを初めて知りましたね。私は虫歯になりやすかったのか、小さい頃から歯医者さんのお世話になることが多く、義歯が何本も入っています。前歯は2本差し歯です。先週末、歯が痛くなり先日1年ぶりに歯科医院に行ってきました。歯が痛いと頭や首まで痛くなってきたりして、思考力と集中力がそがれます。ちゃんと1日3回歯磨きしているのになぁと思いながら、歯医者さんに診てもらうと虫歯ではなかったものの奥歯の詰め物を全部ほじくり返すことになりました。痛みがないのは幸せだなぁと昨日は思い、丁寧に歯磨きしました。「喉元過ぎれば熱さ忘れる」といいますが、歯磨きを適当にせず、20年後に歯を20本残すことを目標に、今後は歯磨きを頑張りたいと思います。

 噛むという行為に必要な歯は、よく生きる上で特別に大事なものです。その理由は、3つあります。まず、噛むことによって、唾液の分泌がよくなること。 唾液には、消化を助け、口腔内を清潔にする働きがあります。 次に、噛むという機械的な刺激が、頭やあごの骨、顔の筋肉の発育を促し、表情豊かな顔をつくるほか、大脳の働きを活性化すること。 そして、かたいものをかみくだく爽快感はストレス解消になるといわれていること。10代の生徒の皆さんは8020なんてとんでもなく先の話だと笑うでしょうが、よく噛めるように、若い時から歯と歯茎の健康には気をつけましょう。

みんな違ってみんないい!

 皆さんは、自分は外向的・内向的のどちらだと思いますか。昔、勉強の仕方とか職業の選び方とかを診断するのに、どちらに入るかテストみたいなものが学習雑誌でありましたが、今はキャリア教育関係で性格や嗜好などから「あなたに合った勉強方法や職業」を教育関連企業が教えてくれるようですね。

 少し前に、外向的・内向的性格についての記事を読んで、驚いたことがあります。それは、内向型か外向型かは生まれついての脳の仕組みで決まるもので、本人のやる気の問題ではないということです。気質は変えられないけれど、性格は外向性以外は変えられると、7月18日のブログで書きましたが、そういうことかと思いました。

 内向型人間と外向型人間の最大の違いは「刺激への感受性」であると言われています。ドーパミンの感受性が違うのです。ドーパミンが出ると、テンションが上がったりいい気分になったりするのですが、内向型人間はこのトーパミンの量が少なくても満足することができます。一人で本を読んだり絵を描いたりしているだけでも十分楽しいし、しょっちゅう飲みにいかなくても、仲の良い友達とたまに会えれば満足なのです。内向型人間は、即断即決は苦手ですが、過去の失敗を踏まえて改善点を見つけたり、慎重な判断を下したりといったことに長けていると言えます。昔、「先生方が、みんな明石家さんまみたいだったら困るんじゃないか」と話したことがあります。色々な種類の楽器がハーモニーを奏でるオーケストラのように、色々なタイプの人間がいてお互いに得意なことで協力し合っているのが社会なので、先生も同じようなタイプの先生ばかりになったら生徒が困るということです。会社の人事部では、採用試験で同じタイプばかりにならないように考えています。同じようなタイプばかりになると会社が停滞してしまうからだそうです。

 外向型でも内向型でも、どちらが優れているというわけではありませんので、自分の長所短所を理解した上で長所を生かせる進路を選択し、仕事や生き方に生かしてください。

♪よ~く考えよ~♪ 仕事は大事だよ~♪

 以前にパワハラ・セクハラなどハラスメントについて書いた記憶がありますが、ハラスメントとは、相手の意に反する行為によって不快にさせたり、相手の人間としての尊厳を傷づけたり、脅したりすることを言います。

 プレジデントという雑誌で文学者の内田樹さんが、次のように書いています。『高部大問さんの「ドリーム・ハラスメント」には、中学三年生の夏休み前に「2学期までに人生の夢を具体的に決めてきなさい」という宿題が出され、子どもたちが暗い顔をするという実体験が書かれています。どの大学のどの学部に入学し、どんな資格やスキルを身に付け、どんな企業に就職したいのかの決定を、10代半ばの子どもたちに求めてくる。これは高部さんが言う通り、子どもたちに対する「ハラスメント」だと思います。』というものでした。この意見に対して、皆さんは共感しますか?自分の生き方について考えてもらうことはハラスメントなのでしょうか。もちろん、何の事前学習もせずに考えさせても無理に決まっています。小・中・高の発達段階に合わせて、少しずつ考えを深めてもらえばいいことかと思います。

 2003年に「13歳のハローワーク」という本が出版され、2010年には改訂版『新 13歳のハローワーク』が出版され、600以上の職業が紹介されています。13歳のハローワーク公式サイトもあります。キッザニアという子どもが職業体験できるアクティビティも全国に3か所あります。キャリア教育が出てきた背景には、中・高等学校の進路指導が学業成績に基づく「出口指導」に矮小化されたことや、職業につかない若者が増加して社会問題になっていたことがありました。高校受験で、普通科・職業科を選ぶには厳密でなくとも将来どんな職業に就きたいか、どんな仕事をしたいか考える必要があります。大学受験では、さらに細かく学部・学科が分かれているので資格が必要な職業に就きたいなら、ここで選択しなければなりません。好むと好まざるとに関わらず、いずれ社会人となって自立することがほとんどの人に求められている以上は、自分が何をして生計を立てていくかについて考えなければなりません。その場合、世の中にはざっと3万種類の職業があると言われ、AIの進化やロボットの開発で、なくなる職業も増える一方で、新しい職業も生まれてきて、それらの中から自分に合ったやりたい職業を見つけなければならないのですから、大変と言えば大変です。選ばなくても収入が得られる仕事を作ってしまってもいいわけです。「自分のことは自分が一番よくわかっている」という言葉は一面では真理でも、「自分がどんな人間かは、自分でなく自分の周りの人が判断する」という言葉もあるので、自分とはどんな人間かをよくよく考える必要があるようです。決断するのは皆さん自身です。やる気があればやり直しはききます。でも、その前によ~く考えましょう。

 最後に仕事についての言葉を一つ紹介します。「思い通りにうまくいく仕事なんて世の中にはひとつもない」(絶対悲観主義) 仕事とは、100%自分以外の誰かの役に立つためにすること。自分のためにすることは趣味です。仕事は自分以外の他者=お客様に価値を提供して喜んでいただくことです。