日誌

榎本校長のつぶやき

世界教師デーに思う

 今日は、「世界教師デー」です。ほとんどの人には知られていないと思いますが、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が1994年に制定した国際デーの一つです。調べて驚きましたが、国際デーは、全部で195もあるんですね。その中でユネスコが制定したものは11あります。9月8日に触れた「国際識字デー」はそのうちの一つです。「世界教師デー」が制定されたきっかけは、1966年10月5日に、「教師の地位向上に関する勧告」が調印されたことです。教師への支援を求めることと、将来を担う世代の子供たちに、充分な教育を施せるよう求めることを目的としています。教師の教育権だけでなく、子供たちが教育を受ける権利の重要性についての認識や理解を求めています。世界100ヵ国以上で世界教師デーが実施され、UNESCOはこの日を中心に国際会議を開催しています。さて、私は日本の教師の仕事量が世界の中でも多いことは知っていましたが、ついこの前までは給与等の地位的なことは、世界の中でも上位だと思っていました。それが、先日OECD加盟国の中で平均以下という記事を読んで、間違いであることに気付き、驚きました。近年、教師はブラックだという評判が広まり、初任者(小中特)が年間で400人以上辞めていることや、教員採用試験の倍率の低下(群馬は全国66の自治体の中で18番目でよいほう)、過労死ラインを超える残業時間の多さ(教職調整額という名の下に残業手当はありません)、教職員定数を充足できない学校の増加(臨時的任用教員の減少)、精神疾患による休職者が6000人弱など、書いていて気が滅入ってきます。「教育は国家百年の大計」であり、教育がうまく機能しないと、将来に禍根を残すことになります。「1年先を思う人は花を育てなさい。10年先を思う人は木を育てなさい。100年先を思う人は人を育てなさい」という言葉(原文は中国の古典「管子」?)がありますが、日本の学校現場の改善は、「待ったなし」のところに来ているようです。先生方が疲弊し、教育の質が落ちて、不利益を被るのは子どもたちです。田中角栄は、「人材確保法」を作り、教員給与を引き上げましたが、「できれば先生方の月給を倍にしたい。」と言っていました。また、「特に小学校の先生を大事にしなければならない」とも言っています。もちろん、保育士や幼稚園の先生の待遇改善も必要です。教育改革で仕事が増える一方なのに、教員数は増えずに、35人学級を40人にに戻さざるを得ない学校も出てきました。皆さんの子どもが、小学生になるのは15~20年先になるでしょうか。その頃、学校はどうなっているのでしょうか。一昨日に文科省が発表した調査結果によれば2022年度不登校の小中学生は過去最多の約29万9千人。いじめは小中高などで約68万2千件が認知され、被害が深刻な「重大事態」は923件。いずれも過去最多ということです。こんな暗いニュースを聞いても、教育の未来に明るい希望を持ち続けなければと思います。先生方は、子どもたちのために真摯に頑張っているのですから。教育実習に行って「先生になりたいという思いが強くなった」ではなく「先生は私には無理!」とならないように、教員志望の皆さんにお願いします。

天使と悪魔

 今日は、たくさんの記念日がありましたが、その中でも想定内の天使(10/4)に関わるものが5つありました。その中でも「エンゼルマーク」で知られ、「天使」の商標登録を持つ森永製菓株式会社が制定したものは別格でしょうか。同社の「チョコボール」は子どもの頃によく食べましたが、箱に「金のエンゼル」または「銀のエンゼル」が一定数印刷されており、金は1枚、銀は5枚で「おもちゃのカンヅメ」と交換できました。今でも新たなシリーズが追加されてプレゼントも時代の変化で変わっています。本当にロングセラー商品ですね。
 さて、天使と言えば悪魔ですが、「天使と悪魔って何だかわかりますか?」と問われて「わかりません」と答える人は、そうはいないと思います。天使は、天からの使者、つまり神の使者であり、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖典や伝承に登場し、神のお告げを伝える伝令としての役目を負っています。それ以上の大きな役目を担う天使もヨハネの黙示録には登場しています。天使として有名なのはガブリエル、ラファエル、ミカエルですが、堕天使ルシファー(堕天使の長であるサタンの別名)もよく知られていますね。
 皆さんは、永井豪の「デビルマン」を読んだことがありますか。ヒーロー物アニメと原作はかなり違うので、知らない人はぜひ原作を読んでみてください。人間の善と悪について考えさせる漫画はたくさんあります。横山光輝の『マーズ』や比較的新しいところでは『DEATH NOTE』が最も該当すると思います。新約聖書 「ヨハネの黙示録」16章16節に記述された、終末に行われる善と悪の最終決戦であるアルマゲドン(ハルマゲドン)は有名ですが、人間の心の中では、事の大小はあれ、善と悪の葛藤が日々続いていますね。受験生の皆さんは「食べたい、寝たい、遊びたい」などの悪魔の誘惑と日々戦っていると思いますが、勝率はどれくらいですか?ぜひ、勝ち越して目標を達成してください。

♪どうしておなかがへるのかな♪

 今日は、1988年10月3日にテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」(原作:やなせたかし)が日本テレビ系列で放送が始まった日で2016年に一般社団法人・日本記念日協会により「アンパンマンの日」として認定・登録されました。作者のやなせたかしさんは、2013年の10月13日に亡くなっていますが、私はもう10年もたったのかと驚いています。今、親子で見られる国民的アニメと言われて思い浮かぶのは、「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」「それいけ!アンパンマン」「ドラえもん」などでしょうか。この中で小さい子と一緒に見るのは、やはり「それいけ!アンパンマン」でしょう。私も娘と一緒にビデオを何回見たかわかりません。主題歌の「アンパンマンのマーチ」を歌える人は、たくさんいるのではないでしょうか。ちなみに皆さんが知っている『手のひらを太陽に』を作詞したのは、やなせさんです。

 Wikipediaの「アンパンマン」の記述の中に、ヒーローとしてのアンパンマンが誕生した背景に触れた箇所があります。やなせさんは従軍経験の中で、戦中はプロパガンダ製作に関わっていたこともあり、とくに戦いのなかで「正義」というものがいかに信用しがたいものかを痛感していました。しかし、これまでのヒーローは「正義」こそ口にするが飢えや空腹に苦しむ人間へ手をさしのべることはしませんでした。戦中、戦後の深刻な食糧事情もあり、当時からやなせさんは「人生で一番つらいことは食べられないこと」という考えをもっていたということです。自分の身体を食べさせて、おなかが空いている人を救うという異色の正義のヒーローはこうして生まれたんですね。ネガティブな考えにとらわれた時、「おいしいものを食べて、あったかくするんだ」と言われます。空腹や寒さは、マイナス思考を増幅させるということです。昔はおなかが空いたことを大げさに言う「おなかと背中がくっつくぞ」という歌詞がある歌がありましたが、皆さんはそんな経験をしたことがありますか。ACジャパンのCMに、きれいなお皿が映され、「最後の一粒までちゃんと食べたのではありません。最初の一粒もない子がいます。」というものがあります。アンパンマンに救ってほしいのは、こんな子供たちです。日本にも満足にごはんが食べられていない子どもたちがいます。みなさん、感謝してごはんを食べましょう。残さずに。

明るく元気に、みんな仲良く・・・無理?

 今日 10 月2日は語呂合わせから東武鉄道が2005年に制定した「東武の日」だそうです。通学でお世話になっている皆さんも多いですよね。東武鉄道株式会社は、1897年11月1日に設立された会社で、「東武」の名称は「武蔵国(むさしのくに)の東部」に由来し、創立は日本の大手私鉄の中では最も古い老舗企業だそうです。私は不勉強で初めて知りました。皆さんは知っていましたか。

 さて、今日はルールについて少し書きます。学校では、学校教育目標や学級目標などと違って明文化されていないルールも多いですが、日本教育新聞の社説に小学校での話が載っていました。『小学校の担任教師が子どもたちに「みんな仲良く」という暗黙のルールについて「どう思うか」と問いかけて、話し合いをした。子どもたちは「好きな人と嫌いな人がいるから無理」といった結論を出した。その結論に対して、担任教師が「でも学校行事など、学級内で協力をしなければならないことがたくさんあるよね」と尋ねると、子どもたちは再度話し合い、「いざとなったら協力しよう」という結論を出した。』みんなが心の中で思っていることを、この先生はあぶり出して考えさせましたね。

 この話を読んで、皆さんはどんな考えをもちましたか。みんなと仲良くするのは理想だし、できればそうしたいけれど、人はそれぞれ考え方や価値観が違うし相性もあるから、無理だと思うこともありますよね。その時、お互いに話し合って歩み寄って協力できるかどうかかが、社会で生活する上で求められる力です。「自分が正しく、相手が間違っている」と一歩も譲らなければ、何も進展しません。人の好き嫌いがある、性格が合う合わないのは人間なのだから仕方ないことであることを前提として、それでも人のいいところを見つける目を育てて歩み寄って協力できるようにしていくことが、学校という集団活動を通して勉強できることなのでしょう。それが、皆さんに卒業までに身に付けてほしい非認知能力の一部でもあります。

タンキュー!!

 今夜は、十五夜ですね。スマホばかり見ていないで、たまにはきれいな月を眺めてのんびりまったりするのもいいものです。夜は雲が多くなりそうなので、早めに見た方がいいかもしれません。     

 今日は、1年次生に対して、進路ガイダンスとして近県の大学から 12 名の先生をお招きし、生徒に大学の授業を体験してもらいました。テーマは多岐にわたり、どれも興味深く面白そうなものでした。すべての講義を参観して回りましたが、生徒たちの受講態度は立派でした。みんな真剣に講義に耳を傾けていました。何を考え、何を思いながら、皆さんは講義を聴いたでしょうか。

 2005年に「女王の教室」という小学校の女教師が主人公のテレビドラマが高視聴率をあげました。従来の学園教師ドラマとは違い、その異色さで色々と物議をかもしました。その中の女教師のセリフを一部紹介します。

「これからあなた達は、知らないものや、理解できないものに沢山出会います。美しいなとか、楽しいなとか、不思議だなと思うものにも沢山出会います。そのとき、もっともっとそのことを知りたい、勉強したいと自然に思うから人間なんです。好奇心や探究心のない人間は人間じゃありません。」「いい加減目覚めなさい。まだそんなこともわからないの? 勉強は…しなきゃいけないものではありません。”したい”と思うものです。」「勉強は受験のためにするのではありません。立派な大人になるためにするんです。」

 こんな実験もありました。6歳から15歳までの総勢600名の生徒に対して、「行儀の悪い生徒には、教室の外に出て遊ぶという罰を与える。行儀のよい生徒には、教室で勉強を続けられるという褒美を与える。」生徒の全員が1、2日以内に「自分は遊びよりも勉強のほうを好んでいること」に気付くことになった。

 ここで、「立派な大人」の定義は何かという問いを立てられたあなたは素晴らしい。そして、「立派な大人になるためにはどうしたらよいか」という問いが続きます。大学で勉強するということは、知識を与えられるのではなくて、自ら好奇心や探究心をもって問い続け、知識や技能を獲得していくということです。もちろん、その過程で「思考力・判断力・表現力」が鍛えられます。進学だけでなく、社会に出れば、なおさら好奇心や探究心がなければ、仕事はつまらないものになるでしょう。学校で勉強する時間よりも社会で働く(勉強する)時間のほうが、ずっと長いのですから、人生を面白くするためには好奇心と探究心が大事です。ぜひ、自分の好きなものを見つけ、仕事としていくために好奇心と探究心を持ち続けてください。