日誌

榎本校長のつぶやき

スマイル¥0は今

 昨日は、日本マクドナルドが1996年に制定したハンバーガーの日でもありました。日本人で高齢者を除いて、マックのハンバーガーを食べたことがない人は、どれくらいいるんでしょうね。1971年7月20日、東京・銀座の三越内に日本マクドナルドの1号店が開店しました。この日は1万人以上の客がつめかけ、1日で100万円以上の売り上げを記録したそうです。マックの商売上手というか戦略上手なところは、ハッピーセットですね。子どもの時にマックの味を覚えさせて、大人になっても、子どもができてもリピーターとして来てもらえるようにする。まさに「損して得取れ」ですね。そしておまけが大事です。おまけ欲しさに商品を買わせるというのは、昔からの企業戦略です。古くは仮面ライダースナックが有名ですが、小学生が箱買いして、カードだけ取り、スナックは捨てるという行為が社会問題になりました。お店のドブに食べられていないスナックが捨てられている光景がよく見られました。それにしても、日本の菓子のおまけは、高品質ですよね。私は、昔、お菓子のおまけの色々なハンコを集めていて、提出されたプリントやノートの確認印に使っていました。話がそれてしまいましたが、私が高校生の時にモスバーガーが出店し、初めて食べた時は、そのおいしさに感動しました。それ以来、多少高くとも個人的にはモスが好きです。顧客を獲得し売り上げを伸ばすために、商品そのものに工夫を凝らすのはもちろんですが、「料理は値段に見合ったものしかできない。しかし、サービスは青天井で、いくらでもよくすることができる。」と某日本料理店の創業者が言っているように、マックの「スマイル¥0」も、重要な戦略ですね。日本の接客サービスの良さには外国人が驚いて感激しています。あるコンビニで挨拶を徹底したら、クレームが激減したそうですが、接客サービスの基本はやはり「笑顔と挨拶」なんですね。みなさんもお金をかけずに将来仕事で役に立つ「笑顔と挨拶」を太東で鍛錬してください。

にこん♡

 今、授業では「主体的・対話的で深い学び」を目指しています。対話的な学びには、友人や先生、みらい学での講師の方々などとの対話によって学び会うだけでなく、本やその他の媒体を通して、過去現在の優れた人々と対話をすることも含まれています。そうして、たくさんの多様な考えを知ることによって「生きる力」をつけることができます。よくいうところの「座右の銘」とは、生きていく上で心の支え、指針となる言葉のことです。私は、覚えておきたい言葉を書き留める(実際にはエクセルに入力する)ようになってから20年が経ちました。一般的な言葉と教育関係の言葉に分けてありますが、現在3700くらいになっています。ブログの中でも内容に合わせて紹介していますが、今日は二つ紹介します。

「而今」にこんと読みます。語感が可愛いので気に入っていますが、「今」を大切に生きることです。戻ってこない「過去」や、まだ起きていない「未来」にとらわれ、後悔したり、不安を抱くのは、「今」をきちんと生きているとはいえません。人は、心配しても仕方がないことや後悔しても意味がないことを考えてしまいがちです。今に力を集中することで未来は開けます。

「一日一生」仏教の教えです。朝、起きると自分が生きて呼吸していることに感謝する。昼は、自分が平和な世界にいることに感謝する。そして、夜は1日が無事に終わったことに感謝する。それさえできれば、1日は一生と同じくらい貴重なものになるという意味です。その前に「人間として生まれたことに感謝する」「地球に生まれたことに感謝する」「日本に生まれたことに感謝する」ということがあるかもしれません。

 太東での学びが「主体的・対話的で深い学び」となるように、1日を大事にしていきましょう。

『この映画恐いね』と君が言ったから7月13日はオカルト記念日

 今日、7月13日はオカルト記念日です。1974年のこの日、映画『エクソシスト』が日本で初公開され、オカルトブームの火附け役となったからだそうです。実は、私の記念すべき初映画鑑賞が、この「エクソシスト」でした。小学校5年生の時で、友達5、6人と観に行きましたが、恐くて1週間くらい、夜にトイレに行けませんでした。友達の1人は、「恐いシーンが終わったら、教えてくれ」と恐いシーンでずっと目をつぶっていましたが、何のために来たんだよと思っていました。ちなみに「エクソシスト」とは、悪魔払いの祈祷師のことで、少女に憑依した悪魔を払う神父の戦いを描いています。悪魔に取り憑かれた少女の変化がすさまじく、まだCGがない時代ですから、少女の演技が素晴らしかったということになります。日本のオカルト映画で恐いものというと「リング」や「呪怨」が有名ですが、私は「エクソシスト」のほうが恐かったです。観たのが子どもの時か大人の時かで随分違うかもしれませんが。
 「オカルト」は科学では説明がつかない神秘的な出来事や超自然的なものを指す言葉ですが、似ている言葉に「カルト」があります。英語圏では正統的キリスト教を「教会」、その分派を「セクト」とよぶのに対し、異端的または異教的小集団を「カルト」と呼び、オウム真理教の地下鉄サリン事件以降、.過激で異端的な新興宗教集団をさす言葉として定着しました。今回の安倍元総理の殺害事件で、昔、霊感商法などで問題となった、ある宗教団体がクローズアップされました。皆さんは、大学入学後に多くのサークルから勧誘されることと思いますが、その中には怪しげな団体もあります。もちろん、表向きは健全なサークルを装っていますので、地方から出てきた新入生が騙されやすいのです。もう一つ、近年定着した「スピリチュアル」という言葉があります。占いや霊的なもの、オカルトなどを指して使われますが、こちらのほうが柔らかい感じがするため、誤ってハマると人生が台無しになることもあります。理系の高学歴者がオウム真理教の幹部に多くいて話題になりましたが、宗教教育の大切さと危うさとは、宗教絡みの事件が起こる度に実感します。人の弱くなっている心につけ込んで、お金を巻き上げようとする輩に騙されないように、非科学的なことを安易に信じたりしないで、「なんか、おかしいぞ」という感覚をもったら、立ち止まって考え、信頼できる人に相談するようにしてください。タイトルの意味がわからない人は、サラダ記念日で検索してください。

ここは今から倫理です。

 昨日、公民部会で「トロッコ問題」が話題に出ました。トロッコ問題とは、人の命の数や重みをどう判断するか、という倫理的なジレンマを扱う思考実験です。具体的には、暴走したトロッコの先に5人いて、ポイントを切り替えるとポイント先の1人が犠牲になり、5人は助かります。あなたならどうしますか?という問題です。選択する人と人数には、様々なパターンがあり、命の質と量に対する考えが問われます。この解答に全員を助ける方法が出てきて、ツィッターで話題となりユーチューブでも動画が公開されています。これは本来の問題の趣旨からそれるという批判もありますが、二者択一でなく第三の解決方法を考えられるなら、そのほうがよいのではと思います。社会に出れば、学校のテストのような正解はなく、その時得られる最良の納得解を探さなければなりません。「倫理」という科目は昔は必修でしたが、今は選択で、しかも履修できる学校は限られています。「倫理」は高校生に学習してほしい科目です。キャリア教育が進路指導とは違うものとして導入されたのは、「生き方、在り方」について考えることがまず大事だからです。「私は何者なのか」「この世界は何なのか」などの答えの出ない問いについて考えることは、決して無駄なことではありません。尾崎豊は「自分の存在が何なのかさえ解らず震えている15の夜」と歌いましたが、多感な中高生の頃は、一度は考えることではないでしょうか。多くの先人の様々な考えに触れ、悩み、深く考えを巡らせることは、心の栄養となります。
『ここは今から倫理です。』というマンガも出ています。倫理に興味をもったら読んでみてください。

氷は水より出でて水よりも寒し

 昨日は、梅雨明けの発表があり、思わず「え~っ!」と声をあげてしまいました。7月に「戻り梅雨」もあるかもしれませんが、過去最短の梅雨期間でした。これから猛暑が続くことが予想されますが、みなさんも体調管理をしっかりしましょう。
 日本は、「湯水のごとく使う」という表現があるとおり、水資源が豊かで諸外国に比べて大変恵まれていると言えます。四季がはっきりしていて感性豊かで表現の多彩な日本ならではの特徴として、雨の呼び方は、400種類以上もあると言われています。普段よく耳にするものだけでも、春雨、菜種梅雨、五月雨、秋雨、時雨、氷雨などがあります。時期ではなく雨の降り方によっても呼び名がたくさんありますね。驟雨(にわか雨)、雷雨、霧雨、白雨(夕立)、土砂降り、天気雨、通り雨、大雨、小雨、豪雨、御湿りなどは、よく使われるものではないでしょうか。個人的には、天泣(雲がないのに降る雨)が好きです。そんな風情のある雨も、降り方によって洪水などの災害を起こし、作物の生育に大きな影響を与えます。今年は雨不足で作物に与える影響が心配されますね。
 さて、日本では豊かな水ですが、地球上に存在する水のうち、97.5%は「海水」であり、人間が利用できる「淡水」は地球上の水の総量のたった2.5%ほどで、簡単に利用できない南極や北極地域の氷雪や深い地下水を除くと、人間が実際に取水して利用できる淡水は、地球全体の水の0.02%程度しかありません。そうした水も汚染されていることがあるため、実際に使える水の量は、地球全体の0.01%だそうです。これは、もし地球のすべての水の量がふろおけ1杯分(200リットル)だとすると、20mlしかないということになります。ちょっと多めの目薬くらいです。
 日本が水を大量に輸入していると言ったら、みなさんは驚きますか。仮想水(バーチャルウォーター)という考え方では、食料などを輸入する際に、その生産に必要な水も輸入したことになると考えます。日本の主要穀物(大麦、小麦、大豆、トウモロコシ、コメ)と畜産物(牛肉、豚肉、鶏肉)についての仮想水総輸入量は年間約60兆リットル以上にのぼり、国内での灌漑に使う水の量を上回ります。日本人1人あたりで計算するとおよそ50万リットルで、仮想水輸入量は世界一と考えられるといいます。研究では、1キログラムを生産するのに必要な水は、小麦では2000リットル、コメでは3600リットル。一方、鶏肉では4500リットル、牛肉では2万700リットルにもなると推計されています。私たちが食べているものには、とんでもない量の水が必要なんだということがわかります。
 水資源というと、飲料水や炊事や洗濯に使う生活用水が思い浮かぶ人が多いと思いますが、実は世界の水資源取水量の約7割は農業用水として利用されており、工業用水は2割、生活用水は1割程度にしか過ぎません。昔、NHKスペシャルの水問題に関する番組で、上記のことをわかりやすく解説してくれていました。私が地理の授業で使用したので、20年以上前の話です。現在も水問題は人類の大きな課題ですが、解決に向けてどう進歩しているのでしょうか。
 日本は海水淡水化や排水・下水再利用など水インフラで優れた技術を持ち、世界の水不足問題の解決に大きく貢献できると期待されています。頑張ってもらいたいです。皆さん、今年の夏は、水不足が心配されます。水を大事にしましょう。※ちなみにタイトルの意味は「青は藍より出でて藍より青し」と同じです。