日誌

榎本校長のつぶやき

国民の祝日考

 先日の18日は「海の日」でお休みでしたが、もともとは今日20日が「海の日」でした。戦後、1948(昭和23)年7月20日に祝日法が公布・即日施行され、9つの国民の祝日が制定されました。最初は、元日・成人の日・春分の日・(昭和)天皇誕生日・憲法記念日・こどもの日・秋分の日・文化の日・勤労感謝の日、の9つでした。この日以後、各祝日の日付けや名称などは適時修正・追加・廃止されてきました。「海の日」は、1996年から国民の祝日として施行され、2003年から7月の第3月曜日に変更されました。いわゆる「ハッピーマンデー制度」によって関係法が改正され、「成人の日」「体育の日」が2000年に、「海の日」「敬老の日」が2003年に、それぞれ〇月第〇週の月曜日に移動しました。生徒の皆さんは当時まだ生まれていないので、元々の日は知らないわけです。天皇誕生日は、天皇の代替わりによって4月29日→12月23日→2月23日に変わり、4月29日は当初「みどりの日」でしたが、2006年から「昭和の日」となり、「みどりの日」は5月4日に移動しました。また、2020年に「体育の日」は「スポーツの日」になりました。1954年にできた「敬老の日」が元々は「としよりの日」で、もっといい呼び方にしようということで1966年に改称されたことは、今回調べていて初めて知りました。「山の日」は2016年に新設されましたが、明確な根拠はなく「どうして海の日はあるのに山の日はないのか」という疑問が出発点で、1995年に「海の日」が制定されると、山梨県などの一部地域が独自に山の日を制定し始め、2010年には山岳に関する5つの団体により、山の日制定の運動が全国的に展開され祝日法の改正につながったようです。

 休みが増えるならなんでもいいやと、考えるかもしれませんが、日本は海洋国家であり、陸地の国土の面積は約38万平方kmで、世界第60位の大きさですが、領海と排他的経済水域を足した面積は約447万平方kmあり、なんと世界第6位です。その広さは日本の国土の約12倍なのです。また、一方で国土の7割弱が森林であることから、山を身近に感じられる国です。「海の日」「山の日」は日本にふさわしい祝日なのかもしれません。

 国民の祝日について、頭の中が少し整理されましたか。16日全部言えますか?ちなみに祝日が1日もない月は、6月と12月ですが、特に6月は5月とのギャップから休みが少ないというイメージが強いですね。世の中には、休みなんかほとんどないよという人もいるかもしれませんが、休まないと仕事も勉強も効率が上がりませんので、適度な休養は必要です。「寝るのはバカだ。みんな寝過ぎだ。私は死んだ後、たっぷり寝る。」と言ったのはエジソンですが、凄すぎて笑えます。受験勉強も、昔は「4当5落」(4時間睡眠の人は合格、5時間以上寝る人は不合格)なんて言葉もありましたが、今はできる人はしっかり睡眠をとっているというデータがありますので、生徒の皆さんも良質な休みをとって身体と脳のコンディションを整えて「受験の天王山」の夏を乗り切ってください。

※「ハッピーマンデー制度」・・・祝日と週休2日制をつなげ、3連休以上の期間を増やすため、国民の祝日の一部を従来の日付から特定の月曜日に移動させる制度。 連休の日数を増やすことで観光業や運輸業などを活性化する目的で設けられた。

本当に恐いのは・・・

 先日、本屋で久しぶりに妖怪・怨霊特集の本を見つけ、つい買ってしまいました。同じような本をたくさん持っていますが、何か違ったまとめ方がされていたり、見たことがない図版が載っていたりすると買ってしまいます。小学生の頃から妖怪の本が好きで、「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる先生のファンでした。恐怖マンガも同様に好きで楳図かずお先生のファンでした。妖怪マンガの第一人者が水木先生、恐怖マンガの第一人者が楳図先生ということに疑問をもつ人はいないと思います。そのくらい両先生はすごいです。水木先生は、残念ながら2015年に亡くなってしまいましたが、楳図先生は、86歳で健在です。楳図先生の代表作は、「漂流教室」「おろち」「恐怖」「猫目小僧」「わたしは真悟」「14歳」「神の左手悪魔の右手」などがあり、「まことちゃん」や「アゲイン」などギャグ漫画も描いています。マンガは、「おろち」のパロディです。
 妖怪や怨霊、幽霊、地獄などは絵巻や浮世絵などに描かれ、現代に伝わっています。日本の幽霊に足がないのは、円山応挙が描いた頼りなげな幽霊の絵があまりにも有名になったからと言われています。妖怪の起源は、奈良時代に書かれた「古事記」や「日本書紀」に出てくるヤマタノオロチや鬼のようです。平安時代には「今昔物語集」や「宇治拾遺物語」など怪異にまつわる説話集が編まれました。水木先生もマンガとして描いています。江戸時代には、妖怪ブームも起こっています。怨霊として日本史上有名なのは、菅原道真や崇徳上皇、平将門、後鳥羽上皇でしょう。私は、20年前の8月27日に太東のオープンスクールの体験授業を視聴覚室で行いました。「歴史の光と闇…怨霊と妖怪」というテーマに興味をもってもらえたのか中学生と保護者で満員御礼でした。ビデオ映像を活用した25分間の授業の冒頭で、次のような話をしました。
「歴史は人間が残した営み、つまり活動記録ですが、その量は膨大です。その中から歴史家や政権担当者が重要だと考えたものが、歴史書としてまとめられ、特に教科書等に簡潔にまとめられているわけです。今、私には光があたっています。そのせいで陰もできています。その明るさ暗さは一様ではありません。最も明るい部分が教科書に相当すると考えてください。では最も暗い部分は何に相当するのでしょうか。完全に歴史上の勝者によってその存在を消されてしまった人々にあたるわけです。光の当たり具合は中心部と周辺部で違います。それは京都とそれ以外、関東・東北や九州を意味し、天皇と征服された人々を意味します。もし、みなさんが東北地方の人で、教科書に「東北の蝦夷(野蛮人という意味です)に朝廷が征討軍を送り服属させた」という記述を見た時、どう思いますか。立場を変えて記述するとどうなるでしょう。これはすべての歴史的事実の記述に言えることです。例えば原爆投下に関するアメリカと日本の立場のように。ですから、光をあてられた歴史だけを与えられたとき、陰の部分に想像力が働かないということにもなりかねません。教科書は悪く言えば、国民に共通の価値観をもたせる巨大な洗脳の道具にもなります。歴史を勉強する上で、そんなことを頭の隅においてもらえればと思います。」
 昔から現在まで殺し合いがなくならない人間に比べれば、妖怪やお化けなんて可愛いものと言えるかもしれません。

にこん♡

 今、授業では「主体的・対話的で深い学び」を目指しています。対話的な学びには、友人や先生、みらい学での講師の方々などとの対話によって学び会うだけでなく、本やその他の媒体を通して、過去現在の優れた人々と対話をすることも含まれています。そうして、たくさんの多様な考えを知ることによって「生きる力」をつけることができます。よくいうところの「座右の銘」とは、生きていく上で心の支え、指針となる言葉のことです。私は、覚えておきたい言葉を書き留める(実際にはエクセルに入力する)ようになってから20年が経ちました。一般的な言葉と教育関係の言葉に分けてありますが、現在3700くらいになっています。ブログの中でも内容に合わせて紹介していますが、今日は二つ紹介します。

「而今」にこんと読みます。語感が可愛いので気に入っていますが、「今」を大切に生きることです。戻ってこない「過去」や、まだ起きていない「未来」にとらわれ、後悔したり、不安を抱くのは、「今」をきちんと生きているとはいえません。人は、心配しても仕方がないことや後悔しても意味がないことを考えてしまいがちです。今に力を集中することで未来は開けます。

「一日一生」仏教の教えです。朝、起きると自分が生きて呼吸していることに感謝する。昼は、自分が平和な世界にいることに感謝する。そして、夜は1日が無事に終わったことに感謝する。それさえできれば、1日は一生と同じくらい貴重なものになるという意味です。その前に「人間として生まれたことに感謝する」「地球に生まれたことに感謝する」「日本に生まれたことに感謝する」ということがあるかもしれません。

 太東での学びが「主体的・対話的で深い学び」となるように、1日を大事にしていきましょう。

レボリューションって、カッコいい?

 今日7月14日は、フランスの建国記念日であり、ペリーが日本に上陸し日本の開国が促された日でもあります。1789年のこの日、パリ市民がバスティーユ監獄を襲撃・占領し、これがフランス革命の始まりとなりました。そして、1853年のこの日(旧暦嘉永6年6月9日)には、アメリカの4隻の黒船艦隊が江戸湾の浦賀沖に現れ、ペリー提督が久里浜に上陸して将軍への親書を渡し、翌年「日米和親条約」が結ばれ、日本は開国することになりました。両方とも日本史と世界史で勉強する重要な史実ですが、非常に対照的な史実が同じ日だったことが面白かったので、少しつぶやく?ことにしました。 

 革命とは、①天命が革(あらた)まること。前の王朝が倒れて別の王朝がかわって統治者となること。易姓革命。②被支配階級が、支配階級を倒して政治権力を握り、国家や社会の組織を根本的に変えること。と定義されていますが、日本ではクーデター(政変)はあっても革命(レボリューション)はなかったとされています。それは、クーデターが、同一支配層内部での権力移動であり、革命は体制そのものを変革するものだからです。日本では一揆が革命に発展することはありませんでした。

 日本は外圧でしか変われないということが以前から揶揄されていますが、革命を起こした他国が優れているということではなく、国民性や地域性など条件が違えば歴史が変わってくるのは当然ですので、日本では革命が起こる必然性がなかったとも言えます。世界史総合や世界史探究で扱うような大きなテーマです。日本では天皇制とも大きく関係していることですが、125代、2700年にわたって万世一系の天皇が存在しているなどという国は、他にありません。ただ、初代の神武天皇から25代目の武烈天皇までは、実在したかどうかは不明確です。

 昨日は、日本史・世界史・生物の授業を参観し、生物が顕微鏡を使った観察実験だったので生物について書こうかなと思いつつ、前日の野球以外のスポーツ漫画についてもありかなと迷っていたところ、上記の意外な事実に気付いたので地歴公民の教師としては、こちらを選んでしまいました。余談の余談ですが「レボリューション」が曲名に入ったものの中で、好きなのは、渡辺美里の『My Revolution』とSuperfly の『タマシイレボリューション』ですね。「天才バカボン」のレレレのおじさんと「ベルサイユのばら」のオスカルを共演させた漫画は、30年くらい前に現代社会のレジュメに載せたものです。(我ながら、くだらないものを描いたなと思います)

『この映画恐いね』と君が言ったから7月13日はオカルト記念日

 今日、7月13日はオカルト記念日です。1974年のこの日、映画『エクソシスト』が日本で初公開され、オカルトブームの火附け役となったからだそうです。実は、私の記念すべき初映画鑑賞が、この「エクソシスト」でした。小学校5年生の時で、友達5、6人と観に行きましたが、恐くて1週間くらい、夜にトイレに行けませんでした。友達の1人は、「恐いシーンが終わったら、教えてくれ」と恐いシーンでずっと目をつぶっていましたが、何のために来たんだよと思っていました。ちなみに「エクソシスト」とは、悪魔払いの祈祷師のことで、少女に憑依した悪魔を払う神父の戦いを描いています。悪魔に取り憑かれた少女の変化がすさまじく、まだCGがない時代ですから、少女の演技が素晴らしかったということになります。日本のオカルト映画で恐いものというと「リング」や「呪怨」が有名ですが、私は「エクソシスト」のほうが恐かったです。観たのが子どもの時か大人の時かで随分違うかもしれませんが。
 「オカルト」は科学では説明がつかない神秘的な出来事や超自然的なものを指す言葉ですが、似ている言葉に「カルト」があります。英語圏では正統的キリスト教を「教会」、その分派を「セクト」とよぶのに対し、異端的または異教的小集団を「カルト」と呼び、オウム真理教の地下鉄サリン事件以降、.過激で異端的な新興宗教集団をさす言葉として定着しました。今回の安倍元総理の殺害事件で、昔、霊感商法などで問題となった、ある宗教団体がクローズアップされました。皆さんは、大学入学後に多くのサークルから勧誘されることと思いますが、その中には怪しげな団体もあります。もちろん、表向きは健全なサークルを装っていますので、地方から出てきた新入生が騙されやすいのです。もう一つ、近年定着した「スピリチュアル」という言葉があります。占いや霊的なもの、オカルトなどを指して使われますが、こちらのほうが柔らかい感じがするため、誤ってハマると人生が台無しになることもあります。理系の高学歴者がオウム真理教の幹部に多くいて話題になりましたが、宗教教育の大切さと危うさとは、宗教絡みの事件が起こる度に実感します。人の弱くなっている心につけ込んで、お金を巻き上げようとする輩に騙されないように、非科学的なことを安易に信じたりしないで、「なんか、おかしいぞ」という感覚をもったら、立ち止まって考え、信頼できる人に相談するようにしてください。タイトルの意味がわからない人は、サラダ記念日で検索してください。