日誌

榎本校長のつぶやき

ワクワクはチャレンジから

 昨日は、キャリア教育で自らの生きる道を選ぶにあたり、「夢なし先生」の話をしました。その続きとして、地元の偉人である向井千秋さんの言葉を紹介します。彼女は日本人女性初の宇宙飛行士であり、お医者さんでもありました。

 「若くして亡くなってしまう人、生まれてから病院を一度も出ることなく死んでしまう子どもを見てきました。それを思えば、宇宙に行くとか新しい分野の仕事をするとか、自ら道を選ぶことができる人って「選べる」だけで幸せだと思うんです。チョイスがある人は、ない人のためにも生き抜くべきだし、知らない世界に足を踏み入れたからといって、死ぬわけじゃないんだから、前に進んで、やりたいことをやりぬくべきだと思うんです。」「生きているものは何でも美しい」「努力って目標を達成したい気持ちさえ強ければ、周りが思うより大変じゃないんです。一番辛いのは、目標が見つけられないとき」

 以前に「胸に刺さる言葉」として「やれる可能性のあるやつが 努力しないのを見ていると 胸倉をつかんで “俺と代われ”と言いたくなる」という白血病の青年の言葉を紹介しました。向井さんの「選べるだけで幸せ」という言葉は、何に対しても感謝の念を持てれば、「幸せ」のハードルは限りなく低くなっていくということでもあります。次のお笑い芸人の言葉を読んでください。

「新しいことをする時、いつも決まって「ざわざわ」「どきどき」「びくびく」が現れて不安になるんです。と、友人に相談したら、「え~っ、もったいない。僕だったら楽しみ~!」って思うよ。わくわくするよ。」

 新しいことにチャレンジできることを「幸せ」と捉えれば、「ざわざわ」「どきどき」「びくびく」が「わくわく」になりますよね。本校の入学者の受け入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)に「学校をワクワクする場所にしたいと考えている人」というのがあります。皆さんには、ぜひ新しいことに「ワクワク」しながらチャレンジしてもらいたいと思います。

夢はバラ色?それとも・・・

 「日本教育」という小冊子の連載コラムに「教師に読んでほしいマンガ」というものがあります。そこで紹介されていた「夢なし先生の進路指導」というマンガについて書きたいと思います。私は、紹介文を読んですぐに注文して読みました。それは、キャリア教育についてのマンガだったからです。本校の校務分掌では平成19年度に「進路指導部」から「キャリア教育部」という名前に変更されています。それから、本校は総合的な学習の時間とキャリア教育に関連する学校行事の企画・運営を中心に行ってきました。そして、それらの経験を生かして、平成25年度から平成27年度の3年間は文部科学省から研究指定され、各教科・科目等においてもキャリア教育の実践を意識した研究を実施してきたという経緯があります。

 「子どもには無限の可能性がある」という言葉を聞いたことがあると思います。美しい言葉でもありますが、小中学校と違って、高校では就職・進学といった現実的な出口指導をすることになります。「夢(希望)・適性・能力」が進路選択に必要になってきます。このマンガの主人公である、元キャリアコンサルタントの数学教師は、生徒の進路相談に対してネガティブな忠告をするために「夢なし」と呼ばれていました。教師は、生徒の夢が叶うようにどうしたらよいかを助言し背中を押す役目をもっています。しかし、その一方で現実について語り、生徒によくよく考えてもらうことがないと、無責任ということにもなってしまいます。この「夢なし」先生は、生徒の卒業後まで追跡し、声掛けします。「何かを諦めるのも悪くない」と夢の呪縛に苦しむ生徒に投げかけます。「諦める」は普通良い意味には使われませんが、その語源に「明らかにしてよく見極める」という肯定的な意味があるのです。自分の人生の道を一つに限定してしまうのではなく、よく考えて新しい道を探せるように動いてほしいというメッセージが受け止められました。将来の夢が明確にある人は、目標に向かって精一杯努力してほしいですが、実際に経験しないと気付けないことも多いので、「物事を明らかにして見極められる力」を身に付けてください。そして、新たな道を見つける勇気も大切です。

戦争と悟り

 今年は修学旅行で広島に行き、平和記念公園でガイドさんから、覚えておいてほしい日付の話がありました。8月6日、9日、15日です。順に広島、長崎へ原爆が投下された日、そして終戦記念日です。原爆資料館の入場待ちをしている時にガイドさんと話をしていて、「私が授業をもっていたころは、それらに加えて6月23日と12月8日も覚えておいてほしい日付として生徒に話しており、テストにも出していました」と伝えると、近現代史の学習が不十分と嘆かれていたガイドさんは喜んでいました。6月23日は沖縄戦終結の日、12月8日は太平洋戦争が始まった日です。昨年も太平洋戦争とパール判事の話と歴史を学ぶとはについて書きました。戦争を始める時は、他国から非難されないように自分の国に大義名分がある正義の戦争?というふうになるように策略して始めます。だから、戦争するどの国も自分の国が正しいと思っており、始末が悪いです。「勝てば官軍」という言葉があるとおり、勝ったほうが歴史を自分の都合の良いように書き換えますので、負けたほうの歴史は消されてしまうことも多いわけです。歴史は研究が進むと、新しい事実がでてきますので評価が変わることも珍しくありません。ただ、それは言論の自由や表現の自由がある民主主義国家に限りますが。アメリカと戦った太平洋戦争は、日本にとって大きな歴史の転換点になった戦争です。なぜ、日本はアメリカと戦うことになったのか。裏でどんな駆け引きがあったのか、原爆はなぜ落とされたのかについて多角的多面的観点から考えてみてください。

 さて、今日はお釈迦様が悟りを開かれた日でもあります。成道会といいます。 何を悟ったのかと言えば、人間の苦しみの原因と苦しみからの解放についての真理と知恵です。その内容は般若心経の中で平易に述べられています。こんなに簡単に言ってしまうと、専門家から怒られそうですが、この世のものはすべて「空」であるという真理が理解できれば、「苦」から救われるのでしょうか。心の持ち方一つで、「苦」は「楽」に変化するのでしょうか。日々生かされていることに感謝して、笑顔で過ごしたいものです。

大雪と冬至

 今日は、「二十四節気」の一つ「大雪(たいせつ)」です。日付は、年によって異なるようですが、近年では12月7日のようです。次の節気は「冬至」(12月22日頃)です。冬至は、1年の中でいちばん昼の時間が短く、夜の時間がいちばん長い日です。冬至には柚子湯に入る習慣がありますが、運を呼び込む前に体を清めるという意味があるそうです。冬が旬の柚子は香りも強く、強い香りには邪気がおこらないという考えがありました。また、柚子は実るまでに長い年月がかかるので、長年の苦労が実りますようにとの願いも込められているそうです。12月22日は2学期の終業式なので、冬至については早いですが、ここで書かせてもらいました。

 さて、「大雪」はというと北風が吹いて雪が激しく降り始める頃という意味で、冬至までの期間も意味します。この時期に日本には「冬将軍」と呼ばれるシベリア寒気団がやってきて、日本海側には大雪を、太平洋側には冷たく乾燥した空っ風をもたらします。群馬県民の皆さんには御馴染みの赤城おろしですね。今シーズンは暖冬予想が出ていますが、2月に寒気と南岸低気圧のタイミングが合うと大雪の恐れもありと予想されています。受験シーズンですので、受験生・保護者・先生みんなが気にしています。大雪(おおゆき)にならないように祈りましょう。昨日と違って、今日は午後から突風といってよいほど強い風が吹きましたが、外で部活動をしている生徒の皆さんが、風邪をひかないように祈っています。

年賀状出してますか?

 日本教育新聞の一面に「不易流行」というコラムがあります。12月4日付の記事で年賀状について書かれていました。年賀状は、ここ20年で発行枚数が3分の1になり、昨年の発行枚数は16億4千万枚だったそうです。令和4年の日本郵便の調査によると、小学校6年生男子の18.6%、中学校3年生男子の22.9%が前年に1通も年賀状を受け取らなかったそうです。今では、スマホで「あけおめ」やスタンプで済んでしまうことから若い人は年賀状をほとんど書かないのではないかと思います。皆さんはどうでしょうか。私は最も多く年賀状を出していた時で100枚超、今では普段会わない人にだけ出しているので20~30枚です。私はかなり年賀状に凝るほうだったので、今や懐かしいプリントごっこで10色刷りの版画を刷ったことや、全てイラスト入りの手書きで一枚一枚違う年賀状を書いたこともあります。家族写真を使うようになってからは、デジタルで加工するくらいで作成にそれほど時間はかけなくなりましたが、昔は本当に年末に時間がかかる作業でした。

 さて、子どもが年賀状を書かなくなったことで何か問題でもあるの?ということですが、自分の家の住所を正しく言えない子どもが増えているそうです。小学校6年生で住所を正しく言える児童は60.6%で、平成24年の84.5%と比較して24%も減っています。昔なら小学生で迷子になって自分の家の住所が言えないと困るということもあったでしょうが、今はスマホに住所も電話番号も入っていて、地図アプリも入っているので自分の家の住所が言えなくてもいいんじゃないのと思う方もいることでしょう。ただ、コラムでは自分の住む地域社会の理解不足、ひいては地域社会の一員としての意識の低下につながると警鐘を鳴らしていました。皆さんは、自分の家の住所と郵便番号は言えますよね?それと、自分が住む地域のことをどれくらい知っていますか。

ゾンビ映画で探究?

 「日本教育」という教育冊子の12月号が届いたので、開いてみると、「ゾンビ映画でも探究はできる!?身近なテーマを見つけて掘り下げよう」というタイトルが目に飛び込んできました。近畿大学総合社会学部准教授の岡本健先生の巻頭インタビューでした。岡本さんは、中国文化の授業で「香港武侠映画を1本選び、授業で学んだ方法で分析せよ」という最終レポート課題が出されたので、レンタルビデオ店に行って作品を選んでいたところ、たまたま近くに並んでいたゾンビ映画を手に取ったそうです。そして、その作品のひどさに驚き、なぜ、レンタルビデオ店にこんなにひどいゾンビ映画が数多く並んでいるのか?という疑問をもったことが探究心に火がついたきっかけだと語っていました。皆さんも、なぜ、こんなものが売れるのだろうとか、人気があるのだろうと思ったことはありませんか。また、ゾンビ映画は全世界で作られていて、その国の文化や本音などが知れるという異国間の理解に資する一面もあるとも述べていました。どんなに人からバカげたものと思われても、自分が興味をもち探究してみたいと思えば、探究はできるのです。実際、世界には「えっ?こんなものを長年研究しているの?」という人もたくさんいます。テーマをどれだけ多角的多面的に捉え、分析し、疑問に思ったことを追究することができるかは、自分が選んだテーマを本気で面白いと思い、探究したいと強く思ったかにかかっています。今から25年ほど前に、少人数の日本史の選択授業を担当していた時、夏休みの宿題として探究したいテーマを生徒に決めさせてレポートを課したことがありました。そこで日本のファッションの歴史について調べて考察した女子生徒がいました。古代から現代までのファッションの変遷と「なぜ、そうしたファッションが生まれたのか」に疑問をもち、機能性とデザインに注目して自分の意見を書いていました。その生徒はアパレルメーカーに就職しましたが、好きなことなら調べていくうちに次々と疑問が生まれてくると思います。現在、総合的な探究の時間がすべての学校にありますが、自分の好きなことを見つけて探究し、それが大学で勉強できて職業にも生かせたなら最高ですね。

宇宙人と幽霊の存在を信じますか?

 先日は、映画の日ということで書きましたが、1982年の今日はアメリカのSF映画『E.T.』が日本で公開された日です。私は大学生でしたが、映画館には行かずにビデオで見ました。生徒の皆さんが生まれる前の映画ですので、見たことがある人は少ないかもしれませんが、実は大変な映画です。監督・製作は、かの超有名なスティーヴン・スピルバーグで約1000万ドルという予算で製作され、観客は1000万人を突破し、アメリカ国内だけでおよそ3億ドルという当時の映画史上、最大の興行収入を記録しました。全世界では1993年公開の『ジュラシック・パーク』、日本では1997年公開の『もののけ姫』に抜かれるまで、映画の配給収入の歴代1位を守っていたのです。「E.T.」は「Extra-Terrestrial」の略で「地球外生命体」のことですが、簡単に言うと宇宙人のことですね。宇宙人を描いた小説・漫画・映画は枚挙に暇がありませんが、宇宙人を描いた最初の小説として最も知られているのはウェルズの「宇宙戦争」かもしれません。火星のタコ型宇宙人が出てくるものです。日本のかぐや姫も月から来ているので宇宙人なのですが、外見が人間なのでそういう感じがしませんよね。「地球外生命体」というとエイリアンやプレデターを思い浮かべてしまいますが、どちらかというと友好より危険というイメージが強いです。以前にアメリカで宇宙から交信のような電波が届いたことに対して応答するなという命令があったという話を聞きました。なぜかというと、その相手が地球人より進んだ生命体で敵対しないとは限らないからだそうです。宇宙で地球以外に生命体がいないと考える人は、ほぼいないと思います。では、幽霊はどうでしょうか。こちらは、いないと答える人は宇宙人よりは増えるかもしれません。ただ、いないことを証明するのは「悪魔の証明」といって、証明することが不可能か非常に困難です。物質が原子や電子、中性子そして素粒子からなっていることが発見されましたが、霊魂が存在することは証明されていません。しかし、実は、今も昔も、まじめに科学者が幽霊は存在するかしないかを議論しているのです。まだまだ、この世の中はわからないことだらけです。宇宙から人間の身体の内部まで、研究する余地は無限です。皆さんの中に、将来これらのことについて研究する人も出てくるかもしれませんね。これ以外にも、わからないことに対して知的好奇心を持ち続ければ、人生は面白くなると思います。ぜひ、色々なことに興味をもって、これからの生活に生かしてください。

いやーっ映画ってホントにおもしろいですね。

 昨年の12月1日は、師走について書きましたが、今日は「映画」について書きたいと思います。今日は「映画の日」で、映画を劇場で観ることの魅力をより多くの人に知ってもらうことが目的として制定されましたが、映画の一般公開60周年を記念したものであり、日本における初めての映画の有料公開という「映画産業発祥」を記念した日でもあるそうです。ただ、この日に公開された映画は、今日のスクリーンに映写されるタイプではなく、1人ずつ覗き込んで観るタイプの「キネトスコープ」と呼ばれるもので、発明家エジソンにより発明されたそうです。映画と言えば大人数で大画面で見るものと考えている現在では、一人ずつ顕微鏡をのぞき込むように見るなんてなかなか想像できませんね。今日は、映画関連の多様な催しが行われるようですが、映画館の入場料割引もあります。鑑賞料金は、一般1800円で、普段から色々な割引がありますが、イオンシネマや他の映画館でも今日は1000円みたいですね。私が小学生の時は700円で2本立てで映画が見られました。一度に2本映画が見られるなんて、生徒の皆さんは「ホント?」って思うでしょうね、私が最近見た映画は「ゴジラ-1.0」ですが、怪獣映画でこれほど泣けるとは思いませんでした。ただ、怪獣映画とは言っても、社会問題がテーマですので大人に見てほしい映画です。特撮からCGへと画面は進化していますが、テーマ自体は変わっていません。高校生の皆さんにも、見てほしい映画ですね。タイトルは、今は亡き映画評論家の言葉です。

がんばれ、太東生!

 今日から2学期の期末考査が始まりました。初日の出来はどうでしたか。万全の準備をして臨めている人もいれば、ほぼ一夜漬けになってしまっている人もいると思います。3年次生は高校最後の定期考査になりますね。全力で取り組んでください。中学校までは一夜漬けでどうにかなっていた人もいると思いますが、高校のテストはそう甘くはありません。大学ではなおさらです。大学の試験は、前期と後期があり、後期一発勝負のものもあります。一般教養は別として、専門科目はほとんどが論述試験です。60点未満は単位不認定になります。高校と同じくレポート点や出席点もありますが、遙かに厳しいと思ってください。私は、30代くらいまで大学の試験の夢を見ることがありました。もちろん、いい点がとれて喜んでいる夢ではなく、答えが書けなくて終了のチャイムが鳴ってしまう夢で、うなされて起きて、夢でよかったということが何度もありました。初めて聞く人は驚くかもしれませんが、大学ではノートや参考書の持ち込みができる科目もあります。なぜ、許可されていると思いますか?それは、90分という限られた時間の中で、わからないことをいちいち調べていたら論述式の答案は完成しないし、もちろん及第点を取ることなどできないからです。ノートや参考書のどこに何が書いてあるのか頭に入っていて、初めて記憶が不十分な場合に役に立ちます。同様に、スマホですぐに検索できるからといって覚えていることが少なければ、勉強や仕事の能率は格段に落ちます。様々な知識が頭の中で結びついて記憶が強固なものになり、新しいアイデアが生まれるので、知識量は多いにこしたことはありません。ただ、一問一答式知識だけ多くても、それが活用できなければ意味がありません。数学や理科などの理系科目で汎用的な論理的思考力を養い、文系科目でその思考力を活用して知識を知恵に変え、深い学びができるようになってください。それでは、あと3日間、体調に気を付けつつ頑張ってください。

いい服でいい福を!

 今日、11月29日は、語呂合わせから「いい服の日」「いい肉の日」「いい文具の日」「いいふぐの日」などがあります。日本の文具は、外国からわざわざ買いにくるほどですから、よく工夫されていて優れていてオシャレなものが多く、日本にしか売っていないものも多いようです。文具だけの特集本が売れるのも、当たり前ですね。それでは、文具について書くのかと思わせつつ、今回は、文具ではなく、服について書こうと思います。

 皆さんは、ファッションについてこだわりがありますか、それとも無頓着なほうですか。ファッションに気を遣うのは、自分のためですか、それともそれを見る周りの人のためですか。服は、自分が着たいものを着るのがいいのか、自分に似合うものを着るのがいいのか、意見が分かれるとは思いますが、皆さんはどちらですか。私は、大学生になってから男性ファッション雑誌を買うようになり、高校生の時と違って普通に気を遣うようになりましたが(男子校は気を遣いません)、やはり色や形の好きなものは偏りますね。たとえ似合うと言われても、自分が気に入らなければ着る気にはなりませんし、それが個性だと思います。ただ、色については赤やピンクは一切着なかったのですが、ピンクのポロシャツと赤のTシャツをもらって着るようになってから、自分でも赤やピンクを選ぶようになりました。ファッションには多かれ少なかれ、その人の内面が色や形に出ますので、どんな人かを判断する材料にはなります。社会人、特に外部の人と会うことが多い営業関係の人が気を付けなくてはならないのも、そのためです。

 制服でもおしゃれに着こなそうと努力する人はいますよね。制服は清潔感があってきちんと着るのがおしゃれかと思いますが(年寄りの考えかな?)、昔は変形学生服を着ている人も多く、私もその一人でした。学生服はハイカラーの中ラン(丈が長めの学ラン)で、内側に虎と龍の刺繍がありました(笑)。そして、ズボンはというと、ストレートと太目(ボンタン)とパンタロン(ベルボトム)の3本を持っていました。私の高校時代は、まだ短ランはありませんでしたが、今では学生服のツッパリスタイルは、ほぼ死滅しているようですね。今から20年以上前は、女子生徒の短いスカート丈とルーズソックスと格闘していましたが、それも今ではほとんど見られなくなりました。「歴史は繰り返す」という言葉どおり、昔流行ったファッションが復活して、懐かしい思いをすることがあります。ダサくなったものが新鮮でおしゃれに感じられて復活するのですから面白いものです。筒井康隆のSF小説に「暗いピンクの時代」というのがありましたが、AIが発達した未来のファッションについての話です。人間の創造性について考えさせられるものでした。未来では、一着のボディースーツで温度や湿度を自動で最適に保ち、好きな形や色に変えられるものができるかもしれません。皆さんは、そういう服が着たいですか?

月がとっても青いから

 今日は、大変月がきれいに見えたので写真を撮りましたが、きれいに撮れなくてがっかりでした。夏は大気に水分が多いため、月は黄色く見えることがあります。黄色い満月をおっきなメロンパンだと言ったマンガの主人公もいました。冬は乾燥しているので青白く見えることが多いです。歌い出しが「月がとっても青いから 遠回りして帰ろう」という懐メロがあります。1955年に発表された菅原都々子さんの歌で『月がとっても青いから』は、大ヒットしました。帰り道の恋人同士を歌った歌ですが、月を見ることが風流と感じる日本人ならではの感性と、もう少し恋人と一緒にいたいという気持ちがマッチしてヒットしたのだと思います。月が歌詞に出てくる歌はたくさんありますが、童謡の「月の沙漠」や爆風スランプの「月光」など切ない感じの歌が多いですね。皆さんには好きな歌はありますか。「ムーンライト伝説」?「三日月」?
 月は太陽の光を反射して光って見えるので、自分では光り輝けません。日本の月のヒーロー?では「月光仮面」「セーラームーン」が有名ですが、月は奥ゆかしいところが支持されるのでしょうか。なぜか、太陽のヒーローはいないです(レインボーマンには太陽の化身がいますが)。世界中で太陽は信仰の対象になっていて当たり前すぎてヒーローにはならないのでしょう。自分では光り輝けない月には儚さがあります。朝に見られる月もそうです。月を詠んだ和歌もたくさんありますが、皆さんがよく知っているはずの和歌には「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」がありますね。わからない人は調べましょう。
 英語では「ありえないこと」「滅多にないこと」という意味で「ブルームーン」という言葉が使われていたそうです。最も一般的な定義では、ブルームーンとは「カレンダー上でのひと月の間に現れる、2度目の満月」のことで、2.5年に1回程度しか出ないそうですが、別に特別青いものではないそうです。太陽に比べて極端に弱い月の光のもとでは、人間の目が青い波長を強く感じてしまうために、何となく月下の景色は青っぽく見えてしまうようです。「ブルームーン」と言えば、私が思い出すのは、英一・英二という双子の兄弟を描いた森脇真末味さんの短編集です。大学生の時に読みましたが、お薦めします。勉強していて眠くなったら寒空の下で冷気を頬に感じて月を眺めるのもいいものです。期末考査が始まります。皆さん、頑張ってください。

愛情のこもった商品とは

 昨日の日曜日は全国的に非常に寒かったようですが、皆さんの家ではストーブやこたつがあって暖かく過ごせましたか。こたつは外国人に受けがいい日本製品の一つですが、他にも外国人に評判がよく、外国にはないものがたくさんあります。それらのものには日本人のどんな思いが反映されているのでしょうか。次の言葉を読んでください。「傘は、冷たい雨に濡れないように、考えて考えて作られた愛情のこもった商品である。世の中にある物は愛に満ち溢れている。使う人の幸せのために作られているのだ。」皆さんは、身近なものについて、こんな風に考えたことがありますか?外国人に人気のウォシュレットなら「ウォシュレットは、お尻が冷たい思いをしないように痛くならないように、考えて考えて作られた愛情のこもった商品である。」となるのでしょうか。左利きの人が使う商品専門店を開いた人がいます。その人は、左利きの人の幸せのために作られた道具を多くの左利きの人に使ってもらおうという愛に満ち溢れていたのだと思います。10人に1人は左利きですが、社会は左利きの人には不便になっています。どんなところが不便なのか考えてみてください。左利きの友達がいたら聞いてみてください。気付かないことがたくさんあると思います。さて、皆さんの周りには、どんな愛情のこもった商品があるでしょうか。

働いている人みんなに感謝!

 昨日は、国民の祝日である「勤労感謝の日」でしたが、皆さんは働いている保護者の方、そして働いている全ての人に対して感謝の気持ちをもちましたか。皆さんは、お父さんやお母さんの職場見学をして実際に働いているところを見たことがありますか。夏休みに「こども参観」を実施している企業や自治体もありました。アインシュタインは「私は一日100回は、自分に言い聞かせます。私の精神的ならびに物質的生活は、他者の労働の上に成り立っているということを。」と言っています。また、レーニンは「働かざる者、食うべからず」と言っていますが、これは労働者から搾取して不労所得でラクな生活を享受する資産家たちを戒めるための言葉であり、資本主義体制を批判する言葉でした。
 皆さんは、国民の三大義務と権利を答えられますか。三大義務は「教育・勤労・納税」ですね。誤解されやすいですが、教育の義務は、皆さんが小中学校に行って教育を受けなければならない義務ではなく、保護者が子供に教育を受けさせなければならない義務です。面白いのは勤労の義務で、「すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」(日本国憲法第27条1項)と勤労の権利とセットになっています。これはどういう意味でしょうね。「権利を主張するなら義務を果たせ」なんてことが言われますが、そうした裏表の関係ではないです。勤労の権利とは、仕事をしたい人に対して、国が仕事をさせないと言うことができないということです。また、勤労の義務とは、国が働くことを強制しているのではなく、保険など国の保護をうける場合には、仕事をする必要があるというくらいの意味らしいです。義務が最も似合うのは「納税」でしょう。普通の人は働かなくては税金は払えませんから、勤労と納税はセットでおかしくありません。みんなが助け合って生きるのが社会ですから、お互いに働いて税金を払って暮らしやすい社会をみんなで作っていく。だから働いてくれる人に感謝するということですね。皆さんも自分の好きな仕事、やりたい仕事で感謝されるようになってください。
 ちなみに国民の三大権利は、「生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)、教育を受ける権利、参政権」です。公民の授業では、他にもたくさん人権を勉強したと思います。皆さんにとっては「自由権」が一番記憶にあるかもしれません。「職業選択の自由」もその中にありましたね。自由はいいものですが、厳しくもあります。これから職業選択に大いに悩んでください。
※勤労感謝の日は、戦前は宮中行事の新嘗祭で、その年に収穫された新穀を神に捧げ、収穫を感謝する日です。具体的には、天皇陛下が新穀の収穫を天照大神(あまてらすおおみかみ)をはじめとした神に感謝し、自らも新穀を食べる宮中行事で、現在も皇室に受け継がれている重要な祭祀の一つです。新嘗祭は、明治6(1873)年に祝日として11月23日に制定されました。

天災は忘れたころにやってくるから訓練が大事なのだ!

 今日は、50分短縮授業で6時間目終了直後に大地震発生とそれに伴う火災発生という設定で避難訓練を実施しました。生徒の皆さんは、落ち着いて整然と避難できており、前回より避難時間も短縮し、消防署の方からもほめられ、よい訓練ができたと思います。前回の訓練でも話しましたが、学校は比較的安全な建造物です。鉄筋コンクリートで単純な構造なので頑丈です。木造ではないので火災にも強いです。でも油断は禁物です。煙や落下物に注意しなければいけません。どこで災害に見舞われても対応できる力を身に付けましょう。

 東日本大震災から12年経ちました。皆さんは幼稚園生でしたね。怖かった記憶があるでしょうか。一般に大震災と呼ばれる災害ではそれぞれ死因に特徴があり、関東大震災では、昼食時だったため火災による焼死、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)では建造物倒壊による圧死、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では津波による溺死が多かったわけです。皆さんは、地震で自分がそのような被害にあうことが想像できますか。近い将来発生すると予想されている大規模地震には、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震などがあります。その時、皆さんはどこにいるでしょうか。地元で自宅にいるかもしれないし、東京やその他の地方で一人暮らししているかもしれません。温泉旅館でのんびりしている人、高層ビルで働いている人、地下鉄で移動している人もいることでしょう。どこにいても、避難訓練で学んだことを生かして、状況判断し、冷静に行動することが大切です。「慌てず急げ」という言葉通り、冷静に、できるだけ急いで避難することが大切です。パニックになって急ぎすぎれば、階段等で将棋倒しになり圧死する危険性もあります。「天災は忘れたころにやってくる」という標語がありますが、危機意識を忘れずにいるために避難訓練を実施しています。今日やった消火器の訓練も忘れずにいてくださいね。

テレビの未来

 今日は「世界テレビ・デー」だそうです。 1996年12月の国連総会で「第1回世界テレビ・フォーラム」が開催されたのを記念して制定されたそうです。このフォーラムは、テレビが人や世論の意志決定の過程において大きな影響を及ぼすようになったことから実施されたそうですが、この国際デーはテレビの重要性や役割を再認識する日であり、いまだテレビの情報にアクセスできない人々へも情報提供を普及させようとする企図があるそうです。ネットにアクセスしないお年寄りは、テレビや新聞の情報がすべてでしょうから、ウクライナやパレスチナの紛争をテレビで見ていてよく知っていても、日本のテレビでは報道されない世界の重要な出来事は知りえません。テレビも新聞も民間企業である限り、真に公正・公平な報道はありません。NHKであっても、それは変わりません。NHKは国営企業のように誤解されますが、放送法に基づき設立された特殊法人で、 政府からの出資はなく、その経営が国民から徴収する「受信料」で 成り立っている公共放送局です。ですから、色々と問題も抱えています。テレビは、新聞と同様に若い人が離れているので、今ではネットの影響のほうが大きくなっているように思います。

 昔は娯楽というとテレビでしたし、家族で夕飯時は1台のテレビで同じ番組を見ていたので、チャンネル権争いが勃発していたものです。私は弟とテレビのリモコンスイッチ(手で回すタイプでテレビから外すことができた)を奪い合うこともありました。しかし、チャンネル権は父にあり、食事時は父が見る番組を見なければならず、プロ野球や時代劇の「水戸黄門」「大岡越前」「遠山の金さん」「暴れん坊将軍」などを見ていました。また、ドリフターズの「8時だョ!全員集合」はクラス全員が見ていると言って過言ではなく、最高視聴率50.5%のお化け番組でした。紅白歌合戦の最高視聴率は80%であり、大晦日は日本レコード大賞、紅白歌合戦、ゆく年くる年を見るのが日本人の定番であったようです。

 さて、くだらないことを書き連ねてしまいましたが、テレビの黄金時代は過ぎ、家の中に複数のテレビがあり、チャンネル権争いも過去のこととなり、さらにスマホの普及で個々に好きな動画を見る時代になりました。大画面のモニターが家の中にあっても、それで観るものはテレビ以外のものが多くなり、従来のテレビ番組は淘汰されていくと予想されています。やる気になれば一人でも番組ができてしまいますので。テレビやラジオが情報を素早く伝えるメディアであり、それを受動的に見る時代は終わりを告げ、自分で情報を探しに行き、発信する時代になりました。せっかくの「世界テレビ・デー」ですが、すぐに「世界スマホ・デー」に置き換えられるかもしれません。その時、何を再認識しなければならないかと言えば、自分の好みの情報だけに偏ることなく様々な情報に触れて公正に判断する力をつけるということです。情報リテラシーを身に付けることが、ますます重要になってきますので、皆さんもしっかり勉強してください。

先生の成長の陰に・・・

 今日は、県内各校から12名の地歴公民科の先生方が本校に集まり、中堅教諭資質向上研修(12年目研修)が実施されました。私が12年前に総合教育センターの初任者研修で担当した先生方でしたので、同窓会のような和やかな雰囲気?で行われました。研修内容は、まず本校の北爪先生が代表者授業を行い、授業研究が午前中に行われ、活発な研究協議がなされました。北爪先生の授業は1年次1組の「公共」で行われました。一人一台端末を活用し、法に関する単元で生徒の身近な「校則改正」を題材としたものでした。「法改正の適正手続き」についてジャムボードを使って意見をグループワークでまとめ、グループ間で発表し学び合う授業で、生徒たちはよく発言していました。午後は6名の先生方の授業ビデオを見て、協議が行われました。テーマは「指導と評価の一体化」です。私は、開会行事から始まって閉会行事まで1日付き合い、先生方の12年間の成長ぶりを見せてもらいました。主事・主任として、担任や部活顧問として、頑張っている様子を聞くことができ、大変うれしく思いました。数校の異動を経て、色々と経験した苦労を糧にして現在の職場で活躍しているようです。

 生徒の皆さんは、先生方が忙しい中でも研修を行い、教師としての資質能力を高めようと努力していることを知っていますか。すべては、生徒の皆さんが楽しく充実した高校生活を送り、様々な力を伸ばして希望する進学、就職ができるようにするため、そして生きる力を育むためです。努力して頑張っている先生方を応援してくれるとありがたいです。先生は「先に生まれた人」ではなく「先を生きる人」ですが、「先を生きる」から何でも知っていて、できるわけではありません。生徒に教えながら学び成長していく存在です。生徒のみなさんの御蔭で先生が成長できる面もあることを知っておいてください。それは親も同じです。子どもから教えられて親になります。謙虚な人は、成長し続けます。「まだまだ・・・」の精神で何事にも取り組みましょう。

PTA研修視察旅行記

 今日は、PTAの研修視察旅行で明治大学を見学してきました。東京の大学は、昔と様変わりして大変立派な高層ビルになっているところが多いようですが、明治大学駿河台キャンパスも近代的なビルが並び、圧倒されました。今日は23階立てのリバティタワーを見学させてもらいました。15階の教室で1~4年生の4人の学生ガイドの方にスライドで4つのキャンパスの説明をしてもらってから2班に分かれて、学生食堂と図書館、最上階の岸本辰雄ホールを見学させていただきました。もう一度大学に行きたくなるような素晴らしい環境でした。見学後に最初の教室に戻って、大学の授業や大学受験時にどんな勉強をしていたかの話を聞かせてもらいました。高2の2学期から受験勉強を始め、高3からは平日は5時間、休日は12時間くらいやっていたという話が印象的でした。また、明治大学に入りたくて、とにかく勉強したという明治愛を学生ガイドの皆さんから感じました。大学4年間は長いです。ぜひ、大学進学を希望している本校の皆さんも実際に大学を見学して、ここで勉強したいというところを見つけてモチベーションを高めてください。
 明治大学を後にして、『東京ドームホテル・リラッサ』で昼食をとり、少し散策をして全体写真を撮ってから帰途につきました。今日は、あいにくの空模様でしたが、多くの保護者の方に有意義で楽しい体験をしていただいたと感じました。ぜひ、来年は今回参加していただいた方々の口コミによって更に多くの方に参加していただければと思います。

幸せの色は?

 今日11月16日は、語呂合わせで「いい色」となることから、色にちなんだ記念日が多いようです。皆さんは、色がない世界を想像できるでしょうか。動物や昆虫、魚などは見え方が違うということを知っている人は多いと思います。色覚のない世界や、紫外線などの不可視光線が見えている世界を想像するのは難しいですよね。そんな人間とは異なる犬・ネコ・鳥・ネズミ・ヘビ・ハエ、サメ、魚などの動物たちが見ている世界を再現したムービーがあります。「How Animals See The World」です。興味があれば見てみてください。私は赤緑色弱ですので、そうでない皆さんと見えている色が違います。人によって視力や色覚など目の状態は様々なので、同じように見えている人は案外少ないかもしれません。

 色が心理に影響を与えることは、実感として皆さんもわかると思います。いくつか紹介します。

〇グーグルは、テキストリンクの色によって、クリックやタップする確率が異なることを示しました。色には人の行動に影響を与える力があることが明らかになったのです。

〇スーパーやショッピングセンターなどのように、売り場の内装に寒色系を用いると、来店客はリラックスし、滞在時間が長くなります。逆にファーストフード店のように客の滞在時間を短くし、回転率を高めたい店舗では、内装に暖色系を取り入れています。赤の補色である緑を並べておくと、肉の赤みが強調され、鮮度が高く感じられます。ハムやソーセージには、肉の加工品の色をピンク色の赤みをきれいに発色させるために用いられる発色剤という添加物が加えられています。紫の結束テープを巻くと、葉物野菜がみずみずしく見えます。2つの異なる色が互いに隣接した場合に、互いに溶け込んでその中間の色に見える現象を色の同化現象と呼びますが、みかんを赤いネットに入れるとより赤みをおびたオレンジ色に見えます。牛乳のパッケージは、さっぱりとした印象を与える青がよく用いられます。パッケージの青をじっと見続けてから、白い牛乳に目を移すとクリーム色に見えることがあります。これは心理補色、継時対比と呼ばれる現象で、青の捕色である黄色が残像として現れるために起きます。

 色については、他にもおもしろい話題があります。人間は実際の色よりも鮮やかに記憶する傾向があり、これを「記憶色」あるいは「印象色」と呼ぶそうです。そのため、写真や映像は、実際の色ではなく、記憶色を再現するよう調整されています。なぜなら、実際の色を再現しても、私たちの脳は違和感を覚えるからです。面積の違いによって、明るさや色みに差が出ることを「色の面積効果」と呼びますが、それを私が実感したのは家の壁の色を決めた時でした。パソコン上で家の設計図に着色して確かめたところ、色見本とは違って見えました。多くの調査で、赤は脈を速くし、呼吸頻度をあげ、脳波のα波を減少させ、脳幹が覚醒することが確認されています。信号機の「とまれ」が赤になったのは、危険に備えて緊張を高めるからでないかと言われています。赤は集中力を高めるとともに、短期記憶を促進する一方で、赤を見ると原始的な知能が優勢になり、論理的な思考能力は低下するそうです。そのため、熟考を要する場面で、赤を使用するのは控えたほうがよいそうです。赤とは対照的に、青は脈拍や呼吸数を減らし、動脈圧を下げ、リラックスした状態へと導きます。これに適しているのは単純作業です。

 さて、最後に違う意味の色について書きたいと思います。百人一首の中にある短歌で好きなものはいくつかありますが、平兼盛の「しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで」は、その中の一つです。昔も今も変わらない恋の歌だなと思います。高校生の皆さんにも共感できる歌ではないでしょうか。この場合の「色」は具体的な色のことではなく、表情を指しています。皆さんは色が出やすいですか、出にくいですか。

第41回マラソン大会無事終了に感謝

 今日は、朝のマナーアップ運動が7時50分から8時30分まで行われ、保護者の方々に御協力いただき、登校時の交通ルールと挨拶のマナーを見ていただきました。事前にイヤホンをつけている生徒がいないかを見てくださいと係からありましたが、私が南門と昇降口で見ている限り、いませんでした。ただ、ヘルメットをかぶっていない生徒は多く見られたので、今後の課題です。各場所で早朝から御協力いただいた保護者の皆様、先生方、ありがとうございました。

 校内マラソン大会が9時45分に女子がスタートして始まりました。夜に少し雨が降ったようで、天候が心配されましたが、曇り時々晴れで、風もなく絶好のマラソン日和となりました。昨年は少し暑いくらいでしたので、記録を狙う生徒にとってはよいコンディションになったと思います。開会式の挨拶では、次のような話をしました。

 「マラソンは肉体的にも精神的にも苦しく、学校行事の中でも気が重いと感じる人が多いかと思いますが、学校行事には教育的意義があるわけです。楽は苦があってこそわかるものであり、知力は体力と気力の土台の上に築かれるものなので、若いうちに体力をつける努力が必要です。受験勉強で運動部が追い込みに強いのは、最後は体力と気力がものをいうからです。マラソンは自分との闘いであり、全力で走ったか、50%で走ったかは自分が一番よくわかっているはずです。ただ、全力で走ることは大事ですが、安全と健康が第一ですので、自分のペースを守り、体調に留意して完走し、達成感を味わってください。」

 数人の体調不良と転倒によるケガがあったものの、AEDを使うことも救急車を呼ぶこともなく、昨年よりも参加者数が30人ほど多く、無事終えることができました。安全確保や集計作業等に携わっていただいた先生方、生徒の皆さん、ありがとうございました。昨年も、笑顔でゴールする生徒が多かったですが、今年も多くの笑顔が見られ、うれしく思いました。女子生徒の声援で、校庭に入ってから短距離走のごとく走る男子生徒も数名見られ、微笑ましかったです。また、グループホーム太田サンフラワーの方たちにはホーム前で旗を振って応援していただきました。ありがとうございました。閉会式も太陽が顔を出して暖かい中で、実施することができ、成績発表と表彰の後には、先生方から多数のラッキー賞が贈られ、笑顔の中でマラソン大会を終えることができました。

3文字に込められた思い

 現在、スマホで様々な動画が手軽に見られるようになり、ちょっとした時間を潰すのに苦労はしなくなりました。逆にスマホに時間をとられて依存症になり、貴重な時間を無駄にしてしまう人も増えています。ここでも、大量の情報の中から、何を選択するか、その判断力が問われています。私も普通に1日30分から1時間程度動画を見るようになってしまいましたが、日本のよいところを紹介する動画を見ることも多いです。謙虚さが日本人の美徳でもありますので、自画自賛するようなものはいただけませんが、そこのところは割り引いて見ています。

 最近見た動画に「海外TVで紹介された日本語の奥深さ たった3文字の手紙に世界中が涙」というものがありました。内容を要約して以下に紹介します。

 海外のあるテレビ番組が日本の手紙の文化について紹介したところ、大きな反響を呼びました。日本の手紙は、とても少ない文字数で相手に対する深い感情や思いやりを伝えることができるというのです。番組で取り上げたエピソードは、南極へ遠征している夫に妻が送った「あなた」という3文字だけの電報でした。番組の出演者は、この言葉に込められた意味を考える時間を与えられていましたが、わからずに困惑していました。この電報を受け取った夫と周りの同僚の様子が紹介されました。夫の目からは感動のあまりぼろぼろと涙があふれ、その電報を見せられた同僚たちも同じように感動して涙を流したというのです。番組の出演者たちは、考えたけれど意味がわからず解説を聞くことになりました。

 この「あなた」という3文字は南極で勤務する夫宛に、妻が言葉に収まりきらないありったけの感情を込めて書いたものでした。当時の日本では通信技術があまり進んでおらず、電報での通信方法がモールス信号方式だったこともあり、電報では長い文章を送ることが難しかったのです。しかし、遠く南極にいる夫へ妻は自分の多くの思いや心配、そして愛情を伝えたくてたまりませんでした。そこで彼女は、そのすべての感情を詰め込むようにして、たった3文字「あなた」という単語を電報で送ったのです。実際には、伝えたいことが山のようにあったのでしょう。「あなた、体は大丈夫ですか?風邪をひいていないか心配です」「あなた、子どもも私も健康ですよ」「あなた、帰ってきたら、あなたの好きな料理を作って待っていますね」「あなた、愛しています」こんなにも多くのことを伝えたいと思いながら、最終的に彼女が選んだのは「あなた」というたった3文字でした。そして、その電報を受け取った夫は、わずか3文字から妻の溢れる思いを感じ取り、ぼろぼろと涙を流したのです。夫は、妻が自分をどれほど想っているか、心配しているか、愛しているかを、その短いメッセージから受け取り、深く理解したのです。また、その手紙を目にした彼の日本人の同僚たちも、その深い愛情に心打たれ、感動の涙を見せたのでした。

 この話は世界中のメディアで「3文字だけの手紙」と取り上げられ、大きな話題となったそうです。この話は、日本語の深い意味や様々な解釈ができることを示す一例として世界に知られました。

 皆さんは、この話を読んで何を思いましたか。私は、この話の背景には、日本の俳句や短歌といった短い言葉で気持ちを表現する文化や直接的な表現ではなく婉曲的な表現を用いて気持ちを相手にくみとってもらう文化があると考えます。例えば、「月が綺麗ですね」の真意を、「私はあなたに惹かれています」と読み取ったり、「雨が降ってきましたね」を「あなたともう少し一緒にいたいです」と読み取ったりできるのも日本人ならではと思います。もっとも全員が読み取れるわけではありませんが。日本人は、聖徳太子の憲法十七条にある「和をもって貴しとなす」の精神を受け継いできているので、なるべく争いを避けるように言動に気を付けます。これは相手の気持ちや状況を慮り、文脈を見極め、言葉の背後に潜む意味を探る能力に長けているということです。「空気を読む」力は、日本社会では、好むと好まざるにかかわらず求められる能力のようです。個人よりも集団を尊重し、秩序を大切にする日本の長い歴史の中で育まれてきました。その結果、率直さよりも含みがある言い回しを好む傾向が強くなっているようです。

 視聴者の反応に「たった3文字でそこまで伝えられるのもすごいし、読み解く側もすごい。日本人は本当に感性が豊かだと思う」というのがありました。電報と言えば合格を伝える「サクラサク」や田舎の親に無心する「カネオクレ」がありますが、ちゃんと動詞が入っています。「あなた」という名詞だけでは、読み取る側の力がなければ通じません。この話は、「あなた」と送った妻と「あなた」から読み取った夫がいて、初めて成り立つ話でした。本校の生徒の皆さんが卒業までに身に付けたい力の1位はコミュニケーション能力でしたが、日本人が高度なコミュニケーション能力を駆使していることがわかっているからでしょうね。コミュニケーション力とは簡単にいうと以下の①~④の力です。皆さんは、どれくらいできると自己評価しますか。

①相手が話している内容が理解できる。

②相手の感情を察知することができる。

③相手に伝わるように言葉にすることができる。

④相手の感情を動かすような伝え方ができる。