日誌

榎本校長のつぶやき

『人には余裕というものが無くては、とても大事はできないよ』勝海舟

 記録的な暑さの夏休みが終わり、2学期が始まりました。まだまだ暑い日が続くようで、いつになったら過ごしやすい秋がくるのかなという感じですね。部活で真っ黒になっている人、勉強漬けの日々を送った人、普段できない活動をした人、人によって千差万別な夏休みを過ごしたと思いますが、夏休み前に計画したことは達成できたでしょうか。私は、たまっていた本をできるだけ読もうと考えていましたが、読んだ分以上に買ってしまったので、たまっている本が増えてしまいました。仕事については、片付いたものもありますが、できたらやってしまおうと思っていたものは先延ばしになってしまいました。ただ、優先順位の高いものから片付けたので、まあよしとしています。

 私が皆さんと同じ受験生だったころは(42年前)、入試科目の問題集を一冊終わらせるとか、英単語2000・古文単語400・日本史用語集などを一通り最後までやるとか、目標を立てていましたが、達成率は自信をもって書けるほどではありません。計画通り終わらなかったと嘆いている人も多いと思いますが、大丈夫です。計画した量が多すぎたと思えばいいのです。ほとんどの人は、あれもこれもと欲張って、自分のキャパをオーバーした計画を立てがちだからです。80%しか達成できずに落ち込むより、100%達成して、余裕があれは+20%追加できたほうが、精神的に充実感と達成感が得られます。3年次生は、これから受験まで5か月以上ありますので、自分に必要な勉強を見極め、見通しをもって余裕のある計画を立て、達成できたらプラスアルファの勉強をしてください。勉強に部活に学校行事と、2学期は忙しくも充実した日々が続くと思います。心も体も余裕をもって頑張ってください。無理して体を壊して休めば、時間とともに精神的余裕もなくなります。何事もいいコンディションで継続できることが大事ですよ。

みらいの太東生へ

 本日は、太田市民会館で午前(太田市内の方)・午後(太田市外の方)の2部構成で本校の「学校説明会」を実施しました。中学生と保護者あわせて1200名を超える方々に酷暑の中、お越しいただきました。改めまして感謝申し上げます。本校に対する理解を深め、志望校検討の材料を手に入れてもらえましたでしょうか。部活動紹介動画や生徒会の学校紹介動画で、本校の様子が伝わったでしょうか。生徒会所有のドローンで撮影した映像はいかがでしたか。生徒が主体的に活動している様子が、わかっていただければうれしいです。9月のオープンスクールにも、ぜひ来校して、自分の目で確かめてください。お待ちしております。

 生徒会、吹奏楽部、チアリーディング部、ボクシング部、陸上部、少林寺拳法部のお手伝いいただいた皆さん、ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。皆さんの姿を見て、本日来場した中学生で本校志望の意志を増々強くした人も多いと思います。また、暑い中、交通整理をしていただいた先生方、会場準備や片付け、生徒の指導をしていただいた先生方、ありがとうございました。無事、混乱もなく終了することができました。感謝申し上げます。

 本日、参加していただいた中学3年生の皆さんの一番の関心は、前期・後期がなくなって一本化された入学者選抜の方法と内容についてだと思います。高校によって方法と内容は異なりますので、どうしても入りたい高校があるならば、よく調べて対応できるよう準備するしかありません。まだ、入試まで半年ありますので、最後まであきらめずに努力してください。「みらいの太東生」に会えるのを楽しみにしています。

1日10時間(量だけでなく質もね)

 国連事務総長が、地球温暖化でなく地球沸騰の時代だと発言するくらい猛暑が続いていますが、今日から3年次生を中心とした夏季学習会が始まりました。約100名の生徒が毎日7時間の勉強を5日間続けます。コロナ以前は、進学校と呼ばれている高校は、夏季休業中に避暑地や温泉地などで学習合宿を行っていました。100名以上の生徒がホテルにこもって、1日10時間以上の勉強を仲間とともに励まし合って行い、長時間勉強を続ける集中力、気力などを高め、長い受験勉強の第二のスタートにしようとしていたのです。(第一のスタートは、もうしているはずです。)私も本校で20年前に栃木県の益子や埼玉県の施設に学習合宿の引率で行った経験があります。当時と現在の違いは、各教室にエアコンが入っているかどうかです。現在は、普通教室と学習室などはすべてエアコンが入っていますので、わざわざ高いお金を払ってバスに乗って遠くに行かなくてもいいのではないかとコロナ禍で考えられ、学校で実施することになりました。

 日本では、小学生が中学受験するのに平日帰宅後6時間、土日は10時間以上勉強するという話も聞きますが、1日10時間以上勉強するというのは、かなり目的意識が高く、精神力が強くないとできないと思います。また、勉強には知力・気力だけでなく体力も必要ですので、部活引退後に運動部は受験勉強の追い込みがきくなどと言われるのはそういうことです。勉強は、大学までで終わりというわけではなく、一生勉強だと思いますが、大学受験の勉強期間は、長い人生の中でも特別な期間です。(と、私は思っています) たとえ、なかなか勉強の成果が出なくても、自分を信じて努力を続けてください。必ず成果は出ます。努力が空回りしないように間違ったやり方でなく自分に合ったやり方を見つけてくださいね、「やりきったぞ!」という清々しい顔で、2学期に皆さんに会えることを楽しみにしています。

※ブログは、授業日以外は休む予定でしたが、それでも続ければ3学期の終業式に400回になる予定です。ただ、400回ちょうどにこだわることもないと思ったので、長期休業中でも何か話題があれば、書こうと思って本日は書きました。

速しこの1学期

 早いもので、1学期も今日で終わりです。私は短く感じましたが、皆さんにとってはどうだったでしょうか。1年次生は、入学した時の気持ちを忘れずに1学期を頑張れたでしょうか。思っていたよりも高校生活は大変だと気を引き締めなおしたでしょうか。これから3年次生は、本格的に受験勉強に突入し、2年次生は、部活を頑張りながらも進路について考えていかなければならない夏休みです。時間があると思って油断していると、あっという間に夏休みは終わります。適度に心と体を休めながら、計画的に夏休みを過ごしてください。1学期を振り返って、無理なく実行できる自分だけの再チャレンジ計画を立て、達成感を味わえるようにしてください。余裕を残して、プラスアルファの実行を加えられるほうが精神的にもいいはずです。2学期は長いです。充実した2学期にするためにも、夏休み中に下準備しておくことが必要です。ロケットスタートができるように心身を整えて、8月30日を迎えてください。

 今日の生徒総会は、熱中症とコロナ感染を懸念して残念ながらオンラインとなりました。旧役員の皆さんは全校生徒の前で挨拶ができず、本当に申し訳なく思いました。太東を盛り上げるために、縁の下の力持ちとして1年間尽力してくれたことに感謝します。ありがとうございました。新役員となった皆さん、来年は「青藍祭」があります。このままコロナがフェードアウトしてくれれば、生徒会もさらに活発に動けるようになるでしょう。活動方針にある「居心地がよい」とは、色々な意見が受け入れられる、意見が出しやすいという意味にも取れます。色々な企画を提案して、太東をワクワクする場所にしてください。

考えるのは今でしょ!

 昨日から三者面談が始まりましたが、夏季休業へ向けて有意義な面談ができているでしょうか。先生に丸投げで、主体的に自分がしたいことやなりたいものについて相談できないようだと時間内には終わらないかと思います。自分はどのように今後生きていきたいのか、様々な選択肢があり、考えれば考えるほど悩みは尽きないと思います。ただ、ここでしっかり考えないと、将来「七五三現象」の体現者になってしまいますよ。

 「七五三現象」とは、1990年代から2000年代にかけて話題になった、早期離職率と学歴に関わる言葉です。就職して3年以内に、中卒新入社員の7割、高卒新入社員の5割、大卒新入社員の3割が離職する現象を指します。2020年度の離職率は、中卒55%、高卒36.9%、大卒31.2%で七五三現象が問題視されていた1994年頃に比べて、中卒や高卒の離職率は大きく改善されてはいますが、大卒の3年以内の離職率はあまり変わっていません。バブル経済のころは超売り手市場でしたので、転職は難しくありませんでしたが、現在はそうではありません。転職するには、ある程度の技能と経験が必要です。「石の上にも三年」と忍耐を説くことわざがありますが、日本ではすぐに仕事や会社を辞めると忍耐力がないといって信用されない傾向があります。アメリカでは、「終身雇用」が特徴だった日本と違い、キャリアを積んで転職するのが普通のようですが、日本では非正規雇用のためキャリアも積めない若者が増えています。それが若者の未婚率の増加と少子化に拍車をかけている原因の一つとなっています。「ブラック企業」という言葉を知らない人はいないと思いますが、心や体を壊してまで企業にしがみつくことはやめましょう。ただ、自分では判断ができなくなっている場合もありますので、身近に相談できる人がほしいですね。転職についての次の話を読んでみてください。

 「1年ごとに転職を繰り返せば、いずれ雇ってもらえなくなるかもしれないけれど、それも仕方がない。だって自分に合った場所を探すというのは、そういうことだから。」という意見があった。しかし、そもそも、自分に合った場所で働くというその感覚がちょっと図々しい。自分自身も、職場も、日々変化していく。職場とはただの場所ではなく、一人一人が集まってできた人間の集合体です。人の出入りがあれば、当然その場所自体も変化する。自分自身の気持ちの動きも含め、永遠に自分にあった場所で働くというのは不可能。本気で向き合い、ぶつかれば、自分自身も、その対象も変わる。自分に合わない場所で、それでも必死にもがきながら、初めて相手から求められる存在になれた時の喜びは何ものにも代えがたかった。

 厚生労働省『平成30年若年者雇用実態調査』によると、「初めて勤務した会社をやめた主な理由」として最も多く上がったのが、大卒では「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」で33.2%。「人間関係がよくなかった」21.3%、「賃金の条件がよくなかった」20.9%、「仕事が自分に合わない」19.2%と続きます。また勤務3ヵ月未満に限ると「人間関係がよくなかった」が最も多く38.7%、僅差で「仕事が自分に合わない」で38.6%でした。皆さんは、上記の話とデータを読んで、どう思いましたか。自分に合わないと思ったら、さっさと辞めたほうがよいのでしょうか。どの程度合わなければ辞めるのが得策なのでしょうか。

 以前に「非認知能力」について書いたことがありますが、「自信をもって意欲的に取り組む」「他人の気持ちを汲み、人の境遇や気持ちに共感できる」「異なる価値観を柔軟に受け止められる」「忍耐強く取り組める」「人と協働して取り組める」……そんな生きていく上で必要な社会的スキルのことをいいます。それ以外にも時間を管理する能力や、失敗から立ち上がる精神的強さ、芸術作品や自然を見て感動する心など、主に感情面や情緒面での感性や能力も非認知能力です。一方「認知能力」とは一般的には知能検査で測定できる能力のことを言い、簡単に言えばテストで客観的に点数化できる能力です。どちらも重要ですが、社会に出た時に重要視されるのは「非認知能力」が優勢のようです。社会人基礎力や汎用的能力など、これと重複するものもありますが、今後は意識して「非認知能力」を高める取組を、学校での学習活動全体を通して行っていくことが求められると思います。皆さんも意識して、活動してください。将来「七五三現象」を自ら体現しないように。

ポパイと言えば・・・

 国民運動として「食育」を推進するため、政府が毎年6月を「食育月間」、毎月19日を「食育の日」に制定しています。平成17年6月10日に食育基本法が成立し、それにより「食育の日」が定められました。「食育」という考え方自体は明治時代に既に存在していましたが、近年の「食」をめぐる状況の変化に伴う様々な問題を解決するために「食育」が行われるようになりました。
 食育基本法の前文には、『食育は、生きる上での基本であって、教育の三本の柱である知育、徳育、体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、様々な経験を通じて、「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるものとして、食育の推進が求められる』と書かれています。そして、このような食育の推進に当たっては、健全な食生活の実践としての単なる食生活の改善にとどまらず、食に関する感謝の念と理解を深めることや、伝統のある優れた食文化の継承地域の特性を生かした食生活に配慮すること等が求められています。地域の食材を使って給食は作られていますね。   

 皆さんは、給食を食べられなくて昼休みに残された経験はありますか?昔は、嫌いなものがあって食べられないと残されることもありました。食べてすぐ吐いてしまい、その食べ物は今も食べられないという人もいるのではと思います。私は、小学生の時にホウレン草を無理やり飲み込んで、吐いてしまった経験がありますが、今は食べられます。子どもが、ピーマンに代表される苦いものとか酸っぱいものが苦手というのは、毒と感じて体が拒否するからで、ある程度仕方ありません。大人になれば食べられるようになります。たぶん(笑)。今では、味や食感が嫌いで食べられないというよりアレルギーがあって食べられない子が増えています。また、小学校では、朝食を用意してもらえない子や給食が1日で唯一のしっかりした食事という子もいます。この飽食の日本で、餓死する人もいます。個の食事の栄養バランスを考える以前の問題ですね。自分がおいしくないと思うものを栄養があるからと無理して食べるのは、ストレスになります。必要な栄養が、その食べ物でしか摂れないというなら話は別ですが。信じられないかもしれませんが、世界にはチョコレートだけ食べて生きている人もいます。以前にテレビで見て、驚きました。人間の身体って不思議ですね。「食育」には、子どもたちが健全な食生活を営み、健康を維持できるようにするという目的が一番目にあります。ですが、それには食べ物があることが前提にあります。世界全体の食糧について、理解を深めることが大切です。そして、食糧問題と環境問題はセットになっています。7月10日のブログ「納豆好きですか?」で、人間は食べなければ生きていけないと書きましたが、必要以上に生産し、欲望のままに食べ過ぎれば、環境や人体にどんなことをもたらすのか、「食育」を通して考えてもらわなければなりません。3年次生は、近い将来一人暮らしをすることになる人もいると思いますが、「食育」の意義を個人のものから世界全体に広げて、考えてくださいね。

キャラ変、可!

 皆さんは、自分の性格を変えたいと思ったことはありますか?変えたいと思う人の多くは、内向的な性格を外向的にしたいのではないでしょうか。日本人は、血液型による性格占いが好きですが、皆さんは信じますか?話の種としては使うけれど、信じてはいないという人も多いと思います。献血で自分の血液型がA型ではなく、B型とわかって性格が変わってしまった人がいるくらいですから、思い込みや自己暗示は恐いですね。ただ、これをうまく使えば、性格を変えることはできそうです。
 日本人の多くは心配性になりやすいという研究結果があるそうです。心の安定をもたらす「幸せホルモン」と呼ばれる脳内物質のセロトニンが出にくくなる遺伝子があり、日本人の8割がその遺伝子をもっているためだそうです。皆さんは、自分はもっていると思いますか。性格は遺伝的な要素と後天的な要素が半々というのが、様々な研究結果から判明しているそうなので、自分次第で性格の半分は変えられるということです、自分で変えていくには、行動を継続することが必要です。もっと積極的な自分になりたいのであれば、無理矢理にでもそのように振る舞うことが大切です。まずは行動することでスイッチが入って、変わりたいという思いが深層意識にも働いて、それがだんだんと表面に出てくるということです。ですから自分を変えていくようにチャレンジすることが大事なのです。
 人間の性格が年齢や環境によって変化することも、心理学の研究によって明らかになってきました。米国の心理学者クリストファー・ソトーらは、120万人以上の10~65歳を対象に、外向性・神経症傾向・開放性・協調性・勤勉性の平均値が年齢とともにどう変化するか調べたそうです。その結果、外向性には大きな変化がなかったものの、年齢が高まるにつれて神経症傾向は低下し、開放性、協調性、勤勉性は上昇することがわかりました。つまり、同じ人間でも、年齢を重ねれば、心理的な安定性、柔軟性が高い「できた人間」になるというわけです。「歳をとると人間がまるくなる」という言葉は嘘ではなかったんですね。大学生を被験者にして「自分の性格を変える」という実験を行った研究もあります。自分の性格は自分で変えることもできるということも知っておいてください。要は、本当に心の底から変わりたい、変えたいと思っているかどうかです。自分を変えたいと思っている人、あきらめずにがんばってください。「信ずる者は、変えられる」ですよ。

笑う主権者になろう!

 今日は、3年次生に「主権者教育」の選挙出前授業を5、6時間目に行いました。令和2年度から県が実施している「教育イノベーションプロジェクト」の一環として、昨年度から、お笑い芸人による若者の主権者意識を高めるための授業を株式会社笑下村塾と連携して、県内の高校において実施しています。本校は、昨年は6月17日にも実施しています。なお、都道府県が笑下村塾と連携して、全ての高校での選挙授業実施を目指す取組は、群馬県が初めてだそうです。

 今日は、校長室に大音量のフレーズが飛び込んできました。「♪もしかしてだけど~、もしかしてだけど~♪」とギター伴奏とオチのある歌で笑いをとる「どぶろっく」さんでした。3年次生の皆さんの主権者意識は笑いとともに高まったでしょうか。ぜひ、よく考えて自分の一票を行使してください。日本史で勉強したと思いますが、その一票は先人たちが長い間戦って勝ち取ったものです。なくなって初めて有難みがわかるものなので大切にしましょう。残念ながら、明らかに現在の選挙制度は、制度疲労をおこしていると思います。投票率は過去最低を更新続け、それだけでなく、立候補者がいないため今年の統一地方選・前半戦の 41 道府県議選では、総定数(2260)のうち、無投票当選者が4分の1にあたる 565 人に上りました。根本的な問題として、一票の価値の格差の問題も、残っています。これから、日本をどんな国にしたいのか、色々と情報を収集し、政府の政策を判断し、一票を行使することが大切です。一票を粗末にすると泣くことになりますよ。皆さん、自分事として考えましょう。

勉強のススメ

 「なぜ、勉強しなくちゃならないんだろう。こんな勉強が何の役に立つのだろう。」こんな疑問をもち、実際に親に質問した人も少なくないかもしれません。 きっと、言っても無駄だと思って質問さえしない人のほうが多いでしょうね。
 伊藤理佐さんの「幸福のススメ」という漫画の単行本の中に、こんな話があります。遊びや恋愛もせず、小中高校・大学と親や先生の言うとおりにまじめに一生懸命勉強だけしてきたのに、就職難で就職できなかった女性の話です。この女性は仕方なくアルバイトをすることになりました。この女性は、接客業に向いているとはとても言えなかったのですが、あるお客さんとの会話をきっかけに「もしかして学校で習った勉強って今でも役に立つのでは?」と気付きました。現国は、「お客さんの心をよむ」、数学や理科は、「お客さんの話を筋道立てて理解できる」、社会は「いろいろな地方のお客さんと話を合わすことができる」、体育は「働ける体力をつけられる」、英語は「外国人のお客様と話しができる」、そして学力で1位を目指した野心、向上心、努力、忍耐力が役立つと考え、努力した結果、接客の世界で1位を目指すことにします。

 もう一つ、こんな話があります。「なぜ勉強は必要か」と母に聞いた時に、コップを指さして、〇国語なら「透明なコップに入った濁った茶」、〇算数なら「200mlのコップに半分残っている茶」、社会なら「中国産のコップに入った静岡県産のお茶」と色々な視点が持てるよ。多様な視点や価値観は心を豊かにするんだよ。というようなことを返されたという話です。素晴らしいお母さんですね。これはお茶は誰でも知っているが、様々な味わい(とらえ方)があるということであり、それを知っている分だけ心に豊かさをもたらしてくれるということだと考えます。そして、様々な知識があれば、それを足掛かりにさらに多様な疑問につながっていき、知的好奇心を満たすために主体的に勉強しようとする姿勢となり、それが新たな知識の扉を開き、さらに豊かな心のあり方や生き方につながると考えます。
 勉強は、「ただ生きるだけのため」であれば社会保障が行き届いている現在の日本なら、しなくても何とかなるかもしれませんが、「よりよく生きるため」にはしておいたほうがいいと思います。分野の垣根を作らず何でも広く知っておくと、それがベースの点となって様々な知識と関連づけられネットワークを形成し、可能性を広げてくれると考えます。「あ~っ、もっと勉強しておけばよかった!」と嘆くのは、社会人になってからと相場は決まっていますので、皆さんはそうならないようにしてくださいね。

「私と付き合ってください!」「ごめんなさい!」「よろこんで!」どっち?

 文科省が、7月4日に「チャットGPT」などの生成AIの活用について小中高校などでどう活用するかの指針を発表しました。そのポイントは、以下のとおりです。                    

【適切でないと考えられる例】〇コンクール作品や小論文で生成物をそのまま成果物として提出、〇詩や俳句の創作、音楽や美術の表現・鑑賞で安易に使わせる、〇定期テストや小テストで使わせる                                                                          【活用が考えられる例】〇生成物の誤りを教材として使用し、生成AIの性質や限界に気付かせる、〇グループの考えをまとめる活動で、足りない視点を見つける目的で使用、〇英会話の相手として活用                                                                                             【学校での利用の際のチェックリスト】〇年齢制限、保護者同意といった利用規約を遵守しているか、〇個人情報を入力しないよう指導しているか、〇長期休業中の課題で、生成物を応募、提出すること不適切・不正な行為と指導しているか                                                                                     

 中央公論7月号に慶應義塾大学の今井むつみ氏へのインタビュー「AI時代のことば力 言語習得に見る知性の本質」が載っています。今井氏は、人間が言語を習得する際の「記号接地」体験の大切さを強調しています。「記号接地」とは、「ことばと身体感覚や経験とをつなげること。『りんご』と聞けば、その色や模様、匂い、果肉の色や食感、味、舌触りなど様々な特徴を思い出すことができますよね。」「人間が言語を習得するとは、そういうことなのです。」と説明しています。「しかし、AIはそうではありません」「チャットGPTとは『次にくることば予測機』です。」「チャットGPTが作る文章は、文法的な誤りや不自然さがなく、学生のレポートよりずっと整っているかもしれません。しかし、体験に接地せず、統計から導き出した情報を繋ぎ合わせているだけなので、内容がとても表面的です。新しい視点も独自の観点もありません。(中略)もしこれでいいと思う子どもが増えるとしたら、それは人類にとって危険です」「記号接地は創造性の源です」「今こそ記号接地の重要性を認識し、身体化された、経験に根ざした知識を習得していくべきだと思っています」
 以前に生成AIについて2回ブログに書きましたが、今も世界中で議論が続いています。皆さんは今井さんの話を読んで、どう思いましたか。私は、多くの語彙と様々な経験(読書経験含む)があって自分らしい文章が書けると考えています。自分が積み重ねてきたものがベースにあって、チャットGPTを活用するのであれば、おかしなところに気付くこともできると思いますが、そうしたものがなくチャットGPTを利用するならば、AIに思考・表現を支配されてしまうことにもなりかねません。スマホもそうですが、様々な弊害が報告される中、上手に付き合うこともできるはずです。これからAIが加速度的に進化していくことは避けられませんので、皆さんも自分の頭でAIとの付き合い方をよ~く考えてください。