日誌
榎本校長のつぶやき
音楽マンガの表現力
一昨日の音楽の話題を受けて、今日は音楽をテーマとしたマンガについて書きます。大きな字では書けませんが、私はマンガ喫茶並のコミックを所蔵しています。以前はデータベースを作っていましたが、途中でやめてしまったので今は何冊あるか自分でも把握できていません。こんなことを書くと、校長はマンガばっかり読んでるのかと軽蔑されそうなので弁解しておきますが、マンガより普通の本をたくさん読んでいますので誤解なさらぬように。
私が初めて音楽をテーマにしたマンガを読んだのは高校生の時で、今から40年以上前になります。森脇真末味著『緑茶夢』『おんなのこ物語』はロックバンドの人間模様を描いた作品です。音楽をどのようにマンガで表現するのか、どれだけ聞こえないはずの音楽が、画面から聞こえてくるのか。音楽マンガの醍醐味はここにあると思います。ロックバンドを描いた傑作には、他にハロルド作石著『BECK』がありますね。ピアノをテーマにした作品は多く、新川直司著『四月は君の嘘』や一色まこと著『ピアノの森』さそうあきら著『神童』などがあります。『四月は君の嘘』は泣けます。オーケストラとピアノの合体版が、大ヒットした二ノ宮知子著『のだめカンタービレ』、オーケストラがテーマで高校の部活動を描いたのが阿久井真著『青のオーケストラ』、プロオケの指揮者を描いたのがさそうあきら著『マエストロ』です。読んでいるだけでクラシックの曲や楽器に詳しくなりますよ。
高校の部活動を描いたものに武田綾乃著『響け!ユーフォニアム』(吹奏楽)、アミュー著『この音とまれ』(箏曲部)があります。このほか、ジャズのサックス奏者を描いた細野不二彦著『BLOW UP』、津軽三味線をテーマにした羅川真里茂著『ましろの音』など多彩なマンガがあります。
日本のマンガは、間違いなく世界一だと思いますが、それは絵のきれいさやキャラクターやストーリーが個性的なことだけでなく、日本独自の表現、つまり心理や感情や音を絵や記号で表しているところです。その進化には目を見張るものがあります。私が紹介したもの以外にも音楽関係のマンガはたくさんあります。ぜひ、興味をもったものを試しに読んで、マンガ表現について考えてみてください。
とこしえに 栄光あれ 一太郎
みなさんは、ワープロソフトは何を使っていますか?ワード?若い人は、ワードなんでしょうね。先日、ついに日本語ワープロソフトとしてマイクロソフト(以降MS)に対抗してきた一太郎が、教育現場から駆逐されてしまうことになったことを知らされました。(T_T)
今から30年ほど前、ウィンドウズがOSとして席巻し始めたころ、ワープロと表計算ソフトは、パソコンを購入する時にセットになっていて選択できるようになっているものが多かったのです。一つはワードとエクセル、もう一つは一太郎とロータス123(ワンツースリー)です。ウィンドウズ95が世界標準となり、MSの圧倒的優位さ(抱き合わせ販売問題)から、一太郎とロータス123は駆逐されていきました。私も仕方なくロータス123 からエクセルに乗り換えました。しかし、一太郎からワードに乗り換えようとした時、その使い勝手の悪さに閉口し(あくまで個人的感想です)、一太郎を使い続けてきました。幸いにも教育界は、一太郎を排除しなかったので多数派としてやってこれました。ワード文書が増えてきても一太郎で読み込み、自分の土俵で戦ってきましたが、ワードで一太郎文書は読み込めないので、ついに刀折れ矢尽きました。しかし、個人的にレジスタンスは続けます。官公庁ではワードへの移行が進んでいますが、未だに法曹三者(弁護士、検察官、裁判官)の間では、特に愛用者が多いというウワサです。
みなさんは、日本にはTRONという先進的なOSがあり、教育現場への普及を図った時にアメリカにつぶされたことを知っていますか。「コンピュータ ソフトなければ ただの箱」という川柳があります。ハードウェアが優れていることも大事ですが、ソフトウェアがそれ以上に重要になってきています。小学校にプログラミング教育が導入された背景には、今後のIT人材の不足があります。昨今話題の「GIGAスクール構想」の「GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉)」という意味ですが、ぜひ、みなさんも頑張ってソフト面で世界と戦えるようになってください。
※今回は、音楽マンガについて書こうと思っていましたが、急遽、一太郎への鎮魂歌として書きました。
笑顔の力
昨日の体育祭では、若さというものを、これでもかというくらい見せてもらいました。生徒のみなさんの笑顔と元気と一生懸命さに、私が感動して元気をもらいました。太東の各団120人で行う応援合戦を知っている者として、少人数でやる今回はどうなるかなと思っていたら、この短期間でよくあれだけまとめられたなと感心するくらい頑張って楽しませてくれました。審査員をやらせてもらって、ダンスそのものと同じくらい重視したのが、笑顔です。笑顔が多く、見る人に楽しんでもらいたいという気持ちが、より多く心に響いた団に高得点をつけました。笑顔の力を再認識した今回は、笑顔に関する話をいくつか紹介しましょう。
〇「笑」という漢字は、万葉集や古事記の時代には「花が咲く」という意味で使用されていた。だから、笑顔は、その人の心の花が顔に咲いたということ。
〇怒り顔の人と笑顔の人の写真を用意して、その顔を覚えてもらい、後日同じ人たちの無表情の写真で「この顔を覚えているか」と確認する実験がありました。その結果、実際に覚えているのは、圧倒的に笑顔だった人の顔でした(「笑顔優位性効果」)笑顔でいる人のほうが記憶に残りやすいのです。
〇楽しい感情には、問題解決を容易にしたり、記憶力を高めたり、集中力を高めたりする効果があることが報告されています。笑顔をつくると楽しくなるという逆効果が、私たちの脳にはあります。
〇表情は感情の出力だが、実は入力にもなる。人はうれしいから笑顔になるわけだけど、つられて笑顔になった時には「うれしい時の神経信号」が誘発され、笑顔の時と同じ気持ちになれる。つまり、周囲を笑顔にする人は、自分の表情を周囲に伝染させ、結果、周囲の脳に「やる気と好奇心」を喚起しているのである。当然、その人のチームはいい結果を出す。
〇小出義雄監督は、Qちゃんにこう指導していました。「お前さんの仕事は、世界中の人に、マラソンは楽しいって教えることだよ。だから苦しくてもイヤな顔しちゃだめだよ。ゴールしたあと、下を向いちゃいけないよ」「その笑顔を、世界中の子どもたちが見るんだぞ。その爽やかさがマラソンの人口を増やすんだぞ」シドニーオリンピックで高橋尚子選手が金メダルを獲得したときのコメント「楽しい42キロでした」が、マラソンに対する日本人の意識を変えたのです。
感動が大きいほど…
いよいよ、体育祭当日となりました。天気予報だと、昼間はなんとか雨は降らなそうです。みなさん、準備は万端ですか?昨日遅くまで応援合戦の練習をしている人もいましたね。コロナのせいで2年間、すべての面で学校での活動が制限されてきましたが、ようやく元の生活に戻る兆しも見えてきました。平和な戦いができることに感謝しつつ、みんなで盛り上がりましょう。
体育祭や球技大会、文化祭や修学旅行といった学校行事での感動が大きいほど、受験への切り替えもうまく行きます。みんなで頑張る、楽しむといった体験は、受験の団体戦で必ずや力になります。思考力・判断力・表現力や学びに向かう力は、特定の教科・科目だけで育まれるものではありません。学校行事や部活動なども含めた様々な教育活動で分担して、資質・能力を育みます。そんな力を伸ばしていると思いつつ、コロナと怪我にだけは気をつけて(私が一番危ない?)目一杯楽しみましょう!
昨日の自分プラスαの意識
昨日は、学校評議員会があり、5人の評議員の方々に本校の教育活動についての意見や感想をいただきました。挨拶が話題になったとき、地域の方から「絶対評価で言えば、太東の生徒はよく挨拶ができているのではないか」と評価していただき、大変うれしく思いました。ただ、「人というのは、自分のことは自分ではなかなかわかりません。 本来、自分らしさとは他者と比較して初めてわかることです。」という言葉があるとおり、社会で生きる限り、人は相対評価から逃れられません。SMAPの「世界に一つだけの花」が大ヒットしたのも、オンリーワンで絶対評価を肯定し、人が社会で常に他人と比較され続けることに対する否定を歌ったことが心地よかったからでしょう。
「努力すれば必ず勝てるのは、昨日の自分である」という言葉がありますが、昨日の自分よりよい挨拶ができるように努力してほしいと思います。挨拶で大事なのは、表情です。これについてジャネット・レーンという方の言葉を紹介します。「あなたが身に付けているもののうちであなたの表情ほど重要なものはない。次の機会に飾り窓やカウンターの向こうの鏡に映る自分を見たら、帽子の曲がり具合を気にする代わりに、その下にある表情をよく見てごらんなさい。そしてその陰鬱な表情をもっと魅力的にするために時間を割くのは、意義のあることだと決心しなさい。」
表情とは、心の中の感情が顔など外部、つまり表にその人の情報として現れたものです。これは声と顔と体の3つに現れます。
これから、ほんの少し、声と顔と体の表情を意識してみましょう。(昔、自分の欠点を指摘されて自覚して以来、私が自分に言い聞かせていることです)