日誌

榎本校長のつぶやき

まっくろくろすけのイメージは?

 今日は、9月6日なので、予想通り「黒」に関する記念日が多かったです。皆さんは、黒という色に対してどんなイメージを持っていますか?「クール(カッコいい)」それとも「闇」? そのイメージはどこからきていますか?

 昔、1950~60年代前半にイスラーム教信仰をもとにしたブラック=ムスリム運動を指導し、アメリカの黒人差別に対して戦ったマルコムXという人がいました。彼は、キング牧師らの非暴力主義による公民権運動とは一線を画し、白人に対する敵意を隠さずに運動を進め、暴力も肯定しました。残念ながら二人とも暗殺されてしまいました。彼には獄中で辞書の「ホワイト」と「ブラック」のところを読み、「ブラック」には悪いイメージが多く、「ホワイト」にはいいイメージの意味が多いことに怒ったエピソードがあります。白人によって黒が悪いイメージを植え付けられていると考えたのです。

 2020年の「ジョージ・フロイド事件」で有名になった「Black Lives Matter」とは、アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為をきっかけにアメリカで始まった人種差別抗議運動です。訳としては「黒人の命を粗末にするな」が適切という意見があります。アメリカの人種差別は黒人だけでなく、移民すべてに差別の歴史があります。もちろん、その中には日系人差別もあります。            

 話を元に戻しますが、「黒」という色自体に罪はありません。すべては人間が価値付けたことから問題が生じます。特定の価値観や偏見にとらわれないことが大事なのであって、アメリカと違って日本では黒人に対する差別がほとんどないと、黒人の人が言っている動画をいくつか見ました。色の話が、人種差別の話になってしまいましたね。「十人十色」という言葉がありますが、現在は多様性を認め合う方向に世界は進んでいます。「理性」の力によって、人種だけでなく個性の違いを認め合い、差別や争いがなくなる日がくることを願っています。皆さんも、多面的多角的に物事を見る目を養って、自分の中の色眼鏡をはずせるようになってください。

ミライを、明るい希望で満たそう!

 今日は、国民栄誉賞の日だそうです。生徒の皆さんの年代だと「国民栄誉賞をもらった人は誰が思い浮かびますか?」と聞かれたら、最近の羽生結弦さんか国枝慎吾さんになるのでしょうか。私が印象に残っているのは、団体として唯一受賞している女子サッカーチームですね。記念日としては1977年の今日、2日前の9月3日に通算ホームラン数756本で世界最高記録を作った王貞治選手が、日本初の国民栄誉賞を受賞したことによって定められました。「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉をたたえること」が目的で、これに該当する個人や団体を内閣総理大臣が随時、表彰することとなっています。過去に受賞した人をスポーツ分野と文化分野に大きく分けると、前者が14、後者が13で、多いのはプロ野球選手の4人と作曲家の4人です。芸能関係は俳優4人に歌手2人、冒険家はスポーツ分野に入れ、囲碁・将棋・映画監督は文化分野に入れました。将棋と囲碁は、頭の格闘技なのでスポーツ分野に入れてもいいかもしれませんね。辞退した人は過去に4人います。イチローは3度も辞退しています。昔と比べて受賞年齢が若くなっている傾向があります。このように、明確な表彰基準がなく曖昧であり、表彰分野に偏りがあり恣意的になっているのではないかという疑問もあります。柔道少女を描いた漫画の「YAWARA!」の主人公猪熊柔の祖父猪熊滋悟郎の口癖が「オリンピックで金メダルをとって、国民栄誉賞じゃ!」でしたが、「ヤワラちゃん」の愛称で親しまれた谷亮子さんは柔道選手としてはオリンピックで2度、世界選手権で7度金メダルを獲得しましたが、国民栄誉賞は授与されませんでした。

 スポーツにはオリンピックやワールドカップなどに代表されるように政治利用の影がつきまといます。最近は商業利用の弊害も大きいようですが。ヒトラーのベルリンオリンピックは、国威発揚の宣伝に利用された最たるものであったと考えられています。ボイコットがあったモスクワやロサンゼルスも政治が絡んだ例です。4年に1度ですから、出られなかった選手は気の毒としかいいようがありません。1984年のロサンゼルス・オリンピックでは、大会組織委員会が徹底的な商業主義路線の運営を行い、現在の放映権料やスポンサー料などの高騰を招いたと言えます。

 スポーツの政治利用に関して「スポーツ・ウォッシング」という言葉があります。これは、米パシフィック大学教授のジュールズ・ボイコフ氏がオリンピックを批判する際の論点の一つで、権力者が自分たちに都合の悪いことをスポーツの喧騒で洗い流すという意味です。スポーツの健全なイメージを使って民衆の関心を集め、政治をはじめとする社会問題から国民の不満をそらそうとする手法です。国民の不満を政府から他国に向けてそらそうとする手法をとる国もありますね。

 国民栄誉賞の話が、いつのまにかスポーツの話になってしまいました。「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった」という趣旨に反対はしませんが、スポーツのイメージを高め、国民が生涯スポーツに親しみ、心身ともに健康が増進できるような政策を政治家は考えてほしいと思います。生徒の皆さん、自分が明るい希望をもって、スポーツだけでなく、自分の好きなことに打ち込んでください。そして、社会に明るい希望を与えることができるようになれれば最高ですよ。

Come on!レインサンダーズ

 今日は、久しぶりに朝から雨が降っていて、心配されていたダムの貯水率も少しは持ち直すかなと思いました。 

 昔(私が小学生だったころ)は、夏は暑くても30℃くらいだったのにもかかわらず、雷や夕立は今よりもずっと多かったように思い出されます。暑い日に、「今日も夕立はきそうにないねぇ」と妻と話しますが、妻も昔の方が夏は頻繁に夕立があったと記憶しています。今は昔よりはるかに暑くなっているのに、なぜ夕立は少ないのかわかりませんでした。そこで、ネットで調べてみたところ、「地球温暖化や都市化によるヒートアイランド現象で一日中気温が高く、早朝や夜など夕方に限らず積乱雲が発生しやすい。そのため、突発的な降水が増えました。いわゆるゲリラ豪雨です。夕立は、それに紛れてしまっているといえます」という回答を見つけました。つまり、暑くなりすぎたために夕立が夕方に起こる現象ではなくなってしまったというわけですね。ただ、場所によっては豪雨になっているところもありますが、今夏降雨自体が少なくなっていると感じるのは、高気圧のせいで雨のもとになる湿った空気自体が少なくなっているということなのでしょうか。中途半端な暑さの夏に夕立が起こりやすいと言われると、じゃあ今後は期待してもだめなのかと落胆します。群馬といえぱ、雷が有名ですよね。雷が恐い人には申し訳ありませんが、夕立と雷が復活してくれることを願っています。夕立がきたときの土の匂いと去った後の涼風を昔のようにもっと感じられるようになればと思います。

これから逆転の後半だ!

 3月は、大谷選手の活躍で野球のWBCが盛り上がっていましたが、最近はバスケットボールとラグビーのワールドカップの話題で盛り上がっていますね。私はバスケ好きなので、今のところバスケットボールの全試合を見ています。フィンランド戦の後半もそうですが、ベネズエラ戦の第4クォーターは本当に興奮しました。第4クォーターの最初で逆転は無理かなと思い書斎に行きましたが、何か気になって冷たいものでも飲もうとリビングに戻ったところ点差が縮まっていて、ちょっと見ていたら5点差までいって、これは逆転するのではと最後まで見ていたら、逆転どころか9点差をつけて勝利したのには「ミラクル!」と驚きました。本当にあきらめずに勝利を信じてプレーした結果、勝利の女神を呼び寄せたんだなと心底感動しました。そして、スラムダンクで安西先生が三井にかけた「諦めたら、そこで試合終了ですよ」の言葉を思い出しました。エンゼルスの大谷選手が、ドーピングの疑いをかけられていましたが、2021年のインタビューで「(無観客から有観客になってファンの声援は)一番のドーピングではないかと思っている。」という神対応がありました。今回のバスケも観客のすごい応援が選手を後押ししていました。生徒の皆さんも、勉強に運動に最後まであきらめずにお互いに鼓舞し合っていきましょう。国公立大学を目指す3年次生は、後期試験まで第一志望を譲らず貫いてください。応援しています。

オーストレイリラ!

  昨日の始業式前に、新しくALTとして赴任されたカーデン・ジェイムズ先生が自己紹介してくれましたが、オーストラリアのシドニー出身という情報しかありませんでしたので、ここで少し詳しく紹介します。ジェイムズ先生は、2017~2019年にかけて長崎の小・中学校でALTをされていました。母国ではスイミングスクールのインストラクターもされていたそうです。私は、30年前に新婚旅行で訪れたのがオーストラリアのシドニーで、思い出の地でもありましたので、ジェイムズ先生に「いいところですよね」と話しました。オーストラリアでは、オペラハウスやグレートバリアリーフ、それとコアラを抱っこしたことが記憶に残っています。

 日本は、1976年に日豪友好協力基本条約(奈良条約)を結び、オーストラリアとの文化的交流を深めました。また、2007年の「安全保障協力に関する日豪共同宣言」(2022年に改定)や、2015年の日豪経済連携協定(JAEPA)に示されるように、日豪関係はその後、重要な政治・安全保障分野の目的を含む、多角的で成熟した関係へと変化を遂げました。日本は1970年代前半、オーストラリアにとって最大の貿易相手国となり、以後26年間にわたってこの地位を保ち続けました。日本がオーストラリアから輸入しているものは資源が多いです。液化天然ガス・石炭・鉄鉱石・銅鉱などですが、地理の授業で勉強した記憶はありますか。日本語学習者の数で見ると、オーストラリアは世界第4位、10万人当たりの日本語学習者数は世界第1位になります。日本とオーストラリアの間には、実に107件もの姉妹都市・友好都市関係(101市区町・6都府県)が設立されています。また、姉妹校提携をしている学校は日豪二国間で550校にも上ります。実は、日本の学校の海外修学旅行先として一番人気があり、日本の学校の姉妹校の一番多い海外の国はオーストラリアなのです。今日オーストラリアにとって、日本はアジアで最も緊密なパートナーとなっているのです。

 右はオーストラリアの国旗ですが、 右の5つの星で南十字星を、左の大きな七稜星でオーストラリアの6つの州と特別地域を表わしています。 海洋国家で世界中に植民地を持っていたイギリスとの歴史的な結び付きは、左上のユニオン・ジャック(イギリスの国旗のこと)に見ることができます。世界にはユニオンジャックが国旗に入っている国が5つ、地域では20弱あります。ユニオンジャックは、以下のようにイングランド、スコットランド、北アイルランドの国旗や旗を組み合わせてできています。「ユニオン」は連合王国、「ジャック」は船首に掲げて国旗を示す旗の意味です。

  これから、授業でジェイムズ先生が色々話してくれると思いますが、皆さんからも積極的に質問してみてください。