日誌

榎本校長のつぶやき

ゾンビ映画で探究?

 「日本教育」という教育冊子の12月号が届いたので、開いてみると、「ゾンビ映画でも探究はできる!?身近なテーマを見つけて掘り下げよう」というタイトルが目に飛び込んできました。近畿大学総合社会学部准教授の岡本健先生の巻頭インタビューでした。岡本さんは、中国文化の授業で「香港武侠映画を1本選び、授業で学んだ方法で分析せよ」という最終レポート課題が出されたので、レンタルビデオ店に行って作品を選んでいたところ、たまたま近くに並んでいたゾンビ映画を手に取ったそうです。そして、その作品のひどさに驚き、なぜ、レンタルビデオ店にこんなにひどいゾンビ映画が数多く並んでいるのか?という疑問をもったことが探究心に火がついたきっかけだと語っていました。皆さんも、なぜ、こんなものが売れるのだろうとか、人気があるのだろうと思ったことはありませんか。また、ゾンビ映画は全世界で作られていて、その国の文化や本音などが知れるという異国間の理解に資する一面もあるとも述べていました。どんなに人からバカげたものと思われても、自分が興味をもち探究してみたいと思えば、探究はできるのです。実際、世界には「えっ?こんなものを長年研究しているの?」という人もたくさんいます。テーマをどれだけ多角的多面的に捉え、分析し、疑問に思ったことを追究することができるかは、自分が選んだテーマを本気で面白いと思い、探究したいと強く思ったかにかかっています。今から25年ほど前に、少人数の日本史の選択授業を担当していた時、夏休みの宿題として探究したいテーマを生徒に決めさせてレポートを課したことがありました。そこで日本のファッションの歴史について調べて考察した女子生徒がいました。古代から現代までのファッションの変遷と「なぜ、そうしたファッションが生まれたのか」に疑問をもち、機能性とデザインに注目して自分の意見を書いていました。その生徒はアパレルメーカーに就職しましたが、好きなことなら調べていくうちに次々と疑問が生まれてくると思います。現在、総合的な探究の時間がすべての学校にありますが、自分の好きなことを見つけて探究し、それが大学で勉強できて職業にも生かせたなら最高ですね。

宇宙人と幽霊の存在を信じますか?

 先日は、映画の日ということで書きましたが、1982年の今日はアメリカのSF映画『E.T.』が日本で公開された日です。私は大学生でしたが、映画館には行かずにビデオで見ました。生徒の皆さんが生まれる前の映画ですので、見たことがある人は少ないかもしれませんが、実は大変な映画です。監督・製作は、かの超有名なスティーヴン・スピルバーグで約1000万ドルという予算で製作され、観客は1000万人を突破し、アメリカ国内だけでおよそ3億ドルという当時の映画史上、最大の興行収入を記録しました。全世界では1993年公開の『ジュラシック・パーク』、日本では1997年公開の『もののけ姫』に抜かれるまで、映画の配給収入の歴代1位を守っていたのです。「E.T.」は「Extra-Terrestrial」の略で「地球外生命体」のことですが、簡単に言うと宇宙人のことですね。宇宙人を描いた小説・漫画・映画は枚挙に暇がありませんが、宇宙人を描いた最初の小説として最も知られているのはウェルズの「宇宙戦争」かもしれません。火星のタコ型宇宙人が出てくるものです。日本のかぐや姫も月から来ているので宇宙人なのですが、外見が人間なのでそういう感じがしませんよね。「地球外生命体」というとエイリアンやプレデターを思い浮かべてしまいますが、どちらかというと友好より危険というイメージが強いです。以前にアメリカで宇宙から交信のような電波が届いたことに対して応答するなという命令があったという話を聞きました。なぜかというと、その相手が地球人より進んだ生命体で敵対しないとは限らないからだそうです。宇宙で地球以外に生命体がいないと考える人は、ほぼいないと思います。では、幽霊はどうでしょうか。こちらは、いないと答える人は宇宙人よりは増えるかもしれません。ただ、いないことを証明するのは「悪魔の証明」といって、証明することが不可能か非常に困難です。物質が原子や電子、中性子そして素粒子からなっていることが発見されましたが、霊魂が存在することは証明されていません。しかし、実は、今も昔も、まじめに科学者が幽霊は存在するかしないかを議論しているのです。まだまだ、この世の中はわからないことだらけです。宇宙から人間の身体の内部まで、研究する余地は無限です。皆さんの中に、将来これらのことについて研究する人も出てくるかもしれませんね。これ以外にも、わからないことに対して知的好奇心を持ち続ければ、人生は面白くなると思います。ぜひ、色々なことに興味をもって、これからの生活に生かしてください。

いやーっ映画ってホントにおもしろいですね。

 昨年の12月1日は、師走について書きましたが、今日は「映画」について書きたいと思います。今日は「映画の日」で、映画を劇場で観ることの魅力をより多くの人に知ってもらうことが目的として制定されましたが、映画の一般公開60周年を記念したものであり、日本における初めての映画の有料公開という「映画産業発祥」を記念した日でもあるそうです。ただ、この日に公開された映画は、今日のスクリーンに映写されるタイプではなく、1人ずつ覗き込んで観るタイプの「キネトスコープ」と呼ばれるもので、発明家エジソンにより発明されたそうです。映画と言えば大人数で大画面で見るものと考えている現在では、一人ずつ顕微鏡をのぞき込むように見るなんてなかなか想像できませんね。今日は、映画関連の多様な催しが行われるようですが、映画館の入場料割引もあります。鑑賞料金は、一般1800円で、普段から色々な割引がありますが、イオンシネマや他の映画館でも今日は1000円みたいですね。私が小学生の時は700円で2本立てで映画が見られました。一度に2本映画が見られるなんて、生徒の皆さんは「ホント?」って思うでしょうね、私が最近見た映画は「ゴジラ-1.0」ですが、怪獣映画でこれほど泣けるとは思いませんでした。ただ、怪獣映画とは言っても、社会問題がテーマですので大人に見てほしい映画です。特撮からCGへと画面は進化していますが、テーマ自体は変わっていません。高校生の皆さんにも、見てほしい映画ですね。タイトルは、今は亡き映画評論家の言葉です。

がんばれ、太東生!

 今日から2学期の期末考査が始まりました。初日の出来はどうでしたか。万全の準備をして臨めている人もいれば、ほぼ一夜漬けになってしまっている人もいると思います。3年次生は高校最後の定期考査になりますね。全力で取り組んでください。中学校までは一夜漬けでどうにかなっていた人もいると思いますが、高校のテストはそう甘くはありません。大学ではなおさらです。大学の試験は、前期と後期があり、後期一発勝負のものもあります。一般教養は別として、専門科目はほとんどが論述試験です。60点未満は単位不認定になります。高校と同じくレポート点や出席点もありますが、遙かに厳しいと思ってください。私は、30代くらいまで大学の試験の夢を見ることがありました。もちろん、いい点がとれて喜んでいる夢ではなく、答えが書けなくて終了のチャイムが鳴ってしまう夢で、うなされて起きて、夢でよかったということが何度もありました。初めて聞く人は驚くかもしれませんが、大学ではノートや参考書の持ち込みができる科目もあります。なぜ、許可されていると思いますか?それは、90分という限られた時間の中で、わからないことをいちいち調べていたら論述式の答案は完成しないし、もちろん及第点を取ることなどできないからです。ノートや参考書のどこに何が書いてあるのか頭に入っていて、初めて記憶が不十分な場合に役に立ちます。同様に、スマホですぐに検索できるからといって覚えていることが少なければ、勉強や仕事の能率は格段に落ちます。様々な知識が頭の中で結びついて記憶が強固なものになり、新しいアイデアが生まれるので、知識量は多いにこしたことはありません。ただ、一問一答式知識だけ多くても、それが活用できなければ意味がありません。数学や理科などの理系科目で汎用的な論理的思考力を養い、文系科目でその思考力を活用して知識を知恵に変え、深い学びができるようになってください。それでは、あと3日間、体調に気を付けつつ頑張ってください。

いい服でいい福を!

 今日、11月29日は、語呂合わせから「いい服の日」「いい肉の日」「いい文具の日」「いいふぐの日」などがあります。日本の文具は、外国からわざわざ買いにくるほどですから、よく工夫されていて優れていてオシャレなものが多く、日本にしか売っていないものも多いようです。文具だけの特集本が売れるのも、当たり前ですね。それでは、文具について書くのかと思わせつつ、今回は、文具ではなく、服について書こうと思います。

 皆さんは、ファッションについてこだわりがありますか、それとも無頓着なほうですか。ファッションに気を遣うのは、自分のためですか、それともそれを見る周りの人のためですか。服は、自分が着たいものを着るのがいいのか、自分に似合うものを着るのがいいのか、意見が分かれるとは思いますが、皆さんはどちらですか。私は、大学生になってから男性ファッション雑誌を買うようになり、高校生の時と違って普通に気を遣うようになりましたが(男子校は気を遣いません)、やはり色や形の好きなものは偏りますね。たとえ似合うと言われても、自分が気に入らなければ着る気にはなりませんし、それが個性だと思います。ただ、色については赤やピンクは一切着なかったのですが、ピンクのポロシャツと赤のTシャツをもらって着るようになってから、自分でも赤やピンクを選ぶようになりました。ファッションには多かれ少なかれ、その人の内面が色や形に出ますので、どんな人かを判断する材料にはなります。社会人、特に外部の人と会うことが多い営業関係の人が気を付けなくてはならないのも、そのためです。

 制服でもおしゃれに着こなそうと努力する人はいますよね。制服は清潔感があってきちんと着るのがおしゃれかと思いますが(年寄りの考えかな?)、昔は変形学生服を着ている人も多く、私もその一人でした。学生服はハイカラーの中ラン(丈が長めの学ラン)で、内側に虎と龍の刺繍がありました(笑)。そして、ズボンはというと、ストレートと太目(ボンタン)とパンタロン(ベルボトム)の3本を持っていました。私の高校時代は、まだ短ランはありませんでしたが、今では学生服のツッパリスタイルは、ほぼ死滅しているようですね。今から20年以上前は、女子生徒の短いスカート丈とルーズソックスと格闘していましたが、それも今ではほとんど見られなくなりました。「歴史は繰り返す」という言葉どおり、昔流行ったファッションが復活して、懐かしい思いをすることがあります。ダサくなったものが新鮮でおしゃれに感じられて復活するのですから面白いものです。筒井康隆のSF小説に「暗いピンクの時代」というのがありましたが、AIが発達した未来のファッションについての話です。人間の創造性について考えさせられるものでした。未来では、一着のボディースーツで温度や湿度を自動で最適に保ち、好きな形や色に変えられるものができるかもしれません。皆さんは、そういう服が着たいですか?