日誌

榎本校長のつぶやき

月がとっても青いから

 今日は、大変月がきれいに見えたので写真を撮りましたが、きれいに撮れなくてがっかりでした。夏は大気に水分が多いため、月は黄色く見えることがあります。黄色い満月をおっきなメロンパンだと言ったマンガの主人公もいました。冬は乾燥しているので青白く見えることが多いです。歌い出しが「月がとっても青いから 遠回りして帰ろう」という懐メロがあります。1955年に発表された菅原都々子さんの歌で『月がとっても青いから』は、大ヒットしました。帰り道の恋人同士を歌った歌ですが、月を見ることが風流と感じる日本人ならではの感性と、もう少し恋人と一緒にいたいという気持ちがマッチしてヒットしたのだと思います。月が歌詞に出てくる歌はたくさんありますが、童謡の「月の沙漠」や爆風スランプの「月光」など切ない感じの歌が多いですね。皆さんには好きな歌はありますか。「ムーンライト伝説」?「三日月」?
 月は太陽の光を反射して光って見えるので、自分では光り輝けません。日本の月のヒーロー?では「月光仮面」「セーラームーン」が有名ですが、月は奥ゆかしいところが支持されるのでしょうか。なぜか、太陽のヒーローはいないです(レインボーマンには太陽の化身がいますが)。世界中で太陽は信仰の対象になっていて当たり前すぎてヒーローにはならないのでしょう。自分では光り輝けない月には儚さがあります。朝に見られる月もそうです。月を詠んだ和歌もたくさんありますが、皆さんがよく知っているはずの和歌には「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」がありますね。わからない人は調べましょう。
 英語では「ありえないこと」「滅多にないこと」という意味で「ブルームーン」という言葉が使われていたそうです。最も一般的な定義では、ブルームーンとは「カレンダー上でのひと月の間に現れる、2度目の満月」のことで、2.5年に1回程度しか出ないそうですが、別に特別青いものではないそうです。太陽に比べて極端に弱い月の光のもとでは、人間の目が青い波長を強く感じてしまうために、何となく月下の景色は青っぽく見えてしまうようです。「ブルームーン」と言えば、私が思い出すのは、英一・英二という双子の兄弟を描いた森脇真末味さんの短編集です。大学生の時に読みましたが、お薦めします。勉強していて眠くなったら寒空の下で冷気を頬に感じて月を眺めるのもいいものです。期末考査が始まります。皆さん、頑張ってください。

愛情のこもった商品とは

 昨日の日曜日は全国的に非常に寒かったようですが、皆さんの家ではストーブやこたつがあって暖かく過ごせましたか。こたつは外国人に受けがいい日本製品の一つですが、他にも外国人に評判がよく、外国にはないものがたくさんあります。それらのものには日本人のどんな思いが反映されているのでしょうか。次の言葉を読んでください。「傘は、冷たい雨に濡れないように、考えて考えて作られた愛情のこもった商品である。世の中にある物は愛に満ち溢れている。使う人の幸せのために作られているのだ。」皆さんは、身近なものについて、こんな風に考えたことがありますか?外国人に人気のウォシュレットなら「ウォシュレットは、お尻が冷たい思いをしないように痛くならないように、考えて考えて作られた愛情のこもった商品である。」となるのでしょうか。左利きの人が使う商品専門店を開いた人がいます。その人は、左利きの人の幸せのために作られた道具を多くの左利きの人に使ってもらおうという愛に満ち溢れていたのだと思います。10人に1人は左利きですが、社会は左利きの人には不便になっています。どんなところが不便なのか考えてみてください。左利きの友達がいたら聞いてみてください。気付かないことがたくさんあると思います。さて、皆さんの周りには、どんな愛情のこもった商品があるでしょうか。

働いている人みんなに感謝!

 昨日は、国民の祝日である「勤労感謝の日」でしたが、皆さんは働いている保護者の方、そして働いている全ての人に対して感謝の気持ちをもちましたか。皆さんは、お父さんやお母さんの職場見学をして実際に働いているところを見たことがありますか。夏休みに「こども参観」を実施している企業や自治体もありました。アインシュタインは「私は一日100回は、自分に言い聞かせます。私の精神的ならびに物質的生活は、他者の労働の上に成り立っているということを。」と言っています。また、レーニンは「働かざる者、食うべからず」と言っていますが、これは労働者から搾取して不労所得でラクな生活を享受する資産家たちを戒めるための言葉であり、資本主義体制を批判する言葉でした。
 皆さんは、国民の三大義務と権利を答えられますか。三大義務は「教育・勤労・納税」ですね。誤解されやすいですが、教育の義務は、皆さんが小中学校に行って教育を受けなければならない義務ではなく、保護者が子供に教育を受けさせなければならない義務です。面白いのは勤労の義務で、「すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」(日本国憲法第27条1項)と勤労の権利とセットになっています。これはどういう意味でしょうね。「権利を主張するなら義務を果たせ」なんてことが言われますが、そうした裏表の関係ではないです。勤労の権利とは、仕事をしたい人に対して、国が仕事をさせないと言うことができないということです。また、勤労の義務とは、国が働くことを強制しているのではなく、保険など国の保護をうける場合には、仕事をする必要があるというくらいの意味らしいです。義務が最も似合うのは「納税」でしょう。普通の人は働かなくては税金は払えませんから、勤労と納税はセットでおかしくありません。みんなが助け合って生きるのが社会ですから、お互いに働いて税金を払って暮らしやすい社会をみんなで作っていく。だから働いてくれる人に感謝するということですね。皆さんも自分の好きな仕事、やりたい仕事で感謝されるようになってください。
 ちなみに国民の三大権利は、「生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)、教育を受ける権利、参政権」です。公民の授業では、他にもたくさん人権を勉強したと思います。皆さんにとっては「自由権」が一番記憶にあるかもしれません。「職業選択の自由」もその中にありましたね。自由はいいものですが、厳しくもあります。これから職業選択に大いに悩んでください。
※勤労感謝の日は、戦前は宮中行事の新嘗祭で、その年に収穫された新穀を神に捧げ、収穫を感謝する日です。具体的には、天皇陛下が新穀の収穫を天照大神(あまてらすおおみかみ)をはじめとした神に感謝し、自らも新穀を食べる宮中行事で、現在も皇室に受け継がれている重要な祭祀の一つです。新嘗祭は、明治6(1873)年に祝日として11月23日に制定されました。

天災は忘れたころにやってくるから訓練が大事なのだ!

 今日は、50分短縮授業で6時間目終了直後に大地震発生とそれに伴う火災発生という設定で避難訓練を実施しました。生徒の皆さんは、落ち着いて整然と避難できており、前回より避難時間も短縮し、消防署の方からもほめられ、よい訓練ができたと思います。前回の訓練でも話しましたが、学校は比較的安全な建造物です。鉄筋コンクリートで単純な構造なので頑丈です。木造ではないので火災にも強いです。でも油断は禁物です。煙や落下物に注意しなければいけません。どこで災害に見舞われても対応できる力を身に付けましょう。

 東日本大震災から12年経ちました。皆さんは幼稚園生でしたね。怖かった記憶があるでしょうか。一般に大震災と呼ばれる災害ではそれぞれ死因に特徴があり、関東大震災では、昼食時だったため火災による焼死、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)では建造物倒壊による圧死、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では津波による溺死が多かったわけです。皆さんは、地震で自分がそのような被害にあうことが想像できますか。近い将来発生すると予想されている大規模地震には、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震などがあります。その時、皆さんはどこにいるでしょうか。地元で自宅にいるかもしれないし、東京やその他の地方で一人暮らししているかもしれません。温泉旅館でのんびりしている人、高層ビルで働いている人、地下鉄で移動している人もいることでしょう。どこにいても、避難訓練で学んだことを生かして、状況判断し、冷静に行動することが大切です。「慌てず急げ」という言葉通り、冷静に、できるだけ急いで避難することが大切です。パニックになって急ぎすぎれば、階段等で将棋倒しになり圧死する危険性もあります。「天災は忘れたころにやってくる」という標語がありますが、危機意識を忘れずにいるために避難訓練を実施しています。今日やった消火器の訓練も忘れずにいてくださいね。

テレビの未来

 今日は「世界テレビ・デー」だそうです。 1996年12月の国連総会で「第1回世界テレビ・フォーラム」が開催されたのを記念して制定されたそうです。このフォーラムは、テレビが人や世論の意志決定の過程において大きな影響を及ぼすようになったことから実施されたそうですが、この国際デーはテレビの重要性や役割を再認識する日であり、いまだテレビの情報にアクセスできない人々へも情報提供を普及させようとする企図があるそうです。ネットにアクセスしないお年寄りは、テレビや新聞の情報がすべてでしょうから、ウクライナやパレスチナの紛争をテレビで見ていてよく知っていても、日本のテレビでは報道されない世界の重要な出来事は知りえません。テレビも新聞も民間企業である限り、真に公正・公平な報道はありません。NHKであっても、それは変わりません。NHKは国営企業のように誤解されますが、放送法に基づき設立された特殊法人で、 政府からの出資はなく、その経営が国民から徴収する「受信料」で 成り立っている公共放送局です。ですから、色々と問題も抱えています。テレビは、新聞と同様に若い人が離れているので、今ではネットの影響のほうが大きくなっているように思います。

 昔は娯楽というとテレビでしたし、家族で夕飯時は1台のテレビで同じ番組を見ていたので、チャンネル権争いが勃発していたものです。私は弟とテレビのリモコンスイッチ(手で回すタイプでテレビから外すことができた)を奪い合うこともありました。しかし、チャンネル権は父にあり、食事時は父が見る番組を見なければならず、プロ野球や時代劇の「水戸黄門」「大岡越前」「遠山の金さん」「暴れん坊将軍」などを見ていました。また、ドリフターズの「8時だョ!全員集合」はクラス全員が見ていると言って過言ではなく、最高視聴率50.5%のお化け番組でした。紅白歌合戦の最高視聴率は80%であり、大晦日は日本レコード大賞、紅白歌合戦、ゆく年くる年を見るのが日本人の定番であったようです。

 さて、くだらないことを書き連ねてしまいましたが、テレビの黄金時代は過ぎ、家の中に複数のテレビがあり、チャンネル権争いも過去のこととなり、さらにスマホの普及で個々に好きな動画を見る時代になりました。大画面のモニターが家の中にあっても、それで観るものはテレビ以外のものが多くなり、従来のテレビ番組は淘汰されていくと予想されています。やる気になれば一人でも番組ができてしまいますので。テレビやラジオが情報を素早く伝えるメディアであり、それを受動的に見る時代は終わりを告げ、自分で情報を探しに行き、発信する時代になりました。せっかくの「世界テレビ・デー」ですが、すぐに「世界スマホ・デー」に置き換えられるかもしれません。その時、何を再認識しなければならないかと言えば、自分の好みの情報だけに偏ることなく様々な情報に触れて公正に判断する力をつけるということです。情報リテラシーを身に付けることが、ますます重要になってきますので、皆さんもしっかり勉強してください。